○魂の成長には試練と経験が大切
メンバーの一人「それだけあなたもどうしようもないことなのですね?」
シルバーバーチ「私がその摂理を変えるわけにはいかないのです。私はただ摂理はこうなってますよとお教えするだけです。これまで私は何度か皆さんが困った事態に陥っているのを見て、その運命を何とか肩代わりしてあげたい、降りかかる人生の雪と雨と寒さから守ってあげたいと思ったことがあります。しかし、それは許されないことなのです。なぜなら、そうした人生の厳しい体験をさせている同じ力が、人生に光と温もりをもたらしてくれるからです。一方なくして他方は存在しないのです。試練と体験を通してこそ霊は成長するのです」
ルース「シルバーバーチさんにもそれが許されないのはいいことだと思います。困ったことがある度にシルバーバーチさんが助けてくれたら、いつも誰かに頼らないといけない人間になってしまうからです」
ポール「人生の目的がなくなってしまいます」
シルバーバーチ「そうです。でもね、私にとって、それは辛いことなのですよ。その内お二人も、本当の意味で〝愛する〟ということがどういうことなのか、愛する人が苦しんでいるのに何もしてあげられないということがどんなに辛いことかが分かる日が来ます。
そこで、先程述べたことにもう一つ付け加えたいことがあります。これはルースちゃん、あなたにお聞かせしたいことです。(スピリチュアリズムを知ったことによって生じる)一番大きな違いは、自分が一人ぽっちでいることが絶対にないということを知ったことです。いつどこにいても霊の世界からの愛と友情と親愛の念を受けているということです。最善を尽くしている時には必ず霊界からの導きの力が加わっていること、あなたのもっているものから最善のものを引き出し、あなたの人生から最善のものを学び取ってくれるようにと願っている、友愛と親切心と協力精神に満ちた霊の存在が周りにいてくれているということです。このことがスピリチュアリズムがもたらしてくれる一番有り難いことです。このことを知ったルースちゃんは、それを知らない人より幸せだということになります」
○男性の役割と女性の役割
ポール「これまでの人生はずっと男性が女性を支配して来たように思えるのですが、なぜですか。原因は何ですか」
シルバーバーチ「原因は女性があまりに物事を知らなさ過ぎたからです」
ポール「それを改めることが出来るでしょうか」
シルバーバーチ「改める必要はありません。これまでも実際は女性の方が男性をリードして来ているからです」
メンバーの一人「あなたはこれまでそういう捉え方はなさらなかったように思いますが・・・・」
シルバーバーチ「ええ。でも、これにはそれなりの根拠があるのです。男性が狩りに出ていた時代の名残です。つまり男性が家屋を建て、食糧を取りに出かけねばならない時代においては男性が絶対的な支配力をもち、お腹を空かして疲れた身体で帰った来た時に女性が優しく迎えて介抱し、食事を用意してあげていました。男性が行動的で女性が受動的だった為に、何かにつけて男性に有利な習慣が出来て行きました。しかし、今それが変化し始め、どちらが上でもどちらが下でもない、お互いが補い合うようになっているという認識が行き渡りつつあります」
ポール「よく分かりました。有難うございました」
○愛は霊にとって酸素のようなもの
シルバーバーチ「お二人とは随分永いお付き合いですね。二本の小さな苗木が真直ぐに育っていく様子を見てまいりました。そして、お二人が絶え間なく増えていく知識と理解力の中で生きておられるのを見て嬉しく思っております。
まだまだ知らねばならないことが沢山あります。でも、少なくともお二人は霊的な真理に守られて地上生活に立ち向かっており、その目的を理解し、何をしていても誠意さえあれば決して挫けることはないことを知っておられます。私はいつも身近にいて、私に出来る限りの援助をいたしましょう。
今日はルースちゃんとポール君の二人が来てくれて、私はほんとに嬉しく思っております。私がいつも身近にいることを知って頂くいい機会になるからです。私は決して遠くにいるのではありません。お二人がお家にいる時も、学校にいる時も、遊んでいる時も、直ぐ側にいることがあります。おかしくて笑い出すような光景を見ることもあります。ですが、地上生活から学び取ることも沢山あります。私はまだまだ学ぶことが終わったわけではありません。西洋人の生き方や習慣には興味を引かれることが色々とあるからです」
