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自殺してはならない理由


 奥さんの他界後、一人で出席したデニス氏にシルバーバーチがこう語りかけた。
 「奥さんからの伝言ですが、奥さんはあなたがその後も動物愛護の仕事-あなたと共に生涯をかけた、動物への無用で愚かで邪悪な残虐行為を止めさせる為の仕事をずっとお続けになっていることを喜んでおられます。これはまさに文明の汚点、恥ずべき汚辱です。全生命の同一性を理解しておられる皆さんは、下等な存在と見做されている動物が本来の権利を存分に発揮出来るようにしてあげる為の闘争に嫌気が差すようなことがあってはなりません。
 虐待、残忍、苦痛、無益な流血への挑戦を続けてください。その価値ある闘争におけるあなたの役割を存分に果してください。最後は必ず善意が愚行に打ち勝ちます」
デニス氏「どうもこれまでは残虐行為をしている側の方が勝っているように思えるのは不幸なことです」
シルバーバーチ「光が闇を征服するように、善は必ず悪を征服します。闇の力は光には勝てませんし、悪の力も善の力には勝てません。気落ちしてはなりません。あなたの背後には、かつて地上で同じ仕事に献身し死後も引き続き地上の生命の全てに自由をもたらす為に尽力している霊団が控え、味方になってくれております。
 プランというものがあるのです。あなたはその成就の為の仕事に参加する栄誉を担っておられるのです。最後には必ず成就されるのです。それを邪魔することは出来ます。遅らせることは出来ます。妨害することは出来ます。しかし、それによって神が計画を撤回なさるようなことは絶対にありません」
デニス氏「私が理解出来ないのは、霊界では確固とした協力態勢が出来ているのに、地上で同じ愛護運動に携わっている筈の人達の間に一致団結が見られないことです」
シルバーバーチ「一致団結というのは難しいものです。残念ながら地上においては往々にして原理・原則よりも個人的な考えが優先されます。立派な仕事に携わっているものの、時が経つにつれて初心を忘れ、一身上のことばかり考えるようになります。人間の煩悩の一つです。それは、つまるところ霊的理解力の欠如から生まれております。献身的に取り組んではいるものの、それは自分の思うように進んでいる限りの話です。自分の考えが正しいと思うのは良いとして、それが最高でそれしかないと自惚れ始めます。これが、地上で同じ仕事に携わっていて、こちらへ来てからもその成就の為に援助している霊を困らせる問題の一つなのです。
 あなた方に心掛けて頂きたいのは、容易なことではありませんが、その種の人間に個人的見解の相違を忘れさせ、基本の原理・原則に立ち帰って、最初にこの仕事に情熱を燃やした時の目標に向かって無心に努力するように指導することです。これは今携わっておられる動物愛護の仕事に限りません。他の分野においても言えることです。例えばスピリチュアリズムと呼ばれている思想運動においても、自己顕示欲が強い人がいて、とかく自惚れが原因となって衝突が起きていませんか?
 私は善の為の努力は絶対に無駄にされないと申し上げます。闘いは必ず勝利を収めます。なぜなら背後に控える霊力は、それ位のことでは押し止められない程強大だからです。いかなる抵抗に遭っても必ず退却せしめます。
 改革は私達の世界から鼓吹されるのですが、同時に強大な霊力を具えた輝ける存在による祝福と協力とが与えられます。あなたは是非とも為さねばならないことへの情熱を失ってはなりません。善行への励みに嫌気が差してはなりません。これは大切なことです。(嫌気を吹き込み、やる気を無くさせようとする邪霊集団の働きかけがあるから-訳者)勇猛果敢な精神を保持しなければいけません。あなたには為すべきことが山程あります。今のところあなたはそれを立派にやってのけておられます。どうにもならないと思える事態に至っても必ず道が示されます。
 私の記憶では、ここにお集まりの皆さんの誰一人として、克服出来ない程の困難に遭遇された方はいらっしゃいません。時にはギリギリの瀬戸際まで待たざるを得ないことがあるかも知れませんが、きっと道は開けます。
 いかに美しいバラにもトゲがあります。見たところ不潔なものの中から綺麗なものが出て来ることがあります。大自然は両極性、多様性、付随的対照物、というパターンの中で営まれております。絶頂があればドン底があり、晴れの日があれば嵐の日があり、無知な人がいれば知識豊かな人がおり、戦争があれば平和があり、愛があれば憎しみがあり、真実があれば嘘があり、弱味があれば強みがあります。それぞれに果たすべき役割があります。
