これまでの体験を読まれてお分かりのように、私の存在は徹頭徹尾、背後霊の手中にあるので、思いも寄らないユーモアのある事柄で私が『憑依された』ことが何度かある。意識が残ったままのこともあるし、無意識のうちにさせられることもあるが、ともかく強制的にある役割を演じさせられるのである。
ある時は大勢の聴衆のいるどこかの大きな会場へ連れて行かれ『これからあなたが演説することになっている』と告げられた。私は演説などしたことがないので、いささか不安になった。が、演壇に上がったところから無意識となり、次に意識が戻った時は演説が終わって演壇から下りるところだった。聴衆が私の演説の内容のことでしきりに語り合っていた。ともかく終わったらしいので私はほっとしたのだった。
この境涯になると何かにつけてユーモアがあり、背後霊によるイタズラにもそれが窺われるようになる。ある時ラジオでオーケストラの演奏を聞いていた。何曲か演奏されたが、私の感じとしてはドラムが少しやかましすぎて曲全体を台無しにしているように思えた。
そんなことがあった数日後のことである。離脱中にあるオーケストラのところへ連れて行かれた。団員は私の背後霊によく似た若い人達ばかりで、みんな変にニコニコしているので、私は何か企んでいるなと感じた。そう思っているうちに背後霊の一人が私に憑依し、ドラムのところへ連れて行った。意識は残っていた。同時にオーケストラが演奏を開始し、私は無理矢理にドラマーをさせられた。自分で自分がやっていることが滑稽でならないので私は終始笑い続けていたが、演奏そのものは実に見事だった。曲は短くて直ぐに終わった。終わった後全員がゲラゲラ愉快そうに笑っていたが、私はそれでも『やはり私はドラムは好きになれません』と大きな声で言ったことだった。
別の体験では、気がついてみると聖歌隊のような少年の一団が並んで賛美歌を歌っているところだった。私の知らない曲だったが、不思議に歌詞が次々と口をついて出るのだった。多分その少年達からのテレパシーだったのであろう。
そのすぐ目の前に立派な校舎があった。『解散!』の声と共に少年達は正面玄関から一目散に駆け込んでいくので、一体何があるのだろうと思って私も入ってみた。なんと、そこには食料品を用意した部屋があって、ジンジャービヤとかレモネードとおぼしきものをらっぱ飲みしていた。
私は離脱中に食べたいとか飲みたいとか思ったことは一度もない。ところが、ある時、そのことを我ながら大したものだと思ったところ、すぐその後の離脱が終わってもうすぐ肉体に戻る直前に、突然、少年時代のシーンに引き戻された。お菓子屋さんがあって、私の大好きだったピンクと白のアイスクリームが山と積まれている。私は思わずそれに手を出しかけたその途端に肉体に引き戻された。それで私への教訓が終わった。
些細な笑い話のようで、実はこれには私に対する強烈な戒めで、背後霊団のもつ次元の高いテクニックと強力な霊力を見せつけられたのである。つまり私の過去の中から一つのバイブレーションを選び出し、時間をさかのぼり、当時と同じ幼稚な甘いものへの願望を注ぎ込み、そうしておいて穏やかに私の自惚れをいさめた、というわけである。
ある時は大勢の聴衆のいるどこかの大きな会場へ連れて行かれ『これからあなたが演説することになっている』と告げられた。私は演説などしたことがないので、いささか不安になった。が、演壇に上がったところから無意識となり、次に意識が戻った時は演説が終わって演壇から下りるところだった。聴衆が私の演説の内容のことでしきりに語り合っていた。ともかく終わったらしいので私はほっとしたのだった。
この境涯になると何かにつけてユーモアがあり、背後霊によるイタズラにもそれが窺われるようになる。ある時ラジオでオーケストラの演奏を聞いていた。何曲か演奏されたが、私の感じとしてはドラムが少しやかましすぎて曲全体を台無しにしているように思えた。
そんなことがあった数日後のことである。離脱中にあるオーケストラのところへ連れて行かれた。団員は私の背後霊によく似た若い人達ばかりで、みんな変にニコニコしているので、私は何か企んでいるなと感じた。そう思っているうちに背後霊の一人が私に憑依し、ドラムのところへ連れて行った。意識は残っていた。同時にオーケストラが演奏を開始し、私は無理矢理にドラマーをさせられた。自分で自分がやっていることが滑稽でならないので私は終始笑い続けていたが、演奏そのものは実に見事だった。曲は短くて直ぐに終わった。終わった後全員がゲラゲラ愉快そうに笑っていたが、私はそれでも『やはり私はドラムは好きになれません』と大きな声で言ったことだった。
別の体験では、気がついてみると聖歌隊のような少年の一団が並んで賛美歌を歌っているところだった。私の知らない曲だったが、不思議に歌詞が次々と口をついて出るのだった。多分その少年達からのテレパシーだったのであろう。
そのすぐ目の前に立派な校舎があった。『解散!』の声と共に少年達は正面玄関から一目散に駆け込んでいくので、一体何があるのだろうと思って私も入ってみた。なんと、そこには食料品を用意した部屋があって、ジンジャービヤとかレモネードとおぼしきものをらっぱ飲みしていた。
私は離脱中に食べたいとか飲みたいとか思ったことは一度もない。ところが、ある時、そのことを我ながら大したものだと思ったところ、すぐその後の離脱が終わってもうすぐ肉体に戻る直前に、突然、少年時代のシーンに引き戻された。お菓子屋さんがあって、私の大好きだったピンクと白のアイスクリームが山と積まれている。私は思わずそれに手を出しかけたその途端に肉体に引き戻された。それで私への教訓が終わった。
些細な笑い話のようで、実はこれには私に対する強烈な戒めで、背後霊団のもつ次元の高いテクニックと強力な霊力を見せつけられたのである。つまり私の過去の中から一つのバイブレーションを選び出し、時間をさかのぼり、当時と同じ幼稚な甘いものへの願望を注ぎ込み、そうしておいて穏やかに私の自惚れをいさめた、というわけである。