このアルフレッドは、それからほぼ二年後にジョン・J・Aと共に、次に紹介する映画女優のアンナ・Hを案内してきた時に、約束どおりの報告をしている。
1918年9月8日
スピリット=アンナ・H
スピリット「水を!水をください!(水を与えると、ごくごくと飲んだ)ありがとう!ずっと病気をしていて、まだ元気が出ません。どの医者に診てもらっても、どこが悪いのか分からないのです。安静にしてなさいと言うだけで・・・脚と腰がとても痛みます」
博士「痛みを取ってあげましょう」(と言って霊媒の両脚をもむ仕草をする)
スピリット「あまり無茶に扱わないでください。美しい体形を損ないたくありませんので。もう一度元気になって、女優の仕事に戻りたいのです。ずっと病気がちで、なかなか元気になれません」
博士「お名前は?」
スピリット「アンナ・Hです」
博士「ロサンゼルスには、どうやって来られたのですか」
スピリット「ここはロサンゼルスではありません。ニューヨークです」
博士「どなたの案内で来られましたか」
スピリット「夢だろうと思うのですが、アルフレッドが来て話しかけたのです。私のファンだったのですが、もう死んでるんです。その彼が今、目を覚ましなさいなんて言ってます。私は今、とても身体の調子が悪くて・・・。でも、元気が出て来たみたいです。もう一度元気になって、女優の仕事が出来るようになるでしょうか」
博士「物質の世界での仕事はもう出来ません」
スピリット「したいのです。アルフレッドが色々と心配してくれるんだけど、彼はもう死んでるはずなのです」
博士「ご覧になって、死んだ人間のように見えますか」
スピリット「それが、とても元気そうに見えるのです。でも、私は夢を見ているのだろうと思ってました。おや、ジョンもいる!二人とも死んだはずなのに」
博士「あなたも死んでるんですよ」
スピリット「いつ死んだというのですか」
博士「少し前に」
スピリット「アルフレッドが、今はジョンと一緒に霊を目覚めさせる仕事をしているのだと言ってます。でも、あの二人はスピリットの存在なんか信じていなかったはずです。私は、死にたくありません」
博士「本当に死んでしまう人はいないのです」
スピリット「死にますとも。お医者さんは、私は元気な身体には戻れないと言うものですから、なんとかして生きてやろうと闘ってきました。生き続けたいのです。病気を克服して元気になりたいのです。美貌を失いたくないのです」
博士「これから『美しいスピリット』になることを心掛けないといけません」
スピリット「二人が、私を連れて行って悟りを見つけさせてあげたいと言っています」
博士「あのお二人も、このサークルに来て真理を見出したのです。ここに来るまでは霊的にとても貧しかったのですが、地上の生活よりはずっと美しい生活があることを理解してからは、とてもリッチになられましたよ」
スピリット「ここは何をなさるところですか。みんなが言うには、『真の生命の悟りへの門』だと言うのですが・・・。
(ドレスの違いに気づいて)このドレスはあたしには合ってないわね。(首と肩に手をやって)この首も顔も身体も、あたしのものじゃないわ。あの方達が言うには、あたしはまだ元気が足りないけど、一緒に来れば、素敵なところへ案内してくれるそうです。その前に学ばねばならないことが沢山あるそうです」
博士「『精神』とは何かということを真剣に考えてみたことがありますか」
スピリット「ありません。ただただ、美しい肢体を保つことばかりを考えておりました。だって、この美しさと演技力がなかったらファンは出来なかったし、生計も立てられなかったはずですもの。
わあ、沢山の人が集まっています。アルフレッドが、ここへ来たら知り合いの人達に会わせてあげると言ってました。それと、美しい家へと案内してあげると言ってました」
博士「そういう世界のことを、その人達は何と呼んでましたか」
スピリット「あたしは気に入らないのですけど、『霊界(スピリットワールド)』と呼んでいます。死後の世界の家なのだそうです。あたしは、霊的な目が開くまでは、地上から持ち越した習性を克服しないといけないのだそうです。アルフレッドが、あたし達は社交や自分の為ばかりに生きてきたので、その償いをしないといけないのだと言ってます。おいでと言ってくれてるのですが、元気がなくて行けません」
博士「病気だったのは肉体の方です。あなたにはもうその肉体はないのです」
