「あの世」から帰ってきた英国の新聞王・ノースクリフ
ハネン・スワッファー著/近藤千雄訳


人生の恩師ブラッドレー夫妻へ贈る言葉
デニス・ブラッドレー氏[注]の著書Towards the Starsは夫妻が自宅で催しておられるホームサークル(家庭交霊会)における霊の世界との交わりの様子を纏めたもので、あの世へ先立った者達の存続の事実を如実に教え、数え切れない人々に慰めと生きる意欲を与えた。夫妻はそれを職業とされているわけでもなく、特別の援助を受けておられるわけでもない。そうしたボランティア的サークル活動がこの広いロンドンで何年にもわたって人知れず続けられてきたという事実は乱目すべき重大事件といってよい。私が人間個性の死後存続という途方もない大きな真実を確信することが出来たのは、他ならぬ夫妻の真摯な人間性と霊媒能力の確かさのお陰である。
ハネン・スワッファー
[訳者注ーブラッドレーは本来は小説家で、スワッファーが評論家だったことから二人の間に親交があった。Towards the Starsと二冊目のThe Widoms of Godsは氏の自宅で催されたホームサークルに出席した第一級の著名人が霊の実在に目覚めていく、その求道の過程を纏めたもので、スワッファーもその一人だった。本書は恩師のノースクリフ卿との交霊の経緯を綴ったもので、スワッファーは自分のことに偏らず各界の著名人(あの人もそうだったのかと思う人が多く出てくる)に関するものも多く紹介している。上記の二冊は訳者の手元にもあるが、本書はそのダイジェストのようなもので、本書を通して、スピリチュアリズムが英国の知識人の間に広まっていく様子を窺い知ることが出来るであろう。]
ノースクリフとスワッファーー訳者前書きー
世界的に有名な日刊紙Daily Mailを創刊し、八十種類を超える雑誌を出版したノースクリフ卿は、本名をウィリアム・ハームズワースといい、1865年にアイルランドで生まれ、1822年に57歳でロンドンで没している。
その一番弟子のような存在だったスワッファーは、後に評論家として「フリート街の法王」の異名を取る程の存在となった。米国の「ウォール街」が金融の中心地であるように、フリート街は新聞社が軒を連ねるジャーナリズムの中心地で、そこの法王と呼ばれるということは「泣く子も黙るご意見番」といった意味が込められていた。
本書はこの二人の子弟関係を扱ったものであるが、実はそれは地上時代のことではなく、死後三年も経たないうちにデニス・ブラッドレー・ホームサークルに出現して、愛称の「スワッフ」の呼び名で語りかけた。死後の存続など全く信じていなかったスワッファーは、何度も出席してノースクリフと名乗る[霊]と対話を重ねて行くうちに、否定しようにも否定出来ない完璧な証拠を見せ付けられて、ついに人間個性の死後存続を信じるようになった。その経過を綴ったのが本書である。
従って、本書の原題を直訳すれば『ノースクリフの帰還』となるが、その帰還は霊界から地上界へ帰ってきたということであり、その対話の場がブラッドレーの自宅だったということである。こうしたことが可能となったのは、スピリチュアリズムと呼ばれている霊界からの働きかけのお陰である。
日本でいう交霊実験会に相当する「ホームサークル」はスピリチュアリズムから生まれたもので、その起源は米国ハイズビル村におけるフォックス家の怪奇現象に遡る。1848年のことで、現象そのものは太古から現代に至るまで人間が生活を営むところには何らかの形で発生していたものと、本質的には何ら変わるところはない。
それがなぜ殊更に脚光を浴びることになったかといえば、普通なら先頭切って否定派に回るはずの学者、それも科学・文学・哲学・法曹その他の知識界の重鎮が、その原因究明に積極的に参加したからで、その結果として、霊媒的体質をした人間がいること、その霊媒を操って異次元の存在が現象を引き起こしていること、その目に見えない存在というのは地上で生活したことのある『死者』、俗にいう『霊魂』で、過去の存在と思っていたのが実は肉体をかなぐり捨てた後、地上とは全く異なる条件の環境で生々躍如たる生活を営んでいる、といったことが明らかとなった。
