自殺ダメ
(自殺ダメ管理人よりの注意 この元の文章は古い時代の難解な漢字が使用されている箇所が多数あり、辞書で調べながら現代で使用するような簡単な漢字に変換して入力しています。しかし、入力の過程で、間違える可能性もあります故、どうかご了承ください)
空間には無数の黒い星が運行している。それ等は遠き昔に、燃焼し尽くした太陽の遺物であるが、しかし今もなお崩壊するまでに至らず、無限の空間を通じて、寂しき旅を続けているのである。それ等は肉眼はもとより、いかなる望遠鏡を以ってしても、到底視ることは出来ないが、しかし断じて仮説的の幻影でなく、又単なる残骸とも考えらない。何となれば、それ等が或る安定性を有し、或る創造の用務に服しつつあるからである。そしてそこには、人間の知らない一種の知覚を与えられたる存在物が、立派に生活を営みつつあるのである。
これ等の黒い星の居住者達は、その環境の異常なのに準じて、その機能も又極めて異常不可思議である。しかも彼等は、やはり類魂中の一部であって、決して我等と全然別種のものではないのである。
有限の理性は、無限の空間に散布されたる天体のあまりにも多く、あまりに偉大なるを見て驚き、且つ呆れ、それ等の世界に個性を有する居住者が存在するなどとは、到底考え得ないように思う。が、人間の想像力は、たとえそれが有限であっても、自分の述べる所を、必ずしも荒唐無稽の痴人の夢とのみ見做さないであろう。少なくともそう考える事によりてのみ、人間の意義が初めて発生する。我々は、断じてただ地上の同胞のみを伴侶として、永遠の旅を続けるのみでなく、実に目に見えざる我々の祖霊、又太陽系の他の諸天体の居住者達とも、立派な道連れなのである。彼等は物質的には、全然我々と別世界の住人である。しかし精神的には、全然我々と同一家族である。
ああ想像と直感-そうしたものが人間にあればこそ、我々は地上生活につきものの一時的の苦痛や、悲哀や、粉々たる誤解や、争闘やを排除し、圧倒し得るのである。見よ、自分達の前途、自分達の真上には、偉大崇厳なる自由の世界が、自分達の来着を、笑顔を以って差し招いているではないか。人間は断じて五、七十年の短日月に限られた、そんなケチ臭い、そんな貧しい、そんな窮屈な、又そんな悩ましいものではない。人間を縛るものは、実にその厄介千萬な肉体である肉体があるばかりに、人間は親切にして高邁なる祖霊、その他人間以上の有情の存在に背き、かくもせせこましい割拠的生活に悩むのである。
(注釈)さすがのマイヤースも、『黒い星』並にその居住者につきては、単なる概念しか伝え得ない。そして最後はただ詠嘆的に理性と、直感との相違を指摘しているに過ぎない。霊界通信も、ここまで来ると、そろそろ詩歌の領分内に歩み入る傾きがある。