次にドリス・コリンズ女史が夫君フィリップ・コリンズ氏と霊視能力者のマージョリ・オズボーン女史と共に出席した時の様子を紹介しよう。まずシルバーバーチが歓迎の挨拶の後コリンズ女史にこう述べた。

「あなたは背後で絶え間なく援助している高級霊団の存在には先刻お気付きの筈です。これから申し上げることが、その霊団から告げられていることを補足ないし確認することになれば幸いです。
 といっても、私がこの霊媒(バーバネル)を通して申し上げていることは、私の霊団から授かったものを繰り返しているにすぎません。が、首尾よく伝えることが出来れば、それだけ多くの霊的真理が地上に届けられることになります。
 覚悟は出来ておられると思いますが、天賦の霊的才能を授かって生まれて来た人の辿る道は、平坦なものではありません。ロートスの実(注)を食べて安楽な道を歩みたい者は、この道に携わらない方がよろしい」

(注 ギリシャ神話で、これを食べると浮世の苦しみを忘れるという)

コリンズ女史「覚悟は出来ております」

「私は実はそのウラを申し上げたくて酷なことを申し上げたのです。大霊の大事業に霊界から参加し、地上人類に本来の生き方を教えることに献身している霊達は、あなたのような方を通して仕事をするのです。あなたのような才能を身につけた方を通して働く以外に方法はないのです。
 地上の指導者であるべき人達-聖職者・科学者・思想家-が何も出来ずにいる時、あなた方は悲しみに暮れている人、病気に苦しんでいる人、悩みを抱えている人、生きる目的を見失った人に解答を授けることが出来ます。崇高な霊力のチャンネルとして、そういう人々の霊性に働きかけて、本来の機能を取り戻させることが出来ます。それは霊能者にしか出来ない仕事です。大霊の子らに奉仕することによって大霊に奉仕するという特権を授かっているということです。
 自己の存在価値をあらしめる仕事に携わるということは、詮ずるところ犠牲を強いられるということです。なぜならば、それには莫大な霊力が投入されるからです。霊力は無尽蔵です。が、それが地上に顕現されるチャンスが少なすぎます。そこであなたのような方に犠牲を強いることになるのです。が、犠牲が大きければ大きい程、それだけ多くの霊性が発揮されます。神の道具としてより一層磨きがかかり、以前には出来なかったことが可能になります。
 と言って、決して楽な道ではありません。が、もともと霊の褒賞は刻苦することによってのみ得られるのです。葛藤の末に得られるものです。遭遇する困難、それに、物分りの悪い連中によって持ち出される、あらずもがなの障害も克服しなければなりません。そうした困難や障害との葛藤があなたの霊性を磨き、洗練し、背後霊団との調和を促進し、豊かな霊力の受容力を高めてくれるのです。私の申していることがお分かりでしょうか」

コリンズ女史「分かりますとも、シルバーバーチさん。よく分かります」

「私からのメッセージが元気付けの言葉となって、あなたがこのまま勇敢に突き進まれ、最善を尽くされ、いつどこにいても人の為に役立つことをなさっておれば、私は私なりに存在価値を発揮したことになり、あなたも同様に存在価値を発揮されていることになるのです」

 そう述べてから夫君のフィリップの方を向いて、

「以上の私の話をお聞きになりましたか」

フィリップ「拝聴しました。一言ももらさず・・・」

コリンズ夫人「私の使命の大きさは先刻承知しております。そういう使命を授かったこと、そして(フィリップという)よきパートナーを用意してくださったことを、神に感謝いたしております。これからも力の限りを尽くす所存です」

