自殺ダメ


 (自殺ダメ管理人よりの注意 この元の文章は古い時代の難解な漢字が使用されている箇所が多数あり、辞書で調べながら現代で使用するような簡単な漢字に変換して入力しています。しかし、入力の過程で、間違える可能性もあります故、どうかご了承ください)

ステッド『人間の心に我々の思想を印象することは困難である。それはあなた方の心が濁った水のようなものであるからで、我々はあくまで心の透明な、そして心の落ち着いた霊媒を必要とする。
 あなた方の方では精神を統一して私が放送するものを受け取るべく努めてください。そして後で注意して修正を加えてください。
 私はこれから我々の生息する「物質の海」につきて物語ろうとする。大洋の魚族と同じく、我々は皆物質の大洋中に生息する。この宇宙に属する限り、我々は物質と絶縁することは出来ない。何となれば我等の住む宇宙は物質であるから・・・。
 物質は色々の方式で我々に影響する。一例を挙げればかの光である。我々は光の海に泳いでいる。我々自身は物質ではないが、ある意味に於いて光である。光の一種である。我々は光を放つことも出来れば、又光を駆使することも出来、又光を用いてある形態を造ることも出来る。日中にはその色は白っぽく見えるが、夜間にはもっと明るくすることも出来る。
 しかし、我々は地上の人達を驚かすことを欲しない。ドウも人間はびっくりし易くて困る。
 多くのものは生命の永続を信じ、愛する者が他界に生存していると思っている。が、いざ死者が姿を出したとなると、恐怖心に襲われないものは極めて少ない。疑もなくそうした恐怖心は永生の事実が一般に知れ亘るにつれて次第に薄らぐではあろう。我々としては常に地上の人に混じり、地上人の影のような姿を目撃しているのだが、あなた方は少しも我々の事を知らずにいる。我々はあなた方には見えない。もっともそれはその筈だ。あなた方の方から言えば我々の所在地は「空」だから・・・。
 我々には時もなければ場所もない。これはあなた方には容易に腑に落ちますまい。が、我々は寸毫(すんごう)の場所も塞がない。我々は大きさもなければ、形もなく、巾さもなければ厚さもなく、目方もなければ実体もない。それにも係わらず我々は立派にある。我々は実在をもつ。実在は働くべき時も場所も要しない』(四月九日)