(シルバーバーチの霊訓10巻より)
人間は何の為に生まれて来るのだろうか。
死んだらどうなるのだろうか。
もっと幸せで生き甲斐のある生活を送るにはどうすればよいのか。
天地万物の背後には知的な〝こころ〟が存在するのだろうか。
物的宇宙に、そして人間に、何か〝計画〟というものがあるのだろうか。
知性の芽生えと共に、人類はこうした謎を追求し続けてきた。そして今その解答が、かつて同じこの地球で生活し今は一段と次元の高い世界へ進化して行っている人類の先輩霊の一人によってもたらされつつある。
その霊は人間の無知の暗闇を照らす松明の持ち手としての使命を引き受け、地上で語る為の霊媒としてモーリス・バーバネルを選んだ。
間もなくそのバーバネルを通して語るメッセージに耳を傾ける小さなグループが出来た。そしてその内の一人で〝フリート街の法王〟(英国ジャーナリズム界の御意見番)の異名をもつハンネン・スワッハーの名を冠して〝ハンネン・スワッハー・ホームサークル〟を正式の名称とした。
そのメンバーの内の三人は世襲的にはユダヤ教徒であり、更に三人はキリスト教徒だった。が、シルバーバーチと名乗るその霊は、
「我々が忠誠を捧げるのは一つの教義でもなく、一冊の書物でもなく、一個の教会でもなく、生命の大霊とその永遠不変の大自然の摂理です」
と語るのだった。
一人の人間が人類全体の命運を左右することは現実に有りうることである。イエスがそうだったし、ヒトラーがそうだった。このモーリス・バーバネルとシルバーバーチという二つの世界にまたがるコンビは、以来、数え切れない程の人々の人生を変え、悲しむ人には慰めを、絶望の淵に沈む人には希望を与え、今や世界の隅々までその愛好家が増えつつある。
ところで、そのシルバーバーチとは一体何者であろうか。
それについては、最も身近な存在である霊媒のバーバネルも、1920年に始めて入神させられてシルバーバーチのマウスピースとなった時に何も知らなかったことは、間違いなく事実である。そしてそれから六十一年後に他界するまで、もしかしたら知っていたかも知れないが、一言も口にしていない。
が、彼はその六十一年の歳月を支配霊シルバーバーチの語るメッセージを世界中に広めることに献身した。他界する当日まで倦むことなく忠実にその使命を全うし続けた。本書には彼による最後の交霊会の霊言が収録されている。
私はこの霊言集を次の三人の先達に捧げたい。すなわち優れた編集者であり、ジャーナリストであり、作家であり、又実業家としての才も見せた霊媒のモーリス・バーバネル、四十九年間に亘ってその地上での良き伴侶であった奥さんのシルビア、そしてサークルのメンバーであり同時に霊言の速記者でもあったフランシス・ムーア女史である。
パム・リーバ(シルバーバーチの霊訓第10巻編者)