患者に霊聴能力がある場合は、憑依霊の声がひっきりなしに聞こえるので、それによる苦痛も伴うことになる(いわゆる『幻聴』は精神科医もよく観察していることである)。そういう患者が交霊会に出席して憑依霊が霊媒へ移されると、興味深い現象が生じる。
 その一例として、バートン夫人のケースを紹介しよう。この夫人は霊聴能力があり、そのために憑依霊と絶えず口喧嘩をすることになったが、我々のサークルに出席しているうちに、その有り難からぬ仲間(五名)から解放された。その憑依霊達の性格は、次に掲げる記録によって明瞭に把握できるであろう。



 スピリット=キャリー・ハッチントン
 患者=バートン夫人
 霊媒=ウィックランド夫人
 質問者=ウィックランド博士


博士「お名前を教えてください」
スピリット「手を押さえつけないでくださいよ」
博士「じっとしてないといけません」
スピリット「なぜそんなに手荒なことをするのですか」
博士「名前をおっしゃってください」
スピリット「なぜそんなことが知りたいのですか」
博士「あなたは初めてここへおいでになられた。それで、お名前を知りたいのです」
スピリット「知ってどうなさろうというのです?」
博士「話をする相手が誰であるかを知りたいだけです。あなただって、もしも見ず知らずの人が訪ねてきたら、名前を知りたいとは思いませんか」
スピリット「私はこんなところにいたくありません。あなた達の誰一人として知らないのですから。誰かが私をここへ押し込めたのです。あんな手荒なことをするなんて・・・・入ってきて椅子に腰掛けたら、今度はあなたがまるで囚人のように私の両手をつかむのですから・・・・。なぜこんなところへ押し込めるのですか(マーシーバンドによってウィックランド夫人の身体に乗り移らせられたこと)」
博士「あなたは多分、暗いところにいらしたのでしょう?」
スピリット「誰かに無理矢理ここへ連れて来られたみたい」
博士「それには何かワケがあったんでしょ?」
スピリット「わけなんか知りませんよ。あんな酷い目に遭わされないといけないわけなんか、身に覚えはありません」
博士「なぜそういう扱いをするのか、そのわけは聞かされなかったのですか」
スピリット「その扱いの酷さといったら、ありませんでしたよ。もう死ぬかと思いましたよ。あっちへこっちへ、いたるところへ追いまくられどおしで・・・・。あんまり酷いので、もう腹が立って腹が立って、八つ当たり気分ですよ」
博士「その人達は、あなたにどんなことをしたというのですか」
スピリット「それが、実に恐ろしいのです。私が歩き回ると、酷い目に遭うのです。何だかよく分からないのですが、時には私の全神経が叩き出されるような感じなのです。まるで雷と稲妻に襲われたみたいな時もあります(静電気のよる反応)。それはそれは凄い音です。あの凄い音ーああ、怖い!私はもう我慢できないわ。これから先もあんな目に遭うのは、真っ平ごめんだわ!」
博士「真っ平ごめんと思って頂けるのは、私達にとっては有り難いことです」
スピリット「私は招かれざる客ってわけなの?それならそれで結構よ!」
博士「あなただけ特別というわけではないのですがね」
スピリット「これまで辛い事ばかりでした」
博士「亡くなられてどれくらいになりますか」
スピリット「それはいったい、どういう意味ですか?私は死んでなんかいません。この通りピンピンしております。むしろ若返ったみたいです」
博士「なんだか他人になったような感じがしたことはありませんか」
スピリット「時折妙な気分になることはあります。特に例のものが私を打ちのめす時に。嫌な気分です。こんな苦しみに遭ういわれはないはずです。なぜだか分からないのです」
博士「多分それがあなたにとって必要だからでしょう」
スピリット「好きな時に好きな所へ行けて良いはずなのに、なんだか自分の意志がなくなったみたいです。行こうとしてみるのですが、すぐに誰かが私を捕まえて、ある場所へ押し込め、そこで気を失いかけるほど打ちのめすのです。そうと知っていれば行かないのですが、なんだか私を好きに連れ回す権利をもった人物がいるみたいです(患者のこと)。でも、私の方こそ、その人物を連れ回す権利があるはずだと思うのです」
