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カテゴリ:★『シルバーバーチの霊訓』 > シルバーバーチ 各界のゲストを招いて

シルバーバーチ 各界のゲストを招いて 目次

各界のゲストを招いて1

各界のゲストを招いて2

各界のゲストを招いて3

各界のゲストを招いて4

 ハンネン・スワッファー・ホームサークルの招きでシルバーバーチの交霊会に出席した各界の著名人は、これまででも相当な数にのぼる。政治家・芸術家・舞台俳優・動物保護団体のメンバー等々、実に多彩である。本章はそうしたゲストとの問答を特集してみた。
 まずはロンドンのフリート街に立ち並ぶ新聞社の一つの主筆で、スピリチュアリズムにも興味をもつジャーナリストが、ある日の交霊会で、思念とインスピレーションの違いについて質問した。それについてシルバーバーチはこう答えた。
 「物質の世界に住んでおられるあなた方は、きわめて創造性の乏しい存在です。よくよくの例外を除いて、まず何一つ創造していないと言ってよろしい。が、基本的には、受信局であると同時に、発信局でもある存在です。
 まず外部から思念が送られてきます。それが一旦あなたという受信局で受け止められ、それに何かが付加されて発信され、それを別の人が受信するという具合です。あなたに届いた時の思念と、あなたから発信される時の思念とは、既に同じではありません。あなたの個性によって波動が高められることもあり低められることもあり、豊かになっていることもあり貧弱になっていることもあり、美しくなっていることもあり醜くなっていることもあり、新たに生命力を付加されていることもあり衰弱していることもあります。
 しかし、それとは全く別に、霊的な波動の調整によって、あなたと同じ波動を持つ霊からのインスピレーションを受けることも出来ます。人間が死んで私達の世界へ来ます。その時、精神と魂に宿されているものは何一つ失われることはありません。それは霊的にして永遠であり、霊的にして永遠なるものは絶対に消滅することはないからです。その魂と精神に宿された資質はその後も生長し、拡大し、発達し、成熟してまいります。
 そうした霊性を宿しているからこそ、こちらへ来て暫くすると、地上の人間の為に何か役立つことをしたいと思うようになるわけです。そして、やがて自分と同質の人間を見出します。或いは見出そうと努力し始めます。
 地上で詩人だった人は詩人を探すでしょう。音楽家だった人は音楽家を探すでしょう。そして、死後に身に付けたもの全てを惜しげもなく授けようとします。問題は波長の調整です。インスピレーションが一瞬の間の体験でしかないのは、私達の側が悪いのではありません。二つの世界の関係を支配している法則が完全に理解されれば-言い換えれば、地上の人間が霊界の自由な交信の障害となる偏見や迷信を取り除いてくれれば、無限の叡知が人間を通してふんだんに流れ込むことでしょう。
 要は、私達の側から発信するものを受信する道具がなければならないこと、そしてその道具がどこまで高い波動の通信を受取れるかという、性能の問題です。全てのインスピレーション、全ての叡知、全ての真理、全ての知識は、人間側の受信能力に掛かっております」

-それだけお聞きしてもまだ、なぜインスピレーションというものが一瞬の閃きで伝わるのかが理解出来ません。

「その瞬間、あなたの波長が整って、通信網に反応するからです」
と答えた後、そういう思念が霊界からのものか地上の人間からのものかの区別の仕方について質問されて、こう述べた。
「両者をはっきりと線引きすることはとても困難です。思念には、地上の人間の発したものが地上の他の人間によって受取られることもありますが、霊界からのものもあります。思念は常に循環しております。その内のあるものが同質の性格の人に引き寄せられます。これはひっきりなしに行われていることです。
 しかし、インスピレーションは霊界の者が、ある共通の性質、関心、或いは衝動を覚えて、自分が既に成就したものを地上の人間に伝えようとする、はっきりとした目的意識をもった行為です。地上の音楽や詩、小説、絵画の多くは、実質的には霊界で創作されたものです」

