本章で紹介するのは、霊媒のバーバネルが奥さんのシルビアと共にメキシコを旅行した際に立ち寄った心霊家ケネス・バニスター氏宅で、たっての要請を受けて急遽開かれた交霊会の録音からの抜粋である。
 まずシルバーバーチによる開会のインボケーションから始まっている。シルバーバーチのインボケーションは、初めに出席者に向かって心掛けを訴えた後、次第に大霊への讃仰の祈りへと移っていくのが常である。

「それではまず、日頃の悩み事や心配事、不安や取り越し苦労をしばし脇へ置いて頂きましょう。
 本日ここにお集まりの皆さんが可能な限り一体となって少しでも波動を高め、最高のものを求め、為すことの全てに大霊の祝福を賜らんことを祈りましょう。
 この宇宙には、我々の一人一人に生命を吹き込んでくださった無限なる創造主たる大霊に優る力は存在しないのでございます。
 それ故にこそ私達は大霊に祈りを捧げるのでございます。大海の如く横たわれる知識と真理と叡知の光を、少しでも多く我がものとし、その始源たる大霊へ向けて一歩でも近付かんと願うからです。死はもとよりのこと、この地上界のいかなる出来事も、そして死後の彼方におけるいかなる出来事も、私共と大霊、そして大霊の子等を互いに結び付ける霊的な絆を絶つことの出来るものは、何一つございません。
 私達がこれまでに授かった真理、自分が何者なのか、いかなる存在なのか、また地上世界の存在意義とそこへ誕生してくることの意義について教えてくれた知識に対して、皆さん共々感謝を捧げましょう。
 更に又、生まれながらに授かっている能力を開発し、自分よりも不幸な人、癒しを必要としている人、慰めを必要としている人、人生に疲れ、元気づけを必要としている人、いずこへ向かって歩むべきかに迷っている人、そして背負える重荷に耐えかねている人に、いくばくかの力となってあげましょう。
(この辺りから祈りに入る)
 大霊よ、私共はこうしてサービスに勤しむことによって、あなたとの絆を強化することが出来るのでございます。それは、あなたとの調和を深めることであり、その結果として私共の生活が豊かさと崇高さと美しさと気高さと威厳によって満たされるのでございます。
(再び出席者に向かって)
 本日こうして皆さんのもとに参じ、霊の世界からの愛とご挨拶を申し上げることを光栄に存じます。マウスピースに過ぎない私ですが、少しでもお役に立てば幸いです。私達はお互いに赤の他人ではないことを知って頂きたいと思います。いついかなる場においても人の為にサービスを施すという一つの目的において一体となっていることを知ってください。
 皆さんは霊の威力をその目でご覧になり、地上生活の背後の計画と目的とを、チラリとではあっても明確に理解することが出来ているという点において、豊かな恩恵に浴しておられます。その結果として皆さんは、究極的には全人類を包含する無限の連鎖の輪となることが出来ます。何となれば、その輪は霊的なものであり、霊的には人類は一つだからです。
 地上の人類を物的に差別しているものが何であろうと、不滅の霊的連鎖に比べれば物の数ではありません。霊の絆は、国家の別、民族の別、宗教の違い、政治理念の違い、その他いかなる種類の違いをも凌駕します。大霊は、無限の叡知によって地上の全ての子等を一つの霊的大家族として創造なさったのです。この崇高なる事実が、いつの日か、地上世界がそれ本来の遺産である平和を獲得することを可能にしてくれることでしょう。
 本日ここにお集まりの皆さんは、どこへ赴いても、特権を担っておられます。何となれば、より大きな生命の世界(霊界)の存在について、霊的実在について、そして人生の基盤である永遠の霊的原理について、チラリとではあっても、しっかりとご覧になっておられるからです。
 同時に皆さんは、インスピレーション・啓示・霊的真理・霊的叡知-その他どういう用語を用いられても結構です-そうしたものを手にされたことによって、少しでも悟りに近いものを獲得され、[考える人]を悩ます人生の難問の幾つかについての解答を見出されたという点において、特別な神の恩恵に浴しておられます。
 が、しかし、そうした恩恵をどう使用するかについて、大きな責任も付いて回ることを忘れないでください。難しく考えることはありません。ご自身が小さな灯台となるように心掛ければよいのです。暗闇の中に霊の光を放てばよいのです。その光によって、道に迷っている人が心の安らぎと人生の理解へ繋がる道を見出すことになるのです。
 いかがですか、参考になりましたか。もしご質問がありましたから仰ってください。精一杯お答えいたしましょう」