母親「私達は暖炉に火をくべながら、よくシルバーバーチさんのことを思い出すことがあるのですよ。暖炉を囲んで、シルバーバーチさんは暖炉や暖火はお好きだろうかね、などと語り合うんですよ」
シルバーバーチ「私はいつも私へ愛情を覚えてくださる方々の愛念によって心を温めております。私にとっては地上で窒息しない為に吸入出来る唯一の酸素は〝愛〟なのです。地上へ降りて来る為に、お預けにされる喜びを補ってくれる最大の慰めは皆さんからの愛なのです。(私の本来の住処である)高級界の霊的生活の荘厳を極めた美しさを一度体験されたら-一度でもその世界の恩恵を欲しいままに出来る生活を体験されたら、悪意と敵意、憎しみと闘争、流血と悲劇に満ちたこの冷たく陰鬱な地上生活はもう二度と御免蒙りたいと思われる筈です。
そんな世界に身を置いている私にとって、皆さん方の真理普及の行為によって魂が目覚めた人々の心に灯された愛念が何よりの慰めとなっております。地上世界での仕事は困難を極めます。冷え切った心、歪んだ心の持ち主、私達からの叡智や指導はおろか、自らの愛すら感じなくなっている人々が大勢います。そうした中にあって親近感や同情心、僚友精神や同志的友情がいかに大きな元気付けとなるものであるか、ご存知でしょうか。皆さんが想像される以上に私にとって力となっております。更に多くの人々へ手を差し延べて行く為の糧を供給してくださっていることになるのです。
ならば、道を見失い、同情の言葉に飢え、導きと慰めと希望の言葉を求めてその日暮らしの生活に明け暮れている気の毒な人達のことに常に思いを馳せようではありませんか。そういう方達は皆、この世に自分一人だけ取り残されたような悲哀の中で生きているのです。そういう人達こそ私達か霊力の行使範囲に導く為に何とかしてあげなくてはならないのです。物憂い悲嘆の生活を一変させ、希望の光と真理の感触とを生活の中にもたらしてあげることが出来るのです。
ご承知の通り私はこれから暫しの間地上を去ります。後ろ髪を引かれる思いがいたしますが、しかし時には高き世界からのエネルギーを再充電し、同じ使命に携わる同輩と協議し、失敗箇所と成功、予定通りに進行している所とそうでない所について指示を仰ぐことがどうしても必要なのです。その時私は皆さんからの愛を携えて行き、私からの愛を皆さんにお預けしてまいります。再び戻って来る日を心待ちにいたしております。
それでは最後に皆さんと共に宇宙の最高のエネルギー、私達がその一部を構成しているところの神のエネルギーに波長を合わせましょう。そのエネルギー、神の御力、大霊の息吹の恩恵を改めて意識いたしましょう。その最高の力を受けるに相応しい存在であるように努力いたしましょう。託された信頼を裏切ることのないように努力いたしましょう。高貴な目的の為の道具として恥ずかしくない生き方、考え方、物の言い方を心掛けましょう。そして、いかなる事態に遭っても、その神聖なる使命を傷付けることのないようにいたしましょう。
双肩に担わされた使命を堂々と実行いたしましょう。これから降りかかる如何なる受難にも、人の為に己を役立てたいと望む者は常に限りない愛を秘めた大霊と一体であるとの信念を燃やして、不撓不屈の決意をもって立ち向かいましょう」
続いて翌年のクリスマスにもルースとポールの二人が招かれている。シルバーバーチによれば、二人の存在も計画の中に組み込まれており、二人を通して、それなくしては得られない掛け替えのない力を得ているということである。
この度の交霊会はクリスマスとはどういう意味があるのかという話題から始まった。というのは、その頃ポールの学校でクリスマスについてのお話があり、ポールはその意味がよく分からなくて、家に帰ってから両親に説明を求めたばかりだったのである。
そのいきさつを聞いたシルバーバーチがこう述べた。
「その問題に入るに先立って知っておいて頂かねばならないことがあります。というのは、永い間地上人類を悩ませて来たつまらない問題から先に片付けておく必要があるからです。ポール君は神についてどういう点がよく分からないのでしょうか」
