この聴聞会で証言した人が全部で何人だったかは定かでないが、主だった関係者への聴聞が終わった段階で、ある事実がクローズアップされてきた。
 [事件の発展]の項目のところで、三月三十一日夜の騒ぎの中で「娘二人を他家に泊まらせるように手配した」とあるが、具体的にいうとマーガレットは兄のデービッドの家に、ケートは既に嫁いでいる長女のリーア・フィッシュの家に預けられたのだった。母親はレッドフォード夫人の家に泊めてもらったのであるが、そのレッドフォード家ではその夜何事もなかったのに、二人の娘が泊めてもらった家では、双方とも自宅と同じ現象が起きていたことが判明したのである。
 そうなると当然出てくるのが、二人の娘には何か特別な体質があるのではないかという憶測である。その憶測は、当然の成り行きとして、二人を使って実験してみてはどうかという案を生む。そしてそれが直ぐに実行に移されて、二人はある時は一緒に、ある時は別々に実験の対象とされるようになっていった。
 その結果は三月三十一日の現象の再現となった。他の物理的現象と同時にラップによる通信が届けられた。しかし、その行為者が眼に見えない。得体の知れないものだった為に、好意的に受け止められるにはまだ時期尚早だった。何かトリックがあるのだろう・・・悪魔の回し者ではないのか・・・といった白い眼で見られるばかりだった。
 一番の犠牲者は長女のリーアだった。ロチェスター市で音楽の教師をしていたのであるが、そういう得体の知れない妹がいるというだけのことで教師を辞職せざるを得なくなった。
 しかし、霊界側の計画は着々と進められて行く。宗教的偏見に囚われない学識者の中に二人の姉妹(後にリーアにも同じ能力があることが判明して三人とも)や、同じ体質をした、いわゆる[霊媒]を使って本格的に調査・研究してみようとする者が現れ始め、後に心霊実験会と呼ばれるようになる催しが各地で開かれるようになっていった。