シルバーバーチの交霊会にはよく霊媒や心霊治療家が招待される。そしてシルバーバーチがその一人ひとりに称賛と激励の言葉を述べる。その中には霊媒現象の裏面に関わることなどが窺われて、同じ仕事に携わる人はもとより、一般の読者にも興味のある話題が豊富である。
 本章では三人の霊媒と心霊治療家の場合を紹介する。(本章では前巻の Wisdom of Silver Birch でカットしておいたものを紹介する-訳者)

リリアン・ベイリー女史

シルバーバーチ「あなたは人類の救済の為に背後からあなたを使用している素晴らしい霊団が存在している事実を喜ぶべきです。あなたのお蔭でどれ程のことが為し遂げられているか、あなたご自身は(入神しているので)ご存知でありません。意識が消えて、やがて意識が戻る-あなたにはただそれだけのことのように思えるでしょうけど、実際はその間に誰かの魂が目を覚まし、誰かの心の荷が軽減され、悲しみに暮れる人が慰めを受け、挫折した心が癒され、混乱した精神が安らぎを見出しております。あなたに感謝の気持を抱いている人が長い列をなす程いらっしゃいます。私達霊団としても、神から授かった才能を自分のことを忘れてひたすら人類の為に捧げんとする霊媒の存在をどれ程誇りに思っているかを、何とかして言い表したいとじれったく思っているところです。あなたは神の豊かな恩寵を受けられた方です。本当に豊かな恵みを受けておられます。地上で大物とか大家と言いはやされている人達より、あなたの方が遙かに立派な仕事をしておられます。残念ながら今のところ一握りの人によってしか活用されていない霊力をあなたは存分に活用しておられます。それはどしどし活用されるべきものです。迷信という名の闇を地上から一掃する為に、その霊力を出来るだけ多くの人間の魂の中で胎動させなければなりません。それが私達-あなたと私、そして他の全ての神の道具-が偏見と無知という名の霧とモヤを一掃し、真理という名の光が世界中に射し込むようにする為に全身全霊を打ち込んでいる大事な仕事なのです。偉大な仕事です。あなたもその光栄ある仕事の一翼を担っておられるのです。
 私達神の道具はひたすら前進あるのみです。その道程においてはしばしば落胆させられます。些細ないざこざにうんざりさせられることもしばしばです。歓迎されてよい筈の場でしばしば反撃に遭います。そこで、あなたより少しばかり先の見透しの利く私から申し上げましょう。どうか、そうした邪魔は相手になさらず、かつてあなたに閃いたビジョン(先見の明・理想像・悟り)に縋って頂きたい。そして、あなたの霊的能力を最善に、純粋に、そして最高に活用することのみに専念して頂きたい。それ以外のことは構わないことです。そうしておればきっと愛の恵みが届けられ、ご自分が使用されている能力は神がその発現の通路を求めて間断なく行使しておられる霊力に他ならないことを認識されることでしょう」
 ここでベイリー女史が感謝の言葉を述べかけると、シルバーバーチはそれを制して-
 「私は暗闇に呼ばわる声の一つに過ぎません。私を地上へ派遣した高き神霊の仕事を推進せんとしているだけです。私もこれまでに易しい心理を少しばかり学んできて、それを形を変え、言い回しを変えながら説いておりますが、同じ単純・素朴な真理であることに変わりはありません。それを地上の方々が受け入れてくだされば、全ての難問が解決されるのですが・・・・」と述べてから「このサークルに参加されてどんな感想をお持ちですか」と尋ねた。

ベイリー女史「素晴らしいと思います。全体に漲る力がとても感じが良いです。もっとも、私には少し強過ぎるようです。私の意識から離れて作用しているみたいです。この意味がお分かり頂ければ有り難いですが・・・」
 このサークルでも直接談話を始め数々の現象が行われており、それぞれに霊媒が揃っている。ベイリー女史は霊視力もあり霊感も鋭いので、その〝舞台裏〟が見えたのである。女史は続けて「このボリューム溢れるエネルギー、迫り来るパワーは物質化現象に使われるものですね?」と述べた。

