サークルの正式のメンバーではないが、シルバーバーチの〝お友達〟として毎年クリスマスが近付くと交霊会に招待されて、シルバーバーチと楽しい語らいを持っている子供がいる。ルース(女児)とポール(男児)の二人で、共に心霊ジャーナリストのP・ミラー氏のお子さんである。これから紹介するのはそのミラー氏がサイキックニューズ紙に発表したその日の交霊会に関する記事である。

 まずシルバーバーチが次のような祈りの言葉を述べた。
 「神よ、何とぞ私達にあなたの愛、あなたの叡智、あなたの慈悲を知る力を授けたまえ。素朴さと無邪気さの中にあなたに近付き、童子の如き心をもつ者のみに示される真理を悟らしめ給わんことを。あなたは不変にしてしかも変転きわまりなき大自然の栄光の中のみならず、童子の無邪気さの中にも顕現しておられるからでございます」
 そして二人に向かい、あたかも慈父の如き口調で、目にこそ見えなくても度々二人の家を訪れていることを述べ、更に、
 「私はあなた達と遊んでいるのですよ。妖精や天使と一緒に、そして、特にあなた達に霊の世界の素晴らしさを教えようとしている人達と一緒に、あなた達のお家を訪れているのですよ」
と述べた。
 すると最近になって霊視力が出始めたルースが寝室で見かける〝光〟は何かと尋ねた。ポールもルースと一緒にいる時に同じものを見かけることがある。シルバーバーチはそれが妖精と天使が見せてくれているものであることを説明してからルースに向かって、
 「あの光はその妖精達が携えて来る〝守護の光〟で、あなた達を取り巻いております」と述べ、今度はポールに向かって、
 「霊の世界には地上で遊ぶチャンスが与えられない内に連れて来られた子供がそれはそれは沢山いるのです。そういう子供達をあなた達と遊ばせる為に連れ戻すことがあります。あなた達との遊びを通して、まだ一度も体験したことのないものを得ることが出来るのです」

 ルースがシルバーバーチにこうして霊界からお話をしに戻って来てくれることにお礼を言うと、シルバーバーチは、
 「いえ、いえ、あなた達こそ私の話を聞きに来てくれてありがとう。こうしてお話をしに来ることによって私は、皆さんが私のお話から得られる以上のものを頂いているのです。お二人の心には私の本当の住処である高い境涯の純粋さが反映しております。その純粋さは地上近くで仕事をしている霊にとって、とても大切なものなのです。それをお二人の心の中に見つけて、いつも慰められております」

ルース「霊界のお友達に会いに戻られるのは楽しいですか」

 「勿論、楽しいですとも、ルースちゃんがもしお家から遠く離れて暮らし永いことお父さんお母さんに会わずにいたら、いよいよお家へ帰ることになったと聞かされた時は嬉しくないですか。私はもう直ぐ〝多くの住処〟のある私の本当の〝父の家〟に帰って(注)そこで大勢の私の愛する霊、私を愛してくれてる霊、私にこの使命を授けてくださった霊と会うことになっております。ですが、それは、人生の旅を理解する為の知識を必要としている地上の更に大勢の人達のお役に立つ為の力を頂く為です」(注-ヨハネ14・2〝我が父の家には住処多し〟-霊界にも様々な生活の場があるということ。訳者)

ルース「私も妖精を見るのが楽しみです」

 「そういう楽しみを授かったことを感謝しなくてはいけませんよ。何も感じない人が大勢いるのですから」

 ここで二人が霊媒の膝に座ってシルバーバーチに口づけをさせて欲しいと言う。それが終わると今度は霊界について何か楽しいお話をして欲しいと頼んだ。するとシルバーバーチは-
 「霊界にも広い広い動物の王国があることをご存知ですか。そこでは動物界のあらゆる種類が-動物も小鳥も-襲ったり怖がったりすることなく一緒に暮らしております。ライオンが子羊と並んで寝そべっても、ケンカもせず餌食になることもありません。美しい花園も沢山あります。そこに咲いている花々はそれぞれの種類に似合った色彩、濃さ、形をしています。地上では見られない色彩が沢山あります。又美しい湖、山々、大きな川、小さな川、豪華な羽毛と目の覚めるような色彩をした小鳥が沢山います。昆虫も綺麗な種類のものが沢山おります。地上で見かけるものよりは変異しています。(物質界という)蛹の段階を通過して、本当の美しい姿を見せているからです」

