自殺ダメ


 (自殺ダメ管理人よりの注意 この元の文章は古い時代の難解な漢字が使用されている箇所が多数あり、辞書で調べながら現代で使用するような簡単な漢字に変換して入力しています。しかし、入力の過程で、間違える可能性もあります故、どうかご了承ください)



 本書は、本文復刻版『浅野和三郎著作集』の一冊として四六上製版で昭和60年7月に発行されたものの新装版である。復刻の原本は、心霊科学研究会出版部より昭和12年2月に出版されている。



 本物語は言わば家庭的に行なわれたる霊界通信の一にして、そこには少しの誇張も夾雑物もないものである。が、その性質上記の如きところより、これを発表せんとするに当たりては、亡弟もかなり慎重な態度を採り、霊告による祠の所在地、並にその修行場等を実地に踏査する等、いよいよその架空的にあらざることを確かめたる後、始めてこれを雑誌に掲載せるものである。
 霊界通信なるものは、純真なる媒者の犠牲的行為によってのみ信を措くに足るものが得られるのであって、媒者が家庭的であるか否かには、大なる関係がなさそうである。否、家庭的のものの方が寧ろ不純物の夾雑する憂なく、却って委曲を尽くし得べしとさえ考えられるのである。
 それは兎に角として、又内容価値の如何もこれを別として、亡弟が心を籠めて遺せる一産物たるには相違ないのである。今や製本成り、紀念としてこれを座右に謹呈するに当たり、その由来の一端を記すこと爾り。

 昭和十二年三月 浅野正恭