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カテゴリ:★『死後の世界』 > ワード 死後の世界 叔父さんの住む霊界

自殺ダメ


 「ワシはその時一つの突っ込んだ質問を先生に発した-
 「私は今物質を棄てて単なる形となっておりますが、この形も又いつか棄てることがありましょうか?」
 そう言うやいなや教室全体は忽ち森閑と静まり返ってしまった。全ての生徒達は先生の返答いかにと何れも固唾を呑んだのである。
 先生「あなたの質問には遺憾ながら私にも充分の解答を与えることが出来ません。私にはただこれだけしか判っていない-次の界に進む時には、我々は現在の姿を持ってはいない。しかし第五界以上に於いてそれがどうなるかは霊界に居る我々の何人にも判りません。我々は霊界を限るところの火の壁を透視する力量は全くない。丁度人間が死の黒い帷(とばり)を透視し得ないのと同様なのである。偉大なる天使達には勿論お判りになっているに相違ない。しかし我々はあなた方と同じく、霊界の者であるからどうしてもそこまでは判らないのです-他にまだ質問がありますか?」
 私「それでは伺います。我々は神により造られ、従って神にすがりて救済を求め、我々の安寧幸福に対して一切の責任を神に負わせます。しからば我々も又自分の造った形に対して責任を負うべきではないでしょうか?」
 この質問で、再び沈黙が全教室に漲るべく見えた。
 先生「あなたは若いのに似ず大変実質のある質問をします-ではこちらから訊ねます。あなたは最初あなたの守護神と暫く言葉を交えた時にどんな体験を得ました?」
 そう先生から訊ねられたので、ワシはあの時の恐ろしい悪夢式の光景を物語り、最後に神に祈願したので、全てが次第に順序よく整頓して行ったことを説明した。
 先生「あなたの質問はそれで大抵解決されたでしょう。あなたの造った思想があなたに向かって責任を求めたではありませんか?」
 そう言われた時にワシは心から恥じ入って頭を下げ、暫く二の句がつげなかった。
 先生「それはそれでよいとして、あなたの質問には奥にもう少し意味があると思います。言って御覧なさい」
 私「私自身は新しい思想を生みますが、思想が思想を生む力があるものでございましょうか?」
 先生「勿論直接にはない。しかし間接にもないでしょうか?」
 私「間接にもないかと存じますが・・・」
 先生「でも物質世界に於いて一の邪悪行為が起こった時に、それを真似る者が現れませんか?」
 私「それは勿論現れます。しかし霊界では万事勝手が違うかと存じますが・・・」
 先生「皆さんの中で誰かこの答弁をやって御覧なさい」
 先生がそう述べると、生徒の一人がやがて次のように答えた-
 「地上に存在するもので霊界にその模写の無いものは一つもありません。樹木でも、建物でもその他一切が皆その通りです。相違点はただ霊界にあの粗末な物質がないだけです」
 私「しかし霊界の悪思想が他に感染して他を邪悪行為に導くというようなことがあるでしょうか?」
 先生「それでは又一つ訊ねる。あなたが地上に居た時に全く無関係な二人、若しくは二人以上の人々が、同時同刻に同一の発明をすることがあるのに気が付きませんか?」
 私「それはしばしば気が付きました。が、私共はそれを偶然の暗号であると考えていました」
 先生「イヤ偶然の暗号などというものは決して存在するものではない。それは人間が自己の無知識-神の根本原則を知らずにいることを隠蔽するに使用する遁辞に過ぎない。所謂偶然の暗号と称するものの裏面には必ず霊界の摂理の手が加わっている。それから又あなたはいつどこから淵源を発したかも判らぬ古い思想が幾代かにわたりて人類に感化を与えていることに気が付きませんか?本国ではすっかり忘れられているにもかかわらず、ともすればそれが遠方の何の連絡もなかりそうな他国民の間に復活している場合も少なくありません-判りましたか?」
 私「そうしますと一の思想は他の新思想を創造して行くのでございますな」