-天才をどう説明されますか。

「まず理解して頂きたいのは、大自然又は法則-どう呼ばれても構いませんが-は、決して真直ぐの一本の線のように向上するようには出来ていないことです。様々な変異・循環・螺旋を画きながら進化しています。全体からみれば、アメーバから霊に至る段階的進化がはっきりしておりますが、その中にあって、時たま一足跳びに進化するものと後退するものとが出てきます。先駆けと後戻りが常に存在します。天才はその先駆けに当たります。これから何十世紀或いは何百世紀か後には、地上の全人類が、程度の差こそあれ、今の天才と同じ段階で発達します。天才は言わば人類進化の前衛です」

-現在地上で行われている進化論と大分違うようですが・・・

「私の見解はどうしても地上の説とは違ってきます。皆さん方はどうしても物的観点から問題を考察せざるを得ません。物的世界に生活し、食糧だの衣服だの住居だのといった俗世の問題を抱えておられるからです。そうした日々の生活の本質そのものが、その身を置いている物的世界へ関心を向けさせるようになっているのです。日常の問題を永遠の視点から考えろと言われても、それは容易に出来ることではありません。が、私達から見れば、あなた方も同じ霊的存在なのです。いつ果てるともない進化の道を歩む巡礼者である点は同じです。
 今生活しておられるこの地上が永遠の住処でないことは明白です。これから先の永遠の道程を思えば、地上生活などはほんの一瞬の出来事でしかありません。私達の視界は焦点が広いのです。皆さんからお受けする質問も、霊的真理に照らしてお答えしております。その真理が人間生活においてどんな価値をもつか、どうやって他の同胞へ役立てるべきか、どんな役に立つかといった点を考慮しながらです。
 これまでの私は、私の説く真理が単純素朴なものであること、唯一の宗教は人の為に自分を役立てることであることを、皆さんもいい加減うんざりなさるのではないかと思う程、繰り返し述べてきました。私達の真理の捉え方が地上の常識と違う以上、そうせざるを得ないのです。
 大半の人間は、地上だけが人間の住む世界だと考えております。現在の生活が人間生活の全てであると思い込み、そこで物的なものを、いずれは残して死んで行かねばならないものなのに、せっせと蓄積しようとします。戦争・流血・悲劇・病気の数々も、元はといえば、人間が今この時点において立派に霊的存在であること、つまり人間は肉体のみの存在ではないという生命の神秘を知らない人が多すぎるからです。人間は肉体を通して自我を表現している霊魂なのです。それが、地上という物質の世界での生活を通じて魂を生長させ発達させて、死後に始まる本来の霊の世界における生活に備えているのです」

このシルバーバーチの言葉がきっかけとなって、サークルのメンバーの間で[進化]についての議論にひとしきり花が咲いた。それを聞いていたシルバーバーチは、やおら次のような見解を述べた。
「人間は全て、宇宙の大霊の一部、言い換えれば無限の創造活動の一翼を担っているということです。一人ひとりがその一分子として進化の法則の働きを決定付けるということです。霊としての真価を発揮していく階梯の一部を構成しているのです。霊は、自我意識が発現し始めた瞬間から存在し、その時点から霊的進化が始まったのです。身体的に見れば人類は、事実上、進化の頂点に達しました。が、霊的にはまだまだ先は延々と続きます」

別の日の交霊会に、世界的に名の知られた小説家が出席した。シルバーバーチが出る前に、地上で世界的に有名だった人物で今ではシルバーバーチ霊団のメンバーとして活躍している複数の霊がバーバネルの口を借りて挨拶し、それに応えてサークルのメンバーが挨拶を返している様子を、その小説家は黙って見つめていた。
 やがてシルバーバーチが出現して、その小説家に向かって
「私には、あなたが今日初めての方とは思えません。実質的に霊力に無縁の方ではないからです」
と述べてから、更にこう続けた。
「あなたの場合は意識的に霊力を使っておられるのではありません。あなたご自身の内部で表現を求める叫び、使って欲しがっている単語、言語で表現して欲しがっているアイディア、湧き出てきてあなたを包み込もうとする美、時として困惑させられる不思議な世界、そうしたものが存在することを知っている人間が持つ、内的な天賦の才能です。違いますか?」

