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カテゴリ: ★『新樹の通信』

自殺ダメ


 [霊界通信 新樹の通信](浅野和三郎著)より

 (自殺ダメ管理人よりの注意 この文章はまるきり古い文体及び現代では使用しないような漢字が使われている箇所が多数あり、また振り仮名もないので、私としても、こうして文章入力に悪戦苦闘しておる次第です。それ故、あまりにも難しい部分は現代風に変えております。[例 涙がホロホロ零る→涙がホロホロ落ちる]しかし、文章全体の雰囲気はなるべく壊さないようにしています。その点、ご了承ください。また、言葉の意味の変換ミスがあるかもしれませんが、その点もどうかご了承ください)

 前回に引き続き、まだ色々質問したいことがありましたので、私は重ねて十月十五日午後八時半頃新樹を呼び出し、乃木さんと私との間の中継役を命じました。何回も繰り返している中に、新樹も段々こうした仕事に興味をもって来たらしく、この日も大変に歓び勇んで、この面倒な、同時に相当気骨の折れる任務に就いてくれたのでありました-
 問「これは前回にもお尋ねしたことでありますが、お墓とお宮との区別につきて、あなたがそちらの世界で、実地に御覧になられるところを、忌憚なくお漏らしして頂きたい。ドウも私の観るところによれば、現代の日本国民は、この点に関して頗る無定見・・・イヤ寧ろ全然無知識に近く甚だ辻褄の合わぬことを、一向平気でやりつつあるように考えられますが・・・」
 答「それにつきては、先般あなたから訊ねられて、ワシもよく考えてみましたが、墓というものはあれは人間界のみのもので、つまり遺骸を埋葬する印の場所であります。こちらの世界に墓というものは全然ない。又あるべき筋の物でもないと思います。然るにお宮は霊魂の通うところ・・・つまり顕幽間の交通事務所とでも言うべき性質のものであるから、それは人間の世界にあると同時に、又こちらの世界にもある。もっともこちらの世界のお宮というものは、ごく質素な、ホンの形ばかりのもので、とても人間の世界に見るような、あんな華美な建物ではありません。畏れ多いことであるが、伊勢の大廟にしても、又明治神宮にしても、こちらのお宮は、何れも勿体無い程御質素であります」
 問「して見ますと、人間が矢鱈に立派な墓を築くなどは、あれは一向詰まらん事でございますナ?」
 答「勿論、ワシとしてはそう思います。いかに立派な墓を築いてくれても、こちらに必要がなければ、一向つまらないものでナ・・・。立派な墓は、ただ華美を好む現世の人達を歓ばせるだけのものであります-と言って、勿論ワシは、全然墓を築くのが悪いというのではありません。遺族や友人が墓へ詣って、名でも呼んでくだされば、それはこちらにも感じますから、死んだ人の目標として、質素な墓を築くことは、甚だ結構なことでありましょう。ワシはただ、あまりに華美なことをしてもらいたくないと言うまでで・・・」
 問「既にお墓とお宮とが、そんな具合に相違したものであるとすれば、お宮詣りと、お墓詣りとをごっちゃにすることは、いかがなものでしょう?」
 答「日本には、昔からその辺の区別が、立派についている筈じゃと思うが・・・」
 問「ところが近頃、その区別が乱れて来ていはせぬかと考えられるのであります。近年大臣とか、大将とかいう歴々の人達は、何かの機会に、伊勢の大廟へ参拝したついでをもって、よく桃山の御陵へお詣りをされるようです。これにつきて、乃木さんの腹蔵なき御意見を承りたいと思います」
 答「桃山の御陵というのは、自分は勿論少しも知りませぬが、こちらでほのかに承る所によれば、大分御立派なものじゃそうナ。当局も国民一般の願望に動かされて、自然そうしたことになったであろうと思いますが、御陵というものは、結局御遺骸を葬った、ただのお印に過ぎないから、陛下の御神霊をお祀りした明治神宮とは、性質が全然違います。まして大廟と御一緒にすべき性質のものでないことは、勿論の事であります。若しも日本の国民が、その点に関していささかも取り違えるようなことがあっては、甚だ面白くないことと思われますから、一つこの機会を以って、あなたから世間一般に知らせて頂きましょう-こうした間違いの起こるのも、つまりは神というものを本当に知っているものが、段々少なくなった故でありましょう。ワシの生きている時分にも、精神作興とか、敬神敬祖とかいう言葉がよく使われたものでありますが、ドウも兎角上滑りがして形式に流れ、深いところまで徹して居ぬ嫌いがあったように思います。あなたの力で、これをもう少し何とかして頂きたい・・・」
 問「私のような微力なものに、果たしてどれだけの効果を挙げ得るか、甚だ心許なく感じますが、兎に角出来るだけのことはする覚悟でおります。乃木さんもドウかそちらの世界から御授けして頂きます」
 答「いかにもそれは承知いたしました。しかし何分にも、まだ一向修行が足りない身であるし-それに自分は戦争の事やら何やらで、多くの兵士を殺し、他人に合わせる顔がないので、成るべく表面に引き出してもらいたくないのじゃが・・・」
 この日の問答の主要なる部分は、大体右に掲げた通りでした。乃木さんのいつもながらの謙遜な態度は、一方ならず私を恐縮せしめ、「やはり乃木さんは偉いものだ」と痛感した事でした。