そうした、言わば『客観的事実』が判明した後、スピリチュアリズムは大きく二つの流れに分かれていく。一つは『物理的現象』と呼ばれているもので、物体が動いたり遠い距離にある物体を実験室に瞬間的に運び入れたり、霊がエクトプラズムという半物質体を纏って出現して、地上時代の姿を再現して見せてくれるもの。
もう一つは『入神現象』と呼ばれているもので、霊媒が自我を引っ込め、代わって霊がその霊媒の発声器官を使って喋る。英語でTrance Speakingという。発声器官ではなく筆記能力(手と頭脳)を使ってメッセージを綴るのを『自動書記現象』といい、英語でAutomatic Wrtingという。
前者は言うなれば怪奇現象を実験室で演出して見せているようなもので、その価値はと問われれば、死後にも個性が存続することを物理的に確認させてくれることと言えるであろう。それに引き換え後者は、人間とは一体何なのか、何の為に生きているのか、死後の世界との繋がりはどうなっているのか等々の疑問について霊的教訓を授けてくれる点に価値がある。英語ではSpirit CommunicationとかSpirit Messageといい、日本語では「霊界通信」と呼んでいる。
さて、その霊界通信の中でも内容の高等さと信頼度、読む者への影響力の点で群を抜くもの、言わば古典的名品として今もって価値を失っていないものを挙げれば、十九世紀末に入手された『モーゼスの霊訓』(全二巻)、そして『シルバーバーチの霊訓』(全十六巻)であろう。
以上の四種類はそれぞれに個性があり特徴が違うので、横に並べてその価値を比較することは出来ないが、最後に挙げた『シルバーバーチの霊訓』はほぼ六十年間(1920年〜79年まで)にわたって毎週一回金曜日の夜に開かれたホームサークルにおいて、シルバーバーチと名乗る古代霊(本人は三千年前に地上生活を送ったことがあると述べているだけで、地上時代の氏名も人種も国籍も明かさずに終わっている)が、十名前後の出席者として親しく対話を交わし、悩み事の相談に乗ったりしたその親しみ易さから、今なお愛読者が、地道であるが、洋の東西を問わず増え続けている。
実はそのシルバーバーチの霊言の価値を見出してPsychic Newsという週刊新聞に掲載させ書物として発行させた張本人が、他ならぬハネン・スワッファーだったのである。その経緯は示唆に富んだものを含んでいるので、煩を厭わずその概略を紹介しておきたい。(その詳しい内容が本書である)
シルバーバーチの霊媒を務めたのはモーリス・バーバネルで、若い頃から文学者との交流が深く、スワッファーとも親しい間柄だった。本書で詳しく紹介するノースクリフとスワッファーがブラッドレー交霊会で霊的再会を果たしていた頃、バーバネルも別の交霊会に出入りして霊的体験を積み、それがきっかけでバーバネル自身が霊媒能力を発揮して、自宅で交霊会を催すようになった。
1920年のことで、奥さんを入れて僅か四、五人のサークルで内密に行い、速記録も取らず、テープ録音もまだ開発されていなかった時代だったので、ただシルバーバーチのスピーチを聞いて、それでお終いということを繰り返していた。
さて、本書の原典Northcliffe's Returnを発行して大反響を巻き起こしたスワッファーは、友人のバーバネルの自宅でも交霊会が催されているとの噂を小耳に挟んで、ある日ひょっこり立ち寄ってみた。そしてシルバーバーチと名乗る霊のメッセージを書いた。ブラッドレー交霊会で何十回も霊と接して洞察力が自然に身に付いていたスワッファーは、そのシルバーバーチが尋常な霊でないことを直観し、これほどの高級霊のメッセージを一握りの人間だけで聞き捨てにするのは勿体ないー是非とも公表するようにーと進言した。