-イエスは人間の食料として動物を殺すことを戒めたと聞いておりますが、本当でしょうか。福音書の中に書かれていたのが、その後抹消されたのでしょうか。

「ナザレのイエスが実際にどういうことを説いたかを知るのは容易ではありません。当時は記録するということをしなかったからです。更に大切なことは、啓示というものはその時代に相応しいものが届けられるのですから、イエスの教えも当時の人間の理解力の程度に合わせざるを得なかったということです。
 そもそもバイブルに説かれていることが真理の全てであるなどということはとんでもないことです。知識も、真理も、叡知も、無限だからです。霊に関わる事は全て無限です。これでお終いですと終止符を打つことは出来ないのです。その意味で、イエスもその当時の民衆の理解力を超えない範囲で説かざるを得ませんでした。あまり進んだことを述べるわけにはいかなかったのです。
 ご質問の肉食の件ですが、これはその人個人の判断力に任せるべき事柄です。何事につけ、動機が最後の判定材料となります」

-リンカーンは人間は生まれながらにして平等であると言いましたが、これは事実でしょうか。

「[生まれながらにして平等]という言葉をどう解釈するかによって答えが違ってきます。肉体的には決して同じでないことは明らかです。遺伝の法則があり、それが子々孫まで特異性を伝えます。
 が霊的には、つまり無限の発達の可能性をもつ神性を秘めているという点においては、人類は全て生まれながらにして平等です」

-青少年の問題が頻発しております。かつては[テディ・ボーイズ](注1)がいました。今はヒッピー族や[フラワー・ピープル](注2)、その他色んなタイプの(感心しない)若者がいます。その一方で新しいタイプの(優秀な)霊魂も生まれてきつつあるように感じているのですが、いかがでしょうか。

(注1 1950年代後半に世間を騒がせたオシャレな反抗青年)
(注2 平和と愛を象徴する花を身に飾って歩き回るヒッピー族)

「摂理の働きで、様々なタイプの霊がいつということなしに次々と生まれてまいります。そこからカルマとか再生の問題が生じてくるのですが、そういうヒッピー的な青年も、そうなることを生まれる前から指導霊との間で合意が出来ていたという考えには、私は同意出来ません。生まれる前に合意することは[こうでなくてはいけない]という、進化を目的としたことです。
 問題は、生まれる前に自覚した決意が必ずしも誕生後にそのまま顕在意識にのぼってくるとは限らないということです。それが危機一髪とか、人生の逆境の中で万策尽き果てた時などに表面に出て、一気に魂を目覚めさせることがあるわけです。啓蒙の波が一気に押し寄せ、誕生に際して決意した目的に目覚めるのです。
 一見すると[困った若者]と見られる者達も、今はマイナスの面を見せているだけで、それはプラスの面を出す為の一時的な現象とみるべきです。
 こうした両面はいつの時代にもあります。何事にも両極があるということです。積極性と消極性、作用と反作用、光と闇、晴天と嵐、等々・・・・所詮進歩は対比、対照を通して得られるものだからです」

-これ以降も若い魂がますます多く地上へ送り込まれてくるとお考えでしょうか。

「そう思います。現在の地上界は大変病んでおります。心霊治療が盛んになってきているのもその為です。が、これも一時的な現象です。いつまでもこのままの状態が続くわけではありません」

