ハイズビル事件を契機として新しい啓示が次々と入手され始めた頃、ブルーム卿(注)が奇妙な比喩を用いてこう述べた-〝一点曇りなき無神論の青空に、たった一つ小さな雲が漂い始めた。それが近代スピリチュアリズムである〟と。
 普通なら〝無神論の暗雲の切れ間にチラリと青空が見え始めた〟とでも表現すべきところであろう。しかし、これを裏返せば、卿のキリスト教への懐疑がいかに徹底したものであったが、そして又、スピリチュアリズムのもつ重大性をいかに強く意識していたかを物語っていると言えよう。
 ジョン・ラスキンも、死後の生命に確信を得ることが出来たのはスピリチュアリズムの科学的研究のお陰であると述べている。同様の趣旨のことを何十人、いや何百人もの著名な人が認めている。どれ一つ取り上げても、真実を証言するに十分な重みをもった名前である。彼等は、言うなれば、その曙光を最初にとらえた〝高き峰〟だったのかも知れないが、その光は、これが更に広がれば、いずこの低地にいる者にも拝めるようになることであろう。
 そこで、この二千年の間に他の何ものにも為し得なかった、人類の思想と行為の改革を必ずや為し遂げるであろうスピリチュアリズムを、これから一緒に検証してみたいと思う。私は、その良い面だけを紹介するようなことはしない。まだまだ残されている問題もあるので、それも紹介したい。核心的な面において絶対的な自信をもって扱うことが出来れば、他の全ての面における真実性を臆することなく主張することが出来ると信じるからである。
 生命を失って血の通わなくなった既成宗教に活力をもたらすことは確実と信じられるこの新しい潮流は、〝近代スピリチュアリズム〟と呼ばれることがある。これは意味のあることである。というのは、その底流にある霊性は、表現形態こそ異なっても、人類の歴史と共に存在してきたのであり、特に地球上に生じた全宗教の理念の根幹において赤々と燃え盛って来たのである。バイブルにもそれが一貫して流れている。

 (注)-Lord Brougham (1778~1868)
 ブルーム型馬車を最初に用いたスコットランドの政治家・法律家で、スピリチュアリズムにも理解を示した。