博士「その女の人とは、一体どういう関わりがあるのですか。あなたはあなたの生き方をするというわけにはいかないのですか」
スピリット「私はそのつもりで生きているのですが、その女性が私の邪魔をするのです。それで私が叱ると、逆に私を追い出そうとするのです。私もその人を追い出そうとします。そんな調子で、大変な取っ組み合いになるのです。私にだってそこにいる権利があるはずなのに、なぜいけないのかが分からないのです」
博士「多分あなたの方が、その人の邪魔をしているのでしょうね」
スピリット「その人はすぐ私を追い出そうとするのです。私は何も迷惑なんかかけていないはずなのに・・・・。ただ、時たま話しかけるだけなのです」
博士「話しかけるのが通じてますか」
スピリット「時たま通じるみたいです。通じるとすぐさま私を追い出そうとするのです。なかなか礼儀正しい方なのですが、カッとなるところがあって・・・・。カッとなると、すぐ例のところへ行くものだから、私は気が遠くなるほど酷い目に遭うのです。とても怖くて・・・・。私の方からその人を連れ出す力はありません。その人の方から私を追い出そうとしているのです」
博士「あなたは、その方につきまとわない方がいいですよ」
スピリット「だって、私の身体なんですからね。あの人のものではありません。あの方にはそこに居座る権利はありません。なぜ私の邪魔をするのかが分からないのです」
博士「あなたの自分勝手な振る舞いに抵抗しているのでしょうよ」
スピリット「私にも生きる権利があるはずですーそうですとも」
博士「あなたは自分が死んだことに気づかないで、これまでずっと一人の女性に取り憑いていたのです。あなたはスピリットの世界へ行くべきで、こんなところをうろついていてはいけません」
スピリット「私がうろついているとおっしゃるんですか?そんなことはありません。誰にも迷惑はかけてはおりません。ただ、少しばかり喋りたいことがあって・・・」
博士「それが『雷』や『酷い目』に遭う原因なのです」
スピリット「最初の頃はなんとか我慢できましたが、最近はとても酷くて・・・・。どうしてこんなことになったのか、少し考えないと・・・」
博士「今、それが分かりますよ」
スピリット「あんな怖いものを止めにしてくれるのなら何でもやります」
バートン夫人「(自分を悩ませていたのは、この霊であることを確認して)私もあなたにうんざりですよ。どなたです、あなたは?」
スピリット「赤の他人ですよ」
バートン夫人「お名前は何とおっしゃるのですか」
スピリット「私の名前?」
バートン夫人「あなたにも名前があるでしょう?」
スピリット「キャリーです」
バートン夫人「キャリー・何とおっしゃいます?」
スピリット「キャリー・ハッチントン」
バートン夫人「どこにお住まいでしたか」
スピリット「テキサス州のサンアントニオ」
バートン夫人「すると、ずいぶん前から私に憑いていたのね」(バートン夫人は永いことサンアントニオに住んでいた)
スピリット「あなたの方こそ私に永い間つきまとってるじゃないの。なぜそんなに私の邪魔をするのか、それだけが知りたいわね。今の私には、あなたの姿がはっきり見えるわ」
バートン夫人「何という通りに住んでましたか」
スピリット「あちらこちらを転々としたわ」
博士「あなたはもう肉体を失っておられるのですが、そのことが実感できませんかね。ずっと病気をなさっていたことは覚えてますか」
スピリット「最後に記憶しているのはエル・パソに住んでいたことです。それ以後のことは何一つ記憶にありません。エル・パソに行ったことまでは覚えておりますが、そこを離れたという記憶はございません。どうやら今もエル・パソにいるみたいです。ある日、大病を患ったことを覚えています」
博士「おそらく、その病気でお亡くなりになったのですよ」
スピリット「エル・パソのあと、どこへ行ったかは知りません。かなり遠くまで行きました。列車で行きましたが、なんだか自分が空っぽになったみたいでした。誰一人話しかけてくれず、私はただその夫人(バートン)のあとを召使いみたいに付いて回りました。不愉快でなりませんでしたけどね」
バートン夫人「あなたはその間ずっと歌い通しだったので、私は気が狂いそうでしたよ」