自殺ダメ


 [霊界通信 新樹の通信](浅野和三郎著)より

 (自殺ダメ管理人よりの注意 この文章はまるきり古い文体及び現代では使用しないような漢字が使われている箇所が多数あり、また振り仮名もないので、私としても、こうして文章入力に悪戦苦闘しておる次第です。それ故、あまりにも難しい部分は現代風に変えております。[例 涙がホロホロ零る→涙がホロホロ落ちる]しかし、文章全体の雰囲気はなるべく壊さないようにしています。その点、ご了承ください。また、言葉の意味の変換ミスがあるかもしれませんが、その点もどうかご了承ください)

 引き続いて私は、十月十九日にも、新樹を通じて乃木さんと談話を交えました。この日私は『日本国民に告ぐ』という標題を提出して、これに対する乃木さんの回答を求めました。例によりて乃木さんは、非常に謙遜で、容易に口を開こうとしませんでしたが、私から再三促されて、やっと言葉を発せられたのでした。
 答「ワシはこちらの世界に引き移ってからも、非常に日本国のことは心配しております-イヤ国の事以外には、殆ど何も知らぬと言った方が適当かも知れません。そのお蔭か、自分には、いくらか日本国に今後起きるべき事柄が、薄々判っております-しかし、それはまだはっきりと言うべき時期でもないし、又自分とても、通信という仕事は一向不慣れであるから、心に念じていることを、全部そちらに通じることは出来ないように思います。で、ワシとして目下言うべきことが甚だ少ないのは、致し方もない次第でありますが、ただ日本国民が、あまり太平の夢に慣れてはいけないとだけは、一言申し上げておきたいと思う-自分としては、生前日露戦役に於いて、旅順に包囲戦を引き受け、モウああいう罪な仕事・・・つまり人殺しみたいな事は、二度と再びあっては困ると、心の底から懲り抜いております。いかに戦争の常とはいえ、沢山の兵士を亡くすれば、その人々の恨みは、自然こちらに巡って来て、随分身を責められることになります。自分は実際二度と再び戦争などはしたくない。自分はその事を、始終神様にもお願いしている次第であります。が、やはりこれも時節というものか、ドウしても、モウ一度は免れない運命になっておりますようで・・・。自分としては、外に何も考えることはなく、ただ一途に日本の前途を案じているばかりでありますが、念力をこらせば、そんな事が少しは判って来ます。人間の世界の方では、どんな模様でありますナ?いくらかそんな気配でも兆して来ましたかナ?-勿論、前途に困難があると申したところで、それは決して今直ぐというのではない-毛頭慌てる必要はないのであります。又いざとなれば、自分も護国の神として、むげに引っ込んでばかりはおりませぬ。ただ日本国民として、この際何より肝要なのは、堅固な覚悟であると思うのであります。日本という国は、度々外国と戦火を交え、悉くそれに勝利を占めているので、従って負けた国から、大変に怨まれております。その事は幽界へ来てみてから、甚だ痛切に判ります。戦というものも、主としてこうした怨みから起こって来るもので・・・。こういうとあなた方は直ぐその相手は誰であるかとか、その時期は何時であるかとか、又その結果はドウであるかとか、はっきりしたことを聞きたいと思うのでありましょうが、それはワシにもよくは判らん。幽冥の世界と、人間の世界とは、切っても切れぬ密接な関係で結ばれているものの、自ずとそこに区別がある。第一、時期などというものは、あれは人間の世界のもので、こちらの世界には、夜もなければ昼もなく、今年もなければ、明年もない。あるのは、せいぜいそれぞれの事件が運ばれて行く順序位のものであります。高い神さまなら知らぬこと、自分などの境涯では、とても時期の預言などは出来ませぬ。同様に戦の継続期間などもよく判りませぬ-又人間にとりて、そうした事柄は、実はドウでもよい。肝心なのは、只今申す通り覚悟一つじゃ。何時何事が起ころうとも、又それがいかに困難であろうとも、あくまで神を信じ、あくまで君国の為に尽くす心でおりさえすれば、それで万事は立派に解決がつきます。くれぐれもあなたから、この旨を日本国民に伝えてください。ワシもこれから充分に修行を積み、決して国民の期待に背くようなことはせぬ覚悟でおります。いずれ詳しい事は、適当な時期をもってお伝えします。目下はまたちょっとその時期でないので・・・」
 乃木さんは私の問に応じて、まだ少々漏らされた事もありますが、今回は一先ずこの辺で打ち切ることに致します。

