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カテゴリ:★『自殺の霊的知識』 > 自殺霊との対話・C・A・ウィックランド

 以下の文章は、[迷える霊との対話]という、霊的知識の書物から抜粋した文章です。また、自殺に関するその他の霊的知識は、[自殺してはならない霊的な理由]に書かれています。

自殺霊との対話 C・A・ウィックランド 目次

自殺した映画女優の警告

意識的・無意識的に人間に害を及ぼしているスピリット

シカゴで自殺した女性

恋人と心中した男性のスピリット

突然首吊り自殺した女性のスピリット

 以下の文章は、[迷える霊との対話]という、霊的知識の書物から抜粋した文章です。また、自殺に関するその他の霊的知識は、[自殺してはならない霊的な理由]に書かれています。

●自殺した映画女優の警告
1920年にフランスで自殺した映画女優のオリーブ・Tは、アルコールとタバコの中毒症状があった上に、霊的感受性が強かったことが誘因となって、邪霊に唆されたのだった。それから間もなく、まだ精神状態が混乱している中で招霊されて、どうにか真相に目覚めた。
 それから二年余り後に同じく映画女優のバージニア・Rを招霊会場に案内してきたオリーブが、その二年間の反省と体験を元に、特に若い女性に対して、次のような警告のメッセージを述べた。