ポール「地上でもし子羊がライオンの側に寝そべったら、丸ごと食べられてしまいます」

 「地上のことではありませんよ。こちらの世界のお話ですから大丈夫です」

ルース「シルバーバーチさんのお家は綺麗でしょうね」

 「それはそれは美しくて、とても言葉では言い表せません。絵描きさんが描こうとしても、全部の色合いを出す絵具が地上にはありません。音楽でその美しさを表そうにも、地上の楽器では出せない音階があります。〝マーセルおじさん〟-シルバーバーチの肖像画を描いた心霊画家のマーセル・ポンサン氏でその日も出席していた-に聞いてごらんなさい。あの人は絵描きさんです。時折インスピレーションで見ている霊界の美しさを描く絵具が無いと仰る筈ですよ」

ルース「寝ている間に霊界へ行ったことを憶えていないのですけど・・・・」

 「大きな精神で体験したことが人体の小さな脳に入りきれないからです」

ポール「シルバーバーチさんは英語がはっきりと話せるのですね」(普段のバーバネルよりもっとゆっくりと、そして一語一語はっきりと発音して喋る-訳者)

 「そのことを有り難いと思っています。こうなるまでに随分永い時間がかかりました。ポール君がお喋り出来るようになるのとほぼ同じ位の年数が要りました。このぎこちない地上の言葉を喋るようになる為に私は随分練習しました。私の世界ではそんな面倒が要りません。言葉は喋らないのです。こちらは思念の世界です。あるがままが知れてしまうのです」

ポール「嘘をついても知られないようにすることが出来ますか」

 「嘘というのが存在出来ないのです。神様の摂理を誤魔化すことは出来ないからです。あるがままの姿が映し出されるのです。見せ掛けも、誤魔化しも、全部剥ぎ取られてしまい、そのままの姿がみんなに見られるのです。でも、それを恐がるのは自分のことしか考えない人達だけです」

ルース「今イエス様が話そうと思えば霊媒を通じて話すことが出来ますか」

 「いいえ。イエス様は王様が家来の者を使うように私達を使っていらっしゃいます。私達はイエス様の使節団なのです。イエス様のお考えを地上の人達に伝え、地上の人達の考えをイエス様にお伝えするのです。でも、イエス様の霊はいつも私達と共にあります。けっして遠くにいらっしゃるのではありません。前にもお話したことがありますが、私がイエス様の所に行く時は-もう直ぐ参りますが-ルースとポールという名前の二人の良い子の考えと言葉と愛とを携えて参ります。ご存知のようにイエス様は子供が大好きなのです」

 二人がこの言葉の意味を考えている少しの間沈黙が続いた。やがてルースが言った。
ルース「霊や妖精がいることを信じることが出来て嬉しいです。いつまでも信じていたいと思います」

 「そうですとも。その信仰を忘れてはいけませんよ。人に笑われても気にしてはいけません。こんな素敵な信仰が持てて幸せだなあと、それだけを思っていればよろしい。それを笑う人は何も知らないのです」
 こう述べてからシルバーバーチはサークルのメンバーに「この子は心の中で妖精を見たいという念をしきりに抱いているので、今見せてあげようとしているところです」と述べ、妖精はバイブレーションが高いので普通の人間の目には見えないけど、いつか皆さんにも(物質化して)お見せ出来るでしょうと言った。

 ここで私(ミラー)が誰か私の友人が来ていますかと尋ねるとシルバーバーチは、
 「人間というのは面白いですね。よくそういう質問をなさいますが、愛の繋がりのある人はいつも側にいてくれているのです。けっして遠くへ行ってしまうのではありません。皆さんは肉体という牢に閉じ込められているからそれに気付かないだけです。霊の世界には時間もありませんし距離もありません。意識の焦点を合わせさえすればいいのです。私はこれから遠くへ参りますが、相変わらずここにいると言ってもいいのです。この問題はここでは深入りしないでおきましょう。二人の子供が混乱しますから」

