心霊能力をお持ちでない方が私の体験は果たして本当か、幻覚ではないのかと質問されるのも無理からぬことであろう。そこで私は、ここで二、三の体験を紹介して、その関連性から私の霊界体験が想像上のものでないことを証明しようと思う。もっとも、本当の確信はご自分で体験される以外にないことを一応強調しておきたい。
さて私は、離脱中に地上を見物したいと思ったことはない。霊界の方がはるかに面白いからである。が、一度だけ例外がある。1939年のことであるが、二人の娘が休暇でワイト島へ遊びに行った時のことである。距離にして90マイル程離れている。ある日、昼食を終えてから、二人がいないのを寂しく思いながら椅子に腰掛けて、心の中で娘のところへ連れて行って欲しいと念じてみた。
やがて気がつくと私は二人の娘が歩いているすぐ後ろを歩いていた。辺りの景色は見えなかったが、二人は二、三ヤード離れて何やらキャッチボールのように投げ合いながら歩いている。するとその後ろから他の一人の女性が私を通過して(その時の私は地上の人間であってもいわば幽霊と同じ存在である)娘達の中間を通り抜けた。そのことに気づいていない長女が妹に向かって投げたものが、その婦人の背中に当たった。私はその娘の無礼さにオロオロした。するとその念が一気に肉体へと私を引き戻してしまったー霊的法則に従って。私はすぐさまその日時をメモしておいた。
ワイト島から肉体へ戻るのは三秒程だったらしい。一秒に三十マイルの計算になる。そうでなくてものろまの私が、帰りたくもないのに無理矢理に帰らされたことを思うと、これは大変なスピードというべぎであろう。
その後娘達が休暇から帰ってきて楽しい話に興じている時、私がいきなり長女に、何かを婦人に投げはしなかったかと聞いてみた。すると長女は顔を赤らめ、一方妹の方はクスクス笑いながら『姉さんたらボールを婦人の背中にぶつけちゃったの!』と言った。
娘の説明によると、私がメモを取った日の昼食後、二人が海岸へ行く道の両側に分かれてキャッチボールをしながら歩いていた時に、後ろから婦人が追い越して行くのに気がつかずに投げたボールが背中に当たったのだという。
もう一つの体験は交霊会に出席中のことで、一回きりの体験である。その時の椅子がひどく座り心地が悪いのでまさかと思っていたのであるが、指導霊が私を熱帯地方へ連れていって、ある樹木の下に降ろされた。そこで指導霊がエクトプラズムの詰まったメガホンを私に見せてくれた。それがいわゆる霊力の源であることを示してくれたのである。
その時は時間はほんの僅かで、私はすぐに交霊会の部屋へ戻り、わざと目を開かず、身動き一つしないでおいたのであるが、私の正面にいた年輩の婦人が大変な霊視能力の持ち主で、『私は今あなたが身体から脱け出して戻ってこられるのを目撃しましたよ』と言われた。
夜中に霊界を旅行すると、まだ生きているはずの人々をよく見かけることがある。もっとも魂の緒は見えない。地球から離れて非常に希薄になっているので、余程の高級霊にしか見えないのだと考えている。
次のような興味深い例がある。ある夜肉体を出て霊界の何かの記念パーティに出席していた。そこには昔と今の親戚が大勢いて、その中に現在一緒に暮らしているおばと、数マイル離れたところで暮らしているおいの姿を見た。
翌朝そのおばが私を見て『昨晩は素敵なパーティに出席したんだけど、あなたもいらしてたわね』と言う。おいの方もそれを確認してくれるかと期待して尋ねてみたが、何一つ思い出してくれなかった。睡眠中は殆ど全ての人が霊的な体験をしているようである。それはいわゆる『夢』とは簡単に見分けがつく。霊的体験は極めて鮮明で、はっきり区別が出来る。
私はそうした体験を霊媒に確認してもらうことがよくある。そのうちの幾つかをあとで紹介するが、ある時、霊界の私の店(後で詳しく説明する)に立っていると突然、強い腕に抱きつかれた。振り返ってみると、霊界の友人の一人のアフリカ人だった。彼の腕から温かい友情が伝わってくる。私も嬉しくて彼のモジャモジャの縮れ毛をかきまわした。そして店の中にいる他の友人達に「おーい、こいつが来たぞ」と大声で言った。
残念なことに、その瞬間に私はその場から引き戻されるのを感じた。必死に抵抗したが肉体に戻されてしまった。それは真昼の離脱で、交通の騒音が原因だった。こうした突然の中止は何回か体験しているが、その原因は必ずしもそうした外的原因ではなく、魂の緒を通じてのエネルギーの補給不足が原因である場合もある。
そのことがあって間もなく、ある女性霊媒のところへ行ったところ、
「ここにアフリカ人が来ています。霊界でお会いしたと言ってますよ。それに、何か妙なことを言っています。あなたが地上に誕生する以前からあなたを知っていたとか・・・」
と言われた。
実はこのアフリカ人は私が心霊学を始めた頃からずっと私についていてくれて、何人かの霊能者によって目撃されている。私自身も霊視したことがあるが、霊界で会ったのはその時が最初だった。
同じく真昼に離脱した時のことであるが、今頃絶対に寝ているはずがないと思われる人を霊界で見かけることがある。どういうことだろうと思っていたらBilocation(バイロケーション)という単語が浮かんだ。これは『一度に二カ所に存在する』という意味である。そういえばスエーデンボルグも同じような体験を述べている。ある町を歩いていた同じ時刻に霊界で別の体験をしていたという。
