勃興以来既に百五十年になんなんとする今日でさえ、スピリチュアリズムが世界中にセンターをもって活発な活動をしている事実を知らない人が多いのに驚かされる。
 活動といっても交霊会ばかりではない。心霊治療を施したり、霊脳開発の為に指導教室も開いている。英国バークシャー州にあるウィンザー・スピリチュアリスト・チャーチの代表であるシンプソン夫妻も、永年にわたってスピリチュアリズムの理念に基づいて活動している人である。その日の交霊会に招かれた夫妻を、例によってシルバーバーチは温かい歓迎の言葉で迎えた。

 「このスピリチュアリズムの真理、この叡智、この光明、この知識を広める為に霊力の通路となって、縁あって近付いてくる人々に援助の手を差し伸べることの出来る人をこのサークルにお招きするのは、私にとって大いなる喜びです。今日も、お二人に何か力になってあげることができれば、と願っております。
 お二人がどういうお仕事をなさり、それがどういう形で多くの人々の為に役立っているかは、私にはよく分かっております。私から申し上げる必要はないと思いますが、お二人がこの自己犠牲の奉仕の道に身を投じ、神より授かった霊的能力によって使命に邁進され、霊力というものがその通路さえあればいかに大きな仕事を為すことができるかを身をもって示してこられたのも、すべては霊の導きによるものでした。
 [チャーチ]と呼ばれている灯台においてこれまでにどれほどの貢献をなさったか、また、今そこから放たれる光によって道に迷っている人々をどれだけ導いておられるか、それはお二人には測り知ることは出来ないでしょう。お二人が結び合われたのも、今のお仕事を成就する為だったのです。振り返ってご覧になれば、窮地に陥った時に、そしてまた、道がついに開けた時に、泰然自若としてこの道に勤しむことができるように霊が援助し取るべき手段を指示してくれたかがお分かりになると思います。私の申していることがお分かりでしょうか」

-よく分かります。有難うございます。

「いえ、私への感謝は無用です。感謝の気持はすべからく大霊に捧げるべきです」

-勇気付けのお言葉を頂いて、とても嬉しいです。

「私の言葉によって、霊の道具として働いている方々が勇気付けられることになれば、つまり熱意を倍加して仕事に精励することになれば、私の努力も大いに報われることになります。霊の道具を見出すのは容易ではないのです。たとえ見出しても、その能力を開発して正しく活用するように指導するのが、また容易なことではないのです。更に、折角使いものになる段階にまで育て上げた頃には、煩悩が頭をもたげて、道に外れたことをやり始めます。
 お二人は、啓示された光に忠実に従ってこられました。託された仕事に能力の限りを尽くされました。お二人との出会いを心から感謝している人が大勢います。霊の道具として為し遂げる仕事は極めて特殊なものなのですから、そのチャンスが少ないからといって、ご自分の存在価値を低く見積もってはいけません。
 あなた方は今、キリスト教という硬直した教えに背を向けてしまった人々、[伝統的]とか[正統派]とかだけで対面を保っている教義に不満を抱く人々が大勢出始めた時代、そういう国に生きておられます。中には教会は一体何をしているのかと、内部反乱を起こす者も出始めております。
 そうした不満、特に若者の欲求に答えることが出来るのは、もはや牧師の声ではありません。科学者でもありません。哲学者でも経済学者でもありません。病人を癒すことでもよろしい、迷信を永遠の真理と置き換える仕事によってでもよろしい、とにかく霊的原理に則って生きようとする人々に希望と将来性を見せつけることです。宇宙の生命活動の全てが、その霊的原理に基づいているのですから。
 たった一つの魂でも救ってあげることが出来たら、たった一つの魂に正しい道を教えてあげることが出来たら、たった一つの魂に真実の自我に目覚めさせ、存在の意義を自覚させてあげることができたら、それは人間としての大いなる徳積み-霊力と無縁となってしまった聖職者には為し得ない、貴重なサービスを施したことになるのです。
 もとより、それは容易なことではありません。この仕事は歓楽に満ちたバラ色の道とは縁遠い道です。強健なる魂は、困難を覚悟しないといけません。しごかれ、鍛えられ、様々な挑戦を受けることを覚悟しないといけません。そうした試練を受けて初めて、内部の霊性がその本来の力、本来の美しさ、本来の気高さを見せるのです。その試練の中にあって絶え間なく霊力が発揮されているのです。
 お二人がこれまでに為し遂げられた仕事と進歩、そして今まさに成し遂げつつあることに喜びを感じてください。それが、大霊の叡智によって創案された包括的な大計画への、あなた方の分野での貢献なのです。こうした素晴らしい霊的真理を手にし、人生の目的を理解し、自己実現と同胞への貢献の意義を悟ることができた私達は何と幸せでしょう」

ここで一息入れてから、改めてシルバーバーチが尋ねた。
「何か私にお聞きになりたいことがありますか?」
これに夫人が答えて言う。

-私が驚いていることが一つあるのです。講演を要請されて会場へ行き、壇上に上がった時は、ヤジが飛んでくるのではないかと一瞬怯えることがあります。そんな時、ただ真理を有るがままに述べればいいのだと悟ると、怯えも消え、しかも、まったくヤジられることがないのです。

次章[永遠の生命の次のページに備える]へ続く