自殺ダメ



 南アメリカのアマゾンの奥地に面白い結婚の風習をもつ人種がいる。男が結婚年齢に達すると首長の所へ出頭する。すると、首長はその男の性格や能力を検討した上で適当な嫁を探してやる。興味深いのは、その嫁は決まって中年の未亡人だということである。中年であるから家事はもとより性生活のテクニックも心得ているから、若い旦那は満足するに決まっている。いわば嫁が母親的役割を兼ねる訳である。
 が、やがて年上である妻の方が先立つ時期が来る。すると又首長の所へ行く。首長は今度は若い嫁を世話する。嫁は何事につけ未経験だが、男は既に万事に知恵と体験がある。若い嫁は男にリードされて心行くまで性の悦びを味わい、男の方は忘れかけていた青春の喜びを呼び戻すことになる。いわば旦那が父親的要素を兼ねている訳である。
 が、今度は旦那の方が先立つ時期が来る。すると、女は首長の所に出向いて若い婿を世話してもらう。若い旦那は経験豊富な嫁にリードされて抵抗なく夫婦生活を営み、一方中年の嫁は若々しい男の性に、忘れかけていたものを呼び覚まされることになる。
 こうした風習が今日でも実にスムーズに抵抗無く行なわれていると聞くが、私はこの種族は決して野蛮とは言えないと思うのである。