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カテゴリ:★『死後の世界』 > ワード 死後の世界 陸軍士官の地獄巡り

ワード 死後の世界 陸軍士官の地獄巡り 目次

一 死の前後 上

  死の前後 下

二 酒亭 上

  酒亭 下

三 幽界の居住者

四 交霊会の裏面 上

  交霊会の裏面 下

五 憑霊と犯罪 上

  憑霊と犯罪 下

六 地獄の大都市 上

  地獄の大都市 下

七 地獄の芝居 上

  地獄の芝居 中

  地獄の芝居 下

八 皇帝に謁見

九 ダントン征伐 上

  ダントン征伐 下

十 地獄の戦

十一 皇帝の誘惑

十二 魔術者と提携

十三 自らが作る罪 上

   自らが作る罪 中

   自らが作る罪 下

十四 真の悪魔

十五 眷属(けんぞく)募集

十六 地獄のどん底

十七 底なし地獄

十八 向上の第一歩 上

   向上の第一歩 下

十九 地獄の第二境 上

   地獄の第二境 下

二十 地獄の図書館 上

   地獄の図書館 下

二十一 地獄の病院 上

    地獄の病院 中

    地獄の病院 下

二十二 救いの曙光

二十三 愛欲の市 上

     愛欲の市 下

二十四 新たなる救いの綱 上

     新たなる救いの綱 下

二十五 出直し

二十六 地獄の新聞紙

二十七 守護の天使との邂逅 上

     守護の天使との邂逅 下

二十八 第五部の唯物主義者

二十九 睡眠者

三十 第六境 上

    第六境 中

    第六境 下

三十一 死後の生活の有無

三十二 第七境まで

三十三 地獄脱出

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 ここに引き続いて紹介することになりますのは、読者が既にお馴染みの無名陸軍士官から主として自動書記で送られた霊界通信であります。この人の閲歴の大要は上編の第四章「無名の陸軍士官」と題するところに述べてあります通り、生前死後とも思い切って悪事の有りたけをやり尽し、最後に地獄のドン底へまでも堕ちて来た人物で、叔父さんの生活の平静高雅なのに比べてこれは又惨絶毒絶、一読身の毛のよだつようなことばかり続いております。あらかじめその覚悟でお読みになられることを希望しておきます。
 最初の通信は1914年2月7日に始まり、同年9月12日を以って一先ず完結致します。書中「吾輩」とあるのは皆この無名陸軍士官のことであると御承知を願います-

 吾輩は劈頭(へきとう)肝要な二、三の事実につきて説明を下し、所謂地獄とはいかなる性質のものか、はっきり諸君の諒解を得て置いてもらいたいと思います。(と陸軍士官が語り出す。句調は軍人式で、いつもブッキラ棒です)
 地獄に居住する霊魂の種類は大体左の三種類に分かれる。
 (一)人間並びに動物の霊魂。
 (二)一度も人体に宿ったことのない精霊。
 (三)他の界から来ている霊魂。
 右の三種類の中で第二は更に左の三つに小別することが出来そうに思う。
 (イ)妖精-性質の善いもの、悪いもの、並びに善悪両面を有するもの。
 (ロ)妖魔-悪徳の具象化せるもの。
 (ハ)変化-人の想念その他より化生せるもの。
 ところで右の妖精という奴が一番多く、なかんずく幽界にはそいつが大変跋扈(ばっこ)している。大抵は皆資質が良くないと相場を決めてかかれば間違いはない。外は化生の活神(いきがみ)とでも言うべきものが奥の方の高い所に居る。それが人間の霊魂などと合併してしばしば人事上の問題に興味を持って大活動をやる。彼等のある者は一国民の守護を務め、ある者はそれぞれの社会、それぞれの地方の守護を務める。
 あなた方も幾らか気が付いておられることと思うが、例えば英国の一の国民として考えた時にそれは一種特別の風格を具えていて、これを組織するところの個人個人の性格とはまるきり相違していることを発見するでしょう。この一時を見ても、英国を守護するところの何者かが別に存在することは大抵想像し得られるではありませんか。
 ざっとこれだけ述べておけば人間の霊魂以外の霊界の存在物につきて多少の観念を得られると思う。吾輩が現在置かれて居る半信仰の境涯などには格別珍しいものは見受けられないが、上の方へ行くと色々ある。天使だの、守護神だのの中には人間の霊魂の向上したのもあるが、そうでない別口も沢山いる。一口に霊魂などと云っても容易に分類の出来るものではない。
 さてこれから約束通り吾輩の死の前後の物語から始めるとしましょう。吾輩がストランド街をぶらついている時のことであった。一台の自動車が背後からやって来て、人のことを突き飛ばしておいておまけに体の上を轢いて行った。中々念が入っている。吾輩自動車位にやられるような男ではないのだが、その時ちとウイスキイを飲み過ぎていたのでね。ところでヘンテコなのはそれからだ。轢かれた後で吾輩は直ぐむくむくと起き上がった。頭脳がちと変だ。その中盛んな人だかりがするので、急いでその場を立ち去って役場へ向かった。例の専売品の契約証書に調印する約束が出来ていたからです。
 役場の玄関へ着くと同時に吾輩は扉を叩いて案内を求めた。驚いたことには手が扉を突き抜けて、さっぱり音がしない。無論何時まで待っても返答がない。仕方がないから委細構わず扉を打ち開けてやろうとすると、何時の間にやら自分の体がスーッと内部に入っている。
 「オヤオヤオヤオヤ!」と思わず吾輩が叫んだ。「今日は案外酔いが回っている。こんな時には仕事を延ばす方がいいかも知れん」
 が、直ぐ眼の前に階段があるので、構わずそれを登って、事務室の扉を叩いた。しかしここも矢張り同じ事で、体は内部へ突き抜けてしまった。