ポール「これまで色んな人が神について色んな説き方をしているみたいです。それぞれみんな違っており、これだと得心のいくものが一つもないのです」
○〝神〟の思想の進歩
シルバーバーチ「その通りなのです。忘れてならないのは、人間は常に成長しており、精神の地平線が絶え間なく広がっているということです。言い換えれば、境界線が取り除かれて行きつつあるということです。知識が進歩すれば宇宙そのものと、その宇宙に存在するものについて、より大きな理解力がもたらされます。
太古においては人間は環境について殆ど知識がなく、自然現象については全く理解していなかった為に、何もかも神様の仕業にしておりました。その神様についても人間を大きくしたような存在としてしか想像出来ませんでした。そこに犠牲(いけにえ)の思想の原点があります。雷が鳴り稲光がすると神様が怒っておられるのだと思い、その怒りを鎮める為に色んなお供えをするようになったのです。
そうした野蛮な小さい考えも次第に大きく成長し、人間は無知の暗闇から脱し、迷信の霧を突き抜け、知識の夜明けを迎えて、宇宙の根源はどうやら人間の想像を超えたものらしいということに気付き始めました。しかし、だからといって古い概念がそう簡単に消えたわけではありません。何かすごく大きな人間の男性のような姿をした神様が宇宙を拵えたのだという概念が、何十世紀も経った今も尚存在しています。
さて私達は更に一歩進めて、宇宙を創造しそして支配しているものは、男性神でもなく、女性神でもなく、とにかく形ある存在ではないと説いているのです。人間的な存在ではないのです。宇宙は法則によって支配されており、その法則は規模においても適用性においても無限なのです。それは無限の愛と叡智から生まれたものであり、従って完璧であり、過ったり失敗したりすることが絶対にないのです。
私は生命とは霊のことであり、霊とは生命のことであり、初めもなく終わりもないと説いております。霊を物質の中に閉じ込めてしまうことは出来ません。物質というのは霊の至ってお粗末な表現でしかありません。物質界に生きる人間は視覚と聴覚と触覚と嗅覚と味覚の五つの感覚でしか物事を判断することが出来ませんから、その五感を超えた生命の本質を理解することはまず無理なのです。
そうした限界の中で生きている限り、その限界の向こう側にあるものが理解出来るわけがありません。そこで次のような結論となります。すなわち宇宙は自然法則によって表現されていること、その法則の背後にある叡智は完全であること、しかし人間は不完全である為にその完全さを理解することが出来ないということです。人間が個体性を具えた限りある存在である以上、個体性のない無限の存在を理解することは出来ないのです。これはとても難しい問題ですが、少しでも理解の手助けになればと思って申し上げてみました。
人類の全てが-地球という一個の天体上だけではありません。数え切れない程の天体上の人間的存在全てがそうなのですが-私の言う大霊、皆さんの言う神の一部を構成しているのです。大霊とは全宇宙の霊の総合体だからです。これなら分かるでしょう?」
ルース「人間は進歩する程神について複雑な考え方をするようになり、複雑になる程真実から遠ざかって行くのではないでしょうか」
○本当の進歩とは
シルバーバーチ「本当の意味での進歩であればそういうことにはなりません。実は〝脳〟ばかり発達して〝精神〟や〝霊〟の発達が伴っていないことがあるのです。すると頭のいい人が多くなりますが、頭がいいということは必ずしも偉大な魂、或いは偉大な精神の持ち主ということにはならないのです。
それは脳という物質のみに限られた発達なのです。そういう発達をした人の中には複雑なもの程立派であるかに思っている人がいることは確かですが、本当の発達、精神と魂の発達を伴ったものであれば、霊的なことについてもより深く理解するようになります。正しい発達とは精神的並びに霊的な発達のことを言うのです。そういう発達をしている人は古い間違った概念を捨てて、ますます真理に近付いてまいります。
いつも忘れずにいて欲しいのは、無限の存在である大霊の全てを、限りある言語で説明することは不可能だということです。大きいものを小さいものの中に入れることは出来ません。これは当たり前のことです。分かってもらえたかな?さて他に、どんな質問がありますか」
○人類の最大の発見は?
