自殺ダメ
(自殺ダメ管理人よりの注意 この元の文章は古い時代の難解な漢字が使用されている箇所が多数あり、辞書で調べながら現代で使用するような簡単な漢字に変換して入力しています。しかし、入力の過程で、間違える可能性もあります故、どうかご了承ください)
生理学者に従えば、記憶は単なる脳髄の所属であるとされる。実際脳の一部に傷害を与えれば、今まで健全であった人が、精神的には忽ち空虚の廃物となり、過去に起こった何等の経験をも思い出すことが出来なくなる。
が、事実を言えば、この不幸な人は少しも過去を忘れたのでもなければ、又理性を失ったのでもない。脳の機関の一箇所に故障を起こした為に、その智慧も、記憶も、これを外面に表現することが出来なくなったまでである。内的には、彼は依然として理性もあれば記憶もある。換言すれば肉体の模写である。彼の複体の中には、その生涯の間に起こった一切の経験、一切の事実を立派に記帳しているのである。
記せよ、この複体は彼の誕生から死に至るまで、連続的に彼の魂の宿舎を以って任じ、その点肉体よりは遙かに忠実な、そして遙かに大切な用具であることを。
人間の見解からいえば、過去の記憶こそは、その本人に相違なきことの認識の為に、何より大切な要素である。ところがこの認識は、死によりて少しも失われるものでない。何となれば魂はその記憶の中枢をば、死後の機関であるところの複体の内部に置いてあるからである。勿論その外殻は、冥府生活中に放棄されるから、複体の概要部のみが個性の維持、記憶の保存に当たる。
尚複体は冥府滞在中に大改造、大整理の結果、驚くべき新威力を獲得し、為に魂は丁度繭を破った蝶のように、生気溌剌(はつらつ)たる元気と、洋々たる希望とを以って、夢幻界の新生活に入るのである。
実際又夢幻界は、これ等の希望の満足にはあつらえ向きの世界なのである。
(評釈)死後個性の存続と否とは、実に神霊主義の生命のかかる所で、従って近代心霊研究者達は、霊媒を機関として、この実証の確立に全力を挙げた。説明法は幾通りもあるが、しかし何と言っても最も有力なのは、本人の生前の記憶が、果して死後にも残存しているか否かの問題である。所が、東西各地の霊媒達は、この点の証明に関しては既に立派に成功した。八十年間の努力のお蔭で、今日ではその証拠が山積している。パイパー夫人たった一人の実績のみでも、沢山だといえる位である。この事実から帰納すれば、マイヤースがここに述べる通り、我々の記憶は、肉体よりも寧ろ複体の方にその中枢を置いている事が確かである。
(自殺ダメ管理人よりの注意 この元の文章は古い時代の難解な漢字が使用されている箇所が多数あり、辞書で調べながら現代で使用するような簡単な漢字に変換して入力しています。しかし、入力の過程で、間違える可能性もあります故、どうかご了承ください)
生理学者に従えば、記憶は単なる脳髄の所属であるとされる。実際脳の一部に傷害を与えれば、今まで健全であった人が、精神的には忽ち空虚の廃物となり、過去に起こった何等の経験をも思い出すことが出来なくなる。
が、事実を言えば、この不幸な人は少しも過去を忘れたのでもなければ、又理性を失ったのでもない。脳の機関の一箇所に故障を起こした為に、その智慧も、記憶も、これを外面に表現することが出来なくなったまでである。内的には、彼は依然として理性もあれば記憶もある。換言すれば肉体の模写である。彼の複体の中には、その生涯の間に起こった一切の経験、一切の事実を立派に記帳しているのである。
記せよ、この複体は彼の誕生から死に至るまで、連続的に彼の魂の宿舎を以って任じ、その点肉体よりは遙かに忠実な、そして遙かに大切な用具であることを。
人間の見解からいえば、過去の記憶こそは、その本人に相違なきことの認識の為に、何より大切な要素である。ところがこの認識は、死によりて少しも失われるものでない。何となれば魂はその記憶の中枢をば、死後の機関であるところの複体の内部に置いてあるからである。勿論その外殻は、冥府生活中に放棄されるから、複体の概要部のみが個性の維持、記憶の保存に当たる。
尚複体は冥府滞在中に大改造、大整理の結果、驚くべき新威力を獲得し、為に魂は丁度繭を破った蝶のように、生気溌剌(はつらつ)たる元気と、洋々たる希望とを以って、夢幻界の新生活に入るのである。
実際又夢幻界は、これ等の希望の満足にはあつらえ向きの世界なのである。
(評釈)死後個性の存続と否とは、実に神霊主義の生命のかかる所で、従って近代心霊研究者達は、霊媒を機関として、この実証の確立に全力を挙げた。説明法は幾通りもあるが、しかし何と言っても最も有力なのは、本人の生前の記憶が、果して死後にも残存しているか否かの問題である。所が、東西各地の霊媒達は、この点の証明に関しては既に立派に成功した。八十年間の努力のお蔭で、今日ではその証拠が山積している。パイパー夫人たった一人の実績のみでも、沢山だといえる位である。この事実から帰納すれば、マイヤースがここに述べる通り、我々の記憶は、肉体よりも寧ろ複体の方にその中枢を置いている事が確かである。