同じくエドワーズ氏とバートン夫妻が出席した別の日の交霊会で、シルバーバーチはこう強調した。
 「霊力の真の目的は(病気が縁となって)あなた方の下を訪れる人の魂を目覚めさせることです。自分が本来霊的な存在であり、物的身体は自分ではないことに気付かせない限り、その人は実在に対して全く関心を向けないまま地上生活を送っていることになります。言わば影の中で幻を追いかけながら生きていることになります。実在に直面するのは真の自我、すなわち霊的本性に目覚めた時です。地上生活の目的は、帰するところ自我を見出すことです。なぜなら、一旦自我を見出せば、それからというものは(分別のある人であれば)内部に宿る神性を進んで開発しようとするからです。残念ながら地上の人間の大半は真の自分というものを知らず、従って不幸や悲劇に遭うまで自分の霊的本性に気付かないのが実情です。光明の存在に気付くのは人生の闇の中でしかないのです。
 あなた方がお会いになるのは大半が心身に異常のある方達です。治療を通じてもしその人達に自分が霊的存在であるとの自覚を植え付けることが出来たら、もしその人達の霊的本性を目覚めさせることが出来たら、もし内部の神の火花を点火させることが出来たら、やがてそれが炎となってその明かりが生活全体に輝きをもたらします。もとより、それは容易なことではありません。でも、たとえ外れた関節を元通りにするだけのことであっても、或いは何となく不調を訴えた人がすっきりしたというだけのことであったも、そうした治療を通じてその人に自分が肉体を具えた霊的存在であり霊を具えた肉体的存在ではないことを理解させることに成功すれば、あなた方はこの世で最大の仕事をしていることになるのです。
 私共が肉体そのものよりもその奥の霊により大きな関心を向けていることを理解して頂かねばなりません。霊が正常であれば肉体は健康です。霊が異常であれば、つまり精神と肉体との関係が一直線で結ばれていなければ、肉体も正常ではあり得ません。この点をよく理解して頂きたいのです。なぜなら、それはあなた方がご苦労なさっているお仕事において、あなた方自身にも測り知ることの出来ない側面だからです。完治した人、痛みが和らいだ人、或いは回復の手応えを感じた人があなた方へ向ける感謝の気持も礼も、魂そのものが目覚め、内部の巨大なエネルギー源が始動し始めた事実に比べれば、物の数ではありません。
 あなた方は容易ならざるお仕事に携わっておられます。犠牲と献身を要求される仕事です。困難の最中において為される仕事であり、その道は容易ではありません。しかし先駆者の辿る道は常に容易ではありません。奉仕的な仕事には障害は付きものです。かりそめにも楽な道、障害のない道を期待してはなりません。障害の一つ一つ、困難の一つ一つが、それを乗り越えることによって霊の純金を磨き上げる為の試練であると心得てください」

エドワーズ「魂の治療の点では私達治療家の役割よりも霊界の治療家の役割の方が大きいのですか」

 「当然そうなりましょう」

エドワーズ「そうすると私達が果たす役目は小さいということでしょうか」

 「小さいとも言えますし大きいとも言えます。問題は波長の調整にあります。大きく分けて治療には二通りの方法があります。一つは治癒エネルギーの波長を下げて、それを潜在エネルギーの形で治療家自身に送ります。それを再度治癒エネルギーに還元してあなた方が使用します。もう一つは、特殊な霊波を直接患者の意識の中枢に送り、魂に先天的に具わっている治癒力を刺激して、魂の不調和すなわち病気を払い除ける方法です。こう述べてもお分かりにならないでしょう」

エドワーズ「いえ、理屈はよく分かります。ただ現実に適応するとなると・・・・・」

 「では説明を変えてみましょう。まず、そもそも生命とは何かという問題ですが、これは地上の人間にはまず理解出来ないと思います。なぜかというと、生命とは本質において物質とは異なるものであり、所謂理化学的研究の対象とはなり得ないものだからです。で、私はよく生命とは宇宙の大霊のことであり、神とはすなわち大生命のことだと言うのですが、その意味は、人間が意識をもち、呼吸し、歩き、考えるその力、又樹木が若葉を纏い、鳥がさえずり、花が咲き、岸辺に波が打ち寄せる、そうした大自然の脈々たる働きの背後に潜む力こそ、宇宙の大霊すなわち神なのだというのです。同じ霊力の一部であり一つの表現なのです。
 あなた方が今そこに生きておられる事実そのものが、あなた方も霊であることを意味します。ですから同じく霊である患者の霊的進化の程度に応じた様々な段階で、その霊力を注入するというのが心霊治療の本質です。ご承知の通り病気には魂に起因するものと純粋に肉体的なものとがあります。肉体的なものは治療家が直接触れる必要がありますが、霊的な場合は今述べた生命力を活用します。が、この方法にも限界があります。あなた(エドワーズ)の進化の程度、協力者のお二人(バートン夫妻)の進化の程度、それに治療を受ける患者自身の進化の程度が絡み合って自然に出来上がる限界です。又、所謂因縁(カルマ)というものも考慮しなくてはなりません。因果律です。これは時と場所とにお構いなく働きます」

エドワーズ「魂の病にも色々あってそれなりの影響を肉体に及ぼしていると思いますが、そうなると病気の一つ一つについて質の異なる治癒エネルギーが要るのではないかと想像されますが・・・・」

