自殺ダメ


 [霊界通信 新樹の通信](浅野和三郎著)より

 (自殺ダメ管理人よりの注意 この文章はまるきり古い文体及び現代では使用しないような漢字が使われている箇所が多数あり、また振り仮名もないので、私としても、こうして文章入力に悪戦苦闘しておる次第です。それ故、あまりにも難しい部分は現代風に変えております。[例 涙がホロホロ零る→涙がホロホロ落ちる]しかし、文章全体の雰囲気はなるべく壊さないようにしています。その点、ご了承ください。また、言葉の意味の変換ミスがあるかもしれませんが、その点もどうかご了承ください)

 引き続いて私は、十月十九日にも、新樹を通じて乃木さんと談話を交えました。この日私は『日本国民に告ぐ』という標題を提出して、これに対する乃木さんの回答を求めました。例によりて乃木さんは、非常に謙遜で、容易に口を開こうとしませんでしたが、私から再三促されて、やっと言葉を発せられたのでした。
 答「ワシはこちらの世界に引き移ってからも、非常に日本国のことは心配しております-イヤ国の事以外には、殆ど何も知らぬと言った方が適当かも知れません。そのお蔭か、自分には、いくらか日本国に今後起きるべき事柄が、薄々判っております-しかし、それはまだはっきりと言うべき時期でもないし、又自分とても、通信という仕事は一向不慣れであるから、心に念じていることを、全部そちらに通じることは出来ないように思います。で、ワシとして目下言うべきことが甚だ少ないのは、致し方もない次第でありますが、ただ日本国民が、あまり太平の夢に慣れてはいけないとだけは、一言申し上げておきたいと思う-自分としては、生前日露戦役に於いて、旅順に包囲戦を引き受け、モウああいう罪な仕事・・・つまり人殺しみたいな事は、二度と再びあっては困ると、心の底から懲り抜いております。いかに戦争の常とはいえ、沢山の兵士を亡くすれば、その人々の恨みは、自然こちらに巡って来て、随分身を責められることになります。自分は実際二度と再び戦争などはしたくない。自分はその事を、始終神様にもお願いしている次第であります。が、やはりこれも時節というものか、ドウしても、モウ一度は免れない運命になっておりますようで・・・。自分としては、外に何も考えることはなく、ただ一途に日本の前途を案じているばかりでありますが、念力をこらせば、そんな事が少しは判って来ます。人間の世界の方では、どんな模様でありますナ?いくらかそんな気配でも兆して来ましたかナ?-勿論、前途に困難があると申したところで、それは決して今直ぐというのではない-毛頭慌てる必要はないのであります。又いざとなれば、自分も護国の神として、むげに引っ込んでばかりはおりませぬ。ただ日本国民として、この際何より肝要なのは、堅固な覚悟であると思うのであります。日本という国は、度々外国と戦火を交え、悉くそれに勝利を占めているので、従って負けた国から、大変に怨まれております。その事は幽界へ来てみてから、甚だ痛切に判ります。戦というものも、主としてこうした怨みから起こって来るもので・・・。こういうとあなた方は直ぐその相手は誰であるかとか、その時期は何時であるかとか、又その結果はドウであるかとか、はっきりしたことを聞きたいと思うのでありましょうが、それはワシにもよくは判らん。幽冥の世界と、人間の世界とは、切っても切れぬ密接な関係で結ばれているものの、自ずとそこに区別がある。第一、時期などというものは、あれは人間の世界のもので、こちらの世界には、夜もなければ昼もなく、今年もなければ、明年もない。あるのは、せいぜいそれぞれの事件が運ばれて行く順序位のものであります。高い神さまなら知らぬこと、自分などの境涯では、とても時期の預言などは出来ませぬ。同様に戦の継続期間などもよく判りませぬ-又人間にとりて、そうした事柄は、実はドウでもよい。肝心なのは、只今申す通り覚悟一つじゃ。何時何事が起ころうとも、又それがいかに困難であろうとも、あくまで神を信じ、あくまで君国の為に尽くす心でおりさえすれば、それで万事は立派に解決がつきます。くれぐれもあなたから、この旨を日本国民に伝えてください。ワシもこれから充分に修行を積み、決して国民の期待に背くようなことはせぬ覚悟でおります。いずれ詳しい事は、適当な時期をもってお伝えします。目下はまたちょっとその時期でないので・・・」
 乃木さんは私の問に応じて、まだ少々漏らされた事もありますが、今回は一先ずこの辺で打ち切ることに致します。