さて私は、離脱中に地上を見物したいと思ったことはない。霊界の方がはるかに面白いからである。が、一度だけ例外がある。1939年のことであるが、二人の娘が休暇でワイト島へ遊びに行った時のことである。距離にして90マイル程離れている。ある日、昼食を終えてから、二人がいないのを寂しく思いながら椅子に腰掛けて、心の中で娘のところへ連れて行って欲しいと念じてみた。
やがて気がつくと私は二人の娘が歩いているすぐ後ろを歩いていた。辺りの景色は見えなかったが、二人は二、三ヤード離れて何やらキャッチボールのように投げ合いながら歩いている。するとその後ろから他の一人の女性が私を通過して(その時の私は地上の人間であってもいわば幽霊と同じ存在である)娘達の中間を通り抜けた。そのことに気づいていない長女が妹に向かって投げたものが、その婦人の背中に当たった。私はその娘の無礼さにオロオロした。するとその念が一気に肉体へと私を引き戻してしまったー霊的法則に従って。私はすぐさまその日時をメモしておいた。
ワイト島から肉体へ戻るのは三秒程だったらしい。一秒に三十マイルの計算になる。そうでなくてものろまの私が、帰りたくもないのに無理矢理に帰らされたことを思うと、これは大変なスピードというべぎであろう。
その後娘達が休暇から帰ってきて楽しい話に興じている時、私がいきなり長女に、何かを婦人に投げはしなかったかと聞いてみた。すると長女は顔を赤らめ、一方妹の方はクスクス笑いながら『姉さんたらボールを婦人の背中にぶつけちゃったの!』と言った。
娘の説明によると、私がメモを取った日の昼食後、二人が海岸へ行く道の両側に分かれてキャッチボールをしながら歩いていた時に、後ろから婦人が追い越して行くのに気がつかずに投げたボールが背中に当たったのだという。
もう一つの体験は交霊会に出席中のことで、一回きりの体験である。その時の椅子がひどく座り心地が悪いのでまさかと思っていたのであるが、指導霊が私を熱帯地方へ連れていって、ある樹木の下に降ろされた。そこで指導霊がエクトプラズムの詰まったメガホンを私に見せてくれた。それがいわゆる霊力の源であることを示してくれたのである。
その時は時間はほんの僅かで、私はすぐに交霊会の部屋へ戻り、わざと目を開かず、身動き一つしないでおいたのであるが、私の正面にいた年輩の婦人が大変な霊視能力の持ち主で、『私は今あなたが身体から脱け出して戻ってこられるのを目撃しましたよ』と言われた。
夜中に霊界を旅行すると、まだ生きているはずの人々をよく見かけることがある。もっとも魂の緒は見えない。地球から離れて非常に希薄になっているので、余程の高級霊にしか見えないのだと考えている。
次のような興味深い例がある。ある夜肉体を出て霊界の何かの記念パーティに出席していた。そこには昔と今の親戚が大勢いて、その中に現在一緒に暮らしているおばと、数マイル離れたところで暮らしているおいの姿を見た。
翌朝そのおばが私を見て『昨晩は素敵なパーティに出席したんだけど、あなたもいらしてたわね』と言う。おいの方もそれを確認してくれるかと期待して尋ねてみたが、何一つ思い出してくれなかった。睡眠中は殆ど全ての人が霊的な体験をしているようである。それはいわゆる『夢』とは簡単に見分けがつく。霊的体験は極めて鮮明で、はっきり区別が出来る。
私はそうした体験を霊媒に確認してもらうことがよくある。そのうちの幾つかをあとで紹介するが、ある時、霊界の私の店(後で詳しく説明する)に立っていると突然、強い腕に抱きつかれた。振り返ってみると、霊界の友人の一人のアフリカ人だった。彼の腕から温かい友情が伝わってくる。私も嬉しくて彼のモジャモジャの縮れ毛をかきまわした。そして店の中にいる他の友人達に「おーい、こいつが来たぞ」と大声で言った。
残念なことに、その瞬間に私はその場から引き戻されるのを感じた。必死に抵抗したが肉体に戻されてしまった。それは真昼の離脱で、交通の騒音が原因だった。こうした突然の中止は何回か体験しているが、その原因は必ずしもそうした外的原因ではなく、魂の緒を通じてのエネルギーの補給不足が原因である場合もある。
そのことがあって間もなく、ある女性霊媒のところへ行ったところ、
「ここにアフリカ人が来ています。霊界でお会いしたと言ってますよ。それに、何か妙なことを言っています。あなたが地上に誕生する以前からあなたを知っていたとか・・・」
と言われた。
実はこのアフリカ人は私が心霊学を始めた頃からずっと私についていてくれて、何人かの霊能者によって目撃されている。私自身も霊視したことがあるが、霊界で会ったのはその時が最初だった。
同じく真昼に離脱した時のことであるが、今頃絶対に寝ているはずがないと思われる人を霊界で見かけることがある。どういうことだろうと思っていたらBilocation(バイロケーション)という単語が浮かんだ。これは『一度に二カ所に存在する』という意味である。そういえばスエーデンボルグも同じような体験を述べている。ある町を歩いていた同じ時刻に霊界で別の体験をしていたという。