スピリット「少し前よりは、元気になったみたいです」
博士「私の妻は霊媒でして、あなたはその妻の身体を使って喋っておられるのです。アルフレッドもジョンも、今のあなたのように、私の妻の身体で喋ったことがあるのです」
スピリット「節々が痛みます」
博士「それは、肉体ではなく、あなたの精神がそう感じているだけです。精神は肉体と別ものです。精神は目に見えないものです。あなたの姿も、私達には見えておりません。あなたは『目に見えない存在』となられたのです」
スピリット「(顔に触りながら)たしかに、これはあたしの顔ではありません。この体形も気に入りません。あたしは美しくないとー」
博士「これからは霊界において、人に役立つことをなさるのが義務なのです」
スピリット「皆さんがあたしに、一緒に来るように言ってます。あたしのことにたいそう関心をもってくださいました。節々の痛みも和らいできました。それにしても、皆さんは、あたしの知らない方達ばかりなのに、なぜあたしはここへ来ているのでしょうか。今夜、ここにいることの理由が分かりません」
博士「私どもは、人間は死後どうなるかについて知るために、色々と実験をしているところなのです。私の妻は霊媒でして、あなたは、その霊媒の身体を使って喋っておられるのです」
スピリット「アルフレッドが、もう行かないといけないと言ってます。あたしは、自分が死につつある夢を見て、絶対に死ぬものかと必死に抵抗しました。死にたくなかったものですから、全精神力を振り絞って、生き永らえようとしました。
そのうち、ある日、急に元気がなくなり、しばらく寝入りました。が、死にたくなかったので、また目を覚ましました。みんなは、あたしが死んだと思ったようですが、死んではいませんでした。寝入っただけだったのです。生命は大切ですので、どうしても生き続けたいと思ったのです。ですが、永い間病気がちで、ずいぶん苦しみました。
そのうち、また寝入ってしまい、今度はずいぶん永いこと眠りました。そして目が覚めてみると、辺りは真っ暗でした。何も見えないのです。闇また闇の世界です。明かりは一つも見えないのです。動転しました。辺りは闇ばかりなのです。
そのうちまた、寝入ったらしいのです。そして、その夢の中でアルフレッドとジョンがやってきて、『アンナ、起きなさい!助けに来てあげたよ。一緒においで。さあ、おいで』と言うのです。
その言葉で目が覚めかけたのですが、あまりに元気がなく、とても一緒に行けそうにありませんでした。が、二人は『新しい身体が頂けるところへ案内してあげるから、おいで。元気になるよ。もっともっと美しい世界へ行こうよ』と言ってくれました。
それで、ここへ来たのです。今はすっかり元気になりました。どうなのでしょう、もう痛みは出ないのでしょうか。とても辛かったです」
博士「アルフレッドとジョンは、今も昔と変わりませんか」
スピリット「いえ、昔とはすっかり違います。とても真剣な表情をしています。あまり真剣なので、別人のような感じすらします。昔より若返ったように見えるのに、人間的には昔よりしっかりしているように見えます。昔みたいに『ねえ、遊びに行かない?』なんて言わなくなりました。
ファンがちやほやしてくれる間は、生きてるのが楽しかったのですが、それは結局自惚れていたわけで、それが健康を害する元になりました。美貌を保つ為に食べ過ぎないように、飲み過ぎないように、肉を取り過ぎないようにーそう思ったわけです。要するに、奇麗だ、奇麗だと言われたい一心だったのです。
お医者さんは、着飾ろうとする気持ちがそうまで強くなかったら、病気にはならなかったはずだと言ってました。が、そんな忠告には耳を貸しませんでした。しっかり食事を摂るように言われても、やはり美しい肢体を保つ為には、毎日マッサージと入浴を欠かさないようにして、食事を制限するしかありません。それで栄養失調になってしまったのです。
暗闇の中にいる時にアルフレッドがやってきて、『さ、そんな美貌や自惚れよりも、もっともっと素晴らしいものを見せてあげるから、おいでよ。そんなものは陽炎みたいなものさ。さ、来るんだ。本当に美しくなる方法を教えてあげるよ。人の為に役立つことをして、自分を忘れ、わがままを無くすことさ』と言ってくれました。
あたしもそうしなきゃならないのかも知れませんね」