スピリット「だって、あなたは私の言うことを一つも聞こうとしないから、注意を引くためにはそうでもするほかなかったのですよ。あなたが列車に乗るものだから、私は家からも家族からも遠く離されてしまい、それが辛かったのです。お分かりかしら、この気持ち?」
バートン夫人「あなたの方こそ私の気持ちを理解していないのよ」
博士「ご自分の身の上に何が起きたか、お気づきになりませんか」
スピリット「あの雷みたいなものだけは、もうご免です。私は退散しますよ」
博士「ご自分の身の上をよく理解してください。あなたは今はスピリットとなり、愚かにも人間に取り憑いているのです。あなたにはもう肉体はないということを悟りなさい。おそらくあなたは、重病になられた時にそのまま死なれたのです」
スピリット「幽霊と話が出来るのかしら?」
博士「実際にあることです」
スピリット「私は幽霊なんかじゃありません。だって幽霊じゃ喋れないじゃないの。死んだのなら、その辺に転がっているはずよ」
博士「死ねば肉体はその場に転がっていますよ。しかしスピリットは転がってはいません」
スピリット「スピリットは神のもとへ戻ります」
博士「その神というのはどこにいるのでしょう?」
スピリット「天国です」
博士「天国はどこにあるのでしょう?」
スピリット「イエスさまがいらっしゃるところです」
博士「バイブルには『神は愛なり。愛の中に住める者は神の中に住めるなり』とありますが、その神はどこにいるのでしょう?」
スピリット「天国でしょうよ。とにかく、そういう難しいことは私何も知りません。ただ、あの雷みたいな衝撃のために私が地獄のような苦しみを味わっていることだけは確かです。私にとって何の役にも立っていません。真っ平ご免です」
博士「だったら、この夫人に近づかないことです」
スピリット「今その人の姿がよく見えます。ちゃんとした会話が出来ます」
博士「でしょ?でも、これが最後となることでしょうね」
スピリット「どうしてですか」
博士「この場を離れたら、ご自分が別の人間の身体を使って話していたことに気づかれますよ。その別の人間というのは私の妻のことです」
スピリット「ご冗談を!あなたのことをもう少しは物分かりのいい方と思ってましたが・・・・」
博士「突拍子もないことに思えるのも無理はありませんが、でも、この手をご覧なさい。間違いなく自分の手ですか」
スピリット「私の手ではなさそうですが、このところ変なことばかり起きているものですから、頭の中がこんがらがってるんです。あの婦人のすることは気狂いじみているのです。私はそれに振り回されて、一体何をしようとしているのか、なぜそんなことをするのか、そればっかり考えているのです」
博士「あなたが出て行ってくれれば彼女は喜びますよ」
バートン夫人「キャリーさん、年齢はいくつですか」
スピリット「女性は年齢を言いたがらないことぐらい、あなたもご存知でしょう?」
博士「ことに未婚の方はね」
スピリット「どうかそれだけはご勘弁を。適当に想像なさってください。私の口からは申しませんから」
博士「ご結婚はなさいましたか」
スピリット「ええ、ある男性と結婚しましたが、好きになれませんでした」
博士「その方の名前は?」
スピリット「それは言えません。絶対に口にしたくありません。彼の姓を名乗りたくもありません。私の名はキャリー・ハッチントンーこれが私の本名であり、彼の姓は使いたくありません」
博士「ところで、霊界へ行きたいとは思いませんか」
スピリット「なんという馬鹿げた質問ですこと!」
博士「あなたには馬鹿げたことに思えるかもしれませんが、霊界は実際にあるのです。霊的なことは人間の常識ではバカバカしく思えるもののようですが、実はあなたはもう肉体をなくしてしらっしゃるのです」
スピリット「なくしてなんかいるものですか。私はずっとこの婦人と一緒に行動しているのですが、私の気に食わないことが一つだけあります。それは、食べ過ぎるということで、もりもり食べて元気をつけるものだから、私は力で敵わなくなるのよ。私のしたいように出来ないということです。
(バートン夫人に向かって)あなた、少し食べる量を減らしてよ。私はいつもあれは食べるな、これは食べるなと言ってるのに、あなたはちっとも感づいてないわね。聞こうともしないのだから・・・・」
