自殺ダメ


 モーゼスの死に際して心霊誌ライトにモーゼスへの賛辞が寄せられた。
 「氏は生まれついての貴族であった。謙虚さの中にも常に物静かな威厳があった。これは氏が手にした霊的教訓と決して無縁ではなかった。氏程の文学的才能と、生涯を捧げた霊的教訓と、稀有の霊的才能は、氏を傲慢不遜にし苛立ちを生み嫌悪感を覚えさせても決しておかしくないところである。が、氏にとってそれは無縁だった。常に同情心に満ち、優しく、適度の同調性を具えていた」

 スピーア博士の子息でモーゼスが七年間も家庭教師をしたチャールトン・スピーア氏は、モーゼスの人間性の深さ、性格の優しさ、真摯な同情心、そして今こそ自分を犠牲にすべきとみた時の徹底した没我的献身ぶりを称えてから、こう結んでいる。
 「真理普及への献身的態度はいくら称賛しても称賛しきれない。氏はまさに燃える炎であり、輝く光であった。恐らくこれ程の人物は二度と現れないであろう」
 モーゼスを最初にスピリチュアリズムへ手引きしたスピーア夫人はこう語っている。
 「自然を愛する心と、気心の合った仲間との旅行好きの性格、そして落ち着いたユーモア精神が、地名や事物、人物、加えてあらゆる種類の文献に関する膨大な知識と相まって、氏を魅力ある人物に造り上げていました。
 二年前の病さえなければ『霊訓』をもう一冊編纂して出版し、同時に、絶版となっている氏の他の著作が再版されていたことでしょう。健康でさえあったなら、それはいずれ成就されていた仕事です。霊界の人となった今、氏は、後に残した同志達が、氏が先鞭をつけた仕事を引き継いでくれることを切望しているに相違ありません」