ここでアンナは、突如として霊媒から離れた。そして、まる二年後に再び出現して、その後の回復ぶりについて語っている。
1918年9月8日
スピリット=アンナ・H
スピリット「水を!水をください!(水を与えると、ごくごくと飲んだ)ありがとう!ずっと病気をしていて、まだ元気が出ません。どの医者に診てもらっても、どこが悪いのか分からないのです。安静にしてなさいと言うだけで・・・脚と腰がとても痛みます」
博士「痛みを取ってあげましょう」(と言って霊媒の両脚をもむ仕草をする)
スピリット「あまり無茶に扱わないでください。美しい体形を損ないたくありませんので。もう一度元気になって、女優の仕事に戻りたいのです。ずっと病気がちで、なかなか元気になれません」
博士「お名前は?」
スピリット「アンナ・Hです」
博士「ロサンゼルスには、どうやって来られたのですか」
スピリット「ここはロサンゼルスではありません。ニューヨークです」
博士「どなたの案内で来られましたか」
スピリット「夢だろうと思うのですが、アルフレッドが来て話しかけたのです。私のファンだったのですが、もう死んでるんです。その彼が今、目を覚ましなさいなんて言ってます。私は今、とても身体の調子が悪くて・・・。でも、元気が出て来たみたいです。もう一度元気になって、女優の仕事が出来るようになるでしょうか」
博士「物質の世界での仕事はもう出来ません」
スピリット「したいのです。アルフレッドが色々と心配してくれるんだけど、彼はもう死んでるはずなのです」
博士「ご覧になって、死んだ人間のように見えますか」
スピリット「それが、とても元気そうに見えるのです。でも、私は夢を見ているのだろうと思ってました。おや、ジョンもいる!二人とも死んだはずなのに」
博士「あなたも死んでるんですよ」
スピリット「いつ死んだというのですか」
博士「少し前に」
スピリット「アルフレッドが、今はジョンと一緒に霊を目覚めさせる仕事をしているのだと言ってます。でも、あの二人はスピリットの存在なんか信じていなかったはずです。私は、死にたくありません」
博士「本当に死んでしまう人はいないのです」
スピリット「死にますとも。お医者さんは、私は元気な身体には戻れないと言うものですから、なんとかして生きてやろうと闘ってきました。生き続けたいのです。病気を克服して元気になりたいのです。美貌を失いたくないのです」
博士「これから『美しいスピリット』になることを心掛けないといけません」
スピリット「二人が、私を連れて行って悟りを見つけさせてあげたいと言っています」
博士「あのお二人も、このサークルに来て真理を見出したのです。ここに来るまでは霊的にとても貧しかったのですが、地上の生活よりはずっと美しい生活があることを理解してからは、とてもリッチになられましたよ」
スピリット「ここは何をなさるところですか。みんなが言うには、『真の生命の悟りへの門』だと言うのですが・・・。
(ドレスの違いに気づいて)このドレスはあたしには合ってないわね。(首と肩に手をやって)この首も顔も身体も、あたしのものじゃないわ。あの方達が言うには、あたしはまだ元気が足りないけど、一緒に来れば、素敵なところへ案内してくれるそうです。その前に学ばねばならないことが沢山あるそうです」
博士「『精神』とは何かということを真剣に考えてみたことがありますか」
スピリット「ありません。ただただ、美しい肢体を保つことばかりを考えておりました。だって、この美しさと演技力がなかったらファンは出来なかったし、生計も立てられなかったはずですもの。
わあ、沢山の人が集まっています。アルフレッドが、ここへ来たら知り合いの人達に会わせてあげると言ってました。それと、美しい家へと案内してあげると言ってました」
博士「そういう世界のことを、その人達は何と呼んでましたか」
スピリット「あたしは気に入らないのですけど、『霊界(スピリットワールド)』と呼んでいます。死後の世界の家なのだそうです。あたしは、霊的な目が開くまでは、地上から持ち越した習性を克服しないといけないのだそうです。アルフレッドが、あたし達は社交や自分の為ばかりに生きてきたので、その償いをしないといけないのだと言ってます。おいでと言ってくれてるのですが、元気がなくて行けません」
博士「病気だったのは肉体の方です。あなたにはもうその肉体はないのです」
スピリット「少し前よりは、元気になったみたいです」