 先生「その通り-が、新思想と言っても全く無関係の思想ではない。何らかの連絡のある思想に限って創造されて行くのです」

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 「ワシは何やらまだ腑に落ちなかったので、更に質問を続けた-
 「もう一つ質問させて頂きます。一つの思想がまるきり無関係の新思想を創造することが出来ないというのに、何故それが人間には出来るのでしょう?人間はある場合に於いて残忍な悪思想を創造し、その思想を以って他人を残忍な行為に導くことが出来ると同時に、次の瞬間には親切な善思想を創造し、これを以って他人を善道に導くことが出来ます。何故こんな相違が生じて来るのでございましょうか?」
 先生「それなら又訊ねますが、一体人間は何と何とから出来ております?」
 私「物質、形、力の三つから成ります」
 先生「思想は何から出来ております?」
 私「単に形のみかと存じます・・・」
 先生「それであなたの疑問は解けている筈でしょう」
 私「ああ判りました。力と称するものの有無によりて相違が生ずるのでございましょう。が、力とは一体何でございますか?」
 先生「ある人は力は神だと言います。又ある人は力と物質とが神だと言います。又ある人は力と物質とは同一で、神の神たる所以はここに存ずるのだと言います。人間は力か物質かの内どれかを創り得ますか?」
 私「イヤ人間はただ形を創造し得るだけかと存じます」
 先生「あなたの疑問はまだそれですっかり解けてしまいませんか?」
 私「私の最初の疑問はまだ解かれていないかと存じます。私の疑問はこうです-人間は種々の思想を創造し得る力量があるのに何故人間の思想にはそれが有り得ないか?」
 先生「神はあなたを創ります。あなたはあなたの思想を創ります。あなたの思想は他を感化します。
 思想の働きはそれを創った思想によりて縛られます。あなたの行為はあなたを創造した力によりて縛られます。神は何物によりても縛られません」
 私「すっかり判ってまいりました。我々人間には自分達の知らぬ事物につきて思考する能力がありません。然るに神は全智であり、従って全能であります」
 先生「神は一切なのであります-あなたの第一課程は首尾よく終わりました。皆さんに休暇を許します。戸外へ出て宜しい」
 次の瞬間に我々一同は小学校の生徒そのまま戸外に飛び出して、思い思いの勝手な遊戯に耽ったものである。が、霊界の遊びというのは皆精神的のもので、そして地上で業務と称するものが、つまりここでは皆娯楽なのであるから大分勝手が異なっている。ワシのことだから、自ずと建築に趣味を持っている人々の組に入って遊びました。可笑しなことには仲間は皆それぞれ背の高さが違う。それは各自の霊性の発達が同一でないからである。やがて仲間の一人が、昔地上にあったある有名な建築物の見学に出掛けようと言い出した。
 「さぁ」とワシが言った。「口外の風致を損ねる俗悪極まる別荘の見物なら有難くもないが・・・」
 「例えば君が造ったような代物かね。あんなものは全く有難くない・・・」
 一人の少年がそうワシのことを皮肉った。若しもこんなことを言われたなら、生きている時分であったなら恐らくむかっ腹を立てたと思うが、ワシはただ高笑いで済ました。すると先に発議した大柄の少年が傍から口を出した-
 「君、そんな心配は一切無用だよ。俗悪な建物は霊界へは来ないで皆地獄の方へ行ってしまう。勿論霊界にあるものだって最上等の種類ではない。最上等のものはずっと上の方の界へ行くからね。しかし霊界のだとてそう馬鹿にしたものではない。一つ非常によく出来ているアッシリアの建築があるから行って見ようではないか?」
 こんな相談の結果我々は打ち連れてそのアッシリア建築物の見物に出掛けたのであったがワシにとってそれは何よりの保養であった」

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 叔父さんが霊界で建築物を見物に出掛けたという物語は、はしなくも前年物故したAという人物の死後の生活状態を明らかにする端緒を開きました。
