自殺ダメ


 (自殺ダメ管理人よりの注意 この元の文章は古い時代の難解な漢字が使用されている箇所が多数あり、辞書で調べながら現代で使用するような簡単な漢字に変換して入力しています。しかし、入力の過程で、間違える可能性もあります故、どうかご了承ください)

 冥府(ヘーズ)という言葉は、いささか不愉快な連想をもたらすかも知れぬが、実は一の準備的中間地帯と思えば何でもない。肉体の崩壊直後に於いて、何やら身体各部の一時的脱臼と言ったような期間が続く。私はイタリイで客死したが、その頃の私は非常に心身の倦怠を感じていた。それ故か冥府は私にとりて、至極結構な安息の場所、半醒半夢の薄明るい保養地であった。そして人間が熟睡によりて気力を回復すると同じく、私は冥府生活の期間中に、すっかり精神的又理智的能力を回復してしまった。全て各自はその性質次第で、冥府と称する顕幽両界の中間帯に於いて受ける影響が、それぞれ異なるらしい。
 (評釈)大体よく死の直後の休養期を説明している。私が試みた無数の招霊実験の結果からいえば、その休養時代は人によりて中々長く、五年、十年、二十年になっても尚うとうと眠っている者が少なくない。それ等の霊魂は先ず適宜の覚醒法を講じてからでないと、地上との交通は不可能である。職業的霊媒の中には、誰でも直ぐに招霊し得るようなことを言うものもあるが、勿論それは嘘である。気をつけないと一杯喰わされる。