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 見れば係りの役人は卓(つくえ)に寄りかかって吾輩の来るのを待って居た。側の卓には書記も居た。仕方がないから吾輩は脱帽して首を下げたが、無作法な奴があればあったもので一向知らぬ顔の半兵衛である。
 「私は契約書の調印をしに参りましたが・・・」
 吾輩がそう言っているのに奴さん依然として返答をしない。次の瞬間に書記の方を向いてこんなことを言っている-
 「モー十分待ってみてもあいつが来なかったら事務所を閉めてしまおう」
 「このつんぼ野郎!俺はここに来ているじゃないが!」
 吾輩は力一杯そう叫んだが、先方では矢張り済まし切っている。色々やってみたが、先方はとうとう立ち上がって、吾輩が約束を無視したことを口をきわめて罵りながら室を出てしまった。
 吾輩も負けずに罵り返してみたものの、どうにもしようがないので、諦めて室を出た。
 「あいつは俺よりももッと酔っていやがる・・・」
 吾輩は心の中で固くそう信じた。
 再び限界の扉を通り抜けたと思った瞬間に何やら薄気味の悪い笑い声が耳元に聞こえたので振り返って見ると、昔吾輩の悪友であったビリーが其処に立って居た。流石の吾輩もびッくりした。
 「何じゃビリーか!とうに汝は死んだ筈じゃないか!」
 「当たり前さ!」と彼は答えた。「しかしお前もとうとう死んじゃったネ。容易にくたばりそうな奴ではなかったがナ・・・」
 「この出鱈目野郎!俺が何で死んでいるものか。俺は少しばかり酔っているだけだ」
 「酔っている!」ビリーはキイキイ声で笑った。「酔っているだけで扉を突き抜けたり、姿が消えたりしてたまるものか!お前がただ酔っているだけならあの役人の眼にお前の姿が見える筈ではないか」
 そう言われて吾輩も成る程と思った。同時に自分の死骸を捜したい気になった。
 次の瞬間に我々はストランド街に行っていた。するとビリーは其処で一人の美人の姿を見つけた。
 「どうだいあの女は?」
 彼は無遠慮に大きな声でそう吾輩に言った。
 「これこれ汝はそんな声を出して・・・」
 「馬鹿!先方の女にこの声が聞こえるもんか!俺は彼女の後をつけて行くのだ」
 「付けて行ってどうする気なのだ?あの女はそんな代物ではない」
 「馬鹿だナお前は!」と彼は横目で睨みながら、「お前もモ少しこの世界のことが判って来ればそんな下らない心配はしなくなる。俺は兎も角も行って来る」
 次の瞬間にビリーは居なくなってしまった。
 吾輩もビリーに居なくなられて急に寂しく感じたが、やがて自分の死体が気になった。不思議なもので幽界へ来てみると、犬のような嗅覚が出来て来て、自分の死体の臭気がするのである。
 臭気を頼りに足を運ぶと、間もなく傷病者の運搬車に突き当って、それに自分の死体が積まれてあることが直ぐ判った。車は病院に行くところなので、吾輩もその車の側について歩いて行った。
 やがて医者が来て我輩の死体を検査した。
 「こりァモー駄目だ!」と医者が言った。「中々手際よくやりやがった。どうだい、この気楽な顔は!」
 吾輩は若しも出来ることならこの藪医者の頭部をウンと殴りつけてやりたくて仕方がなかった。
 「可哀相に・・・」
と言ったのは看護婦であった。
 すると付いて来た巡査が言った-
 「ナニ別に可哀相な奴じゃない。轢かれた時にすッかり泥酔していたのじゃから責は全然本人にあるのじゃ。ワシはこやつをよう知っとるが、何とも手に負えぬ悪党じゃった。こやつが亡くなったのは却って社会の利益になる」
 その瞬間にケタケタ気味の悪い笑い声がするので振り返って見ると、そこに居るのは世にも獰猛な面構えの化け物然たる奴であった。
 「一体きさまは何者だい?」
と吾輩が訊ねた。
 「フフフフ俺の事をまだ知らんのか?」とそいつが答えた。「俺は何年間かお前に付き纏っている者だ!」
 「な・・・・何だと・・・・?」
 「俺はお前の親友だ!お前の気性に惚れ込んで蔭から大いに手伝ってやっている一つの霊魂だ。まァ俺の後に付いて来い。少し方々案内してやるから・・・」
 その瞬間に病院は消え失せてしまった。