自殺ダメ


 [霊界通信 新樹の通信](浅野和三郎著)より

 (自殺ダメ管理人よりの注意 この文章はまるきり古い文体及び現代では使用しないような漢字が使われている箇所が多数あり、また振り仮名もないので、私としても、こうして文章入力に悪戦苦闘しておる次第です。それ故、あまりにも難しい部分は現代風に変えております。[例 涙がホロホロ零る→涙がホロホロ落ちる]しかし、文章全体の雰囲気はなるべく壊さないようにしています。その点、ご了承ください。また、言葉の意味の変換ミスがあるかもしれませんが、その点もどうかご了承ください)

 手帳を繰り広げてみると、私が初めて新樹に向かって伊勢参宮の話を持ち出したのは、昭和四年八月十二日のことでした。彼は私の言いつけに従って、早速幽界居住者としての、最初の大廟参拝を試みましたが、当時の彼としては、いささか荷が勝ち過ぎた嫌いがあり、その報告が委細を尽くすところまでに達していない物足りなさがありました。記録のままを紹介すると、次の通りであります-
 「只今指導者のお爺さんに頼んで、大廟に参拝させてもらいました。道中は全然抜きで、どこをどう通ったのか、少しも判りませんが、兎に角御神苑のような所に出ました。僕生前ただの一度も大廟へお詣りしたことがないから、はっきりした比較が出来ませんが、兎に角絵に見た地上の大廟とは、大変に様子が違っていますネ。辺りは森々たる大木の杉の森で、その中に小さい白木のお宮がただ一つ、ポツンと建っているだけです。僕何だか勝手が違ったような気がして、これが果たして大廟かしら?と思っていると、お爺さんは直ぐ僕の心を察して、こう言われました。「こちらの世界と、人間の世界とは違うのが当然だ。地上では人間の手が要るので、色々付属の建物なども出来ているが、神界にその必要はない。神様はチャンとここに静まって居られるのだ・・・」
 お爺さんがそう言われた瞬間に、丁度杉木立の茂みの中、お宮のずっと上方に、一人の女神・・・お齢は先ず二十位に見る、世にも神々しい女神のお姿が、スーッと拝まれました。この神様が、日本国をお守りくださる、一番上の神様かと思うと、僕自然に総身が引き締まって、覚えずそこへひれ伏してしまいました・・・。
 お爺さんの説明によると、天照大御神様は宇宙の活神様で、人体に宿られたことはないお方だそうですネ。従ってあのお姿も、仮のお姿だということですが、僕達にはまだ深いことはさっぱり判りません・・・」