バートン夫人「私が行きなさいと言っていたのは、ここのことですよ。でもあなたは、どうしても一人では行こうとしなかったわね」
スピリット「分かってますよ。でもあなたは、私をこんな雷の鳴る場所へ連れてくる権利などありませんからね。あんな酷い目に遭うんだったら、一緒になんかいたくないわ」
博士「雷の仕掛けは隣の部屋にあるのですが、少し掛けてあげましょうか」
スピリット「いえ、結構です。もうたくさんです」
博士「だったら、私の言うことをよく聞きなさいよ。言う通りになされば、あんなものは必要ないのですから。いいですか、あなたは何も知らずにいるスピリットなのです。今、置かれている事情を知らないという意味です。あなたはもう肉体を失ったのです。ご自分では気がついていないようですが・・・」
スピリット「そんなことが、あなたにどうして分かるのです?」
博士「あなたは今、私の妻の身体を使って喋っているのですよ」
スピリット「私はこれまで一度もあなたにお目にかかったことがないのですよ。その私があなたの妻だなんて、そんな馬鹿なことがこの広い世の中に有り得ますか。冗談じゃないわ?」
博士「私もそれはご免こうむりますよ」
スピリット「こちらこそ!」
博士「実はこれ以上、私の妻の身体を使って頂くと困るのです。あなたはもう肉体がなくなっていることを悟らないといけません。この手(ウィックランド夫人の手)をご覧なさい。ご自分のものだと思われますか」
スピリット「近頃私の身の上に色々と変化があったものですから、頭が変になりそうなのです。もう、うんざりですわ」
博士「これ!キャリー、いい加減に目を覚ましなさい」
スピリット「私はちゃんと目を覚ましてますよ。そんな言い方は止めてください。さもないと、あなたの聞いたこともないことをある人に言わせてやりますからね」
博士「これ、キャリー!」
スピリット「私はミス・キャリー・ハッチントンでございます」
バートン夫人「キャリー、先生のおっしゃることをよくお聞きなさい」
スピリット「私は誰の言うことも聞く気はありません。きっぱりそう申し上げておきます。あの人になったりこの人になったり。もうこの先どうなっても平気です」
博士「今、あなたは、私の妻の身体を使って喋っていることをご存知ですか」
スピリット「馬鹿なことをおっしゃい!そんな気狂いじみた話は聞いたことがないわ!」
博士「そろそろ分別心を働かせないといけません」
スピリット「分別心?私は立派な分別心をもっておりますけど・・・・。では、あなたは完璧な人間ですか」
博士「もちろん完璧ではありません。私が言ってるのは、あなたはもうスピリットとなっているのに、そのことを理解せずに、身勝手なことをしているということです。あのご婦人をずっと苦しめていらっしゃるのです。それで、例の『雷』を使ってあなたを追い出したわけです。あなたが認めようが認めまいが、今はもうあなたはスピリットなのです。その事実についてあなたは無知でいらっしゃる。素直に言うことを聞かないと、隣の治療室へ連れてって、またあの『雷』を見舞いますよ」
スピリット「あれはもう勘弁してください」
博士「だったら、その態度を改めなさい。生命に死は無いー肉体を失っても人間の目に見えなくなるにすぎないことを、素直に理解しなさい。(あなたからは私達が見えても)私達からは、あなたは見えてないのですよ」
スピリット「私はお二人とは何の関係もございませんので・・・・」
博士「私達はあなたの力になってあげたいのです。なんとかして今の身の上の真実を分からせてあげたいと思っているのです」
スピリット「お力添えは無用ですよ」
博士「どうしても言うことを聞かないとなったら、高級霊の方達に連れて行って頂いて、牢に入れてもらいますよ」
スピリット「私に脅しをかけるつもりなのね!そんなことをしたら、あなたこそ酷い目に遭いますよ。覚えてらっしゃい!」
博士「その意固地な態度を改めなさい。あたりをご覧なさい。あなたに気づいてもらおうと思っている人が目に入るでしょう?その人を見たらあなたは泣き出すでしょうよ」
スピリット「私が泣いたりなんかするものですか。反対に歌い出しちゃいますよ」
博士「お母さんは、今どこにいますか」
