言うまでもなく当時の注目の的はフォックス三姉妹で、要請されるまま招かれるままに、各地で実験会を催した。勿論感嘆する者、疑う者、頭から信じない者等々、反応は色々だったが、ある日の『ニューヨーク・トリビューン』紙に博士号を持つ三人の学者による、三姉妹の近辺で発生するラップは彼女達自身の膝に関節を鳴らしているだけ、との見解が掲載された。これに対してフォックス姉妹は次のような回答を同じ新聞紙上で公表した。


 もしもお説の通りであるとすれば、私達は詐欺師であるということになってしまいますが、私達はその汚名を着せられたくはありませんので、公明正大な調査をお願い致したく存じます。ただし、あなた方三人以外に男性と女性それぞれの三人の第三者の立ち会いを条件と致します。
 あの謎のラップの原因については他の誰よりも私達自身が知りたがっていることを、ここで世間の皆様に訴えたいと思います。もしもあのラップが仰る通りの、身体的ないしは生理学的な原因によって説明出来るのであれば、それをきちんと世間に納得させ、仰る通り私達が『ペテン師』であることを暴いてみせてください。
 この問題は今世紀で大変な関心の的となっているようですので、ここに著名した私達は一日も早い実験の開催をお受けいたす所在です。
                                       (署名)


 フォックス姉妹が提案した実験会は、求められた通りの条件の下で開催された。しかし、決定的といえる成果は得られなかった。が、そのニュースが掲載された『ニューヨーク・トリビューン』紙の編集長ホラス・グリーリーは次のような、簡単ではあるが的を射た論評を加えている。


 ・・・・三人の博士の態度は、本紙に掲載された先日の見解からも窺われるように、ラップは物理的なもので原因はフォックス姉妹の意図的な操作にある、つまり三人は[ロチェスターのペテン師]であると決めてかかっている。従って三人は弾劾裁判に置ける検察官のようなもので、その上弁護士も裁判官もレポーターも立ち会っていない。
 我々はこの問題を改めて取り上げることになろう。

 あらぬ中傷も飛び交った。その一つを挙げれば、1851年4月17日の新聞記事に、ノーマン・ガルバーという女性の証言として、三女のケースがラップは全部でっち上げであることを自分に告白したという主旨のコメントが載っていた。しかし、その後の追跡調査で、ガルバーがケートの告白を聞いたという当日「ケートは七十マイルも離れた私の家にいました」という証言をする人が現れて、一件落着となった。