博士「私の妻は霊媒でして、あなたはその妻の身体を使って喋っておられるのです。アルフレッドもジョンも、今のあなたのように、私の妻の身体で喋ったことがあるのです」
スピリット「節々が痛みます」
博士「それは、肉体ではなく、あなたの精神がそう感じているだけです。精神は肉体と別ものです。精神は目に見えないものです。あなたの姿も、私達には見えておりません。あなたは『目に見えない存在』となられたのです」
スピリット「(顔に触りながら)たしかに、これはあたしの顔ではありません。この体形も気に入りません。あたしは美しくないとー」
博士「これからは霊界において、人に役立つことをなさるのが義務なのです」
スピリット「皆さんがあたしに、一緒に来るように言ってます。あたしのことにたいそう関心をもってくださいました。節々の痛みも和らいできました。それにしても、皆さんは、あたしの知らない方達ばかりなのに、なぜあたしはここへ来ているのでしょうか。今夜、ここにいることの理由が分かりません」
博士「私どもは、人間は死後どうなるかについて知るために、色々と実験をしているところなのです。私の妻は霊媒でして、あなたは、その霊媒の身体を使って喋っておられるのです」
スピリット「アルフレッドが、もう行かないといけないと言ってます。あたしは、自分が死につつある夢を見て、絶対に死ぬものかと必死に抵抗しました。死にたくなかったものですから、全精神力を振り絞って、生き永らえようとしました。
そのうち、ある日、急に元気がなくなり、しばらく寝入りました。が、死にたくなかったので、また目を覚ましました。みんなは、あたしが死んだと思ったようですが、死んではいませんでした。寝入っただけだったのです。生命は大切ですので、どうしても生き続けたいと思ったのです。ですが、永い間病気がちで、ずいぶん苦しみました。
そのうち、また寝入ってしまい、今度はずいぶん永いこと眠りました。そして目が覚めてみると、辺りは真っ暗でした。何も見えないのです。闇また闇の世界です。明かりは一つも見えないのです。動転しました。辺りは闇ばかりなのです。
そのうちまた、寝入ったらしいのです。そして、その夢の中でアルフレッドとジョンがやってきて、『アンナ、起きなさい!助けに来てあげたよ。一緒においで。さあ、おいで』と言うのです。
その言葉で目が覚めかけたのですが、あまりに元気がなく、とても一緒に行けそうにありませんでした。が、二人は『新しい身体が頂けるところへ案内してあげるから、おいで。元気になるよ。もっともっと美しい世界へ行こうよ』と言ってくれました。
それで、ここへ来たのです。今はすっかり元気になりました。どうなのでしょう、もう痛みは出ないのでしょうか。とても辛かったです」
博士「アルフレッドとジョンは、今も昔と変わりませんか」
スピリット「いえ、昔とはすっかり違います。とても真剣な表情をしています。あまり真剣なので、別人のような感じすらします。昔より若返ったように見えるのに、人間的には昔よりしっかりしているように見えます。昔みたいに『ねえ、遊びに行かない?』なんて言わなくなりました。
ファンがちやほやしてくれる間は、生きてるのが楽しかったのですが、それは結局自惚れていたわけで、それが健康を害する元になりました。美貌を保つ為に食べ過ぎないように、飲み過ぎないように、肉を取り過ぎないようにーそう思ったわけです。要するに、奇麗だ、奇麗だと言われたい一心だったのです。
お医者さんは、着飾ろうとする気持ちがそうまで強くなかったら、病気にはならなかったはずだと言ってました。が、そんな忠告には耳を貸しませんでした。しっかり食事を摂るように言われても、やはり美しい肢体を保つ為には、毎日マッサージと入浴を欠かさないようにして、食事を制限するしかありません。それで栄養失調になってしまったのです。
暗闇の中にいる時にアルフレッドがやってきて、『さ、そんな美貌や自惚れよりも、もっともっと素晴らしいものを見せてあげるから、おいでよ。そんなものは陽炎みたいなものさ。さ、来るんだ。本当に美しくなる方法を教えてあげるよ。人の為に役立つことをして、自分を忘れ、わがままを無くすことさ』と言ってくれました。
あたしもそうしなきゃならないのかも知れませんね」
ここでアンナは、突如として霊媒から離れた。そして、まる二年後に再び出現して、その後の回復ぶりについて語っている。