スピリット「永いこと会っておりません。え、母ですか?ああ、母ね!母ならもう天国へ行ってますよ。立派な女でしたからね。今頃は神と聖霊と、その他もろもろの人達と一緒にいることでしょうよ」
博士「あたりを見回してご覧なさい。そのお母さんがいらっしゃいませんか」
スピリット「ここは天国じゃありませんよ。とんでもない!もしもここが天国だったら、地獄より酷いところですよ」
博士「お母さんを探し出すことです。今のあなたの恥ずべき状態を聞かせてくれますよ」
スピリット「私は何も恥ずべきことはやっておりません。一体なぜ私にあんな雷なんか落としたり牢へ入れたりなさるんです?私はそこのご婦人と話し合って取り決めたことがあるのです」
博士「この方は私のところへ来られて、あなたを取り除くための取り決めをなさったのです。そこで電気仕掛けで、あなたをこの方の身体が追い出したというわけです。もうこの方はあなたの仲間ではありません」
スピリット「そうね、みんなしばらく私から離れちゃったわね(憑依霊のこと)。見当たりませんもの。あの背の高い男をなぜ追い出したのですか」
博士「それは、自分の身体が大事だからですよ。地縛霊に苦しめられたくはありませんもの。あの連中と一緒がいいのですか」
スピリット「あなたのおっしゃってることの意味が分かりません」
博士「あなたはご自分がこの婦人を悩まし、地獄のような毎日を送られていたことがお分かりになりませんか」
スピリット「(バートン夫人に向かって)私はあんたを悩ませてなんかいませんよ」
バートン夫人「今朝だって私を三時に起こしたじゃありませんか」
スピリット「あなたに寝る資格はないわよ」
博士「あなたはあなたなりの生き方をしなきゃダメです」
スピリット「そうしてるつもりです」
博士「言うことを聞かないと暗い牢の中で暮らすことになりますよ」
スピリット「どうしてそんなことが言えるのよ?」
博士「あなたに、いつまでもそのままでいてくれては困るのです。もっと素直になって助けを求めた方が身の為ですよ。私は妻と共にこの仕事を何年もやってきました。妻はこうやっていろんな性格のスピリットに身体を使わせてあげて救ってあげているのです」
スピリット「(皮肉っぽく)まあ、立派な奥さんですこと!」
博士「恥を知ることも大切です。いかがです、お母さんの姿が見えませんか」
スピリット「見たいとも思いませんね。天国から呼び戻すこともないでしょう」
博士「天国というのは、『幸せである状態』のことですから、あなたのような娘がいては、お母さんも天国なんかにいる心地はしないでしょうー幸せにはなり切れないでしょう。いかがです、もしもあなたが天国にいて、地上に一人の娘がいて、その娘が今のあなたのような状態でいるとしたら、あなた平気でいられますかね」
スピリット「私はへそ曲がりではありません!私のどこがいけないというのですか。おっしゃってください!」
博士「それはもう言いました。あなたは私の妻の身体に取り憑いているのです」
スピリット「私にどうしてそんなマネが出来るというのです?」
博士「物質の法則を超えた霊的な法則があるのです。そして今はもうあなたは一個のスピリットなのです。スピリットや精神は肉眼では見えないものです。あなたはわがままで、物事を理解しようとなさらないけど・・・・」
スピリット「ここは天国なんかじゃありません」
博士「ここはカリフォルニアのロサンゼルスです」
スピリット「お願いだから冗談はやめてよ!私はどうやってここに来たのかしら?」
博士「こちらの婦人に取り憑いてきたのです。そういうわけです。おかげでこの方は、あなたを取り除くために、あの雷を受ける羽目になったのです」
スピリット「お馬鹿さんですね、そんなマネをするなんて」
博士「なんとしてもあなたに離れてもらいたい一心からなのです。なんとしても離させるでしょうよ」
スピリット「あの雷だけはもうご免こうむります」
博士「素直に言うことを聞かないと、高級霊の方達があなたの嫌がるものをお見せしますよ」
スピリット「(ある幻影に怯えて)それだけは止めて!」
博士「お望みではなくても、こうするしかありません」
スピリット「そんなのないわ!」

どうしても理解させることが出来ないので、このスピリットはマーシーバンドに引き取ってもらった。