最初のうちバーバネルは聞き入れなかったが、聞けば聞くほどシルバーバーチに惚れ込んでいくスワッファーの熱意に負けて、ついにPsychic News紙に連載するようになり、それが纏められて単行本として発行されるようになった。第一巻が出版されたのは1938年のことで、同時に、バーバネルの交霊会はスワッファーが司会をするようになり、正式の呼称も「ハネン・スワッファー・ホームサークル」とすることになった。
以上のような経緯を紹介したのは、スワッファーがバーバネルの交霊会に出席しなかったら、シルバーバーチの霊言が世に出ることもなかったという事実に着目して頂きたいからである。が、そのスワッファーもハリー・ポターという牧師との出会いがなければ「交霊会」というものの存在を知らなかったであろうし、デニス・ブラッドレー交霊会に出席しなかったら、新聞記者時代に『ボス』と呼んで親しみをもって尊敬していたノースクリフ卿との霊的再会によって死後の世界の存在を確信するには至らなかったであろう。その経緯を綴ったのが本書で、人間の個性の死後存続を確信した後、バーバネルの交霊会を訪れたーそして古代霊のシルバーバーチに魅せられたーということである。
イエスの明言に「木はその実によりて知れる」というのがある。これは人物の本性は行いを見れば分かることを言っているのであるが、これを文字通りに解釈しても同じ教訓に繋がると思う。つまり、果実を実らせる為には養分を摂取する為に『根』があり、それを送り届ける『幹』があり、大陽の恵みを受ける『枝葉』があってこそである。
私はこれまでその『果実』ばかりを翻訳・紹介し、『根』や『枝葉』に相当する部分は講演の席で『語る』程度で終わっていた。読者という『消費者』はそれでよいかも知れない。シルバーバーチからのメッセージを果実に譬えれば、その深い味を楽しむだけでも決していけないことではないが、その果実を実らせたブラッドレー交霊会、そこへ足を運んだスワッファー、その交霊会に出現したノースクリフの存在を忘れてはならないだろう。そして、そうしたバックグラウンドを知って初めて、本当の意味でシルバーバーチを理解したと言えると思うのである。
ハネン・スワッファー著/近藤千雄訳


人生の恩師ブラッドレー夫妻へ贈る言葉
デニス・ブラッドレー氏[注]の著書Towards the Starsは夫妻が自宅で催しておられるホームサークル(家庭交霊会)における霊の世界との交わりの様子を纏めたもので、あの世へ先立った者達の存続の事実を如実に教え、数え切れない人々に慰めと生きる意欲を与えた。夫妻はそれを職業とされているわけでもなく、特別の援助を受けておられるわけでもない。そうしたボランティア的サークル活動がこの広いロンドンで何年にもわたって人知れず続けられてきたという事実は乱目すべき重大事件といってよい。私が人間個性の死後存続という途方もない大きな真実を確信することが出来たのは、他ならぬ夫妻の真摯な人間性と霊媒能力の確かさのお陰である。
ハネン・スワッファー
[訳者注ーブラッドレーは本来は小説家で、スワッファーが評論家だったことから二人の間に親交があった。Towards the Starsと二冊目のThe Widoms of Godsは氏の自宅で催されたホームサークルに出席した第一級の著名人が霊の実在に目覚めていく、その求道の過程を纏めたもので、スワッファーもその一人だった。本書は恩師のノースクリフ卿との交霊の経緯を綴ったもので、スワッファーは自分のことに偏らず各界の著名人(あの人もそうだったのかと思う人が多く出てくる)に関するものも多く紹介している。上記の二冊は訳者の手元にもあるが、本書はそのダイジェストのようなもので、本書を通して、スピリチュアリズムが英国の知識人の間に広まっていく様子を窺い知ることが出来るであろう。]
ノースクリフとスワッファーー訳者前書きー
世界的に有名な日刊紙Daily Mailを創刊し、八十種類を超える雑誌を出版したノースクリフ卿は、本名をウィリアム・ハームズワースといい、1865年にアイルランドで生まれ、1822年に57歳でロンドンで没している。