-全く仰る通りです。

「しかし同時に、これは多くの方に申し上げていることですが、ふと思いに耽り、人生の背後でうごめいているものに思いを馳せ、いかにして、なぜ、いずこへ、といった避け難い人生の問題に対する回答を自ら問うた時に、宿命的ともいえるいきさつで道が開けてきました。お若い頃からそうであった筈ですが、いかがですか?」

-その通りです。

「私達は、方法は何であれ、自分の住む世の中を豊かにし、美と喜びで満たし、いかなる形にせよ慰めをもたらす人を、誇りをもって歓迎致します。しかし、あなたは、これまでになさったことより、まだまだ立派なことがお出来になります。お分かりでしょうか?」

-是非知りたいものですね。

「でも、何となくお感じになっておられるのではありませんか?」

-(力強い口調で)感じております。

ここでシルバーバーチがサークルのメンバーの一人に向かって
「この方(小説家)は霊能をお持ちです」
と言うと、そのメンバーも「そのようですね。霊眼をお持ちです」と相槌を打った。
するとシルバーバーチは
「しかしこの方の霊能は、まだ鍛練がなされておりません。純粋に生まれつきのものです」
と述べてから、今度はその小説家の方へ顔を向けて
「あなたは陰から指導している複数の霊の存在にお気づきですか。あなたが感じておられるより、遙かに多くの援助をしてくれているのですよ」
と言った。すると別のメンバーが、その小説家がこれからするべきことは何かと訊ねた。
「それは、これまでになさってきたことより、遙かに大きな仕事です。その内自然に発展していきます。既にその雰囲気がこの方の存在に充満しておりますから、多分ご自分でも気付いておられる筈です。じっとしていられないことがある筈です。私が言わんとしていることはお分かりでしょう?」

-非常によく分かります。

「次に申し上げることをよく理解しておいてください。他の全ての人間と同じく、あなたも、その小さな身体に大きな魂を宿しておられるということです。ぎこちない大雑把な言い方をしましたが、あなたという存在は、肉体という、魂の媒体としては痛ましいほど不適当な身体を通して表現せざるを得ないということです。
 あなたの真の自我、真の実在、不滅の存在であるところの魂に宿る全能力-芸術的素質・霊的能力・知的能力の全てを顕現させるにつれて、その分だけ、身体による束縛から逃れることになります。魂そのものは本来は物質を超越した存在ですから、たとえ一時的には物質の中に閉じ込められても、その内、鍛練や養成をしなくても、無意識の内に物質を征服し優位を得ようと、あらゆる手段を試みるようになります。
 それが今まさに、あなたの身の上に起きつつあるわけです。インスピレーション・精神的活動・目に見えない側面の全てが一気に束縛を押し破り、あなたの存在に流入し、あなたはそれに抗し切れなくなっておられる。私の言っていることがお分かりでしょうね?」

-非常によく分かります。

「しかし同時に、あなたは私達の世界の存在によって援助されております。既に肉体の束縛から解放された人達です。その人達は情愛によってあなたと結ばれております。愛こそ宇宙最大の絆なのです。愛は、自然の成り行きで愛する者同士を結び付け、いかなる力も、いかなるエネルギーも、その愛を裂くことは出来ません。愛がもたらすことの出来る豊かさと温もりの全てを携えてあなたを愛している人達は、肉体に宿るあなたには理解出来ない範囲で、あなたの為に色々と援助してくれております。
 しかし、それとは別に、そうした情愛・血縁・家族の絆で結ばれた人々よりも霊性において遙かに高級な霊が、共通の関心と共通の目的意識とをもって、あなたの為に働いてくれております。今ここで簡単には説明出来ない程援助してきており、これから後、条件さえ整えば、存在をあなたに知らしめることも有り得るでしょう」

-是非知らせて欲しいものです。それに、そうした背後霊の皆さんに、私からの感謝の気持を伝えて頂けますでしょうか。

「もう聞こえていますよ。今日私から是非あなたにお授けしたいのは、あなたの周りに存在する霊力の身近さについての認識です。私は、皆さんから見て、古い霊です。私にも為しうる仕事があることを知り、僅かですが私が摂取した知識が地上の人々のお役に立てばと思って、こうして戻ってまいりました。
 既に大勢の友、その知識を広める為に私の手足となってくれる同僚を沢山見出しております。本日も出席しているパリッシュ(心霊治療家)のように特殊な使命を帯び、犠牲と奉仕の記念碑を打ち立てている者もいます。
 しかし、全ての同志が、自分が利用されていることを意識しているわけではありません。でも、そんな人達でも、時たま、ほんの瞬間にすぎませんが、何ともいえない内的な高揚を覚え、何か崇高な目的の成就の為に自分も一翼を担っていることを自覚することがある筈です」

