以下の文章は、[小桜姫物語]という、霊的知識の書物から抜粋した文章です。また、自殺に関するその他の霊的知識は、[自殺してはならない霊的な理由]に書かれています。

 (自殺ダメ管理人よりの注意 この元の文章は古い時代の難解な漢字が使用されている箇所が多数あり、辞書で調べながら現代で使用するような簡単な漢字に変換して入力しています。しかし、入力の過程で、間違える可能性もあります故、どうかご了承ください)

 これは[小桜姫物語]という日本の霊界通信からの引用です。小桜姫物語はこちら

 P113より

 ここで一つ変わっているのは、私達が殆ど少しも現世時代の思い出話をしなかったことで、もしひょっとそれをやろうとすると、何やら口がつまってしまうように感じられるのでした。
 で、自然私達の対話は死んでから後の事柄に限られることになりました。私が真っ先に訊いたのは良人の死後の自覚の模様でした。-
 『あなたがこちらでお気がつかれた時はどんな按配でございましたか?』
 『ワシは実はそなたの声で眼を覚ましたのじゃ』と良人はじっと私を見守りながらポツリポツリ語り出しました。『そなたも知る通り、ワシは自刃して果てたのじゃが、この自殺ということは神界の掟としてはあまり褒めたことではないらしく、自殺者は大抵皆一旦は暗い所へ置かれるものらしい。ワシもやはりその仲間で、死んでから暫くの間何事も知らずに無我夢中で日を過ごした。もっともワシのは、敵の手にかからない為の、言わば武士の作法に適った自殺であるから、罪は至って軽かったようで、従って無自覚の期間もそう長くはなかったらしい。そうする中にある日不図そなたの声で名を呼ばれるように感じて眼を覚ましたのじゃ。後で神様から伺えば、これはそなたの一心不乱の祈願が、首尾よくワシの胸に通じたものじゃそうで、それと知った時のワシの嬉しさはどんなものであったか・・・・。が、それは別の話、あの時は何を言うにも四辺が真っ暗でどうすることも出来ず、暫く腕をこまねいてボンヤリ考え込んでいるより外に道がなかった。が、その中すっかりと光明が射して来て、今日送って来てくだされた、あのお爺さんの姿が眼に映った。ドーじゃ眼が覚めたか?-そう言葉をかけられた時の嬉しさ!ワシはてっきり自分を救ってくれた恩人であろうと思って、お名前は?と訊ねると、お爺さんはにっこりして、汝は最早現世の人間ではない。これからワシの申すところを聴いて、十分に修行を積まねばならぬ。ワシは産土の神から遣わされた汝の指導者である、と申し聞かされた。その時ワシははっとして、これはもう愚図愚図していられないと思った。それから何年になるか知れぬが、今では少し幽界の修行も積み、明るい所に一軒の家屋を構えて住まわしてもらっている・・・・・』
 私は良人の素朴な物語を大変な興味を以って聴きました。殊に私の生存中の心ばかりの祈願が、首尾よく幽明の境を越えて良人の自覚のよすがとなったというのが、世にも嬉しい事の限りでした。
 入れ代わって今度は良人の方で、私の経歴を聞きたいということになりました。で、私は今丁度あなたに申し上げるように、帰幽後のあらましを物語りました。私は生きている時から霊視が利くようになり、今では座ったままで何でも見えると申しますと、『そなたは何と便利なものを神様から授かっているであろう!』と良人は大変に驚きました。又私がこちらで愛馬に会った話をすると、『あの時は、そなたの希望を容れないで、勝手な名前を付けさせて大変に済まなかった』と良人は丁寧に詫びました。その外様々の事がありましたが、なかんずく良人が非常に驚きましたのは私の龍宮行の物語でした。『それはとんでもない面白い話じゃ。ドーもそなたの方がワシよりも資格がずっと上らしいぞ。ワシの方が一方ぼんやりしているのに、そなたは色々不思議なことをしている・・・・』と言って、大そう私を羨ましがりました。私も少し気の毒気味になり、『全ては霊魂の関係から役目が違うだけのもので、別に上下の差がある訳ではないでしょう』と慰めておきました。
 私達はあまり対話に身が入って、すっかり時刻の経つのも忘れてしまいましたが、不図気が付いてみると何処へ行かれたか、二人の神さん達の姿はその辺に見当たらないのでした。
 私達は期せずして互いに眼と眼を見合わせました。