ルース「人類による最大の発見は何だと思われますか」
シルバーバーチ「これは難しい問題ですよ。〝最大〟という言葉の意味が色々あるからです。どういう意味での〝最大〟なのか-物的にか、精神的にか、霊的にか、それを前もって考えてから質問すべきですね。
私の考えでは、人類による最大の発見は人間が動物とは違うこと(霊長類であること)を知ったこと、自我意識というものがあることを知ったこと、霊性を自覚したこと、お粗末とはいえ身の回りの現象について知る能力があることを知ったことです。それが他の全ての発見へと繋がったからです。
今〝霊性を自覚したこと〟と言いましたが、その意味は、人間が肉体以上の存在であること、物質を超えた存在であること、やがて朽ち果てて、土に帰って行く物質的容器とは違う存在であることを知ったということです。私はこれが何よりも大きな発見であると思います。
が、ルースちゃんの質問が私にとっての最大の発見は何かという意味であれば、話は又違って来ます」
メンバーの一人「それだけあなたもどうしようもないことなのですね?」
シルバーバーチ「私がその摂理を変えるわけにはいかないのです。私はただ摂理はこうなってますよとお教えするだけです。これまで私は何度か皆さんが困った事態に陥っているのを見て、その運命を何とか肩代わりしてあげたい、降りかかる人生の雪と雨と寒さから守ってあげたいと思ったことがあります。しかし、それは許されないことなのです。なぜなら、そうした人生の厳しい体験をさせている同じ力が、人生に光と温もりをもたらしてくれるからです。一方なくして他方は存在しないのです。試練と体験を通してこそ霊は成長するのです」
ルース「シルバーバーチさんにもそれが許されないのはいいことだと思います。困ったことがある度にシルバーバーチさんが助けてくれたら、いつも誰かに頼らないといけない人間になってしまうからです」
ポール「人生の目的がなくなってしまいます」
シルバーバーチ「そうです。でもね、私にとって、それは辛いことなのですよ。その内お二人も、本当の意味で〝愛する〟ということがどういうことなのか、愛する人が苦しんでいるのに何もしてあげられないということがどんなに辛いことかが分かる日が来ます。
そこで、先程述べたことにもう一つ付け加えたいことがあります。これはルースちゃん、あなたにお聞かせしたいことです。(スピリチュアリズムを知ったことによって生じる)一番大きな違いは、自分が一人ぽっちでいることが絶対にないということを知ったことです。いつどこにいても霊の世界からの愛と友情と親愛の念を受けているということです。最善を尽くしている時には必ず霊界からの導きの力が加わっていること、あなたのもっているものから最善のものを引き出し、あなたの人生から最善のものを学び取ってくれるようにと願っている、友愛と親切心と協力精神に満ちた霊の存在が周りにいてくれているということです。このことがスピリチュアリズムがもたらしてくれる一番有り難いことです。このことを知ったルースちゃんは、それを知らない人より幸せだということになります」
○男性の役割と女性の役割
ポール「これまでの人生はずっと男性が女性を支配して来たように思えるのですが、なぜですか。原因は何ですか」
シルバーバーチ「原因は女性があまりに物事を知らなさ過ぎたからです」
ポール「それを改めることが出来るでしょうか」
シルバーバーチ「改める必要はありません。これまでも実際は女性の方が男性をリードして来ているからです」
メンバーの一人「あなたはこれまでそういう捉え方はなさらなかったように思いますが・・・・」