 別の日の交霊会に米国人ジャーナリストが招かれた。そして最初に出した質問が「霊界というのはどんなところでしょうか」という、きわめて基本的なものだった。その時レギュラーメンバーの一人が「この方は心霊研究家とお呼びしてもよいほどの方ですよ」(注)と言ったことが、次のようにユーモラスな答えを引き出すことになった。

(注 ここでは心霊学に詳しい人といった程度の意味で言ったのであろう。その心霊学は心霊現象の科学的研究を目的としているだけで、霊魂説も幾つかの学説の中の一つとして扱われているだけである。その点を念頭を置いて、シルバーバーチがその学説を並べ立てて皮肉っぽく答えているところがユーモラスである-訳者)

「この私は、地上の人達から[死んだ]と思われている者の一人です。存在しないことになっているのです。私は、本日ここにお集まりの方々による集団的幻影にすぎません。私は、霊媒の潜在意識の産物なのだそうです。霊媒の第二人格であり、二重人格であり、多重人格であり、分離人格ということになっております。
 こうした用語のどれをお使いになられても結構ですが、私もあなたと同じ、一個の人間的存在です。ただ私は、今あなたが使っておられる肉体を随分前に棄ててしまいました。あなたとの違いは、ただそれだけです。あなたは物的身体を通して自我を表現しているスピリットであり、私は霊的身体を通して表現しているスピリットであるということです。
 私はほぼ三千年前に霊の世界へ参りました。つまり三千年前に[死んだ]のです。三千年というと、あなたには大変な年数のように思えるかも知れませんが、永遠の時の流れを考えると、僅かなものです。その間に私も、少しばかり勉強しました。霊の世界へ来て、神からの授かりものである資質を発揮していくと、地上と同じ進化の法則に従って進歩していきます。霊的な界層を一段また一段と向上してまいります。
 [界層]という言い方をしましたが、一つ一つが仕切られているわけではりあません。霊的な程度の差であり、それぞれの段階には、その環境条件に相応しい者が存在するということです。霊的に進化向上していくと、それまでの界層を後にして、次の、一段と高い界層へ融合していきます。それは、階段が限りなく続く長い長い、一本の梯子のようなものです。
 そう考えていけば、何百年、或いは何千年か後には物質界から遙か遠く離れて行き、二度と接触する気持が起きなくなる段階に至ることは、あなたにも理解出来るでしょう。所詮、地上というところは、大して魅力のある世界ではないのです。地上の住民から発せられる思念が充満している大気には、およそ崇高なものは見られません。腐敗と堕落の雰囲気が大半を占めております。人間の生活全体を暗い影が覆い、霊の光が届くのは、ほんの少数の人に限られております。
 一度あなたも、私と同じように、経済問題の生じない世界、お金が何の価値も持たない世界、物的財産が何の役にも立たない世界、各自のあるがままの姿が曝け出される世界、唯一の富が霊的な豊かさである世界、唯一の所有物が個性の強さである世界、生存競争も略奪も既得権力もなく、弱者が窮地に追いやられることもなく、内在する霊的能力が、それまでは居眠りをしていても、存分に発揮されるようになる世界に住まわれたら、地上という世界がいかにむさ苦しく、いかに魅力の乏しい世界であるかが分かって頂けると思います。
 その地上世界を何とかしなければならない-私のようにまだ地上圏に戻ることの出来るスピリットが援助し、これまでに身に付けた霊的法則についての知識を幾らかでも教えてあげる必要があることを、私は他の幾人かの仲間と共に聞かされたのです。人生に迷い、生きることに疲れ果てている人類に進むべき方向を示唆し、魂を鼓舞し、悪戦苦闘している難題の解決策を見出させてあげるには、それしかないことを聞かされたのです。
 同時に私達は、その為に必要とする力、人類の魂を鼓舞する為の霊力を授けてくださることも聞かされました。しかし又、それが大変な難事業であること、この仕事を快く思わぬ連中、それも宗教組織内の、そのまた高い地位にある者による反抗に遭遇するであろうことも言い聞かされました。悪魔の密使と見なされ、人類を邪悪の道へ誘い、迷い込ませんとする悪霊であると決め付けられるであろうとの警告も受けました。
 要するに、私達の仕事は容易ならざる大事業であること、そして、ついでに付け加えさせて頂けば、その成就の為にはそれまでの永い年月の中で体験してきた霊界生活での喜びも美しさも、全てお預けにされてしまうということでした。が、そう言い聞かされてこれを断った者は、私達の内の誰一人としていませんでした。かくして私達は、他の仲間と共に地上へ戻って参りました。再生するのではありません。地上界の圏内で仕事をする為です。
 地上圏へ来てからのまず第一の仕事は、霊媒となるべき人物を探すことでした。これは、どの霊団にとっても一番骨の折れる仕事です。次に、あなた方の言語(英語)を勉強し、生活習慣も知らねばなりませんでした。あなた方西洋人の文明も理解する必要がありました。
 続いて、この霊媒の使用法を練習しなければなりませんでした。この霊媒の口を借りて、幾つかの訓え-誰にでも分かる簡単なもので、従ってみんなが理解すれば地上が一変する筈の真理-を説く為です。
 同時に私は、そうやって地上圏で働きながら常に、私を派遣してくれた高級霊達との連絡を保ち、より立派な叡知、より立派な知識、より立派な情報を私が代弁してあげなければならなかったのです。初めの頃は大いに苦労しました。今でも決して楽ではありませんが・・・
 その内私の働きかけに同調してくれる者が次第に増えてまいりました。全ての人が同調してくれたわけではありません。居眠りしたままの方を好む者も大勢いました。自分で築いた小さな牢獄にいる方を好む者もいました。その方が安全と考えたわけです。自由へ解放された後のことを恐れたのです。
 が、そうした中にも、そこここに、分かってくれる人を見出しました。私からのご利益は何もありません。ただ、真理と理性と常識と素朴さ、それに、近付いてくれる人の為をのみ考える、かなり年季の入った先輩霊としての真心をお持ちしただけです。
 その後は、私達の仕事は順調に運び、多くの人々の魂に感動を与えてまいりました。無知の暗闇から脱け出た人が大勢います。迷信の霧の中から、自らの力で這い出た人が大勢います。自由の旗印のもとに、喜んで馳せ参じた人が大勢います。[死]の意味を理解することによって、二度と涙を流さなくなった人が大勢います」

