自殺ダメ


 (自殺ダメ管理人よりの注意 この元の文章は古い時代の難解な漢字が使用されている箇所が多数あり、辞書で調べながら現代で使用するような簡単な漢字に変換して入力しています。しかし、入力の過程で、間違える可能性もあります故、どうかご了承ください)

 諸子の環境は、見方によっては諸子自身の創造にかかると言ってもよい。何となればそれは諸子の神経、諸子の感覚が捕え得るだけの狭い、縛られたる環境だからである。諸子は決して精神的に充分まだ解放されてはいないのである。
 もしも諸子にして自我意識を奥へ奥へと誘導し、五感とは全く絶縁した、形態抜きの純理の世界に入るべく自身を訓練することに成功したとすれば、物質の世界などは勿論、全部消えて見えなくなる筈である。しかしそれは現在の諸子には到底出来ない。それは今後無尽蔵の経験を積んだ暁に於いて、初めて期待さるることである。
 兎に角諸子は、その死後に於いて高級の世界に進めば進む程、その智能は次第に増進し、物の形などは自分の意のまにまに、ドウにでも左右し得るようになる。換言すれば形の中に生命を宿す術が上手になるのである。調度彫刻師が粘土をひねりて、ある形像を造るが如く、諸子の心はよく形の中に生命と光とを集め、かくて自己の意念の欲するまにまに、自己の環境を造り上げて行くのである。勿論最初の諸子の意念は、地上の経験と記憶とに限られているから、折角造り上げたものも、結局地上に見出されるものの複写に過ぎない。それを離脱するには諸子の精神の発達向上に待たねばならない。
 一言ここで注意しておきたい事は、この夢幻界の程度での諸子には、まだ意識的に自己の環境を造る能力が備わっていないことである。諸子の内的意念が類魂の中に伝わり、その援助で諸子の気付かぬ間に、自分の置かれる環境が、いつしか出来上がっていると言った次第なのである。諸子はまだまだ個人的束縛から脱し得ない。地臭を帯びた、不自由な魂であり、従ってその働きが頗る鈍いのである。
 (評釈)各自の魂の向上発達する順序をば、正面に諄々と教えているところが甚だ嬉しい。現代人は最早かの旧式な既成宗教の愛用する無上道、又は気休め式暗示にはかからない。こんな風に説かれて初めて成る程と肯かれる。と同時にこの一節は、数ある霊界通信を紐解く者にとりても良い指針である。これを以って臨めば、霊界の通信者の発達程度がほぼ見当がつく。殊に末尾の夢幻界につきての注意などは、良い参考資料だと思う。私の入手した霊界通信にも同一時を伝えている。