シルバーバーチ「ええ。でも、これにはそれなりの根拠があるのです。男性が狩りに出ていた時代の名残です。つまり男性が家屋を建て、食糧を取りに出かけねばならない時代においては男性が絶対的な支配力をもち、お腹を空かして疲れた身体で帰った来た時に女性が優しく迎えて介抱し、食事を用意してあげていました。男性が行動的で女性が受動的だった為に、何かにつけて男性に有利な習慣が出来て行きました。しかし、今それが変化し始め、どちらが上でもどちらが下でもない、お互いが補い合うようになっているという認識が行き渡りつつあります」
ポール「よく分かりました。有難うございました」
○愛は霊にとって酸素のようなもの
シルバーバーチ「お二人とは随分永いお付き合いですね。二本の小さな苗木が真直ぐに育っていく様子を見てまいりました。そして、お二人が絶え間なく増えていく知識と理解力の中で生きておられるのを見て嬉しく思っております。
まだまだ知らねばならないことが沢山あります。でも、少なくともお二人は霊的な真理に守られて地上生活に立ち向かっており、その目的を理解し、何をしていても誠意さえあれば決して挫けることはないことを知っておられます。私はいつも身近にいて、私に出来る限りの援助をいたしましょう。
今日はルースちゃんとポール君の二人が来てくれて、私はほんとに嬉しく思っております。私がいつも身近にいることを知って頂くいい機会になるからです。私は決して遠くにいるのではありません。お二人がお家にいる時も、学校にいる時も、遊んでいる時も、直ぐ側にいることがあります。おかしくて笑い出すような光景を見ることもあります。ですが、地上生活から学び取ることも沢山あります。私はまだまだ学ぶことが終わったわけではありません。西洋人の生き方や習慣には興味を引かれることが色々とあるからです」
母親「私達は暖炉に火をくべながら、よくシルバーバーチさんのことを思い出すことがあるのですよ。暖炉を囲んで、シルバーバーチさんは暖炉や暖火はお好きだろうかね、などと語り合うんですよ」
シルバーバーチ「私はいつも私へ愛情を覚えてくださる方々の愛念によって心を温めております。私にとっては地上で窒息しない為に吸入出来る唯一の酸素は〝愛〟なのです。地上へ降りて来る為に、お預けにされる喜びを補ってくれる最大の慰めは皆さんからの愛なのです。(私の本来の住処である)高級界の霊的生活の荘厳を極めた美しさを一度体験されたら-一度でもその世界の恩恵を欲しいままに出来る生活を体験されたら、悪意と敵意、憎しみと闘争、流血と悲劇に満ちたこの冷たく陰鬱な地上生活はもう二度と御免蒙りたいと思われる筈です。
そんな世界に身を置いている私にとって、皆さん方の真理普及の行為によって魂が目覚めた人々の心に灯された愛念が何よりの慰めとなっております。地上世界での仕事は困難を極めます。冷え切った心、歪んだ心の持ち主、私達からの叡智や指導はおろか、自らの愛すら感じなくなっている人々が大勢います。そうした中にあって親近感や同情心、僚友精神や同志的友情がいかに大きな元気付けとなるものであるか、ご存知でしょうか。皆さんが想像される以上に私にとって力となっております。更に多くの人々へ手を差し延べて行く為の糧を供給してくださっていることになるのです。
ならば、道を見失い、同情の言葉に飢え、導きと慰めと希望の言葉を求めてその日暮らしの生活に明け暮れている気の毒な人達のことに常に思いを馳せようではありませんか。そういう方達は皆、この世に自分一人だけ取り残されたような悲哀の中で生きているのです。そういう人達こそ私達か霊力の行使範囲に導く為に何とかしてあげなくてはならないのです。物憂い悲嘆の生活を一変させ、希望の光と真理の感触とを生活の中にもたらしてあげることが出来るのです。