-魂は母体に宿った時から存在が始まるのでしょうか。それともそれ以前にも存在(前世)があるのでしょうか。

「これは又、厄介な問題に触れる質問をしてくださいましたね。私は自分でこう思うということしか述べるわけにはまいりません。私はいつも人間の理性と思慮分別に訴えております。もしも私の述べることが皆さんの理性を反撥させ、知性を侮辱し、そんなことを認めるわけにはいかないと仰るのであれば、どうぞ聞き捨ててください。拒絶して頂いて結構です。拒絶されたからといって私は少しも気を悪くすることはありません。腹も立てません。皆さんへの愛の気持に変わりはありません。
 ここにおいでのスワッファーも、相変わらず考えを改めようとしない者の一人です。他の者はみんな私の口車に乗って(?)前世の存在を信じるようになってくれているのですが・・・
 私の知る限りを言えば、前世はあります。つまり生まれ変わりはあるということで、その多くは、はっきりとした目的をもつ自発的なものです」
これを聞いたスワッファーが
「私は再生の事実を否定したことはありませんよ。私はただ、魂の生長にとって再生が必須であるという意見に反対しているだけです」
と不服そうに言うと、シルバーバーチが
「これは嬉しいことを聞きました。あなたも私の味方というわけですな。全面的ではなくても・・・」
と皮肉っぽく言う。すると、スワッファーが言い返す。
「あなたは、私も今生に再生してきていると仰ったことがあるじゃないですか。私はただ、再生に法則はないと言っているだけです」
これを聞いたシルバーバーチが穏やかにそれを否定して言う。
「何かが発生する時、それは必ず法則に従っております。自発的な再生であっても法則があるからこそ可能なのです。ここでいう法則とは、地上への再生を支配する法則のことです。この全大宇宙に存在するものは、いかに小さなものでも、いかに大きなものでも、全て法則によって支配されているというのが私の持論です」