「あなたに要請されているのはそれだけです。最善を尽くすということです。本日ここに集まった方達は、私達霊団も含めて、神の大いなる計画の一翼を担っております。私が永遠の創造過程と呼んでいるものを促進する為に、こうして集められたのです。人類の進化に寄与できることは何と素晴らしいことでしょうか。
 私達は地上人類の本来の姿、すなわち物的身体を通して自我を表現している霊的存在であることを教えてあげることが出来ます。その生活の中で最優先すべきものを優先し、霊的原理に基づいた生き方をしていれば、かつて経験したことのない生きる喜びを見出すことになります。
 地上人類の最大の問題点は、大霊よりも黄金の子牛(金銭)を崇拝の対象としている者が多すぎることです。欲の皮がつっ張れば霊性はしぼみます。霊性が第一であることを一人でも多くの人に説かないといけません。地上のいかなる財産も、この世限りのものです。来世まで持って行くことは出来ません。
 知識が無知と取って代わるにつれて、光が闇をかき消し、真理が広まるにつれて迷信が退却せざるを得なくなります。私達と同じくあなたも、物欲第一主義の戦場で霊的叡知が行き渡れば、全てが収まるべきところに収まります。全ての人類が自分自身の(肉体と霊と精神の)調和のみならず、同胞との調和の中で暮らすようになります。
 そうなれば病気もなくなります。残念ながら今の地上には病気が多すぎます。更に、霊的に全人類が一つであるという理解が広まれば、みっともない利己主義の産物も出なくなるでしょう」

 そう述べた後、子供へのお説教みたいなことを述べて申し訳ないと詫びてから、コリンズ女史の背後には素晴らしい霊団が控えているので、臆することなく突き進むようにとの励ましの言葉を述べ、更に、ご主人のフィリップに向かってこう述べた。

「あなたは奥さんの片腕として、言うなれば[人間の砦]となるべく連れてこられたのです。これからも精一杯のことをしてあげてください。これまでも決して楽な道ではありませんでしたが、埋め合わせの法則は間違いなく働きます。低く落ちれば、それだけ高く上がることが出来ます。
 失敗しても、直ぐに気を取り直して、また始めるのです。個人であろうとグループであろうと、本当のあなた、神性を秘めた永遠の霊的自我に危害を与えるような出来事を生み出せる者は、この物質界にはいません。いついかなる時も泰然自若とした態度を保持することです。成る程大事業の為に選ばれた人は違うと思わせる、冷静で自信に満ちた雰囲気を常に発散してください」

 続いて霊視家のマージョリ・オズボーン女史に向かって、

「コリンズご夫妻に申し上げたことは、あなたにも当てはまるとは思われませんか」

と問いかけると、

オズボーン「そっくりそのままと言ってよいと思います」

「何とかして話をあなたのことにも繋げようとしたのですが、どうやら上手く行ったようですね。霊的大事業の道具として派遣された者に楽な道は有ろう筈がありません。もし楽であれば、授けられた才能が発揮されないのです。楽で呑気な生活をしていれば、内部の神性は顕現しないのです。困難・障害・難題・悪条件の中でこそ霊性に磨きがかけられるのです。
 ダイヤモンドがあの無垢の輝きを見せるようになるまでには、何工程もの破砕と研磨とを経ているのです。それなしには秘められた美しさが出てこないのです。
 霊力に優る力はこの地上には存在しません。万事休す、と思われた絶体絶命の窮地からでも救い出すことの出来る力をそなえております。もしもその力について疑念が湧いた時は-人間である以上それは止むを得ないことです-かつてあなたが真っ暗闇の中に閉じ込められた時に、一筋の光明、霊の黄金の光が射し込み、進むべき道が示され、人間的愛と共に神の愛の存在に気付かされた時のことを思い出してください」

オズボーン「仰る通りでした」

「道に迷ったが故に本当の自分を見出すことが出来たのです。霊的に二度と迷われることはありません」

オズボーン「本当に有り難いことです」

「私は、本日ここにお集まりのどなたよりも長い生活を体験してまいりました。その私が今もって感動を禁じ得ないのは、神の摂理の完璧さであり、叡知の無限さです。誰一人として見落とされることもなく、またその監視から逃れることも出来ません。
 霊的能力を授かっている者は、それを発揮させねばなりません。それがその人に課せられたサービスです。いかなることが起きようと、その能力を授かったが故の特権を行使することによって、自己実現に努めなくてはなりません。それ一つに専心していれば、他のことは全て落ち着くところに落ち着きます。
取り越し苦労は何の役にも立ちません。霊性を蝕む大敵です。不屈の精神・沈着・自信・決意-こうしたものは悟りを開いた魂の属性です。これまで導かれてきたのです。これからも導かれます。疑念が湧いた時は、その思いをそこで押し止め、精神を静めて、魂の奥に引っ込むのです。本当の自我である霊性が道を教えてくれます。
 この地球浄化の為の戦いにおいて、将校たる者はうろたえることがあってはなりません。持ち場を死守しないといけません。弱気になってはいけません」