ご承知の通り私はこれから暫しの間地上を去ります。後ろ髪を引かれる思いがいたしますが、しかし時には高き世界からのエネルギーを再充電し、同じ使命に携わる同輩と協議し、失敗箇所と成功、予定通りに進行している所とそうでない所について指示を仰ぐことがどうしても必要なのです。その時私は皆さんからの愛を携えて行き、私からの愛を皆さんにお預けしてまいります。再び戻って来る日を心待ちにいたしております。
それでは最後に皆さんと共に宇宙の最高のエネルギー、私達がその一部を構成しているところの神のエネルギーに波長を合わせましょう。そのエネルギー、神の御力、大霊の息吹の恩恵を改めて意識いたしましょう。その最高の力を受けるに相応しい存在であるように努力いたしましょう。託された信頼を裏切ることのないように努力いたしましょう。高貴な目的の為の道具として恥ずかしくない生き方、考え方、物の言い方を心掛けましょう。そして、いかなる事態に遭っても、その神聖なる使命を傷付けることのないようにいたしましょう。
双肩に担わされた使命を堂々と実行いたしましょう。これから降りかかる如何なる受難にも、人の為に己を役立てたいと望む者は常に限りない愛を秘めた大霊と一体であるとの信念を燃やして、不撓不屈の決意をもって立ち向かいましょう」
続いて翌年のクリスマスにもルースとポールの二人が招かれている。シルバーバーチによれば、二人の存在も計画の中に組み込まれており、二人を通して、それなくしては得られない掛け替えのない力を得ているということである。
この度の交霊会はクリスマスとはどういう意味があるのかという話題から始まった。というのは、その頃ポールの学校でクリスマスについてのお話があり、ポールはその意味がよく分からなくて、家に帰ってから両親に説明を求めたばかりだったのである。
そのいきさつを聞いたシルバーバーチがこう述べた。
「その問題に入るに先立って知っておいて頂かねばならないことがあります。というのは、永い間地上人類を悩ませて来たつまらない問題から先に片付けておく必要があるからです。ポール君は神についてどういう点がよく分からないのでしょうか」
ポール「これまで色んな人が神について色んな説き方をしているみたいです。それぞれみんな違っており、これだと得心のいくものが一つもないのです」
○〝神〟の思想の進歩
シルバーバーチ「その通りなのです。忘れてならないのは、人間は常に成長しており、精神の地平線が絶え間なく広がっているということです。言い換えれば、境界線が取り除かれて行きつつあるということです。知識が進歩すれば宇宙そのものと、その宇宙に存在するものについて、より大きな理解力がもたらされます。
太古においては人間は環境について殆ど知識がなく、自然現象については全く理解していなかった為に、何もかも神様の仕業にしておりました。その神様についても人間を大きくしたような存在としてしか想像出来ませんでした。そこに犠牲(いけにえ)の思想の原点があります。雷が鳴り稲光がすると神様が怒っておられるのだと思い、その怒りを鎮める為に色んなお供えをするようになったのです。
そうした野蛮な小さい考えも次第に大きく成長し、人間は無知の暗闇から脱し、迷信の霧を突き抜け、知識の夜明けを迎えて、宇宙の根源はどうやら人間の想像を超えたものらしいということに気付き始めました。しかし、だからといって古い概念がそう簡単に消えたわけではありません。何かすごく大きな人間の男性のような姿をした神様が宇宙を拵えたのだという概念が、何十世紀も経った今も尚存在しています。
さて私達は更に一歩進めて、宇宙を創造しそして支配しているものは、男性神でもなく、女性神でもなく、とにかく形ある存在ではないと説いているのです。人間的な存在ではないのです。宇宙は法則によって支配されており、その法則は規模においても適用性においても無限なのです。それは無限の愛と叡智から生まれたものであり、従って完璧であり、過ったり失敗したりすることが絶対にないのです。