-あなたの教えと同じものを説く宗教は今の地上にあるのでしょうか。

「全ての宗教の基盤は愛です。そして愛は大霊の一側面です。バイブルにも愛は摂理の成就であると述べられています。大霊は無限なる愛です。その愛のしるしは、全宇宙を支配している自然法則の完璧さに表れております。完璧だからこそ宇宙全体が平衡状態を保っているのです。原因と結果の法則が数学的正確さをもって働いており、一人ひとりのいかなる行為にも公正無比の判断が下されるようになっております。
 宗教心とは、あなた方のいう神、私のいう大霊へ近付く為の心がけのことです。が、神というも大霊というも、所詮は言語を超越したものを表現する為の粗末な符号にすぎません。大霊に近付く為の行為、絆の強化、霊力の流入の実感、その結果として生まれる調和、内的な輝き、静寂、平穏、泰然自若、それが宗教です。
 そうしたものを生み出さないようでは本当の宗教とはいえません。大霊との繋がりの自覚です。地上生活でそうした繋がりを自覚した時、それは内部の神性に目覚めたことになります。それはますます大きな発現を求めるようになり、誰に対しても分け隔てなく愛と慈しみの心を向けるようになります。愛と慈しみは神の属性であり、神に似せて作られた人間の全てが発現すべきものなのです。
 私なりの表現をさせて頂けば、宗教とはサービスです。これはもう何度繰り返したか分からない程、何度も申し上げています。サービスに優る宗教はありません。サービスは霊の通貨です。分け隔てなく、全ての人に、愛と慈しみの心で臨むことが出来れば、あなたは最高の意味において[宗教的な]人間であると言えます。最高の神性を顕現しているからです。
 元来はそれが全宗教の基盤であらねばならないのです。ところが不幸にしてその基盤が厖大(ぼうだい)な神学と教条主義と人工の理屈の下に埋もれてしまいました。大霊とは何の関係もないものばかりです。そうしたガラクタをきれいに取り払ってごらんなさい。全ての宗教に共通した基本的な霊的理念が顔を覗かせます。自他の違いを言い争っているのは、神学的教義と信条の世界です。私に言わせれば、そんなものはどうでもよいことです。
 大切なのは、私達だけでなく、あなた方人間もみんな、元々は霊的存在であるということです。大霊の分霊なのです。だからこそお互いが助け合えるし、お互いが愛し合えるのです。同時に、この地球を共有している動物に対しても慈しみの心を向けないといけません。そうすれば、この宇宙の大機構の中において、それぞれの役割を果たすことが出来るのです。それを一人ひとりが努力することによって、この地上も少しずつ天国となっていくのです」

-善か悪かの違いは比較対照を通して判断するものだとすると、天国となって行きつつあることはどうやって知れるのでしょうか。

「別に難しいことではありません。今より少しでも良くなれば、それが天国です。完全な天国というものは絶対に成就出来ません。梯子を一段上がると、その上にまた一段が見えてきます。いわゆるニルバーナ(涅槃-完全解脱の境地)には到達出来ません。どこまで進化しても、更に発達を要する別の側面があることを知ることの連続です」

-そして、その進化の為にはやはり困難を体験する必要があるわけですか。

「勿論です」

-となると、天国においても大きな困難に遭遇するわけですか。

「そうですとも!ですが、私達はそれを素晴らしい挑戦と受け止めます。内部の神性が自ずと発現してくるからです。霊的成長は、楽な道を歩んでいては得られません。もし楽に手に入るものであれば、あえて手にする程のものではないことになりましょう。ですから、困難を、挑戦し克服すべき課題として、堂々と歓迎することです」

-私達が再生するのは前世での間違った行為について罰を受ける為であるというのは本当でしょうか。

「行為についての賞罰は(いつという特定の時期にではなく)刻一刻と受けております。因果律の働きは避けようにも避けられません。原因とその結果との間には何者も介入出来ないのです。原因にはそれ相当の結果が、そしてその結果が原因となってそのまた結果が、というふうに、途切れることなく続きます。永遠に続くのです」

-霊的法則の中でも一番大切なものといえば何でしょうか。

「[互いに愛し合うこと]-これが最大の法則です」

-人間はみんな定められた時に死ぬのでしょうか、それとも運命が変えられることもあるのでしょうか。

「大体において、定められた時期にこちらの世界へ来ることになっているのですが、例外もあります。その理由はと問われても、摂理のウラに別の次元の摂理があり、それが一見すると矛盾するような形で複雑に入り組んで働く為に、簡単なようで簡単ではないのです。こちらの世界の高級霊のように全体像を眺めることが出来れば、成る程と納得がいかれるでしょうが・・・地上界へ生まれてくるのも、地上界から去るのも、大体において、皆自分で納得の上で取り決めております」

-人口の増加率が加速しているようですし、それにつれて霊界入りする人間の数も増えておりますが、これは地上界の進化と何か関係があるのでしょうか。

「進化は物質的・霊的の様々な側面において進行しておりますが、それも全体としての計画に則ったものです。人口の急速な増加が自然な霊的進化や個々の人間の発達を妨げることはありません」

