自殺ダメ



 『これが死後の世界だ』M・H・エバンズ著 近藤千雄訳より

 P149からの抜粋(一つ前の『魔法のような力』の続き)

 問「こしらえたものはいつまでもそのままかしら」
 エ「そのままにしておこうと努力しなければダメね。最初は大人の方が作ってくださるんだけど、一旦自分でこしらえることを教わったら、それからは自分で家なら家のことをずっと考えてなきゃいけないの。あたしなんか、家や場所をこしらえることなんか平気になっちゃって、今はもっと他のことが出来るわ。他のことというのわね、ルースちゃんと一緒に練習したんだけど、空を飛ぶこと。飛ぶ時に乗っかるものは、家をこしらえる時に使うのと同じものです。ちょっと見ると空気みたい。面白いのよ。それには色が一杯あって、あたし達はその色の上に乗っかるの。汽車位の速さで飛ぶこともあるし、風みたいにさっと飛ぶことも出来るのよ。とっても面白い!」
 問「今はどんなことをしてるの?」
 エ「近頃はね、噴水のある素敵な土地に住んでるの。その噴水のある庭は地上で季節が変わるのと同じように次々と様子が変わって行きます。あたしがそこで教わっていることは、地上の四季の変化に合わせて庭の様子を変えていくことです。庭にあるものを見ていると、マンボちゃんやジェーンちゃん、それからパパ、その他色んな人を思い出します。その庭はあたし達が思い出すもので作られているのです。地球のように固くはないんだけど、固いものと思っていじくるから地上の庭と同じ感じがします。全部あたし達が知っているものに似せて作ります。でもやっぱり自分で工夫しなければダメです」
 「勿論少しは大人の方に手伝って頂くんですけど、もし自分で工夫しなかったら、辺りに光が見えるだけで、何も出来ません。あたし達の作り方は地上の子供がレンガで家をこしらえて遊ぶのに似ています。あたしはレンガの作り方も教わりました。でも、おばさんに見せてあげても、きっと何も見えないと言うに決まってるわ。空気みたいだと言うかもね。面白いでしょ?」
 問「近頃お嬢ちゃんのお母さんがどんなことしてるか、そちらから判る?」
 エ「ああ、ママのこと?一杯知ってる。近頃は特にジェーンちゃんのことで心配してるらしいわね。でも、あの事、あたし少し難しいと思うわ。もう一、二年経てばずっと楽になると思うんだけど・・・。というのはね、おばさん、あたしには秘密があるの。それはね、誰かが死んでママに少しばかりお金が入るってこと。それだけはハッキリ分かるわ。いつの日のことかは言えないけど、ママがそれで楽になることだけは確かよ。
 今あたしには一杯お友達がいます。殆どおばさんの知らない人ばっかり。この頃は前みたいに遊んでばかりいるのがイヤになっちゃった。遊んでるより物をこしらえてる方がずっと面白いんです。だって、こしらえたものが本当に生きてるんですもの。でも、今やってる仕事はとても難しい仕事です。それはね、眠りから覚めた小さい子の世話をしてあげることです。なぜ難しいかというと、自分が死んだことに気付かない子や、気が付いても何のことか分からない子が沢山いるんです。そういう子は大抵泣きながら乳母やお母さんを捜します。あたしにはそういう子の気持がよく分かるから、一緒に遊んであげながら色んなことを教えてあげます」