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 [霊界通信 新樹の通信](浅野和三郎著)より

 (自殺ダメ管理人よりの注意 この文章はまるきり古い文体及び現代では使用しないような漢字が使われている箇所が多数あり、また振り仮名もないので、私としても、こうして文章入力に悪戦苦闘しておる次第です。それ故、あまりにも難しい部分は現代風に変えております。[例 涙がホロホロ零る→涙がホロホロ落ちる]しかし、文章全体の雰囲気はなるべく壊さないようにしています。その点、ご了承ください。また、言葉の意味の変換ミスがあるかもしれませんが、その点もどうかご了承ください)

 この事があってから約九ヶ月、昭和五年五月八日の夜に、私は再び新樹に向かって、伊勢参拝を命じました。
 出来るだけ報告の内容が、正確且つ豊富なることを期すべく、今回は新樹一人でなく、彼の母の守護霊小桜姫に頼んで、同行を求めました。その結果は果たして良好で、前回に比すれば、その報告がよほど現実味に富んでいるように感じられます。双方からの報告がありますが、先ず新樹の方から紹介しましょう-
 「無事に参拝を済ませて参りました。今度はお母さんの守護霊さんに来てもらいました。守護霊さんは、今日は大廟にお詣りするのだからというので、白い装束を着ておられました。白い柔らかい地質の着物で、腰の辺をチョッと端折った道中姿です。袖ですか・・・袖は一向長くありません。丸味のついた短い袖で、そして足には例のように厚ぼったい草履を穿いておられました。僕は相変わらず洋服だ・・・。僕は黒っぽい色は嫌いだから、薄色のものを着て行きました。ステッキは持ちません。
 先ず着いた所は、広々とした神苑の境内、純白の細かい小砂利が、一面に敷き詰めてありました。僕達は暫くそこを歩いて行きますと、やがて杉、松、その他の老木が、眼もはるかに立ち並んでいる所に出ました。
 守護霊さんが、ちょっとこの辺で手を清めて行くことにしましょうと言われますので、あちこち探しましたが、杉の木立のこんもりとした所に、あまり水量の多くない、一つの渓流がありました。現界の五十鈴川は、相当大きな流だと聞いていましたが、ドウいうものか、こちらのは、そんなに大きい川ではありません。巾はやっと一間もありましょうか。しかし水はいかにも綺麗です。僕達はその川で口や手をそそぎました。
 「現界の五十鈴川は、この川に相当するのでしょうか?」
 そう僕が守護霊さんに訊ねますと、
 「さあどちらがドウなのでしょうかしら・・・」
 守護霊さんにもその辺のところは不明でした。あの方も今日初めての参拝だったということです。
 それから爪先上りの坂路になり、僕達はそれをズーッと二人で上って行きました。すると間もなく、前面に白木のお宮が現れました。それが例の大廟、僕がお父さんに言いつかって、一度参拝したことのある、あのお宮です。
 お宮は、今日は余程よく念入りに調べましたが、棟にはやはりあの千木とかいうものの付いた、大体地上のお宮そっくりのようです。その寸法ですか・・・。さあ正面の扉の所が、目分量でざっと二間位のものでしょうか。どうも僕は建築の事に暗いので、詳しい事は判りかねます。お宮の周囲には、ぎっしり細かい砂利が敷き詰めてありました。
 そこで僕は守護霊さんに言いました-
 「こちらにお詣り致しましたからは、何卒天照大御神様の御姿を、ちょっとでも拝まして頂くよう、あなたからお願いしてください」
 「承知致しました。その通りに致しましょう」
 守護霊さんは姿勢を整えて、少し首をさげて、瞑目して祈念を込められました。僕もその通りにしました。
 暫くすると、神様のお姿がお現れになりましたが、今日は前回とは違って、お宮の内部-そのずーっと奥の方です。
 「お出ましになられたから、早く拝むように・・・」
 守護霊さんから小声で注意がありましたが、そんな注意を受ける前に、僕はチャーンと拝んでいました。綺麗と言っては失礼かも知れませんが、全く綺麗な、そして気高い女神さんで、お体は余り大きくないように拝しました。御服装は袖の長い・・・丁度平袖のような白衣をお召しになり、お腰の辺には、白い紐みたいなものを巻いて、前面で結んでおられました。御手には何も持ってはいられないようで、しかしお首には、たしか首飾りのようなものを下げておられたようにお見受けしました・・・。
 僕は嬉しいやら、有り難いやら、又恐れ多いやらで、胸が一杯でした。とても自分の勝手な祈願などの、出来る心の余裕はありませんでしたヨ・・・。