私は生命とは霊のことであり、霊とは生命のことであり、初めもなく終わりもないと説いております。霊を物質の中に閉じ込めてしまうことは出来ません。物質というのは霊の至ってお粗末な表現でしかありません。物質界に生きる人間は視覚と聴覚と触覚と嗅覚と味覚の五つの感覚でしか物事を判断することが出来ませんから、その五感を超えた生命の本質を理解することはまず無理なのです。
そうした限界の中で生きている限り、その限界の向こう側にあるものが理解出来るわけがありません。そこで次のような結論となります。すなわち宇宙は自然法則によって表現されていること、その法則の背後にある叡智は完全であること、しかし人間は不完全である為にその完全さを理解することが出来ないということです。人間が個体性を具えた限りある存在である以上、個体性のない無限の存在を理解することは出来ないのです。これはとても難しい問題ですが、少しでも理解の手助けになればと思って申し上げてみました。
人類の全てが-地球という一個の天体上だけではありません。数え切れない程の天体上の人間的存在全てがそうなのですが-私の言う大霊、皆さんの言う神の一部を構成しているのです。大霊とは全宇宙の霊の総合体だからです。これなら分かるでしょう?」
ルース「人間は進歩する程神について複雑な考え方をするようになり、複雑になる程真実から遠ざかって行くのではないでしょうか」
○本当の進歩とは
シルバーバーチ「本当の意味での進歩であればそういうことにはなりません。実は〝脳〟ばかり発達して〝精神〟や〝霊〟の発達が伴っていないことがあるのです。すると頭のいい人が多くなりますが、頭がいいということは必ずしも偉大な魂、或いは偉大な精神の持ち主ということにはならないのです。
それは脳という物質のみに限られた発達なのです。そういう発達をした人の中には複雑なもの程立派であるかに思っている人がいることは確かですが、本当の発達、精神と魂の発達を伴ったものであれば、霊的なことについてもより深く理解するようになります。正しい発達とは精神的並びに霊的な発達のことを言うのです。そういう発達をしている人は古い間違った概念を捨てて、ますます真理に近付いてまいります。
いつも忘れずにいて欲しいのは、無限の存在である大霊の全てを、限りある言語で説明することは不可能だということです。大きいものを小さいものの中に入れることは出来ません。これは当たり前のことです。分かってもらえたかな?さて他に、どんな質問がありますか」
○人類の最大の発見は?
ルース「人類による最大の発見は何だと思われますか」
シルバーバーチ「これは難しい問題ですよ。〝最大〟という言葉の意味が色々あるからです。どういう意味での〝最大〟なのか-物的にか、精神的にか、霊的にか、それを前もって考えてから質問すべきですね。
私の考えでは、人類による最大の発見は人間が動物とは違うこと(霊長類であること)を知ったこと、自我意識というものがあることを知ったこと、霊性を自覚したこと、お粗末とはいえ身の回りの現象について知る能力があることを知ったことです。それが他の全ての発見へと繋がったからです。
今〝霊性を自覚したこと〟と言いましたが、その意味は、人間が肉体以上の存在であること、物質を超えた存在であること、やがて朽ち果てて、土に帰って行く物質的容器とは違う存在であることを知ったということです。私はこれが何よりも大きな発見であると思います。
が、ルースちゃんの質問が私にとっての最大の発見は何かという意味であれば、話は又違って来ます」