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 これは陸軍士官から送られた第二回の通信で、死後幽界に於ける最初の経験が例の露骨な筆法で物語られております。心理学者が頭脳を悩ます憑霊現象の裏面の消息がいかにも突き込んで描き出されておりますので、何人もこれには少なからず驚かるると同時に又深く考えさせられるところがあろうかと存じます-

 吾輩は案内されるままに無我夢中で右の怪物の後に付いて行ったが、四辺はイヤに真っ暗な所であった。やがて気が付いて見ると無数の霊魂がその辺にウジャウジャしている。
 「ここは一体何処なのかい?」
と吾輩は案内者に訊いてみた。
 「それよりか、お前は何処へ行きたい?」と彼が言った。「望みの場所へ、何処へなりと連れて行ってあげる」
 「吾輩は何より酒が飲みたいナ」
 「それならこっちへ来るがいい。酒の好きな奴に誂(あつら)え向きの店がある」
 忽ちにして四周に罵(ののし)り騒ぐ群衆の声が聞こえた。と、其処には一個の怪物が多数の配下を率いて控えて居たが、イヤその人相だけはとても形容の限りでない。世の中で一番それに近いものといえばへべれけの泥酔漢位のところであろう。下品で、醜悪で、ふやけ切っていて、そして飽くまで汚らしい。
 詩聖ミルトンは堕落した天使の退廃的な壮麗さを「失楽園」の中に描いているが、そんな趣はこの怪物には微塵もない。そいつが眼球をグリグリさせると他の奴共が声を揃えて怒鳴り立てる-
 「酒!酒を飲ませてくれい!」
 「俺の後に付いて来い!」と右の怪物が言った。「酒なら幾らでも飲ませてやるが、しかし、きさま達はソノ前に一働きしなければいけねえ」
 忽ち我々は大きな、しかし下等な一つの酒亭に入っていた。その場所は確かにロンドンの東端の何処かであるらしい。内部には下等社会の男も女も、又子供さえも居た。
 イヤその室に漲(みなぎ)るジンやウイスキイの何とも言えぬ嬉しい香!ちと安ビールの香だけは感心も出来なかったが、勿論そんな事には頓着していられはしなかった。
 吾輩は早速酒場に置いてあるビールの大杯にしがみついた。が、いくら掴んでも掴んでもドーしてもコップが掌(てのひら)に入らない。そうなると飲みたい念慮は一層強まるばかり、体中が燃え出しそうに感じられた。それにしても親分は一体どうしているのかと思って背後を振り返ると、彼は大口開いて吾輩を嘲り笑っていた。
 彼は漸(ようや)く笑いを抑えて言った-
 「ちと仕事をせんかい、このなまくら野郎が・・・」
 「仕事をせいだって、一体どうすればいいのだ?」
 「他の奴等のやっているところを見い!」
 そう言われて初めて気をつけて見ると、他の連中は頻(しき)りに酒を飲んでいる男や女の体に絡み付いている。どうしてそれをやるのかは正確に判らないが、兎に角何らかの方法で、彼等の肉体の中にねじ込んでいるらしいのである。
 するとベロベロに酔っ払った男の首玉にしがみついていた一人の霊魂が、この時忽ちスーッとその肉の中に吸い込まれるように消え去った。オヤッ!と思う間もなく右の泥酔漢はよろよろと立ち上がって叫んだ-
 「こらッ!早くビールを持って来んか!ビールだビールだ!」
 仕方がないと言った風で一人の給仕女がビールを持って行ってやった。が、よくよく見るとかの泥酔漢の両眼から爛々(らんらん)と光っているのは本人のではなくして、確かに先刻入った霊魂の眼光であった。彼は盛んにビールを呷(あお)ると共にますます猛り狂った。とうとう酒場の監督が来て、その男の肩を掴まえて戸外に突き出そうとすると、泥酔漢はイキナリ大瓶を振りかざしてゴツンと一つ監督の頭を食らわしたから堪らない。監督の脳天は微塵に砕けた。