 厚く厚くお礼を申し上げて、御神前を引き退りましたが、同時に神様のお姿も、スーッと判らなくなりました。四辺は森(しん)として、殆ど淋しい位、神々しさの極みというものは、あんな境地を指すのかと僕は思いました。自分の体が何だかこう寒いような、変な気持でした・・・。
 守護霊さんは、何やら暫く御祈念を込めておられましたが、何を祈念したのか、それはお父さんから直接にお訊きください。
 それから僕達は神苑内を出まして、別の道を通って来ました。守護霊さんも、一緒にお詣りが出来たと言って、大変に歓んでくれました。僕も守護霊さんと一緒で、大変力強く感じました。欲を言ったら、僕生前一度伊勢へお詣りをしておいたら、比較が出来て、大変面白かったろうと思いましたが、今更ドウにもしようがありません。守護霊さんとは途中でお別れしました。「有難うございました」-そう言うと、モウそれっきりです。こちらの世界のやり方は、何事も甚だ呆気ないです・・・」
 今度は入れ代わって、同じ参拝につきての子桜姫の報告を紹介しましょう-
 「今日は子供から、是非伊勢の大廟にお詣りをしたいから御同行を願いたい、という通知でございましたので、早速その支度をして出かけて参りました。そういう尊いお宮に詣るのでございますから、出来るだけ清浄な着物をつけて行くのがよいと考えまして、そのつもりで更衣をいたしました。
 子供には途中で会いました。その時どんな打ち合わせはしたと仰るのですか・・・。別にこちらでは打ち合わせの必要はございません。子供に会いたいと思えば、どこに居っても直ぐ判りますので・・・・。子供は今日も洋服を着ておりました。近頃は大変私に馴れまして、遠慮せずに、よく色々の事を申します。
 「お宮に行ってから、どういう風にすればよいか」だの、「お宮までは、どの位の道程があるか」だのと、中には随分私などに返答の出来ない質問もいたしますので、少し困る時もございます。
 先方へ着いてみますと、それは綺麗な、広々とした神園でございましてネ・・・。別に現界のように、柵だの何だのという仕切りはありません。ただ何となく神霊の気が漂っていると申すような気分の場所-それが大廟の境内なのでございます。
 私は生前に、どこにも参ったことがございません。何しろ物騒な戦国時代の人間でございますから・・・。無論現界のお伊勢様も、ただ人の噂に聞いただけで、いかにも残念なことに思っておりましたが、今回図らずも、現界で叶えなかった望みを、こちらで叶えることになりまして、大変有り難いことでございました。
 境内を歩いている時に、子供が申しますには、「現界には五十鈴川という大きな川があるが、こちらの世界にもそれがあるかしら・・・」-そんな事は、私も一向存じませんので、二人で散々探しました。すると森の奥の淋しい所から流れ出る、綺麗な川があるのです。で、子供にもそう申しまして、口も手もすすぎました。その時子供が「いかにも綺麗な水だから、飲んでもよいかしら・・・」と申しますから、「それは少しも差し支えないでしょう。御神水だからたんと頂きなさい」と答えておきました。
 お宮さんは大そう立派な、白木造りの神々しい御神殿でございました。その時子供が申しますには、「折角お詣りしながら、神様にお目にかからないのは余りに残念である。第一それではお父さんに報告をするのに、具合が悪いから、あなたから是非お願いしてもらいたい」と言うのです。そこで私が一生懸命になって、御祈願を込めますと、直ぐに神様がお出ましになられました。これまでに、私は幾度もお姿の遥拝(ようはい)は致しておりますが、このように近々と拝みますのは、この時が始めてでございまして、何とも有り難い事に思いました。子供も拝ませて頂きましたから、詳しい事はそちらからお聞きになったでございましょう。私などには、天照大御神様の御本体はよく判り兼ねますが、承るところによれば、この神様は、日本では自国の御先祖の神様として崇められているものの、実は日本だけの神様ではなく、世界をお守りなさる、世にも比(ならび)なき、尊い神様だと申すことで、お姿も国々によりて、色々に変えられると申すことでございます。私がこの神様に、何を御祈願したとお訊きでございますか?、-私は一番先に、日本の国を御守護遊ばされるように御祈り致しました。その次に子供のことをお願いしました。早く立派な心になり、早く進歩が出来ますようにと・・・。私の祈願はただそれだけでございました・・・」