その一番弟子のような存在だったスワッファーは、後に評論家として「フリート街の法王」の異名を取る程の存在となった。米国の「ウォール街」が金融の中心地であるように、フリート街は新聞社が軒を連ねるジャーナリズムの中心地で、そこの法王と呼ばれるということは「泣く子も黙るご意見番」といった意味が込められていた。
本書はこの二人の子弟関係を扱ったものであるが、実はそれは地上時代のことではなく、死後三年も経たないうちにデニス・ブラッドレー・ホームサークルに出現して、愛称の「スワッフ」の呼び名で語りかけた。死後の存続など全く信じていなかったスワッファーは、何度も出席してノースクリフと名乗る[霊]と対話を重ねて行くうちに、否定しようにも否定出来ない完璧な証拠を見せ付けられて、ついに人間個性の死後存続を信じるようになった。その経過を綴ったのが本書である。
従って、本書の原題を直訳すれば『ノースクリフの帰還』となるが、その帰還は霊界から地上界へ帰ってきたということであり、その対話の場がブラッドレーの自宅だったということである。こうしたことが可能となったのは、スピリチュアリズムと呼ばれている霊界からの働きかけのお陰である。
日本でいう交霊実験会に相当する「ホームサークル」はスピリチュアリズムから生まれたもので、その起源は米国ハイズビル村におけるフォックス家の怪奇現象に遡る。1848年のことで、現象そのものは太古から現代に至るまで人間が生活を営むところには何らかの形で発生していたものと、本質的には何ら変わるところはない。
それがなぜ殊更に脚光を浴びることになったかといえば、普通なら先頭切って否定派に回るはずの学者、それも科学・文学・哲学・法曹その他の知識界の重鎮が、その原因究明に積極的に参加したからで、その結果として、霊媒的体質をした人間がいること、その霊媒を操って異次元の存在が現象を引き起こしていること、その目に見えない存在というのは地上で生活したことのある『死者』、俗にいう『霊魂』で、過去の存在と思っていたのが実は肉体をかなぐり捨てた後、地上とは全く異なる条件の環境で生々躍如たる生活を営んでいる、といったことが明らかとなった。
そうした、言わば『客観的事実』が判明した後、スピリチュアリズムは大きく二つの流れに分かれていく。一つは『物理的現象』と呼ばれているもので、物体が動いたり遠い距離にある物体を実験室に瞬間的に運び入れたり、霊がエクトプラズムという半物質体を纏って出現して、地上時代の姿を再現して見せてくれるもの。
もう一つは『入神現象』と呼ばれているもので、霊媒が自我を引っ込め、代わって霊がその霊媒の発声器官を使って喋る。英語でTrance Speakingという。発声器官ではなく筆記能力(手と頭脳)を使ってメッセージを綴るのを『自動書記現象』といい、英語でAutomatic Wrtingという。
前者は言うなれば怪奇現象を実験室で演出して見せているようなもので、その価値はと問われれば、死後にも個性が存続することを物理的に確認させてくれることと言えるであろう。それに引き換え後者は、人間とは一体何なのか、何の為に生きているのか、死後の世界との繋がりはどうなっているのか等々の疑問について霊的教訓を授けてくれる点に価値がある。英語ではSpirit CommunicationとかSpirit Messageといい、日本語では「霊界通信」と呼んでいる。
さて、その霊界通信の中でも内容の高等さと信頼度、読む者への影響力の点で群を抜くもの、言わば古典的名品として今もって価値を失っていないものを挙げれば、十九世紀末に入手された『モーゼスの霊訓』(全二巻)、そして『シルバーバーチの霊訓』(全十六巻)であろう。
以上の四種類はそれぞれに個性があり特徴が違うので、横に並べてその価値を比較することは出来ないが、最後に挙げた『シルバーバーチの霊訓』はほぼ六十年間(1920年〜79年まで)にわたって毎週一回金曜日の夜に開かれたホームサークルにおいて、シルバーバーチと名乗る古代霊(本人は三千年前に地上生活を送ったことがあると述べているだけで、地上時代の氏名も人種も国籍も明かさずに終わっている)が、十名前後の出席者として親しく対話を交わし、悩み事の相談に乗ったりしたその親しみ易さから、今なお愛読者が、地道であるが、洋の東西を問わず増え続けている。