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 見る見る一大修羅場が現出した。
 「人殺し-ッ!」
 酒客の大半は悲鳴を上げて戸外に跳び出した。霊魂の中には人間の首玉に捲き付いたまま一緒に出掛けたのもあったが、中には又それッきり人間を突っ放してしまったのもあった。
 その時吾輩は初めてこれらの霊魂が二種類に分かれていることに気がついた。即ち明らかに人間であるのと、人間でないのとである。人間でない奴は種々雑多で、何れも多少動物じみていた。とても吾輩にそれを形容する力量がない。醜悪で、奇怪で、人間ともつかず、動物ともつかず、時とすれば頭部が動物で体が人間の化け物もある。中には単に頭部ばかりの奴もいるかと思えば、又何ら定形のない目茶目茶のヌーボーもいる。
 そうする中にも、例の監督をやっつけた酔っ払いは相変わらずビール瓶を振り回している。と、吾輩の直ぐ傍で耳を劈(つんざ)くようなキャーキャー声で高笑いをする者がある。見るとそれは例の親分の霊魂が嬉しがって鬨(とき)の声を張り上げているのであった。
 我々仲間もこれに連れて一緒になって喝采したが、無論何故喝采したのかは判らない。すると酔っ払いに憑いていた悪霊がこの時しきりにその体から脱け出しにかかった。すっかり脱け切ったと思った瞬間、酔っ払いはペチャペチャと地面に潰れた。
 「あいつは死んだらしい」
と吾輩はビリーに言った。ビリーはいつの間にやら戻って来ていたのである。
 「中々死ぬものか。ただ酔い潰れているだけじゃ。が、あいつは追っ付け断頭台の代物だネ」
 「しかし監督を殺したのはあいつの仕業ではない・・・・」
 「無論あいつの仕業でないに決まっている。しかし裁判官にそんなことが判るものか。裁判官などというものは外面を見て裁判するものだ。日頃監督を怨むことがあったとか何だとか、理屈は何とでも付けられる。それとも貴公証人として法廷にまかり出てあいつの冤罪を解いてやったらドーだい?」
 そう言ってケタケタと笑うと他の奴共奴共一緒になって笑った。
 丁度その瞬間に警察官が出張して一同から事情を聴き取り、やがて酔漢はつまみ上げて運び去られてしまった。
 「大出来大出来!」我々の親分が囃(はや)し立てた。「他の奴共もこれに劣らず大いに勲功を立てい!」
 我々はそれから又大いに飲み始めた。そうする中に吾輩も見よう見真似で、ドーやら人間の体に絡み付いて酒を飲む方法を覚えてしまった。正当に言うと、それは酒を飲むのとは少し訳が違う。むしろアルコールの香を嗅いで歓ぶだけの仕事に過ぎない。が、とにかく豪儀である。豪儀であると同時に何やら物足りない。聖書にある死海の林檎そっくりで、手に取ると直ちに煙になる。が、そんな次第で幾日となく右の酒亭に入り浸った。そして終いには吾輩も本式の憑依法まで覚え込んでしまった。
 吾輩は今憑依の方法を説明することは出来ない。よしや出来てもそうしようとは思わない。が、大体に於いてそれは現在吾輩がワード氏の体を借りて自動書記をやりつつあるのと同種類のものだと思えばよい-心配したまうな諸君、現在の吾輩はあんな悪い真似はモーしません。たとえしようと思っても、ワード氏の身辺にはちゃんと立派な守護神様が控えて御座る。その上叔父さんもついていなさる。
 これで予定通り暫く休憩といたします。幽界の悪魔の酒の飲みっぷりは大抵こんなところでお判りでしょう。三十分程休んだ上で先へ進むことにしましょう。

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