ポール「僕達はどのようにして物事を思い出すのでしょうか」

 「一つのことを知ると、それは〝記憶の部屋〟に仕舞われます。そしてその知識が必要になると、知りたいという欲求がテコになって(タイプライターのキーのように)その知識を引き出します。すると記憶が蘇って来て、使用されるのを待ちます。使用されると又記憶の部屋へ戻って行きます。一度学んだことは決して失われません。一旦憶えたことは決して忘れません」

ルース「じゃ、あたし達が考えていることが全部そちらから分かるのですか」

 「親しい間柄の霊には分かります。人間の心の中は開いた本のようなものです。親しい人には皆読み取れます。親しくない人には分かりません。近付けないからです」

ルース「あたしはシルバーバーチさんが大好きです。どう説明してよいか分からない位好きです」と言って、ポールと一緒に霊媒の顔をじっと見つめた。

 「私だってルースちゃんとポール君が大好きですよ。この気持は愛の大中心から来る愛、世界全体を支配している愛、宇宙全体を動かしている愛、全部の生命を優しく抱きしめ、たった一人の子供も、どこにいようと何をしようと、絶対に見放すことのない愛と同じものなのです。それが、宇宙が始まる前から、そして宇宙が終わった後も、永遠に霊を一つに結び付けるのです。それは永遠に変わることのない神様の愛であり、愛の神様です。その愛の心をお二人が出す度に神様の心が発揮され、宇宙の創造の仕事が続けられるのを助けることになるのです」
 この対話にサークルの全員が涙を流した。
 続いて話題がシルバーバーチのインディアンとしての地上時代の生活に移った。まず山懐での〝水〟に左右された生活の様子を語った。その生活は素朴で、現代文明にありがちな問題やせかせかしたところがなかったこと、日が暮れると子供の霊がやって来て、よい子はもう寝る時間ですよと告げてくれたこと、寝入ると霊の世界へ遊びに行ったことなどを話して聞かせた。そして最後にこう述べた。

 「ではもう一つだけお話してお別れすることに致しましょう。私は間もなく地上を離れ、幾つもの界を通過して私の本当の住処のある境涯へ行き、そこで何千年もの間知り合っている人達とお会いします。地上の為に働いている人達ばかりです。しかも度々苦しい思いをさせられています。私はこれからそこへ行って、かつて身に付けた霊力を取り戻して来ます。
 そこへ行って私はこれから先の計画を教えて頂き、これまでに私が仰せつかった仕事をちゃんとやり遂げているかどうか、どこまで成功しどこが失敗したか、それを次の機会にやり直すことが出来るかどうかをお聞きします。それからみんなで揃って大集会に出席して、そこであなた達がイエス様と呼んでいる方とお会いします。するとイエス様は美しさと優しさと理解と同情に溢れたお言葉を掛けてくださいます。その時私達は神様のマントで包まれます。愛の衣で包まれます。そして神様の尊い力で身を固めて一人ひとりに授けられた新しい使命に向かって出発します。お二人のような子供から〝シルバーバーチさんが大好き〟と言われる毎に私は〝ああ良かった〟と思います。なぜなら私達の仕事は愛を得て初めて為し遂げられるものであり、愛の反応を見出して初めて仕事が上手く行っていることを知るからです。
 どうかその天界の光が皆さんの毎日の生活に反映されることを祈ります。神の恵みがいつも皆さんと共にあることを祈ります。ここにおいでの皆さんは今まさに神が託した霊団の保護の下にいらっしゃいます」

 かくして二人の子供にとってその年で最高の一日が終わった。霊媒が意識を取り戻して普段のバーバネルに戻り、二人に語りかけると、二人は驚いた様子で見つめていた。そして娘のルースは私に抱きつき、涙を流しながら言った-〝シルバーバーチさんとお友達になれて、あたし、ほんとに幸せよ〟と。