実はそのシルバーバーチの霊言の価値を見出してPsychic Newsという週刊新聞に掲載させ書物として発行させた張本人が、他ならぬハネン・スワッファーだったのである。その経緯は示唆に富んだものを含んでいるので、煩を厭わずその概略を紹介しておきたい。(その詳しい内容が本書である)
シルバーバーチの霊媒を務めたのはモーリス・バーバネルで、若い頃から文学者との交流が深く、スワッファーとも親しい間柄だった。本書で詳しく紹介するノースクリフとスワッファーがブラッドレー交霊会で霊的再会を果たしていた頃、バーバネルも別の交霊会に出入りして霊的体験を積み、それがきっかけでバーバネル自身が霊媒能力を発揮して、自宅で交霊会を催すようになった。
1920年のことで、奥さんを入れて僅か四、五人のサークルで内密に行い、速記録も取らず、テープ録音もまだ開発されていなかった時代だったので、ただシルバーバーチのスピーチを聞いて、それでお終いということを繰り返していた。
さて、本書の原典Northcliffe's Returnを発行して大反響を巻き起こしたスワッファーは、友人のバーバネルの自宅でも交霊会が催されているとの噂を小耳に挟んで、ある日ひょっこり立ち寄ってみた。そしてシルバーバーチと名乗る霊のメッセージを書いた。ブラッドレー交霊会で何十回も霊と接して洞察力が自然に身に付いていたスワッファーは、そのシルバーバーチが尋常な霊でないことを直観し、これほどの高級霊のメッセージを一握りの人間だけで聞き捨てにするのは勿体ないー是非とも公表するようにーと進言した。
最初のうちバーバネルは聞き入れなかったが、聞けば聞くほどシルバーバーチに惚れ込んでいくスワッファーの熱意に負けて、ついにPsychic News紙に連載するようになり、それが纏められて単行本として発行されるようになった。第一巻が出版されたのは1938年のことで、同時に、バーバネルの交霊会はスワッファーが司会をするようになり、正式の呼称も「ハネン・スワッファー・ホームサークル」とすることになった。
以上のような経緯を紹介したのは、スワッファーがバーバネルの交霊会に出席しなかったら、シルバーバーチの霊言が世に出ることもなかったという事実に着目して頂きたいからである。が、そのスワッファーもハリー・ポターという牧師との出会いがなければ「交霊会」というものの存在を知らなかったであろうし、デニス・ブラッドレー交霊会に出席しなかったら、新聞記者時代に『ボス』と呼んで親しみをもって尊敬していたノースクリフ卿との霊的再会によって死後の世界の存在を確信するには至らなかったであろう。その経緯を綴ったのが本書で、人間の個性の死後存続を確信した後、バーバネルの交霊会を訪れたーそして古代霊のシルバーバーチに魅せられたーということである。
イエスの明言に「木はその実によりて知れる」というのがある。これは人物の本性は行いを見れば分かることを言っているのであるが、これを文字通りに解釈しても同じ教訓に繋がると思う。つまり、果実を実らせる為には養分を摂取する為に『根』があり、それを送り届ける『幹』があり、大陽の恵みを受ける『枝葉』があってこそである。
私はこれまでその『果実』ばかりを翻訳・紹介し、『根』や『枝葉』に相当する部分は講演の席で『語る』程度で終わっていた。読者という『消費者』はそれでよいかも知れない。シルバーバーチからのメッセージを果実に譬えれば、その深い味を楽しむだけでも決していけないことではないが、その果実を実らせたブラッドレー交霊会、そこへ足を運んだスワッファー、その交霊会に出現したノースクリフの存在を忘れてはならないだろう。そして、そうしたバックグラウンドを知って初めて、本当の意味でシルバーバーチを理解したと言えると思うのである。