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自殺してはならない理由


 心霊治療家のゴードン・ターナー氏は病気治療だけでなく、英国心霊治療家連盟の推進者としても有名である。助手のジョー・プリンス(女性)を伴って初めてシルバーバーチを訪れた時の感動は一通りでなかった。シルバーバーチが二人にこう語りかけた。

 「私が永い間地上世界の仕事に携わってきて何よりも嬉しいのは、霊の僕として働いている同志をここへお招きすることです。あなた方がどうしても辿らねばならない地上生活のパターンというものがあることは私はよく承知しております。外部の世界とは無縁の心の痛み、苦難、苦痛、その他諸々の複雑な感情があることもよく存じております。支払わねばならない代償があることも存じております。それが時には精神的並びに霊的に十字架を背負わされることになることがあります。
 しかし、それが霊的進化の道なのです。その道での褒賞を得るには奮闘努力しかなく、近道はなく、真の向上の一歩一歩が絶対に後戻りを許されない確固たるものでなければならないのです。もしも気楽な人生を望まれるなら、最早その人生では他人の為に自分を役立てることは出来ません。魂が自我に目覚め、意図された通りに霊的資質を開発し、縁あってあなたの下を訪れる人々がその天賦の才能によって恩恵を受けるようになるには、刻苦と苦難と修養と節制の生活しかないのです。
 しかし人生には必ず両面があります。陰気で重苦しい、救い難い闇ばかりではありません。光があれば影があり、寒さがあれば温かさがあり、嵐があれば日和があります。そうでないと進歩は得られません。魂が目覚め、霊の隠れた能力と内的な美質が発揮されればされる程、それだけ神との調和が緊密となってまいります。
 因果律による当然の結果としての報酬があるということです。それは、いかに石ころだらけで障害が大きく思えても、その道は間違いなく自分に約束された道であり必ずや成就されるという、内的な確信です。
 あなた方は自分が成就しつつあることを測定することが出来ません。地上には魂の成長と霊的成就の結果を測定する器具も装置もありません。しかし、あなた方は暗闇にいる魂に光をもたらしておられます。飢えと渇きに苦しむ魂に霊的な食べ物と飲み物を用意してあげておられます。真の健康を見出す好機を用意された身体と精神と霊に神の力、すなわち生命力そのものを授けておられます。素晴らしい仕事です。しかし同時に大変責任のある仕事でもあります。霊的才能はそう簡単に人間に授けられているのではありません。神からの才能の保管者であるということは、それだけ責任が重いということでもあるのです。
 悲しいかな、あなたが関わっておられるのは人間という気紛れな存在の集まりです。時には最も緊密な味方であるべき人が最大の敵に回ったりすることがあります。同じ目的、同じ大義によって団結すべき人達の中にあってすら、摩擦と誤解の犠牲となることがあります。が、たとえ全ての人間が同じ仕事に従事していても、たった一つの視点から眺めるということは、所詮、無理なのです。
 他人がどう言っているか、どう考えているか、どうしようとしているか、それはあなたには関係ないことです。大切なのはあなた自身が何を述べ、何を考え、何をするかです。神はあなたに他人の行為や言葉や思想にまで責任は取らせません。あなたの責任は、あなたに啓示されたものに照らして生きることです。光が大きければ、それだけ責任も大きくなります。この神の規約には免除条項というものはありません。
 病気の人があなたの下を訪れた時、その人は霊的に重大局面を迎えていると考えてください。その人はギリギリの決断を迫られているのです。転換期に来ているのです。霊的存在としての本来の生き方を開始するチャンスを目の前にしているのです。病気というのは霊的理解力をもたらす為の手段の一つなのです。そこでもしもあなたが身体の病気は治せても霊的自覚を促すことが出来なかったら、あなたの責任ではないにしても、その治療は失敗だったことになります。が、もしも魂に感動を覚えさせることが出来たら、もしも霊的意識に目覚めさせることに成功したら、あなたは医師にも牧師にも科学者にも哲学者にも出来ないことをなさったことになります。
 内部の神性の種が芽を出す、そのきっかけを与えたことになります。神性が芽を出せば、魂が霊力の援助を得て顕現を開始し、真の自我を成就してまいります。訪れる人の全てを救ってあげられないからといって落胆なさってはいけません。あなたの下を訪れたということは、その人にとっての好機が訪れたということです。あなたはあなたなりのご自分を役立てることに専念なさっておればよろしい」

 《治療家と患者とがそうした方がよいと思うのであれば、時間を定めて遠隔治療を行うことは可能です。しかし、治療能力が発達して一段と高い次元に到達すれば、それも不要となります。治療霊団との連絡がしっかりと出来上がります。そうなると、いつでも精神を統一して自我を引っ込め、代わって治癒エネルギーを流入させることが出来ます。その考えに反対するわけではありませんが、例えば十時なら十時にしか治癒エネルギーが届けられないとすると、一つの制約を設けることになるのです》
 シルバーバーチ