 「全くその通りです。人間は三位一体の存在です。一つは今述べた霊(スピリット)で、これが第一原理です。存在の基盤であり、種子であり、全てがそこから出ます。次にその霊が精神(マインド)を通じて自我を表現します。これが意識的生活の中心となって肉体(ボディ)を支配します。この三者が融合し、互いに影響し合い、どれ一つ欠けてもあなたの存在は無くなります」

エドワーズ「一方通行ではないわけですね」

 「そうです。霊的並びに精神的発達の程度に従って肉体に自ずから限界が生じますが、それを意識的鍛練によって信じられない程自由に肉体機能を操ることが出来るものです。インドの行者などは西洋の文明人には想像も出来ないようなことをやってのけますが、精神が肉体を完全に支配し思い通りに操るように鍛練したまでのことです」

エドワーズ「心霊治療が魂を目覚めさせる為のものであり、霊が第一原理であれば、霊界側からの方がよほどやり易いのではないでしょうか」

 「そうも言えますが、逆の場合の方が多いようです。と言うのは、死んでこちらへ来た人間でさえ霊的波長よりは物的波長の中で暮らしている(地縛の)霊が多いという事実からもお分かりの通り、肉体を纏った人間は、よほど発達した人でない限り、大抵は物的な波長にしか反応を示さず、私達が送る波長には全く感応しないものです。そこであなた方地上の治療家の存在が必要となってくるわけです。霊的波長にも物的波長にも感応する連結器というわけです。治療家に限らず霊能者と言われている人が常に心の修養を怠ってはならない理由はそこにあります。霊的に向上すればそれだけ仕事の範囲が広がって、より多くの価値ある仕事が出来ます。そのように法則が出来上がっているのです。ですが、そういう献身的な奉仕の道を歩む人は必然的に孤独な旅を強いられます。ただ一人、前人未踏の地を歩みながら、後の者の為の道標を立てていくことになります。あなたにはこの意味がお分かりでしょう。優れた特別の才能にはそれ相当の義務が生じます。両手に花とはまいりません」

エドワーズ「先程治癒エネルギーのことを説明された時、霊的なものが物的なものに転換されると言われましたが、その転換はどこで行われるのでしょうか。どこかで行われる筈ですが・・・・」

 「使用するエネルギーによって異なります。信じられない方がいらっしゃるかも知れませんが、古の賢人が指摘している〝第三の目〟とか太陽神経叢などを使用することもあります。そこが霊と精神と肉体の三者が合一する〝場〟なのです。これ以外にも患者の潜在意識を利用して健康な時と同じ生理反応を起こさせることによって失われた機能を回復させる方法があります」

エドワーズ「説明された所までは分かるのですが、その〝中間地帯〟がどこにあるかがよく分かりません。どこで物的状態と霊的治癒エネルギーが繋がるのか、もっと具体的に示して頂きたいのです。どこかで何等かの形で転換が行なわれているに違いないのですが・・・・」

 「そんなふうに聞かれると、どうも困ってしまいます。弱りました。分かって頂けそうな説明がどうしても出来ないのです。強いて譬えるならば、さっきも言ったコンデンサーのようなことをするのです。コンデンサーというのは電流の周波を変える装置ですが、大体あんなものが用意されていると想像してください。エクトプラズムを使用することもあります。但し実験会での物質化現象や直接談話などに使用するものとは形態が異なります。もっと微妙な、目に見えない・・・・」

エドワーズ「一種の〝中間物質〟ですか」

 「そうです。霊の念波を感じ易く、しかも物質界でも使用出来る程度の物質性を具えたもの、とでも言っておきましょうか。それと治療家のもつエネルギーが結合してコンデンサーの役をするのです。そこから患者の松果体ないしは太陽神経叢を通って体内に流れ込みます。その活エネルギーは全身に行き渡ります。電気的な温みを感じるのはその時です。知っておいて頂きたいことは、とにかく私達のやる治療法には決まった型というものが無いということです。患者によって皆治療法が異なります。又霊界から次々と新しい医学者が協力にまいります。そして新しい患者は新しい実験台として臨み、どの放射線を使用したらどういう反応が得られたかを細かく検討します。中々捗らなかった患者が急に快方へ向かい始めることがあるのは、そうした霊医の研究成果の表れです。又治療家の所へ行く途中で治ってしまったりすることがあるのも同じ理由によります。実質的な治療というのは、あなた方が直接患者と接触する以前に既に霊界側において大部分が済んでいると思って差し支えありません」

エドワーズ「そうするともう一つの疑問が生じます。今霊界にも大勢の霊医がいると申されましたが、一方で遠隔治療を受けながら別の治療家の所へ行くという態度は、治療に携わる霊医にとって困ったことではないでしょうか」

 「結果を見て判断なさることです。治ればそれでよろしい」

エドワーズ「なぜそれでいいのか、理屈が分からないと我々人間は納得出来ないのですが」

 「場合によってはそんなことをされると困ることもありますが、全く支障にならないこともあります。患者によってそれぞれ事情が違うわけですから、一概に言い切るわけにはまいりません。あなただって患者を一目見て、これは自分に治せる、とは判断出来ますまい。治せるか否かは患者と治療家の霊格によって決まることですから、あなたには八分通りしか治せない患者も、他の治療家の所へ行けば全治するかも知れません。条件が異なるからです。その背後つまり霊界側の複雑な事情を知れば知る程、こうだ、ああだと、断定的な言葉は使えなくなる筈です。神の法則には無限の奥行があります。あなた方人間としては正当な動機と奉仕の精神に基づいて、精一杯、人事を尽くせばよいのです。こうすれば治る、これでは治らないとかを予断出来る者はいません」