自殺ダメ


 前回の自動書記に引き続き、同日の午後8時50分に出たのがこれであります。叔父さんがいかに第一部から第二部の方に進級し、いかに地上との通信を開始するに至ったか、それ等の肝要な事情が頗る明細に述べられてあります-
 「さて霊界の学校へ戻ってからのワシは、こちらの実況を地上で会った人達に早く知らせてやりたくてならなかった。地上にワシの死を衷心から悲しんでくれる者が沢山あるので、それが気の毒で堪らないということも一つの理由ではあったが、しかしそれよりも、地上の人々が少しも未来の生活を信ぜず、たとえ信じたところで見当外れの考えばかり抱いている-それが歯痒くて堪らないのであった。既に前にも述べた通り、ワシは自分の骨肉の者に通信しようとしてことごとく失敗し、ようやくのことでお前と接触を保つことに成功したのであるが、しかしそこへ達する迄には中々の苦心を重ねたものじゃ。最初はまるきり見当がつかず、どうしてよいものやらイタズラに心を苦しめるばかりであった。が、是非とも通信したいという決心がつくと同時にワシの守護神が不意にワシの教室に現れた。
 「あなたが受け持ちのこの生徒でございますが」と守護神が学校の先生に言った。「近頃学課の成績が大変宜しいので、そろそろ大学の方へ移らせたいと存じますが・・・」
 「仰せの通り成績が飛び離れて優れております-宜しうございます、直ぐその手続きをいたしましょう」
 やがて課業が終わると、生徒一同はワシの身辺に群がり寄った-
 「イヤーおめでとう!君はとうとう一人前になったね!」
 そう言って祝意を表してくれた。ワシの外にも数人の生徒が各々その守護神達に導かれ、お馴染みの校舎に別れを告げることになった。
 するとやがてワシの守護神がこう言うのであった-
 「汝は今地上の人達と通信したいと思っているが、その理由を述べてみるがよい」
 「私は霊界の実情を彼等に知らせたいのでございます。そうしてやれば、彼等は生きている時から霊界入りの準備にかかり、私のように小学の課程を踏まずともよいことになりましょう。又未来の生活を信じている人間にしましても、あまりにその観念が乏し過ぎるようで・・・」
 「それは判っているが、何故汝が今通信せねばならぬ必要があるのじゃ?人間は何時かは皆霊界に来る。それから勉強しても差し支えなかろうが・・・」
 「イヤ私自身地上に居た時にあまりに霊界の研究を怠りましたので、少々なりともその罪滅ぼしをしたいのでございます」
 「それなら結構じゃ。それなら充分の理由がある。地上の人類はあまりに神に背き過ぎておる。汝が彼等を導くことは、つまり己を導くことである。見よ、汝は既に第一部を通過して第二部の方に入りつつある」
 「第二部でございますか?どうすれば私がそちらへ参り得るのでございます?」
 「皆自力でその方法を見出すのじゃ。霊界に於いては自分の問に答える者は常に自分である。他から習うことは許されない。努めよ。さすれば与えられる」
 それから間もなくワシは守護神と別れて、見知らぬ一群の青年達の間に自身を見出したのであった。