自殺ダメ



 『これが死後の世界だ』M・H・エバンズ著 近藤千雄訳より

 P151から抜粋(一つ前の『空を飛ぶ』の続き)

 「例えば新しい眼を使うことや、肉体よりもっと上等な身体を持っていることなのです。あたし達の体は痛みも感じないし食べ物もいりません。空気と光だけあれば生きて行けるのです。それから、あたし達が用意した土地へその子達を連れていくのです。全部一度見たことのあるものなので、直ぐに慣れてよく遊ぶようになります。そうなったら、もう、自分が死んだことを知らされても少しも怖がりません。あたし達がこしらえた世界の方が素晴らしいからです」
 問「動物はどうなるのかしら。そちらへ行っても会えるかしら?お嬢ちゃんはそちらで動物を見たことある?」
 エ「はい、あります。馬も犬も小鳥も見ました。偉い方から教わったことなんですけど、その方達は地上で死んだ動物を引き寄せて元通りの生きた動物にしてやることが出来るんですって。こちらの動物は少しも人間を恐れません。だって、動物に意地悪する人なんか一人もいないんですもの。もしも動物を虐めたら、その人は暫く何もない暗い場所へ行かされます。でも、なぜかこちらの人は決して動物を虐めたりしません。そのわけはこうじゃないかしら。つまり地上で悪いことをするのは大抵肉体のせいでしょ?ところが、こちらに来ると空気で出来てるみたいな、軽くて使い易い体の中に入るので、酷いことや、意地悪がしたくなくなるのだと思うの。みんな他人の身になって親切にしてくれる人ばかりだから、嘘なんかつく必要がないし、空気と光だけあれば生きて行けるから、他人のものを盗む必要もない。それに、欲しいものが何でも自由に作れるからケンカも起きない。地上の人間の肉体は自分が持っていないものを欲しがるように出来ているのね」
 問「動物も地上のことを憶えてるかしら?」
 エ「ええ、あたしは実際に動物が地上のことを思い出しているところを何度も見ました。一度はお腹を空かせた猫が家がなくてドブの中へ入って死んでしまう、可哀相な場面を見たことがあります。でも猫にも大人の人がいう〝生命の精〟がありますから、肉体は滅びてもその生命の精だけは死なずにこちらへ来ます。あたしは動物の世話もします。賢い動物です。あたし達がこしらえた世界へやってくるのです。勿論、他の人の所へも行きます。あたしは動物は暫くしたら又地上へ戻るんじゃないかと思うの。そのワケは、進歩するには地上の生活が一番為になるからです。戻る時は動物の身体か人間の赤ちゃんの身体に宿るんだけど、どっちにするかは動物によって違います」