○自然界を動物・植物・鉱物の三つに分ける分け方を、どう思われますか。これにもう一つ、人間、を加えて四つとする自然学者もいます。また二つに分ける分け方があります、即ち有機質・無機質です。これらの中、どの分け方が好ましいでしょうか。
「これらは全てよろしい。どれが最善かは、諸君等の観点による。物質という観点からすれば無機質と有機質、精神的観点に立てば、結局のところ四等級に分けられる」

○植物に感覚がありますか。千切られたら苦しみますか。
「植物は身体に加えられる物理的印象を受ける。しかし知覚は持たないので、痛いと感じることはない」

○植物の意志ではなしに、植物同志を引き付けあう力が存在しますか。
「それはある。植物は考えることをしない。これは物体に働く物体の機械的な力である。植物はこれを拒み得ない」

○ある植物、例えばミモザや食虫植物は、秀れた感覚を持っているような動きを示します。場合によっては、一種の意志のようなもの、即ち葉に止まった蠅を葉でつかんで汗を搾り出したり、蛇を同じようにして殺すことさえあるようです。このような植物は思考能力を与えられているのですか。彼等は意志を持つのですか。これらは植物性と動物性の中間階層をなしているのですか。これらは過渡状態にあるのですか。
「あらゆるものは、本質において過渡状態である。それぞれが皆違っており、しかもまた、繋がっているのである。植物は考えることはしない、従って意志を持っていない。貝殻の口を開く牡蠣、また、食虫植物は全て考えることはしない。彼等はただ盲目の自然の本能を持つのである」

○植物には、自己に有用なものを求め、有害なものを避けようとする、自己保存の本能はないのでしょうか。
「それを一種の本能、そう呼びたければ、そう言ってもいいだろう。ただその言葉をどこまでの意味にとるかだが。しかし、それは純粋に機械的なものである。たとえば科学作用で、二つの物が一つに結合することがあるが、これは両者が互いに適合しており、つまり両者間に親和があるからである。しかし、これを本能とは呼ばぬであろう」

○もっと高級の世界に行くと、植物も他の種のように、一層完全な性質を示しますか。
「上級の世界にあっては、全てのものが一層完全である。但し、植物は植物、動物は動物、人間はあくまでも人間である」