○(問)祈りとは大切なものですか。
(答)それは祈りいかんによる。目的もなく言葉を繰り返すだけなら、それは単に空気の振動にすぎない。心を込め魂の限り、神に触れようと神に従おうと願いを込める祈りなら、初めてその強さを増し、神の僕に相応しいものとなる。この祈り、自己を曝け出して、心を開くこの行為によって、我々は全て一つに結び付くことが出来るのである。
 祈りとは、自分をより高い霊力と結び付ける手段である。私の言う祈りとは、意味も分からずに、人の書いた文句を口先だけで繰り返す祈りではない。それは及ぶ限りの高みを希求し、心を込め魂を尽くして祈るお祈りのことである。このような祈りであって初めて、内に霊感が満ち溢れ、人は強さを増す。

○(問)人の為のお祈りは効果がありますか。
(答)本当の祈りなら、決して無駄に終ることはない。思想は力であるから。
(問)遠隔治療の為に治療家が行う祈りは、効果がありますか。
(答)祈れば、その人から心霊エネルギーが放射され、支配霊はこれを利用することが出来る。

○(問)祈りによって、他界の霊魂の我々に対する助力を強めることが出来ますか。
(答)真摯な態度で祈れば、人は高級な霊力に触れ易くなる。ほんのちょっとの祈りでも、魂は上方へ開かれる。但しその祈りとは、心を込め精神を込め魂を込めた祈りでなければならぬ。単なる祈願の為の祈りは祈りではない。祈りとはこれを正しく解すれば、偉大な霊的な作用というべきである。まさしく祈りとは、目的そのものでなく、目的に至る手段、このように定義すべきである。

○祈りとは唯一つしかない。即ち「どのように奉仕したらよろしいか、お教え下さい」これである。この神と人類への奉仕の願い、これより大きな仕事はない、これにまさる愛はなく、これにすぎる宗教も哲学もない。どの道で奉仕するかは問うところでない。例えば神法の真理を述べ伝えるか、飢えた人に食を与えるか、又は苦しむ人の心から悩みを取り除いてやるか、道はそれぞれ違っても、肝心なことは唯一つ、いかにひたすら奉仕するか、このことである。

○自分を忘れて奉仕さえすれば、自分の霊性-はいよいよ発揮されていく。何と単純なことではないか。しかるに世の人々は、教会を建てたり、教義教条を並べ立てたり、宗教の為と称しては、しかつめらしい儀式を行なったり、わけの分からぬ長い文句を唱えたりしている。
 私が知っているのは次のことだけ。どうか皆さん出て行って、倒れた人を立ち上がらせ、疲れた人には眠りを与え、飢えた人には食を、渇いた人には水を、闇に呻吟する人には新しい光を与えなさい。

○(問)いくら祈っても、何の反応もないことがありますが、それはなぜですか。
(答)誰しも心の中に一つの闘いをもっている。神に向かうか、それとも自分勝手な道を選ぶか。前者が勝てば神との一体感に浸る、後者が勝てば意気沮喪した感となる。皆さんは、自分に都合のよい道よりも、自分が最も他の役に立つような道を選ぶように心掛けねばならぬ。
 この交霊会場には、毎日毎夜、一団の霊魂が入って来る。彼等はいずれも自分の進歩を放擲(ほうてき)して、やがて地上の闇を照らす一団の光明を、ここに作り上げようと活動を続けている。この使命に比べれば、地上の悩み等はまことに些細、無に等しい。
 この世には、眠る所や休む家もなく、この大空の下、輝く星の他何ものもなく、雨と嵐に打たれて眠らねばならぬ人々があり、又或いはその身を支える為の食さえもなく、飢えた人々がいる。これに比べれば皆さんの悩み等、神の目より見れば、大きいと言えようか。
 どうか次のことをよく肝に銘じておいてもらいたい。皆さんは全て神の計画を助けつつある者だ。即ちかの偉大にして素晴らしい計画、その中に皆さんの一人一人は、自らの小さな絵模様を織り込みつつある。やがてこの織物は完成するだろう。その暁には、各民族各人種はその所を得て、ここに完全な世界が現出することになる。静寂の中に生まれつつあるもの、何ものも動いているとは見えない時に、それこそ織られつつある刺繍の一部。日に夜をついでこの作業は進む、他日地上の子等全てを覆いつくす、大いなる織物を織り上げる作業が。

○(問)祈れば、ある霊魂がそれを聞いてくれるのですか。それとも、私達の方から祈りによって、それに応えてくれるような力を求めなければならないのですか。
(答)祈りとは魂の表白である。これを更に説明すると、祈りとは光明を求め導きを希求する魂の叫び。このような叫びは、それ自ら答えを生むものである。これ即ち、念の力の働きによるのである。
 祈りは因となって応答を引き寄せる。従ってある霊魂が貴方の祈りの為に、待ち受けている必要はない。貴方が祈れば、その祈りの質にもよるが、まず貴方の魂の向上の程度に応じて、届く限りの他界の全ての霊魂に直ぐに通じるのである。
 これらの霊魂は地上に奉仕したいと思っているから、直ぐ貴方に力を加え、貴方の力を倍加させる。貴方が霊性の一部である念波を発しさえすればこのことが起こる。こうして貴方の魂の程度に比例しながら、宇宙の力が貴方の為に働く。これ即ち、貴方は自分の及ぶ限りの力と感応道交したのである。
 貴方の内には神性が宿っており、それは常に自己発揮を希求している。貴方が祈りを通じ奉仕を通じて、自己の神性を発揮する時、貴方は内在の神を顕現しているのである。祈りであれ奉仕であれ、人の魂を、又自分の魂を、向上させようとすることは、それが何であれ、これ全て貴方の魂の進歩に繋がるのである。