 1922年4月19日
 スピリット=オリーブ・T

[前回ここでお世話になって以来、霊界で得ることが出来た素晴らしい体験のお礼を述べなければと思って、やって参りました。
 人生についての正しい教訓は幼少時から教え、真実の意味での生命を理解するように導いてあげるべきだと思います。生命の実相を映像の形で説いてあげたらどうでしょう?それをスクリーンに映し、死というものは存在しないことを教え、すべての人を待ち構えている美しい死後の世界のことを教えてあげれば、地上世界はずっと違ったものとなることでしょう。
 私も、女優としての仕事柄、一種の架空の世界に生き、人様を楽しませることを心掛けました。が、近頃の若い女の子が、遊び半分の人生に陥っていくのを見て、気の毒に思います。楽しいかもしれません。でも、束の間のことです。人間には必ず、ささやきかける声、というものがあります。『良心』です。どんなに打ち消そうとしても、どこまでもついてまわります。そういう浮かれた人生を送っている若い人達に、その愚かさを教えてあげられたら、と残念でなりません。
 より高い生命の世界が存在することを教え、その真実味を実感させてあげることが出来たら、と思うのです。自分の為でなく、人の為に生きることが大切なのです。そういう人生の基本原理を教え、間違った教義を教えてはいけません。
 地上世界の障害の一つは、アルコールとモルヒネの乱用です。そうしたものが少年少女を悲劇へと追いやっています。大人達は、ただいけないと咎めるばかりで、有効な手段を講じようとしません。結果的には、ますます彼らを悩みへと追いやっております。なぜかといえば、法律で禁じても、欲しいものはなんとしてでも手に入れるものなのです。禁じられる程、スリルがあって痛快なのです。
 それに付随して、もう一つ別の要素があります。それは、ウィスキーのような度の強いアルコール類には、様々な感情が絡んでくるものだということです。気難しい評論家は一方的にアルコールを目の敵にして魔物扱いしますが、それがかえって過敏な若者を刺激して、酔うと様々な感情が湧いてきて荒れ狂うようになり、ますます悩みへと落ち込んでいきます。
 人間はもっと、神の顕現である森羅万象の素晴らしさを学ばなくてはいけません。神は全存在の背後の生命であり、人間こそ、それを荒廃させている悪魔なのです。私が『人間』と言う時、現在の地上の人間だけを言っているのではありません。過去から現在に至るまでの『人類』のすべてのことを言っているのです。神は自由意志をお与えになったのですが、人間はそれを乱用しているのです。
 キリストの教えの本当の意味を理解しないといけません。アルコール党は『ワインはキリストがこしらえたんじゃないのか』とか、『それをみんなに分け与えたじゃないか』とか言って弁解しますが、ワインとは生命のことだということを理解しておりません。大半の人が、それをワインそのものだと思っているのです。
 神についても正しく理解しないといけません。神を怖がってはいけません。白い玉座に腰掛けた人間的存在ではありません。全生命の根源である霊的存在なのです。身の回りにあるものすべてが、霊的生命の顕現なのです。人間の言う『善なるもの』に存在価値があるように『悪なるもの』にも存在意義があります。悪を知らなければ善を知ることも出来ません。人生の教訓を学び、叡智を獲得し、不滅の生命の存在を悟るのは、現実の人生体験を通してのみ可能なのです。
 私が、死後、霊界へ来て真理を見出し、救われることになったのも、苦しい体験を味わっていたからです。良心の呵責という火の洗礼を受けて、私は霊的に浄化されたのです。私は真理に飢えておりました。だからこそ、いったん真理を見出したら、邪念というものが全てなくなったのです。黄金は火の精錬過程を経て初めて見出せるのです。良心の呵責を経て、私は自分自身の中に神を見出したのです。外にあるのではありませんでした。
 自己の中に神を見出し、そして得心することです。他人を裁く前に自分自身をよく知ることです。そうすれば、他人を裁けなくなります。すべての人を友とし、すべての人に善行を施し、どこにいても善行を心掛けることです。自我(エゴ)の垣根を取り払うことです。
 エゴが頭をもたげ、怒りやアルコール、その他もろもろの愚かなことに負けそうになるごとに、自分に、こう言って聞かせるのですー『絶対に腹を立てまい。いかなる誘惑にも負けないぞ』と。そして、仲間達にはおかまいなく、さっと『回れ右』して、我が道を行くのです。すると怒りもどこかへ消えてしまいます。そのように、言いたいことも我慢するということを繰り返すことにより、心に調和が生まれるのです。
 怒りの情念の中にある時は、後になって言わなきゃよかったと後悔するようなことを、つい言ってしまうものです。そして、その言葉がいつまでも心から消えないのです。ですから、怒りの念が湧き出るのを覚えた時は、そんなものには負けないぞと自分に言って聞かせ、回り右をして、『自分は自分を克服するのだ。もっと高いものを求めるのだ。つまらぬものには負けないぞ。お前(怒り)なんかには入らせないぞ』と言って聞かせるのです。
 あの時の私は怒りに燃えていました。それは私の死を意味していたのです。どういうことをしたかー自殺したのです。本気で自殺するつもりではなかったのです。が、その後の私が怒りの中にあったことが、死に繋がったのです。手遅れにならないうちにエゴを克服することです。度を超えないうちに怒りを抑えるのです。
 あの時の私は、怒りの念に押し流されてしまったのです。その結果はどうなったかー自殺していたのです。目が覚めて、自分のしたことに気づいた時、地団駄を踏んで後悔しました。それが、ただの怒り、つまり利己主義の絡んだ怒りからやってしまったことだったのです。
 自我を克服しましょう。もしも怒りの念に襲われた時は、こう言うのですー『さがれ、サタンめ!
と。そして、心の中で回れ右をすれば、それで、取り憑こうとしていた邪霊を閉め出すことになるのです。私がもしそうしておれば、あのようなことにはならなかったであろうに、と悔やまれてなりません。
 もしも私が、地上の人々に歩むべき正しい道について語り、生命の実相とイエスの教えの本当の教訓、それに、心がけ次第で私達みんながいかに多くの善行を施すことが出来るものであるかを、映像の形でスクリーンに映し出してあげることが出来たら、多くの犯罪者が心を入れ替えて、善男善女となってくれることでしょう。
 オリーブ・Tでございます。さようなら」 

 以下の文章は、[迷える霊との対話]という、霊的知識の書物から抜粋した文章です。また、自殺に関するその他の霊的知識は、[自殺してはならない霊的な理由]に書かれています。

