自殺ダメ


　（自殺ダメ管理人よりの注意　この元の文章は古い時代の難解な漢字が使用されている箇所が多数あり、辞書で調べながら現代で使用するような簡単な漢字に変換して入力しています。しかし、入力の過程で、間違える可能性もあります故、どうかご了承ください）

ステッド『久しい間人間は、何等確実なる知識を有たなかったにも係わらず「余はかく信ず」と断言することを憚らなかった。ところが、現在の私は現に新しき生活を経験し、自分の知れるところをありのままに発表しつつあるのだ。現世の悩める人達は、安んじて、やがて苦悩から逃れ出る日の必ず来ることを期待してよい。愛するものを失った人達は必ず再びそれ等にめぐり合える。幽界には疾病もなく、欠乏もなく、又苦痛もない。確かに地上生活よりも結構である。
　余はこの事実を伝えるべく全力を挙げている。が、幽明の交通はまだ甚だ困難である。何となれば地上の最も優秀なる頭脳の所有者がその実験に応ずることを避けるからである。この仕事は甚深の研究を要する。幽明交通は科学的頭脳の所有者がその衝に当たるべきであるのに、現在では、それが軽々しく信ずるもの、感傷の涙に咽（むせ）ぶもの、受売説にかぶれているもの等に委ねられている。
　私達はこの仕事の為に地上の研究者達を途中まで出迎えることを辞しない。それは丁度両方面から闇を通してトンネルを開掘するが如きものである。兎も角も教育ある者がこの仕事に当たることを希望する。私は彼等がきっとそうする事を信ずる。幸いに新しい機運・・・つまり先入的見解から離脱して、思いを潜めて他の正しき主張に耳を貸そうとする新しい傾向が世の中に瀰漫しつつあることはよく我々に感得される』（三月二十八日）