ここで米国人ジャーナリストが関連質問をした。

-人間にとって時間が理解しにくいことが再生問題を理解しにくくしているというのは事実でしょうか。

「例によって、私なりの観点からご説明しましょう。実は、あなたはあなたご自身をご存知ないのです。あなたには物質界へ一度も顔を出したことのない側面があるのですが、あなたはそれにお気づきになりません。物的身体を通して知覚した、ごくごく小さな一部分しか意識しておられません。が、本当のあなたは、その身体を通して顕現しているものより、遙かに大きいのです。
 ご存知の通り、あなたはその身体そのものではありません。あなたは身体をそなえた霊であって、霊をそなえた身体ではありません。その証拠に、あなたの意識はその身体を離れて存在することが出来ます。例えば睡眠中がそうです。ただし、その間の記憶は物的脳髄の限界の為に意識されません。
 結局あなたが意識出来る自我は、物質界に顕現している部分だけということになります。他の、より大きい部分は、それなりの開発の過程を経て意識出来るようにならない限り、ごく稀に、特殊な体験の中で瞬間的に顔をのぞかせるだけです。一般的に言えば、大部分の人間は、死のベールを潜り抜けて初めて真の自我を知ることになります。
 以上があなたのご質問に対する私の回答です。今あなたが物的脳髄を通して表現しておられる意識は、それなりの開発法を講ずるか、それともその身体を棄て去るかのいずれかでない限り、より真実に近いあなたを認識することは出来ないということです」

-この地上には、あなたの世界に存在しない邪悪なものが溢れていると仰いますが、なぜそういう邪と悪とが存在するのでしょうか。

「権力の座にある者達の我侭が原因となって生じる悪と邪-私は[無明]という言葉の方が好きですが-、それと、人類の進化の未熟さ故に生じる悪と邪とは、はっきり区別する必要がありすます。
 地上の邪と悪には、貧民街が出来るような社会体制の方が得をする者達、儲けることしか考えない者達、私腹を肥やす為には同胞がどうなろうと構わない者達といった、現体制下の受益者層の存在が原因となって発生しているものが実に多いことを知らねばなりません。そうした卑劣な人種がのめり込んでしまった薄汚い社会環境があるということです。
 しかし、他方において忘れてならないのは、人間は無限の可能性を秘めていること、人間は無限の可能性を秘めていること、人生は常に暗黒から光明へ、下層から上層へ、弱小から強大へ向けての闘争であり、進化の道程を絶え間なく向上していくものであるということです。闘争がなく困難もなければ、霊にとって征服すべきものが何もないことになります。
 人間には神の無限の属性が宿されてはいますが、それが発揮されるのは、努力による開発を通してしかありません。その開発の過程は黄金の採取と同じです。粉砕し、精錬し、磨き上げなければなりません。地上にも、いつかは邪悪の要素が大幅に取り除かれる時が来るでしょう。しかし、改善の可能性が無くなる段階は決して来ません。なぜなら、人間は内的神性を自覚すればする程、昨日の水準では満足出来なくなり、明日の水準を一段高いところにセットするようになるものだからです」

-イエスの山上の垂訓にある[黄金律](人からしてもらいたいと思うことを人にしてあげなさい)は[適者生存]の原理と、時として矛盾することがあるように思えるのですが・・・