 ケネス・バニスター氏はメキシコで心霊治療とスピリチュアリズムの普及活動に献身している有能なスピリチュアリストである。そのバニスター氏がブラジルとフィリピンで盛んに行われている〝心霊手術〟について一連の質問をした。その問答の様子を紹介する。

-心霊治療がどこまで功を奏するかは患者の霊的発達程度、カルマ、その他諸々の要素が絡んでおりますが、ブラジルとフィリピンで行われている外科的な〝手術〟の場合はどうなのでしょうか。

 「それも全て自然の摂理としての因果律の規制を受けます。魂に受け入れ準備が整えばその人は治療してくれる人との縁が出来るように導かれていきます。そこでもしも治るべき段階に来ていれば治療は速効的に成功します。しかし、どういう形での治療であろうと、例えば腫瘍が取れて楽になったとしても、それだけで自動的に霊性が目覚めることになるわけではありません。霊的にその治療を受け入れる段階にまで到達したというまでのことです。それは同時に内部の神性の火花が大きな炎と燃え上がる、その点火の絶好機でもあるということです。
 ですから、心霊治療には二つの大切な要素が働いております。一つは、患者が霊的治療を受け入れる準備が整ったということ。それで治療を施す人の所へ導かれて来たわけです。もう一つは、奇跡的な治癒体験によって霊的自我が目を覚まし、霊的意識の光の中で生きるようになる、その絶好機が訪れているということです。もしも霊的自我が目を覚まさなかったら、身体的な治癒は成功しても霊的には失敗だったことになります」

-その治癒が所謂心霊手術によって行われるのは好ましいことでしょうか。

 「〝その果によりて樹を知るべし〟(マタイ)です。霊力の発現は〝時〟と〝場所〟による制約を受けます。霊媒現象の演出と霊力の顕現は全て一つの計画に基づく協力態勢での働きかけの一環なのです。
 それは基本的にはそれが適用される民族の身体的、精神的、並びに霊的必要性に合わせて行われます。気候、教育程度、社会環境、理解力を考慮して、最も適切な形を取らねばなりません」

-心霊手術がブラジルとフィリピンだけで行われて、イギリスで行われないのはなぜでしょうか。

 「霊的風土が異なるからです。精神的環境が異なるからです。繊細な霊的影響力に反応しない精神構造には、見た目に派手につくやり方が要求されるのです。そのことはこのイギリスでも百年ばかり前は霊的なことの理解に物理的心霊現象を必要としたのと似ています。
 今のイギリスにはもう必要ではありません。が、教育水準、文化の程度、価値基準が大きく異なる国においては今でも必要です。そこに住む人間の程度に合わさなくてはならないのです」

-でも、イギリスにもこのタイプの手術をしてもらいたがっていながらそれが叶えられずにいる人が非常に沢山おります。気候というのはそんなに大切な要素なのでしょうか。

 「イギリスの大気よりも伝導性が高いという点において、気候が関係していると言えます。が、それが全てではありません。イギリス人には根本的に合わないという点から言えば、霊的なものも関係しております。問題はその人がどうしてもらいたいかではなく、その人にとって何が最も適切かということです。折角高い霊的要素を備えていながら、低俗な物的レベルのものばかり求める人が多過ぎます。これは進歩、或いは進化の道ではありません」

-霊媒の純粋性が高ければ高い程、その霊媒を通してより多くの治癒エネルギーが流れます。このことは心霊手術についても言えることでしょうか。

 「今の表現は正確ではありません。純粋性が高い程多くの治癒エネルギーが流れるわけではありません。純粋でない霊媒でも治癒エネルギーは流入します。純粋性が影響するのはそのエネルギーの〝質〟です。霊力は宇宙の創造主である大霊と同じく無限です。無限であるが故に無数の等級・変異・組み合わせがあります。
 個々の治療家は霊的に受け入れられる段階のものと波長が合います。それより高いものとは合いません。受け入れられないからです。ということは、本来ならばそれより低いものも求めようとしないものなのです。
 治療家が到達した発達段階、霊格によって規制されるのはエネルギーの〝質〟であって〝量〟ではありません」

-もし可能ならば全ての治療家が手術を施せるようになることは望ましいことでしょうか。

 「いえ、霊の道具の全てにたった一つの道が用意されているわけではありません。望ましいのは画一性ではなく、逆に、万能性であり多様性です。霊は無限です。従って顕現の仕方も無限の可能性を秘めています。その決定的要素となるのは治療家の受容性です。その意味では治療家の気質、育ち、教育、遺伝、環境、更には前世までも関わっていることになります。
 そうした要素の全てが絡み合って、治療家を通して注がれる霊力の種類と量とを規制するのです。治療家全部が同じ道を行くようにはなっていません。バイブルにもこういう言葉があります。〝霊の賜物は種々あるが、霊そのものは一つである〟(コリント)」