-地球という天体の進化との関係はいかがでしょうか。

「進化の法則はこの大宇宙を創造なさった無限なる大霊がお定めになったものであることを忘れてはなりません。そのウラには大霊の意志があるということです。その意志を成就させる為に、色々と調整が行われます。地球も、宇宙の他の全ての天体と同じように、進化の途上にあります。その天体上で生活する人類のすることにも法則的に制約と限界が設けられていて、出来ることと出来ないことがあります。裏返せば、その制約と限界は自然の摂理を成就させる為の神の配慮なのです」

-人口の爆発的な増加を人工的に調整することは間違いでしょうか。

「ご記憶と思いますが、私は何事につけ[動機]が一番大切であると言っております。ですから、人類にとってそれが有益である-つまり健康上も問題がなく、人類の進歩を促進するものであれば、出生を制限することは正しいと言えます。人間も、大霊の無限の創造活動に参加する機会が与えられているのです。産児制限(避妊)も人間が神の計画の中で役割を果たす分野と言えましょう。問題は動機です」

-避妊という手段は地上へ誕生したいと思っている霊にとって困ったことになりませんか。

「どうしても生まれてきたい霊は、避妊をしない夫婦を選びます」

-人間には物質に宿っているが故に生じる限界というものがあると思うのですが、それを超えて発展を目指すのは間違いでしょうか。

「これまた動機が問題となります。あくまでも真理の追求ということが動機であれば、いくら探求の範囲を広げてもよいでしょう。が、その結果として同胞や動植物など、同じ地球に生息するものに害を及ばすことになるのであれば、弁明の余地はありません」

-先程ニルバーナのことに言及されましたが、あなたのお話はキリスト教よりも仏教の方に近いと理解してよいでしょうか。

「私はそういうラベルが嫌いなのです。文字というのは人間がこしらえたシンボルにすぎません。書いたり、喋ったり、その他の伝達手段で考えを伝える為のものですが、霊的なものはあらゆる言語を超越しています。大霊は無限です。限りある一冊の書物の中に圧縮出来るものではありません。
 地上の歴史には偉大なる霊覚者が次々と出現しております。その時代の特殊な事情に相応しい人物が送り込まれたのであって、その人の説いたことが啓示の全て-それで啓示はお終い、というわけではありません。啓示も大霊そのものと同じく無限です。いかなる宗教も、いかなる経典も、大霊の全てを説き尽くすことなど出来る筈はありません。
 キリスト教だとか仏教だとか、皆さんは色々な宗派を持ち出されますが、私は霊的な原理にしか関心がありません。幾つかの霊的原理が受け入れられ、用意の整った人によって実行に移されれば、私は、それこそが地上生活で一番大切なことであると信じます」

-あなたは地上世界が[病める]状態にあり、それで心霊治療が必要となったと仰いました。となると、治療家は病める肉体と同時に病める精神を癒さないといけないのですが、それは霊を目覚めさせることに繋がるのでしょうか。

「健康とは全体が整っていること、調和が取れていること、リズムがること、協調体勢が整っていることです。あなたという存在は三位一体、すなわち霊または魂と精神、それに物的身体の三つから成り立っています。その三つの主要な構成要素の間に調和が取れていれば、あなたは健康です。その三者の間で相互作用が絶え間なく行われているのです。
 霊が正常であれば精神も正常であり、身体も正常です。身体に生命を賦与しているのは霊です。霊はすなわち生命であり、生命はすなわち霊です。霊とは大霊であり、大霊がすなわち生命ということです。物的身体は霊が自我を表現する為の道具であり、精神はその為のコントロールルームと思えばよろしい。
 残念ながら現代の忙しない生活機構が緊張とストレスと過労を生んでおります。それが調和を乱すのです。霊が病み、精神が病み、それが肉体に病的症状を生み出します。心身症という病名がありますが、これは精神と霊に起因する病気のことです。
 ですから、仮に心配で潰瘍が生じた場合は、その潰瘍部分を切除しても何にもなりません。心配をするという精神の病がある限りは、また潰瘍が生じます。心配をしないように精神を修養するしかありません。そうすれば潰瘍も消えます。
 そこに現代社会が病んでいると申し上げる原因があります。考え方、物の見方、大切なものと大切でないものの判断力、焦点の置き所、視野の持ち方、こうしたものが狂っているのです。大切なものとどうでもよいものとの区別が出来るようになり、基本的な霊的真理の大切さが分かるようになれば、人間を構成する三つの要素が調和して、健康になります。
 これでご質問に対する答えになりましたでしょうか」