 ワード「叔父さん、あなたは霊界でそんなに多数の建築家達と御交際をなさるなら建築家のAという男にお会いになられませんでしたか?」
 叔父「こいつぁ意外じゃ!別荘の事についてワシのことを皮肉ったのは外でもない、そのAという男じゃ・・・」
 ワード「まぁそうでございましたか-近頃Aはどんな按配に暮らしております?」
 叔父「あの男は現在ワシの仲間にいますよ。何でも最初霊界へ来た時に半信仰者の部類に編入されたので大変不平で、僕は立派な信者だと言って先生に食ってかかったということじゃ。すると先生はこう言われたそうじゃ-
 「あなたが真の信者ならここへは来ぬ筈じゃ。あなたは自分では立派な信者と思っていたのであろうが、しかし信仰というものはただ口頭で信ずるのみではいけない。心から信仰を掴まねばならぬ。若しあなたが真の信者であったなら、地上であんな生活を送る筈がない。自分で信者と思っていたもので現在地獄に堕ちている者は沢山ある。真の信仰は実行の上に発揮されるべきである。それでなければ誠の信仰ではない。これは必ずしも神を信ずる者が罪を犯さぬという意味ではない。信仰ある者でも犯した罪の為に苦しむこともあるであろう。人間はいかなる思想、いかなる行為に対しても責任がある。が、いずれにしても誠の信仰を持つというとこが根本である。霊界では他を欺くことは出来ない。イヤ自分自身をも欺き得ない。あなたは半ば信じたからそれでこの境に置かれたのだ。若し少しも信仰がなかったなら地獄に送られたであろう。まぁ折角勉強なさるがよい・・・」
 これにはさすがのAも一言もなかったそうじゃ・・・」
 ワード「いかがでございます、あの男の霊界に於ける進歩は?」
 叔父「あまり速いとも言われまいな。お前も知る通り、Aは何分にも血気盛りで、狩猟だの、酒だの、女だの、金儲けだのという物質的な快楽に囚われている最中に死んだものだから現世の執着が中々脱け切れない。無論あの男は地縛の霊魂ではない。地縛の霊魂なら霊界には居られない-が、どうも地上がまだ恋しくてしょうがないようじゃ。時々学校を怠けて地上へ降りて行って、昔馴染みの女やら料理屋やらをちょいちょい訪れる模様がある。地縛の堕落霊が淫らな真似をしたさにうろつき回るのとは大分訳が違うが、どうも旧知の人物や場所に対する一種の愛着が残っているらしい。決して悪い男ではないのだから早くそんな真似さえ止せば進歩がずっと速くなる。しかし当人自身も言っている通り、Aは少なくとも三十年ばかり死ぬのが早過ぎたのかも知れん。従って三十年位は途中でまごつかなければならんのじゃろう・・。
 兎に角Aは恐ろしく分かりの良くない男で、極めて簡単なことでも中々呑み込めぬようじゃ。死んだのはワシよりもずっと早いがもうワシの方が追い越してしまった。しかし元来が面白い人物なので教場外では大変人望がある。もっともAは霊界に戸外遊戯がないのには余程弱っているらしい。おかしな男でこの間も成るべく妻の死ぬのが遅れる方がいいと言うのじゃ。何故かとその理由を訊いてみると、後から来た女房に追い越されると癪に障ると言うのじゃ。
 イヤ今日は大変長い間お前を引き止めた。余り長引くと、お前が霊界の者に成り切りになると困るからこの辺で帰ってもらうことにしよう・・・・」

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 これは2月21日午後7時に出た叔父からの自動書記的通信であります。霊界から出張して自分の肉体の葬式に参列したという奇想天外式の記事で、先入主に囚われた常識家の眼を回しそうなシロモノですが、しかしよく読んでみると情理兼ね具わり、いかにも正確味に富んでいて疑いたいにも疑うことの出来ないところがあります。出来るだけ忠実に紹介することにしましょう-
 「ワシはこれから自分の葬式に参列した話をするが、その事の起こったのは、霊界へ来てから余程の日数を経たと自分には思われる時分のことであった。
 「これより汝を葬式に連れて参る。そろそろその準備をいたせ!」