 進化の法則はそうしたパターン以外には働きようがないのです。弱点の中に長所を見出すことがあります。暗闇の中でこそ光明が見出せるのです。困難の中にあってこそ援助が得られるのです。夜明け前には必ず闇夜があるというのは陳腐な譬えですが、やはり真実です。これも人生のパラドックスの一つです。進化というのはそうしたパターンの中でこそ不易の目的を成就していけるのです。
 こうしたことを知ったからには、あなたは悲観なさる必要などどこにもありません。残虐行為の当事者達が自分達のしていることの極悪非道さを知らずにいることであなたが思い悩むことはありません。あなた自身も気付いていらっしゃらない要素が色々とあるのです。あなたも一個の人間に過ぎませんが、内部には神性という黄金の筋金が入っているのです。それこそがあなたの宝庫です。発電所です。イザという時のエネルギー源です。
 同志の中に手を焼かせる者がいたら、その人のことを気の毒に思ってやることです。道を間違えているのです。そういう人間を激しい口調で説き伏せようとしてはなりません。素朴な真理を教えてあげるだけでよろしい。その内分かってくれるようになります。
 あなたは今自らの自由意志で選択した仕事に携わっておられます。神から授かった最も大切な贈物の一つと言えるでしょう。もしかしたら理性も思考力も挑戦欲も懐疑心も持てない、ただの操り人形、ロボットのような存在となっていたかも知れないのです。それが、反対にあなたには無限の神性が潜在的に宿されているのです。何かに挑戦することによってそれを引き出すことが出来るのです。その時の奮闘努力が霊の鋼を鍛えるのです。掛け替えのない絶好機です。霊がその純金の姿をあらわし神性を発揮することになるよう、どうか今こそあなたの気骨を示してください。
 挑戦に尻込みしてはなりません。闘うということは、霊的な目的意識さえ失わなければ、為になるものです。あなたより少しばかり年輩の魂である私から、最後に一言激励の言葉を述べさせて頂きましょう。いついかなる時も永遠の霊的原理を指標としそれに頑固にしがみ付いている限り、あなたに、絶対に挫折はありません」

その日もう一人の動物愛護運動家が招かれていた。その人に向かってシルバーバーチがこう語りかけた。
 「本日あなたにお出で頂いたことを非常に嬉しく思っております。人類の啓発と、感性を具えたあらゆる形態の生命への慈悲心を教える仕事に献身しておられる神の僕をお迎えすることは大いなる喜びです。
 その仕事が容易ならざるものであること、前途に困難が山積していることは私もよく存じております。しかし、霊の褒賞は、困難に直面した時程最大限の信念を堅持出来る人にしか獲得出来ないのです。あなたは容易ならざる道を選んでしまわれました。私はけっしてあなたが今それを後悔していらっしゃると申し上げているのではありません。あなたはこの道を自らの自由意志で選択なさったことを指摘しているだけです。もう分かっていらっしゃると思いますが、地上で先駆的な仕事に携わっている人達はけっして孤独な闘いを強いられているのではない-霊界から大々的に援助を受けている事実を分かって欲しいと思っている霊が大勢います。
 この分野の仕事は困難を極めます。改めるべきことが沢山あります。が、残虐行為を一つでも終わらせる、ないしは少なくすることに成功すれば、その分だけ永遠の創造活動に参加したことになるのです。
 申し上げるまでもないことと思いますが、地上に共存する動物にも人間と同じように〝奪うべからざる権利〟というものがあります。進化の法則は地上の全生命を包括していること、一つとしてその働きの外にはみ出ることは有り得ないこと、形態はいかに様々であっても、全てが一丸となって前進するものであること、全ての残酷な行為は、それが人間同士であっても動物への仕打ちであっても、結局は生命の世界全体の進化を遅らせることになる-こうしたことも全てあなたは既にご存知と思います。
 この大切な分野において少しでも進展があれば、それは大きな勝利であると見做すべきです。私と同様あなたも、人類の進化が動物の世界全体と密接に繋がっていることをよくご存知です。献身と忠誠をもって人間に仕えている動物達、又人間の進化によってその進化が促進されるようにと地上に生を享ける動物達に対する責任を人間が無視し或いは忘れるようなことがあると、それは人間自らの進化をも遅らせることになるのです。
