1860年に死亡。
 パリ霊実在主義協会のメンバーである妹の要請によって、1861年5月16日に招霊した。

ー招霊します・・・。
 「はい、私です」
ーあなたの妹さんの要請によって招霊させて頂きました。妹さんご自身も霊媒ですが、まだ訓練が足りない為に自信がないようなのです。
 「最善を尽くしてお答えいたしましょう」
ー妹さんは、まず、あなたが幸福であるかどうかを知りたがっています。
 「現在、私は遍歴中です。そして、この中間的な移行期にあって、完全な幸福を得ているわけでもないし、また、罰を受けているわけでもないのです」
ー自分を取り戻すまでに時間は長くかかりましたか?
 「長い間混乱しておりました。ただ、私を忘れずにいて祈ってくださった方々がいたので、混乱状態から抜け出ることが出来ました。この方々には本当に感謝しております」
ーその混乱がどれくらい続いたか覚えていますか?
 「いいえ、覚えておりません」
ー既に亡くなっているご家族のうちで、まずどなたにお会いになりましたか?
 「父と母です。私が目覚めた時に側にいてくれました。新しい生活に慣れるよう案内してくれたのです」
ー病気によって死期が近づいた時、あなたは既に、地上にいない人々とお話をされていたようですが、どうしてそのようなことが起こったのですか?
 「死ぬ前に、自分がこれから行くことになっているあの世についての啓示を得たのです。死ぬ直前には、霊が見えるようになっていました」
ー死ぬ前には、幼年期のことが特に記憶に戻ってきていたようですが、それはなぜなのですか?
 「人生の最後と初めは似ているからです」
ーそれはどういうことでしょうか?
 「つまり、死に逝く人々は、人生の初期の純粋な日々を思い出し、それを再び見るということです」
ー最後の頃、あなたの体に関して、あなたは常に三人称を使って話しておられましたが、それはどうしてですか?
 「既にお話したように、私はその頃霊視が利くようになっていたので、肉体と霊とがはっきり区別出来ていたのです。勿論肉体と霊は霊子線で結ばれていますが、分離しているのがはっきりと分かったのです」

 この点において、この人の死は他の人々のそれと特に違っていた。
 最後の頃、この人は常に次のように言っていたのである。
 「彼は喉が渇いています。飲み物を与えてください」
 「彼は寒がっています。何か上にかけてやってください」
 「彼はどこそこが痛いようです」
 そして、周りの人が、「だって、喉が渇いているのはあなたでしょう?」と聞くと、「いいえ、彼です」と答えるのだった。
 肉体と霊が完全に分離していたことが分かる。[私]は霊として分離して存在しており、肉体の中にはもういない。したがって、飲み物を与えなければならないのは、肉体である[彼]にであって、霊である[私]にではない。こうした現象は、夢遊症においても観察される。

ー死後に長い間混乱していたということ、また、現在、遍歴中であるということから考えて、あなたはあまり幸せではないように思われますが。とはいえ、あなたの優れた資質からすれば、当然、幸福であってしかるべきであるように思われるのです。遍歴中の霊に、不幸な霊がいるように、幸福な霊もいるのではないですか?
 「私は移行期にあるということなのです。こちらでは、その人の徳はその本来の価値を取り戻します。そういうことで、勿論、私の境涯は、地上にいた時とは比較にならないほど素晴らしいものになっています。しかし、私は常に善と美に対して深い憧れを抱き続けてきた魂なので、神の足元に飛んでいける日が来るまでは、とても満足するわけにはいかないのです」