シルバーバーチ「そうです。このサークルにいつも潜在しているものです。今日はそれがあなたの存在によって刺激されております」

ベイリー女史「何人かのスピリットがそのエネルギーを部屋の中央へ運んで一つの固まりを拵えているようです。珍しい光景ですね。次の機会にはもっとしっかりと確かめたいものです。どうやら声が出されるみたいです」

シルバーバーチ「声の準備ですよ。いつも行われているものです。以前はそれを使って発声器官を拵えていたのですが、戦争の影響で大気が混乱している為にそれが出来なくなり、今のところ私の入神談話だけで間に合わせているのです」

ベイリー女史「私が見たところでは大きな柱のようですね。白い柱です。コチコチに固いものではありません。そこから何本かの紐状のものが伸びてメンバーの一人ひとりと繋がろうとしています。各メンバーから何かを摂取しようとしてるみたいです」
 そう述べてからその〝触手〟を霊界の技師達が操っている様子を細かく説明した。

シルバーバーチ「地上の方々はこうした霊界の働きの現実を理解してくださらないのです。いつでも使用出来る態勢になっているのです。あなたはその眼でご覧になったのですから、是非その事実を伝えてくださらないといけません」

ベイリー女史「時々人間の探求は表面的過ぎるという印象を抱くことがあります。ですからその背後に働く単純な現実を理解させるのが難しいのです」

シルバーバーチ「仰る通りです。しかし私達の世界には、かつて地上で一見とても勝算はないと思えた逆境の中で、長いこと忠誠心に燃えて戦った古強者が沢山おります。彼等はその仕事が引き継がれ少しずつ成果が実っているのを見守っております。私があなた方にひたすら前進なさいと申し上げるのはその為です。あなた方はそれだけで(他のことは何も心配しないで)よろしい。霊的知識を広めることだけを考えておればよろしい。理解力を広めるのです。思いやりの心を広めるのです。無知な無くすのです。光明へ向けて進むべき者を引き止めんとする勢力を打ち砕くのです。私達が掲げる光明はけっしてささやかなものではありません。なぜなら、一旦霊の力がいかに働きかけているかを知ったら、一旦死の扉を開く鍵を手にしたら、一旦死の向こうに広がる生命躍如たる世界をご覧になったら、その時こそその人は霊的実在を理解し、神の永遠の計画の中における自分の位置を悟ることになるからです。あなたはひたすらご自分の信じる道を突き進まれることです。後は私が力の限り鼓舞し援助します」