-心霊手術を要求されてそれが施してあげられない時はどうしてあげたらいいのでしょうか。

 「心霊治療というものを身体上の結果を見せるという点からばかり考えてはなりません。心霊治療は根本的には霊(魂)に関わることです。目的は患者の魂の琴線に触れることです。その魂の受け入れる機が熟していれば、精神も正常となり身体も正常となります。本当の心霊治療は霊と精神と身体とが調和して機能するように正しい連繋関係にもっていってあげることです。それが健康であるということの本来の意味であり、健全な状態、融和した状態ということです」

 《腫瘍を取り除くことが目的ではありません。本来の目的は魂の琴線に触れることです。その意味で霊の癌患者もいるわけです。そういう人は利己性その他の悪性の腫瘍がしつこく残っていて、それが取り除かれるまでは真の霊的進歩は望めません。地上生活で最も大切なのは霊に関わることです。霊が主導権を握るようになるまでは調和も健康も幸福も生き甲斐も得られません》
 シルバーバーチ

 訳者注-本章を翻訳している最中に届いたサイキックニューズ紙(1987・6・13)の一面トップに〝医学校、心霊治療に門戸を開く〟という見出しがあった。イギリスのある医学専門学校が心霊治療家グループに学校内での治療活動を認めたという画期的なニュースである。参考までに大要を紹介しておく。
 「意外な展開の中でミドルセックス医学専門学校が心霊治療家グループの一室を開放して治療活動を許す決定をした。
 又クリーブランドの心霊治療家グループは週一回だけロンドン西部のクリーブランド通りの一室を無料で使用してよいことになった。
 こうした展開の決定的要因となったのは一般開業医連盟と、当医学専門学校講師のコーエン博士の支持があったことである。そのコーエン博士がこう語っている。
 〝私が初めて心霊治療家グループと接触したのはそのメンバーの一人であるルース・グリーン女史を通してのことでした。私は条件として医学的治療と接触する行為はいかなるものも行わないことを確認しました〟
 博士は又心霊治療家が魔術や空中浮揚のような手品、要するに〝治す〟という信念以外のものは絶対に持ち込まないことを確約させているという。
 〝私が理解した限りでは、心霊治療家に私の学校を使用して頂くのは理に適っているように思えました。心霊治療はとても大切です。分別と知性を具えた医師の一人として私は、医師は最大限の広い意味での治療を提供すべきだと考えるわけです。多くの患者が心霊治療で助かっているのですから〟
 コーエン博士は心霊治療の本質を理解する為に治療家グループのミーティングに出席させてもらっている。
 〝そのミーティングに出席して私は非常な感動を覚えました。孤独感に沈んだ人や世の中から見捨てられた思いをしている人達に何かしら特殊なものを提供していたからです。又身体的に不自由な人達も確かに治していると確信します〟
 博士も初めの内は金儲けが目的ではないかと思っていたという。ところがそこでは治療代を請求していないことが分かり、それが却って治療を誠心誠意にさせていることを知ったという。
 〝治療家グループの感性の良さと看護ぶりに深い感銘を受けました。本当に人の為に尽くしておられ、それで我々も負けずに人の為に尽くさねばと決心したわけです。
 正直言って医学校の関係者は当初どうしたものかと迷っておりましたが、心霊治療家にひさしを貸して母屋を取られることがないことを確認した上で、この私が全責任を負うということで踏み切ったわけです〟
 現在までのところ毎週一回水曜日の夕方に治療が行われている。コーエン博士によれば、これまで医師の間から何ら不平不満の声は聞かされていないという。博士は言う。
 〝心霊治療を勉強することは医学者にもプラスになるのです。内の学校がこうした大らかな態度を取ったのは良かったと思っています。
 いずれ将来は治療の成果について検証がなされるかも知れません。患者を治療前と治療後に診断すればよいわけです〟
 それについてクリーブランド治療家グループのチーフであるグリーン女史は〝私達はいかなるテストにも喜んで応じる用意があります〟と述べ、更に言う。
 〝ただ私達は過激なまでに反対している学生には抗議したい気持です。彼等の感情的態度が良からぬ雰囲気を生み、治療に悪影響を及ぼすことが考えられるからです。
 別に心霊治療を信じてくれなくてもいいのです。開かれた心をもってくださればいいのです。医学生がテストに参加してくれれば、こんな素晴らしいアイデアはありません。学生に心霊治療の実際を理解して頂くチャンスになると思うのです。コーエン博士も学生が見学することを希望していらっしゃいます〟
 現在のところ治療家グループは四人のレギュラーで構成されており、全て英国心霊治療家連盟の会員で、これに時折他の治療家が参加する程度ということである。