「私は、進化の法則を、無慈悲な者ほど強く生き残るという意味での[適者生存]と解釈することには賛成出来ません。適者生存の本当の意味は、生き残る為の適応性をそなえた者が存続する、ということです。言い換えれば、存続する為の適性を発揮した者が生き残るということです。
 注目して頂きたいのは、生き残っている動物を観察してみると、それが生き残れたのは残虐性のせいでもなく、適者だったからでもなく、進化の法則に順応したからであることが明らかなのです。もしも適者のみが生き残ったとすると、なぜ有史以前の動物は死滅したかという疑問が生じます。その当時は一番強い生物だった筈ですが、生き残れませんでした。
 進化の法則とは生長の法則の一つです。ひたすらに発展していくという法則です。他の生命との協調と互助の法則です。つまるところ、イエスの黄金律に帰着します」

[偶然]の要素について質問されて-
「世の中が偶然によって動かされることはありません。どちらを向いても-天体望遠鏡で広大な星雲の世界を覗いても、顕微鏡で極小の生物を検査しても-そこには必ず不変不滅の自然法則が存在します。あなたも偶然に生まれてきたのではありません。原因と結果の法則が途切れることなく繰り返されている整然とした秩序の世界には、偶然の要素の入る余地はありません。
 全生命を創造した力は、その支配の為に、規則ないしは法則、或いは摂理というものを用意したのです。その背景としての叡知も機構も完璧です。全ては霊的なものです。全ての生命は霊的存在だからです。生命が維持されるのは、その本質が物質ではなくて霊だからです。霊は生命であり、生命は霊です。
 生命が意識をもった形態をとる時、そこには個としての霊が存在することになります。そこが動物と異なるところです。人間は個別化された霊、つまり大霊の一分霊なのです。
 人生には個人としての生活、家族としての生活、国民としての生活、世界の一員としての生活があり、摂理に順応したり逆らったりしながら生きております。逆らえば、そこに暗黒と病気、困難と混乱と破産、悲劇と流血が生じます。順応した生活を送れば、叡知と知識と理解力と真実と正義と公正と平和がもたらされます。それが黄金律の真意です。
 人間はロボットではありません。一定の枠組みの中での自由意志が与えられているのです。決断は自分で下さないといけません。個人の場合でも国家の場合でも同じです。摂理に適った生き方をしている人、黄金律を生活の規範として生きている人は、大自然から、そして宇宙から、よい報いを受けます」

続いて[汝の敵]に対する態度のあり方について、こう説いている。
「私から見れば、どの人間もみな[肉体を携えたスピリット]です。私の目にはドイツ人もイギリス人もアメリカ人もありません。みんなスピリットであり、大霊の一部であり、神の子です。
 時には対症療法としてやむを得ず[罰]を与えねばならないこともあるでしょうが、既に述べた通り、新しい世界は憎しみや復讐心からは生まれません。全ての人類の為を思う心からしか生まれません。復讐を叫ぶ者、目には目を、歯には歯をの考えをもつ者は、将来の戦争の種を蒔いていることになります。
 全ての人間に生きる場が与えられております。理性と常識とによって問題を解決していけば、全ての者に必要なものが行き渡る筈です。そう申し上げるより他に説明のしようがありません。
 あなたの国(米国)はなぜあの短い期間にあれだけの進歩を成し遂げたか。それは一語に尽きます-寛容心です。英国が永い歴史の中で発展してきたのも、寛容心があったからこそです。米国は人種問題、国籍問題、宗教問題を解決してまいりました。その歴史を通じて、全ての人種にそれぞれの存在価値があること、人種が増えるということは、いずれは優れた国民を生むことになることを学んできました。
 今あなた方の国が体験していることは、やがて全世界が体験することになります。米国は、世界問題解決のミニチュア版のようなものです。例えば、あなたの存在を分析してみても、遺伝的要素の一つ一つは確認出来ないでしょう。それと同じで、米国は雑多な人種から構成されておりますが、その一つ一つが存在意識をもっており、雑多であるが故に粗末になるということはありません。逆に、豊かさを増すのです。
 成長の途上においては、新しい要素の付加と蓄積とがひっきりなしに行われ、その結果として最良のものが出来上がります。それは、自然というものが新しい力、新しい要素の絶え間ない付加によって繁栄しているものだからです。限りない変化が最高の質を生み出すのです。大自然の営みは、一時の休みもない行進です」