 ある日ワシの守護神が突然教室に現れて、ワシにそう言われるのであった。ワシは寧ろびっくりして叫んだ-
 「私の葬式でございますって!そんなものはとうの昔に済んでしまったと思いますが・・・・」
 「イヤそうではない。霊界の方では余程長いように思えるであろうが、地上の時間にすれば汝がここへ来てから僅かに三日にしかならないのじゃ」
 霊界の時間・・・・むしろ時間無しのやり方と、時間を厳守する地上のやり方との相違点にワシが気が付いたのは、この時が最初であった。地上ではたった三日にしかならぬというのに、ワシは確かに数ヶ月間霊界で勉強していたように思えたのじゃ。ついでにここで述べておくが、霊界には夜もなければ昼もなく、又睡眠ということもない。もっともこれはちょっと考えれば直ぐ判る話で、霊魂は地上にいる時分から決して眠りはせぬ。そして体とは違って休息の必要もない。
 さてワシの守護神は学校の先生に行き先地を告げてワシの課業を休ませてもらうことにした。丁度その時刻に課業が始まりかけていたところで、地上の学校と同じように無断欠席は無論許されないのである。
 次の瞬間に我々はたちまちワシの地上の旧宅に着いた。最初想像していたのとは違って、エーテル界を通じての長距離旅行などというものは全く無しに、甚だ簡単に自分の寝室に着いてしまったのじゃ。その時は随分不思議に感じられたが、今のワシにはよく判っている。我々の世界と人間の世界とは決して空間といったようなもので隔てられてはいない。むしろ双方とも同一空間に在ると云ってよかりそうなものじゃ。が、この点はまだ充分説明してないと思うからいつか機会を見て詳しく述べることにしよう。
 ワシの旧宅の内部は家具類がすっかり片付けられていて平生とは大分勝手が違っていた。ふと気が付くと、そこには一つの棺桶がある。それには大きな白布がかかっていたが、ワシはそれを透して自分の遺骸をありありと認めることが出来た。
 不思議なことには最初予期していた程には自分の遺骸がそう懐かしくなかった。古い馴染みの友に会ったというよりかも、むしろ一個の大理石像でも見物しているように思われてならなかった。
 「汝は今やその任務を終わった。いよいよこれがお別れじゃ」
 ワシはそう小声で言ってはみたが、どうもさっぱり情が移らない。あべこべに他の考えがムラムラと胸に浮かんで来てならなかった。
 「汝は果たしてワシの親友であったかしら・・・。それとも汝はワシの敵役であったかしら・・・・」
 こんな薄情らしい考えが胸の何処かで囁くのであった。兎に角ワシはこれでいよいよ自由の身の上だなという気がして嬉しくてならなかった。
 暫くしてワシは他の人達が何をしているか、それを見たい気になった。次の瞬間にワシは食堂に行っていたが、そこは弔い客で一杯なので、成るべくその人達の体に触れないように食卓の中央辺の所を狙って、下方から上に突き抜けた。無論食卓などは少しもワシの邪魔にならない。人間の体とても突き当たる虞はないのだが、ただ地上生活の間に作られた習慣上、群衆の中を通るのはどうやら気がさしてならないのであった。
 其処でワシは残らずの人々を見た。お前もいた。GもDもMもPもその他大勢いた。が、其処もあんまり面白くもないので、ワシはやがて妻の居間であった部屋に行ってみたが、ここも格別感心もしない。仕方がないのでワシは又フラフラと部屋を脱け出した」

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 自動書記はこれからますます佳境に進みつつあります-
 「実を言うとワシは折角自分の葬式に臨むことは臨んだが、ただ人々の邪魔をしに来ているように感じられてならなかった。こんな下らないものを見物しているよりは、学校で勉強している方がよっぽどマシだ-ワシはそんなことを考えた。するとワシの守護神は早くもワシの意中を察して次のようにワシをたしなめられた-