W・H・リリー氏
A・リチャーズ氏

 心霊治療家のリリー氏が同僚のリチャーズ氏を伴って出席したことがある。まずリリー氏が、二人でロンドンに心霊クリニックを設立しようとしているが偏見と無理解から来る様々な難問に遭遇している事情を説明してから、面接に出た役人が〝この連中は一体何者なのか〟といった目つきで二人をジロジロ見つめ回した話をした。するとシルバーバーチが-
 「この連中は一体何者か-このセリフは遠い昔に言われたものです。霊力が一握りの男達を鼓舞し真理普及の為に自分を棄てて邁進させたのは二千年足らず前のことでした。不変の摂理を啓示し、地上のいかなる力よりも偉大な力-人を導き霊感を注ぐことの出来る力、訓え諭すことの出来る力、病を癒し、傷付き衰弱した身体を回復させる力が存在することを身をもって証明しました。すると人々は言いました-一体この者達は何者かと。別に耳新しいセリフではありません。これからも何度も何度も聞かされることでしょう。
 あなたがこうした光栄ある仕事に携われることになったのは神から才能を授かっておられるからこそです。使用する為に授かったのです。私共の世界から援助せんとする者と全面的に協調する姿勢を持ち続ける限り、その才能を行使することを妨げる力は地上にはありません。問題や障害が立ちはだかっていると仰いましたが、それは克服すべきものとして与えられているのです。但し、その中にはあなたご自身が自ら招かれた問題もあることを忘れてはなりません。あなた自身が蒔いた種もあるということです。と申しますのは、あなたは(操り人形のように)ただ黙って言うなりになる道具ではないからです。(自由意志が尊重されているから過ちも犯しているということ-訳者)ですが、背後にいかなる困難の中をも導き通す力を具えた霊団、永年の霊界での研鑽によってその能力を立証している霊団が控えております。これまでも数多くの困難を克服し、数多くの悩み事を解消して来ております。いつか、これまでのあなたの辿って来られた人生を振り返りじっくりと見つめられれば、そこに霊による導きがあったことを明確にお認めになる筈です。
 あなたは心霊治療家です。病を癒す仕事です。それを阻止する力は誰にもありません-あなたご自身が拒否なされば別ですが、是非とも使用しなければならない力を授かっておられます。地上の力ではありません。遙か高級界から送られて来る力です。それは病に苦しむ数知れぬ人々に恩恵をもたらし祝福を与えることになりましょう。あなたに決意さえあれば、地上にはそれを阻止出来る権力はありません。問題はあなたの心のどこにも心配の念を宿らせないことです。これまで導いてくれた霊団が自分を見放す筈はないという断固たる信念を持たねばなりません。まだまだ越えねばならない険しい道があるからです。まだまだ献身を必要とする仕事の場が沢山あるからです。怖気づいてはなりません。かつてあなたがもう絶対に駄目だと思ったことが霊の力によって克服されて来たように、これから先もきっとその力は凱旋を続け、後で振り返った時、今のあなたには難問に思えることが他愛ない杞憂に過ぎなかったことを知って、にっこりなさることでしょう。
 為さねばならない仕事があるのです。治癒の手を必要とする人が大勢いるのです。悩める魂が大勢いるのです。恐々生きている人が大勢いるのです。身体の異状と病に苦しんでいる人が大勢いるのです。あなたはそうした人々を救うことの出来る霊力を授かっている数少ない人間の一人です。いかに祝福された方であり、いかに素晴らしい能力を授かっている方であるか、あなたご自身の想像も及ばない程です」

 続いてリチャーズ氏が、この交霊会に出席出来たことを光栄に思うという挨拶をした後次のように述べた。

リチャーズ氏「私はこれまで、あなたが毎週毎週お説きになっている訓えを忠実に信じておられる患者さんを大勢治療しております。そして私自身もあなたのお説きになる思想を細かく読み、それを道標としてまいりました。私の理解したところを言わせて頂けば、あなたは神についての誤った観念を打ち砕き、それに代わって理知的な概念を説き、それを〝無色の大霊〟 the Great White Spirit と呼ばれたり〝法則〟と呼ばれたりしております。私にとって、あなたを始めとする霊団の方々は人間より高等な知的存在であり、従って個的人格を具えた存在ですが、〝大霊〟は非人格的存在であるように思えます。この私の理解の仕方は更に深い理解への中途の段階に過ぎないのでしょうか」