自殺ダメ


 [霊界通信 新樹の通信](浅野和三郎著)より

 (自殺ダメ管理人よりの注意 この文章はまるきり古い文体及び現代では使用しないような漢字が使われている箇所が多数あり、また振り仮名もないので、私としても、こうして文章入力に悪戦苦闘しておる次第です。それ故、あまりにも難しい部分は現代風に変えております。[例 涙がホロホロ零る→涙がホロホロ落ちる]しかし、文章全体の雰囲気はなるべく壊さないようにしています。その点、ご了承ください。また、言葉の意味の変換ミスがあるかもしれませんが、その点もどうかご了承ください)

 新樹の第三度目の大廟参拝は、ホンの最近のもので、この時は乃木大将と同行しました。
 昭和六年元旦-この日は午後から雪で、年賀の客も途絶え、いかにも落ち着きがよかったので、私は新樹を呼び出して、こんな事を言いつけたのであります-
 「今日は元旦であるから、この際もう一度、汝に大廟参拝をやってもらいたいと思うが、それにつきては、今度は一つ乃木さんをお誘いしてみてはくれまいか。是非御同行をお願いしたい、と言ったら、乃木さんはきっと承諾されるに相違ないと思うが・・・」
 すると間もなく新樹からの返答があった-
 「早速乃木さんにその旨を通信しましたが、乃木さんは非常なお歓びで、こんな御返答を寄越されました-「ワシは生前に度々大廟へお詣りをしたものだが、こちらの世界へ来てからは、お詣りどころか、まだそんな気分にさえなれなかった。あんたは実に良い事を教えてくださった。そう言われてみれば、ワシも是非お詣りをしたくなって。自分の方がずっと先へこちらの世界に来ているのに、後の烏に先になられて、何とも面目ない次第である・・・」そんな御返答なので、僕は早速乃木さんと御同行する事に話を決めました。ではこれから出掛けて参ります・・・」
 それから約十分の後に、新樹から報告がありました。乃木さんという新顔が加わっているので、同じ参拝でも、よほど趣の異なった箇所がありますから、多少の重複を厭わず、そっくりそのまま登載することにします-
 「乃木さんという方は、平生からあんな謹厳な方でありますから、この度の大廟参拝ということについては、よほど心を引き締めて、ちゃんとして出掛けなければならないという事になりまして、軍人ですからやはり軍服・・・例の青味がかったカーキ色の服に、長剣をさげて行かれました。僕ですか・・・僕はいつもの通り、さっぱりした洋服です。
 道すがらも、乃木さんの控え目にされているのには、僕殆ど恐縮してしまいました。どうしても乃木さんは、僕に先に立てと言われるのです。
 「ワシが先に亡くなったと言うても、こんな事は又別じゃ。あなたが先に気が付いて、あなたの方から誘われたのじゃから、どうか案内してください」
 僕は様々にお断りしたが、ドウしても乃木さんは聞き入れてくださいません。仕方がないから、僕が先へ立って案内役を務める事になりました。
 大廟の模様は、依然と少しも変わりません。例の小砂利を敷き詰めた境内、しんしんとした大木の森、白木造りのお宮・・・とても素敵です。乃木さんは辺りを見回して、こう言われました-