 「いよいよ遺骸が土中に埋められる時には、霊魂としてその地上生活の伴侶であった肉体に訣別を告げることが規約になっておる。それには相当の理由がある。単に肉体に対する執着-丁度飼い犬が少し位酷い目に遭わされてもその主人を慕うに似たる執着-の他に、次のような理由がある。死体の周囲には常に様々の悪霊共が寄って集って、何やらこれに求めるところがあるものじゃ。死体に付着する煩悩の名残-悪霊というものはそれを嗅ぎ付けて回るのじゃ。
 時とすれば彼等は死体の中から一種の物質的原料を抽出しにかかり、ひょっとするとそれに成功する。彼等はその原料で自己達の裸体を包むのじゃ。が、それはただ邪悪な生活を送った人々の死体に限るので、汝の死体にそんな心配があるのではない。しかし我々はそれ等の悪魔の近寄らぬよう、行って監督せねばならぬ。
 又情誼の上から言ってもあれほど永らく共同の生活を送った伴侶を、その安息の場所に送り届けるのは正しい道じゃ。
 最後にもう一つ、汝が棄てた現世の生活の取るに足らぬこと、又新たに入りたる霊界の生活の楽しいこと-葬式によりてそれを汝に悟らせたいのである」
 守護神からそう言い聞かされたので、ワシは再び自分の部屋に戻って遺骸の側に座っておると、間もなくお前がそこに入って来た。お前はナプキンを取り除けて、しきりにワシの死顔を見ていたが実は本当はワシはお前の正面に立っていたのじゃ。ワシはお前が大変萎れているのを見てむしろ意外に感じ、この通り自分は元気にしているから心配してくれるな。このワシが判らないのかとしきりに呼んでみたのじゃ。
 その声がお前の耳に入ったのではないかしらと一時ワシは歓んだ。お前は一瞬ワシの顔を直視しているかの如く見えたからじゃ。が、やはり聞こえてはいなかったと見えて、お前はナプキンやらシートやらを元の通りに直して、彼方を向いて部屋を出て行ってしまった。
 間もなく葬儀屋の人足が入って来て、棺桶の蓋を閉めて階下に運んで行った。ワシも行列の後について寺院に行った。
 棺桶が墓中に納まり、会葬者がすっかり立ち去ってからもワシはそこに留まって、墓穴の埋められるのを最後まで見ておった。無論土が被ってからもワシにはかつてワシの容器であった大理石像-自分の死体がよく見えた。ワシはもう一度それを凝視した。それから守護神の方を向いて、さあお暇しましょうかと言った。
 その言葉の終わるか終わらぬ内にワシは早や自分の学校に戻っていたが、その時ワシは思わず安心の吐息をもらしたのである。ワシの守護神はと思ってグルリと見たがもう影も形もない。こんな目にあえば最初はびっくりしたものだが、この時分のワシは既にその神変不可思議な出入往来には慣れていた。
 すると先生が優しく言葉をかけてくれた-
 「席におつきなさい。今丁度質問が一巡済んだところです」
 「えっ!質問が一巡済んだところ・・・」ワシはそれを聞いて呆れ返ってしまった。「ワシは何時間も地上に行っておったように感じます。成る程霊界と現界との時間には関係がありませんな!」
 「あなたも霊界に時間のないことが分かりかけたでしょうが・・・」
 ワシは再び同級の生徒達を見ましたが、この時初めて地上の人達のいかに小さく、いかに発育不完全であるかをワシは痛感したのであった。ワシの同級生は兎も角も少年の姿をしていた。しかるに地上の人間は大部分よくよくの赤ん坊-事によるとまだ生まれない者さえもあった。殊に某(なにがし)だの、某だのの霊魂の姿ときては誠に幼弱極まるもので、滑稽であると同時に又気の毒千萬でもあった。兎に角ワシはお前達に会った時に、灰色がかったお前達の肉体を透してお前達の霊魂の姿を目撃したのじゃが、ややもすれば、一番大きなそして一番美しい肉体が一番小さい、一番格好の悪い霊体を包んでいるのには驚いた。
 何はともあれ、ワシはお前達が人生とか浮世とか云って空威張りをしているところから逃れ出て真の意義ある霊界の学校生活に戻った時の心の満足は今でも忘れ得ない。が、同時に新しい希望がワシの胸裏に湧き出た。外でもない、それはこの事実をお前をはじめ、人類全体にあまねく知らせてやりたいという希望であった-これで三十分休憩・・・」

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