シルバーバーチ「永い間地上を毒し続けて来た無知が私の力によって幾らかでも取り除かれたことを嬉しく思います。しかし、無知を無くしていく仕事はゆっくりとした、時間の要る仕事であることを忘れてはなりません。眼の見えなかった人に視力が戻る時はゆっくりと光に慣れさせていかねばなりません。真っ暗闇からいきなり真昼の太陽の中に出せば逆に眼をひどく傷めてしまいます。そこで、ある意味で〝教える〟立場にあるこの私は、教える相手の意識の程度に合わせて、叡智を噛み砕いてあげなければなりません。それは段階を経ながら徐々に行うしかありません。地上にはこれまで余りにも誤りが多過ぎました。間違った神々を信じて来ました。あまりに永い間叡智を拒絶して来た為に、その全ての誤りを正すには弛まぬ忍耐をもって臨むしかないのです。
 人格を具えた神の概念は、いつの時代にも個人はもとより民族・人種・国家にもそれを導く霊がいるという信仰に遡ります。つまり知識というものが今日程広がることのなかった時代にあっては、霊界から時折姿を見せる指導者を畏怖の心をもって崇めたものです。そしてそれがいつの間にか神の座に祭り上げられて行ったのです。それだけのことなのです。地球の歴史において、人類の痕跡のある所には必ずそうした信仰があるといってよろしい。そして遠く遡れば遡る程、その信仰には神話と寓話がごた混ぜになっております。
 さて、神とは法則です。私が思想や観念を述べるにはどうしても地上の言語を使用せざるを得ませんが、実はその言語そのものが障害となり、制約となり、限界となっているのです。と申しますのは、観念を言語に移し変える時、言い換えれば大なるものを小なるものに合わせようとする時、必然的に脱落する要素が沢山あるのです。ですから、私が述べたいと思っている思想や考えの符合又はシンボルとして言葉を使用しなければならない-それも往々にして極めてぎこちないものです-という事実そのものが、それを聞かれてあなた方が脳裏に画かれるものが必ずしも私が述べたいと思っていることと同じではないことを意味します。お判りでしょうか」
すると司会者のハンネン・スワッハーが意見を述べた。
スワッハー「こう解釈してよろしいでしょうか。あなたはアメリカ・インディアンを霊界の霊媒として使用しておられるので、例えば神のことをインディアンの古い用語である Great White Spirit  を使用することになる-この方が国教会で使用されている God よりも自然の摂理の表現として確かに適切です」

シルバーバーチ「それがまさしく私の言わんとしていたことです。どうやらここで詳しく解説しておく必要がありそうですね。このインディアンは私の道具です。ですが、道具とはいえ(先程述べた通り)これを使用している間はその個性によって条件付けられ、従って私は私の言いたいことを表現する上で役に立つ要素を精一杯活用することになります。例えば大自然を支配する法則を私はアメリカ・インディアンの用語である〝大霊〟を使用しますが、それは一つには今尚残っている〝神は人間である-えらく威張った人間である〟とする観念、しかも無論女性ではなく、自分の言うことを聞く者だけを可愛がりそして特権を与え、気に入らぬ者には腹を立て憎むことすらする男性であるとする、所謂神人同形同性説との相違をはっきりさせる為です。
 が、もう一つの理由として、それをどう表現しようと、その用語を超えた観念として私が何とかして明らかにしたい完璧な摂理の働き-あなた方や私の願望にはお構いなしに働く法則、全宇宙を支配する法則、四季の巡り潮の満ち引きを調節する法則、地上の生命の生長と活動と運動とリズムを管理している法則の観念があるのです。その法則は全存在の行為の一つたりとも、言葉の一つたりとも、思念の一つたりとも、観念の一つたりとも見逃すことはありません。表に出る出ないに関わりなく、生活現象の全てを管理しています。その法則こそ私が最高の崇敬を捧げているものです。それを大霊と呼ぼうと神と呼ぼうと、その他いかなる名称で呼ぼうと、その背後にある意味を理解してくだされば、それはどうでもよいことです。それが全存在をあらしめている力です。その力なくしては生命は存在し得ないのです。いかなる形態をとろうと、その力なしには存在しえないのです。生命に存在を与えている根源的エネルギーなのです。それを神と呼ぶのも結構でしょう。大霊と呼ぶのも結構でしょう。全知全能と呼ぶのも結構でしょう。しかし、いずれも、所詮は言葉に過ぎません。
 私がそれを法則として説くのは、人間の意志ではどうしようもない絶対的な理法というものがあることを指摘したいからです。それを正しく認識すれば、その枠内でお互いが協調的に生きることが出来、それに背いて不和と仲違いと利己主義と貪欲と腐敗と戦争を生むことにならなくて済む筈です。その摂理を理解しさえすれば、人生の図式が分かるようになり、進むべき方向と道標と目的が見えるようになります。そして同時にそれに自分を合わせていく方法も分かるようになります。なぜなら、自分も一個の霊、全生命の親である神の一部として、永遠の営みに参加出来ることを悟るようになるからです」