-体力が減退した場合でも(その調和によって)元気を回復することが出来るのでしょうか。

「出来ます。人間は肉体を携えた霊なのですから、宇宙で最強の生命力の源にプラグを差し込むことが出来ます。心の姿勢一つです。それが出来れば、疲弊し切った身体に再充電することが出来ます」

-地球に降りかかると言われている災厄から免れる為に私達に出来ることといえば何でしょうか。

「あなたが地球の運命の心配をなさることはありません。人間の力の及ぶことではないからです。既に申し上げている通り、人間に出来ることには、自ずと限界というものがあります。例えば、地球そのものを爆破してしまうことは出来ません。
 地上世界に揉め事や困難や不幸が絶えないのは、相変わらず強欲と利己主義と怨恨によって支配されているからです。物欲がガンのように人類の心の中枢に食い込んでいる為です。悪性のガンです。そのガン細胞が猛烈な勢いで増殖しております。それをあなた方が率先して生き方の範を示すことによって食い止めないといけません。
 あなた方は、僅かとはいえ、神の光を受ける恩恵に浴している以上は、楽観的な物の見方が出来ないといけません。取り越し苦労は何の役にも立ちません。希望に燃えることです。そうすれば、その明るい想念が信念に溢れたオーラを発し、見る人にとって道標となります。霊的真理を手にした者は模範を垂れるようでないといけません」

-この病める地上界へなぜ続々と新しい生命が誕生してくるのでしょうか。何を目的に来たがるのでしょうか。

「それは地球が霊のトレーニングセンターだからです。地球なりの存在意義があるのです。もし地球が神の計画の中で無用の存在であれば、地球そのものが元々存在しない筈です。
 地球は、丁度小学校が子供にとっての教育の場として果たしているのと同じ機能を果たしております。学校を卒業した後に備えているのです。地上界は修業場です。鋼鉄を鍛える鉱炉です。原鉱が砕かれて黄金を取り出す作業をするところです。地球は神の機構の中にあって無くてはならない役目を果たしております」

-過去の歴史の中にも今日と同じような[病める時代]があったのでしょうか。

「ありました。そして見事に癒されております。現在の病的状態も無事潜り抜けることでしょう。進化の一過程として、更に別の病的状態を体験するでしょう。
 が、皆さんは、ひたすら最善を尽くしておればよろしい。皆さんに期待されているのはそれだけです。ご自分の守備範囲に来た人に手を差し伸べればよろしい。その時が皆さんの存在意義が発揮される時です。
いつどこにいてもサービスを心掛けることです。同情の一言、健康又は回復を祈ってあげる言葉、何でもよろしい、どんなにささやかなことでもよろしい、縁の出来た人に慈しみの有為を施してあげなさい。あなたとの出会いが啓発を促すことになれば、そういう機会を与えてくださったことを喜びなさい。
 私も、皆さんのお役に立てば素直に喜びましょう。正直言って私は、地上圏へ戻って来るのは気が進まなかったのです。しかし地球を救済する為に、どうしてもやらねばならない仕事があること、そして、私が語ることに耳を傾ける人、それに生き甲斐を見出す人がいるであろうから是非、という説得を受けたのです。
 とは言っても、私は私より遙かに進化した高級な先輩達のマウスピースにすぎません。私が授かった霊的知識を地上の同胞と分かち合うことが出来れば、この度の私の使命を果たしていることになります。私との対話がお役に立っていることを知った時は、私の心は溢れんばかりの喜びに満たされます。
 願わくは本日の集いが刺激となって、私達が大霊との取次ぎの通路となり、どこにいても大霊の子等に役立つよう生活を整えることが出来ますように。そう願うことは宇宙の大中枢である大霊に近付くことであり、私達の心が大霊の心と一体となって鼓動することになります。
 その時、私達は永遠なる大霊の愛の手に抱かれていることを知ります。皆さんに大霊の祝福の多からんことを!」