 困難、戦争、貪欲、利己主義、こうした物質万能主義の副産物は全て、人間が愛、情け、哀れみ、慈悲、好意といった霊的資質を発揮しない限り地上から無くなることはありません。そうした資質は神からの授かりものなのです。それが発揮出来るようになるまでは、人間は自らを傷付けることばかりします。乱獲や残虐行為の一つ一つが人間同士、或いは動物に対して害を及ぼすのは無論のこと、それが人間自らの進歩を妨げることになるのです。
 地上の動物愛護運動の背後には偉大な霊の集団が控えております。そのリーダーと言ってよい立場にあるのが(注)地上で〝アッシジの聖フランチェスコ〟と呼ばれた人物です。霊界において活発にこの運動を展開しており、他界後に身に付けた霊力をフルに活用してあなた方の仕事の成就を援助しております。(注-リーダーと言ってよい立場、という曖昧な言い方をしたのは、その上にも、その又上にも高級霊が控えて指揮しているからである。『霊訓』のイムペレーターも49名の霊団の頭であるが、その上にはプリセプターと名乗る、直接人間界と接触出来ない程の高級霊が控えていた。それは多分紀元前九世紀の予言者エリヤであろうとされているが、いずれにせよ最後に行き着く所は、地球圏に限って言えば、地球の守護神である。尚聖フランチェスコは十三世紀のイタリヤのカトリック修道士で、庶民的愛と清貧を主義とするフランシスコ修道会の創始者-訳者)
 問題に直面した時はそれをどう処理するかの決断を下さねばなりませんが、そんな時に一番お勧めするのは、瞑想状態に入って魂の奥へ引き籠り、神の声に耳を傾けることです。
 今あなたが携わっておられる仕事は、あなたご自身がお選びになったのです。この分野にも組織、協会、審議会などが色々とありますが、そうしたものは本来の機能を果たせない限り存在しても無意味です。この種の仕事は内奥の生命、霊的実在についての知識に目覚め、他の生命との霊的繋がりを理解した者が、自分を役立てるという動機一つに鼓舞されて仕事に従事するということであらねばなりません。
 以上の私からのメッセージ、といっても、そう伝えるように言われたのでお伝えしたまでですが、それが少しでもお役に立てば、その代弁者(マウスピース)となったことを私は嬉しく思います。
 あなたのように闘いの最前線に身を置く者は、怯むことのないよう鍛えられ試される必要があるのです。これまでの数々の体験は、そうした試練の中でも肝心な要素として用意されたものでした。すなわち霊の純金を磨いて浮き出させて、イザという時に霊力を引き出し、窮地に陥った時に引き籠って安らぎを得る為に、その内奥の力、内奥の避難所の存在に目覚めさせることに目的があったのです」

-お言葉はまさに私が今必要としていることばかりです。きっと、これからの仕事に大いに役立つことと存じます。私達は時としてどちらの方向を取るべきか迷うことがあるのです。

 「その時点で正しいと思われたことをなさればよいのです。但し、これが正しいということに確信がなくてはいけません。動機が純粋であれば、その後に派生してくるものも善へ向かいます。万が一動機が間違っていたことに気が付かれれば、その時は自分が責めを負えばよろしい。が、闘って敗れ、しかも動機にやましいところがなければ、もう一度気を取り直して闘いを挑むのです。
 我々は闘士なのです。挑まねばならない闘いがある以上は闘士であらねばなりません。しかも、今挑んでいる闘いは、あらゆる闘いの中でも最大の闘いではないでしょうか。無知と愚行と利己主義と迷信-光明に逆らう闇の勢力全てとの闘いです。抑圧と残虐と略奪と無用の犠牲(動物実験)に対する闘いです。是非とも勝たねばならない大規模な闘いです。
 あなたがもしたった一つの残虐行為でも止めさせることが出来れば、あなたの全人生が生き甲斐あるものとなります。その無益な残虐行為こそ、地上から完全に駆逐するまで我々は何度でも闘いを挑まねばなりません。見た目にいかに抵抗が大きくても、決して怯んではなりません。必ずや勝利はあなた方のものとなります。
 あなた方が望んでいる改革の全てが、あなたの在世中に成就されるとは限りません。しかし、その内の一つでも、二つでも、或いは三つでも成就されれば、あなたが地上に存在した意義があったことになります。
 時々私は、この仕事に没頭しておられるあなた方に、出来ることなら私達の世界の動物が一欠片の恐れも怖気もなく安らかに仲良く暮らしているところを一度ご覧に入れたいものだと思うことがあります。そこはまさに動物にとっての天国なのです」