ある時霊界の素敵な住宅地区とおぼしきところを訪れた時、そのうちの一軒へ案内された。門をくぐってドアに近づくと、中から二人の男性が出て来た。すれ違う時に軽く会釈をした。二人の顔は見覚えはなかったが、直感的にそこがかつて地上でスピリチュアリストだった人達の出入りする集会所のようなところであることを察した。部屋の一つを覗いてみると何人かが集まっており、一人を除いて顔見知りの人は見当たらなかった。その一人というのが、私が交霊会で離脱するところを前の席から霊視していた年輩の女性だった。
この女性は霊視能力が強く、霊姿を細かく叙述出来た。ある時は私の側にいる霊を叙述して、この人はアラブ人の服装をしているが、どうやらアラブ人ではなく、アラビアのロレンスですと言った。それからそのロレンスからのメッセージを伝えてくれた。内容はその夫人には何のことか解読出来なかったようであるが、私にとっては紛れもなくアラビアのロレンスであることを立証するものだった。
その老夫人を私が霊界で見かけたのは夫人が他界してまだ一年ばかりしか経っていない時期であったが、さすがに落ち着き払い、安らぎを見せていた。この夫人にとっては『夢幻界』は存在していなかった。私を見かけると『ようこそ、スカルソープさん』と、地上の時と同じ態度で挨拶した。私はゆっくりと話がしたかったが、周りに見知らぬ人が大勢いて、いつもの私の引っ込み思案の癖が出て、黙っていた。
この遠慮ないしはにかみは高い界層へ行くと消えてしまう。以心伝心の関係が緊密となるからであり、私の体験でも、一度も堅苦しい挨拶をした記憶がない。誰に会っても、或はどんな集団の中に入っても、自然にお互いが知れてしまい、あたかも兄弟姉妹に会った時のように、改まった紹介が不要なのである。
私はそれから家中を見学した後、外へ出て地域全体を見てみた。見たところ英国の街外れの住宅地区そっくりで、すぐ近くにショッピングセンターもあった。真新しい白いコンクリートの商店街が立ち並び、上の方に赤色の大文字でROSEWAY(バラ通り)と書いてあった。私は同じものが地上にもあれば面白いが、と思った。
その通りを歩いていると東洋風の男を見かけた。その男が私に気づくと一瞬戸惑いの表情を見せた。多分私の姿がその界層での『個体性』を十分に備えていなかったからであろう。私は例のスピリチュアリストの集会所へ向かったのであるが、確かにこの辺りだったと思うところへ来ても、その建物が見当たらない。そこで私は丹念に一軒一軒の門柱の表札を確かめながら歩いた。
その時面白いことを発見した。表札によってはその家の前の居住者の姓名がうっすらとその下に残っているのである。うっすらというのは、ペンキが薄くなっているというのではない。ペンキはもう完全に消えている。結局その姓名を書いた人の意念が残っていて、それを霊的感覚によってサイコメトリ的に読み取っていたのである。
それにしても、私が探している家がなかなか見つからないでいると、例の少女が現れて教えてくれた。この少女は時折こうして私が困っていると現れては謎のような消え方でいつの間にかいなくなってしまう。
さて私はその建物の中へ入ったのであるが、その時点で意識が途切れてしまった。肉体へ戻されたのではない。これは多分背後霊の仕業で、私の地上的なはにかみの癖を捨てさせて、そこに集まっていたスピリチュアリスト達、特に例の夫人と心置きなく話をさせる為の配慮だったと信じている。
この女性は霊視能力が強く、霊姿を細かく叙述出来た。ある時は私の側にいる霊を叙述して、この人はアラブ人の服装をしているが、どうやらアラブ人ではなく、アラビアのロレンスですと言った。それからそのロレンスからのメッセージを伝えてくれた。内容はその夫人には何のことか解読出来なかったようであるが、私にとっては紛れもなくアラビアのロレンスであることを立証するものだった。
その老夫人を私が霊界で見かけたのは夫人が他界してまだ一年ばかりしか経っていない時期であったが、さすがに落ち着き払い、安らぎを見せていた。この夫人にとっては『夢幻界』は存在していなかった。私を見かけると『ようこそ、スカルソープさん』と、地上の時と同じ態度で挨拶した。私はゆっくりと話がしたかったが、周りに見知らぬ人が大勢いて、いつもの私の引っ込み思案の癖が出て、黙っていた。
この遠慮ないしはにかみは高い界層へ行くと消えてしまう。以心伝心の関係が緊密となるからであり、私の体験でも、一度も堅苦しい挨拶をした記憶がない。誰に会っても、或はどんな集団の中に入っても、自然にお互いが知れてしまい、あたかも兄弟姉妹に会った時のように、改まった紹介が不要なのである。
私はそれから家中を見学した後、外へ出て地域全体を見てみた。見たところ英国の街外れの住宅地区そっくりで、すぐ近くにショッピングセンターもあった。真新しい白いコンクリートの商店街が立ち並び、上の方に赤色の大文字でROSEWAY(バラ通り)と書いてあった。私は同じものが地上にもあれば面白いが、と思った。
その通りを歩いていると東洋風の男を見かけた。その男が私に気づくと一瞬戸惑いの表情を見せた。多分私の姿がその界層での『個体性』を十分に備えていなかったからであろう。私は例のスピリチュアリストの集会所へ向かったのであるが、確かにこの辺りだったと思うところへ来ても、その建物が見当たらない。そこで私は丹念に一軒一軒の門柱の表札を確かめながら歩いた。
その時面白いことを発見した。表札によってはその家の前の居住者の姓名がうっすらとその下に残っているのである。うっすらというのは、ペンキが薄くなっているというのではない。ペンキはもう完全に消えている。結局その姓名を書いた人の意念が残っていて、それを霊的感覚によってサイコメトリ的に読み取っていたのである。
それにしても、私が探している家がなかなか見つからないでいると、例の少女が現れて教えてくれた。この少女は時折こうして私が困っていると現れては謎のような消え方でいつの間にかいなくなってしまう。
さて私はその建物の中へ入ったのであるが、その時点で意識が途切れてしまった。肉体へ戻されたのではない。これは多分背後霊の仕業で、私の地上的なはにかみの癖を捨てさせて、そこに集まっていたスピリチュアリスト達、特に例の夫人と心置きなく話をさせる為の配慮だったと信じている。