自殺ダメ



 『これが死後の世界だ』M・H・エバンズ著 近藤千雄訳より


 P98より

 では次にトーマス氏が霊界の父親と交わした問答を『実証による死の彼方の生活』から抜粋してみよう。霊媒は同じくオズボーン・レナード夫人である。
 問「今までのお話だと結局父さんのいる界は、距離は別として、要するにイギリスの真上にあるということになりますが、では地球の自転との関係はどうなりますか。やはり一緒に回転するわけですか」
 父「その通りだ。静止していると言う人もいるが、そうではない。やはり地球と一緒に回転している。ただその動きが全く感じられないのだ。高い界ほど速く回転している。中心からの距離が遠い程速く回るわけだから。もっとも、その差は少しずつだから、地球へ来て戻る位では何の変化も感じられないが」
 問「では地球からの距離はどうですか」
 父「その距離というのは実は当てにならんのだ。というのは、霊界の一番下層部は地球のずっと上の方にあるわけだが、上層部へ行くに従って〝物〟の形体に一定性というものが無くなってくる。意念による反応が敏感で、上の界へ行く程速くなる。今〝物〟と言ったが、それは他に適当な用語が無いからで、地上と同じ物体を想像されては困る。地上では固いものは誰がいじっても固いが、こちらでは意念の強弱によって固さが違ってくる。つまり意念によって柔らかくすることも出来るということだ。だから、こちらでは霊力と意念の強さというものが大切となってくる。こちらへ来たばかりの人間は霊力もないし意念も弱いので、一人では何も出来ない。地上の赤ん坊が一人で何も出来ないのと一緒だ」
 問「では、父さんの足の下はどうなってますか」
 父「やはり厚い層になっている。父さんの判断では地球よりはかなり浅いのではないかと思う。ただし、その成分は全く違う。これは全くはっきり断言出来る」
 問「霊界の層は稀薄ということのようですが、そうなると私達が夜空の星を眺めている時は、その層を突き通して見ているわけですか」
 父「そういうわけだ。しかし、だからといってその層をモヤのように実質のないものと思ってはいかん。この界にいる者には確かに固く感じられるし、又、普段はその表面しか見えない。但し成分は地球と大分違っている。その層の厚みは、そうだな、何マイルもあるという位の表現をしておこうか。勿論その層を掘っていけば下の界の大気圏に出る。もっとも掘ってみるバカはいないがね。上の界ほど層が稀薄に出来ているので、それだけ透視しやすい。それから、上の界と下の界との間に地上のトンネルに似た道路が設けてある。設けた、というよりは、出来た、といった方が当たっているだろう。というのは、みんな誰かが通った道を通るので、そこが何時の間にか一般の通路となってしまうわけだ。お前だって学生時代、正門から入らずに塀に出来ている穴を潜って通ったことがある筈だ。ただ地上と違う点は、地上の人間が手や足を使ってこしらえるところを、こちらの人間は霊力と念力とでやってしまうことだ」