 「大分こりァ模様が違う。現界のお宮も結構じゃが、こちらの世界のお宮は又格別じゃ。何という御質素さ、何という神々しさであろう。ワシは近頃こんな結構な、清々しい気分に打たれたことがない。これにつけても、こちらの世界はやはりこちらの世界だけのことがあると思う。敬神と言っても、現界の敬神とは又訳が違うようじゃ」
 いかにも感激に堪えないと言った面持ちでした。
 僕達はいよいよ御神前に達して礼拝を済ましたが、その時僕は乃木さんに言いました-
 「あなたはここにお祀りしてある神様に、お目にかかられたことがおありですか?」
 「イヤまだそんな・・」と乃木さんは非常にたまげた御様子で、「自分などの境涯で、そんな事は思いも寄らぬ事じゃと思うていたが・・・。それとも浅野さん、このお宮では、神様にお目にかかる事が出来ますか?」
 「イヤ実は僕も最初そんな事は出来ないものと考えておりましたが、父から言われて、お宮の前でその事を念じましたら、スーッと神々しい女神のお姿がお現れになり、非常にびっくりしたことがあるのです。その後も一度、母の守護霊と同道で参拝して、お姿を拝みました。甚だ差し出がましいようですが、折角御同道したことですから、僕が一つ神様にお出ましを願い、あなたにも拝見出来るようお許しを願いましょう」
 乃木さんはいよいよびっくりし、
 「そんな事が出来るものなら、浅野さん、是非そうしてください」
 「そこで僕は御神前に額づいて、誠心込めて神様に祈願しました-
 「今日はこの方をお連れ致しましたから、度々のことで恐れ入りましたが、何卒神様のお姿を拝まして頂きます・・・」
 御祈願を終わるか終わらぬ中に、たちまちお宮の後方の一段高い所-前には木立の茂みの中でしたが、今日はそれとは違って、何もない虚空の一端に、いつもと同じく、白衣を召された女神のお姿がお出ましになりしたので、僕は乃木さんに「早く拝むように・・・」と通知しました。そうすると乃木さんは、はっとしてしまって、急いで、というよりかも寧ろ慌てて、低く低くお辞儀をしてしまいました。
 「乃木さん、拝みましたか?」僕は気にかかるので、下方を向いたまま訊ねますと、
 「拝みました・・・何とも有難うございました・・・」
 という返答です。
 再び上を仰いだ時には、もう神様のお姿は消えていました。何分乃木さんの歓び方は非常なもので、「大変に結構なことをさせて頂いた」と言って、涙を流して僕にお礼を言われます。僕は乃木さんに言いました。「僕にお礼なんか御無用です。幽界の居住者として、これしきの労を執るのは当然の事ですから・・・。今後も折があったら、又どこかへ御案内を致しましょう。又僕の知らないところは、どうか御指導をして下さるように・・・」
 僕は乃木さんと色々お約束をして、実に良い気持ちでお別れしました。乃木さんという方は、あんな老人で、生前地位の高かった方だから、僕を子供扱いにでもするかと思っていましたのに、却って僕を先輩扱いにしてくれるので、僕実に恐縮してしまいました。連れ立って歩いても、甚だ気持の良い方で、今後もあんな風の人と一緒に出掛けたら、面白いだろうと感じました・・・」

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