 その日のもう一人のゲストに、ポーランドの役人がいた。そして、まず最初に次のような質問をした。

-霊界の美しさを味わうことが出来るのは、地上で美しさを味わうことが出来た者に限られるというのは本当でしょうか。

「そんなことはありません。それでは不公平でしょう。地上には真の美的鑑賞力を養成する為の施設がないのですから、数知れぬ人が美しさを味わえないことになってしまいます。霊の世界は償いの世界であると同時に、埋め合わせの世界でもあります。地上世界では得られなかったものが補われて、バランスを取り戻すのです」

これを聞いてメンバーの一人が-

-今の方の質問の背景には、人間が死ぬ時はこの世で培ったものを携えていくという事実があるように思うのですが・・・

「地上の人間は、無限の精神のほんの一部を表現しているにすぎないことを銘記しないといけません。それを表現する窓が五つ(五感のこと)しかありません。それも、至ってお粗末です。
 それが肉体から解放されると、表現の範囲が飛躍的に大きくなります。精神がその本領を発揮し始めます。表現器官の性能がよくなるからです。霊界にはあらゆる美が存在しますが、それを味わう能力は、霊性の発達の程度いかんに掛かっています。二人の人間に同じ光景を見せても、一人はその中に豊かさと驚異を発見し、もう一人は何も発見しないということも有り得ます。
 それに、もう一つ別の種類の美-魂の美、精神の美、霊の美があり、その美しさの中に、永遠不滅のものが有する喜びを味わうことが出来ます。充実した精神-思考力に富み、内省的で人生の奥義を理解出来る精神には、一種の気高さと美しさがあるものです。それは、その種のものとは縁遠い人、従って説明しようにも説明出来ない者には、見られないのです」

-美の鑑賞力を養う最良の方法は何でしょうか。

「それも、大体において、各個人の霊的発達の問題です。適切な教育が全ての人に等しく利用出来ることを前提として言えば、美を求める心は、魂の発達と共に自然に芽生えてくるものです。価値観が高まれば高まる程、精神が成長すればする程、醜い、卑劣な環境に不快感を抱くようになるものです。波長が合わなくなるからです。自分の置かれた環境をより美しくしたいと思い始めたら、それは進化と成長の兆しであると思ってよろしい。
 地上界をより美しくしようとする人間の努力は、魂が成長していく無意識の発現です。それは同時に、無限の宇宙の創造活動へ寄与していることでもあります。神は人間に、あらゆる材料を提供してくださっております。その多くは未完の状態のままです。そして、地上の隅々にまで美をもたらすには、魂・精神・理性・知性・成長の全てを注ぎ込まねばなりません。
 最後は何事も個人単位の問題であり、各自の成長度に帰着します。霊性が開発されればされる程、進化すればする程、それだけ神の属性を発現することになり、それだけ一層、美を求めるようになります。私がつねづね霊的知識のもつ道徳的ないし論理的価値を強調するのはその為です。
 貧民街が存在してはならないのは、神性を宿す者がそんな不潔な環境に住まうべきではないからです。飢餓がいけないのは、神性を宿す肉体が飢えに苦しむようであってはならないからです。悪が全ていけないのは、それが内部の神性の発現を妨げるからです。真の美は、物質的・精神的・霊的の全ての面において、真の調和が行き渡ることを意味します」

-美的観念を植え付けるにはどうしたらよいのでしょうか。

「個々の魂が自ら成長しようとすることが必須条件です。外部からありとあらゆる条件を整えてあげても、本人の魂が成長を望まなければ、あなたにも為す術がありません。ですから、あなたに出来ることは霊的知識を広めること、これだけです。正しい知識を広めることによって無知をなくし、頑迷な信仰をなくし、偏見をなくしていくことです。とにかく、知識の種を蒔くのです。時にはそれが石ころだらけの土地に落ちることもあるでしょう。が、根付き易い土地も、至るところにあります。蒔いた種はきっと芽を出します。
 私達の仕事は、真理の光を可能な限り広く行き渡らせることです。その光は徐々に世界中を照らすようになり、人間が自分達の環境を大霊の分子、すなわち神の子が住まうに相応しいところにしようと望めば、迷信という名の暗闇の全て、醜さと卑劣さを生み出すもの全てが改善されていくことでしょう」

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