自殺ダメ


 (自殺ダメ管理人よりの注意 この元の文章は古い時代の難解な漢字が使用されている箇所が多数あり、辞書で調べながら現代で使用するような簡単な漢字に変換して入力しています。しかし、入力の過程で、間違える可能性もあります故、どうかご了承ください)

 挨拶

 私はこれから人間の所謂『他界』『彼岸』『死後の世界』などと称している、不思議な世界につきて、詳述を試みようとするのであるが、かくいう私とても、勿論知識と経験とに限りがある。私はただ私の観た事実を物語ろうとするだけのものである。もしも私の用語が冒涜的であったり、生前人の所説の単なる繰り返しであったりしたら、偏に諸子の肝要を希ふ次第である。
 思うに私とあなた方(霊媒その他)とは、同一目的の為に働きつつあると信ぜられる。我々は人間の心霊的知識の総量に、何物かを加え得れば甚だ有り難いと念願しているのである。お互いにセンセーションを巻き起こすような目覚しい仕事は、我々の力量にないかも知れぬが、しかし少なくとも我々は、我々の思惟(しい)以上に限りなく展開されている、広大無辺なる世界の存在につきての知識を推し進めることに、多少の貢献は為し得るであろう。
 私がこれから伝達しようとする所は、悉く私自身の他界における知識の発表である。私には私が知っている事実だけしか物語れない。霊魂がこちらの世界で自身を見出す境涯は、千種万様であるが、何れも皆生気躍如として働いている。実際霊魂は肉体を離れてこそ、初めて真に生きていると称して良いらしい。我々肉体の無いものから観れば、鈍重な肉体に包まれて酔生無死の物的生活を営みつつある地上の一部の人達の霊達は、果たして生きているか否かが疑わしい位のものである。
 (評釈)これだけの所では格別マイヤースらしい面目は充分に現れていると言えぬが、しかしその純真率直な好学的態度は、さすがにやはりあの人かと首肯される。偏狭なる自己の小経験を以って全てを律せんとする頑愚な所有者の到底及び難きところである。