●人間に憑依されたと思い込んだ憑依霊
憑依霊というのは大体において、自分が人間に害を及ぼしていることに気づかず、何か変だが・・・・といった気持ちを抱きながら、心理的な暗がりの中で悶々とした時を過ごしているものであるが、なかには、人間の方が自分の行動を邪魔していると思い込んで、現実とは逆に自分の方が憑依されている(しつこくつきまとわれている)と思い込んでー仕返しのつもりで、あるいは懲らしめるつもりで、その人間の身体を痛めつけていることがある。その場合、スピリットの側は痛みを感じないから厄介である。
 L・W夫人は、夫の死のあと、鬱病になり、やがて『幻聴』の症状が出て、髪をかきむしりながら叫び声を上げて、家を飛び出すという行動が頻繁になった。
 そんな時に、背後に何人かの霊姿がつきまとっていることを実の娘が霊視していた。その中に気味の悪い目つきをした男性がいて、それが見える時の母親が『またあの恐ろしい男が来た!』と言って逃げ出すことも分かった。
 その後、転地療養のつもりでセントルイスからロサンゼルスに連れて来られたが、症状は悪化する一方で、自分の手や腕に噛み付いたり、スリッパで自分の頬をぶったり、衣服を引きちぎったりすることを始めた。手に負えなくなって、ついに精神病院に入れられ、サナトリウムで治療を続けたが好転せず、一年後に我々のところに連れて来られた。二、三ヶ月で憑依霊がすべて取り除かれ、すっかり正常に戻って、今では娘さんの家で家事を手伝いながら平穏に暮らしておられる。
 次に紹介する実験は、例の『怖い男』の招霊に成功した時のもので、我々のところへ連れてこられてわずか二、三日後のことだった。


 1918年1月13日
 患者=L・W夫人
 スピリット=ジョン・サリバン


 霊媒の乗り移ってからすぐ激しく暴れるので、何人かで取り押さえておく必要があった。
スピリット「なんで俺をそんなに押さえ込むんだ!お前達と何の関係があるんだ?俺は何も悪いことはしてないぞ!あとで覚えてろ!」
博士「あなたは、私達にとってはまったく見知らぬ方なのです。その方にいきなり暴れられては、こうして押さえ込むしかないでしょう?」
スピリット「そんなに強く押さえつけんでくれよ」
博士「あなたはどなたですか」
スピリット「なんでお前からそんなことを聞かれる必要があるんだ?俺はお前らの誰一人として知らんのだ。誰であろうと、大きなお世話だ。ほっとしてくれ!」
博士「さ、お名前をおっしゃってください。どうやら『剛力の女』とお見受けしますが・・・」
スピリット「女だと?もう一度よく見ろ」
博士「どちらから、何の御用で来られたか、おっしゃってください」
スピリット「何のためにそんなことを知りたがるんだ?」
博士「今のあなたを、そのお気の毒な状態から救ってさしあげられるかもしれないと思ってのことです」
スピリット「話すから、そんなに強く押さえつけんでくれ」
博士「さ、おっしゃりたいことを全部吐き出してください」
スピリット「まず第一に、あの火の針はご免だ。そのあとしばらく捕虜みたいにされていたが(患者から離されて霊媒に移されるまでの間、マーシーバンドによって金縛りにされていた)、やっと自由になったから暴れたくなったのさ。一体何の為に、あんな火の針を刺すんだ?もう家に帰る!」
博士「家はどこにあるのですか」
スピリット「今、来たところさ」
博士「その『火の針』というのはどんなものか知りたいですね」
スピリット「まるで全身が燃えるみたいな感じさ。もういいだろう、帰らせてくれよ。こんなところに腰掛けたまま押さえつけられているのはご免だ」
博士「『針』の恩恵を受けられたいきさつが知りたいのですがね?ぜひ教えてくださいよ」
スピリット「俺にも分からん。が、とにかくやられたんだ」
博士「ここへはどうやって来られました?」
スピリット「知らん」
博士「誰かにくっついたまま来られたのではありませんか」
スピリット「俺は俺にくっついてるだけだ」
博士「最近はどんなところにおられましたか」
スピリット「ずっと暗がりの中だ。家から出たら何も見えなくなった。まるで目が潰れたみたいだった」
博士「あなたの言う『家』の中にいると妙な感じがしませんでしたか」
スピリット「本当の俺の家じゃないよ。が、似たようなところさ」
博士「そこにいると不愉快になってきて、それで酷いことをしたのでしょう?」
スピリット「時々、自分がどこにいるのかも分からなくなって、ヤケになって暴れまわったのさ。時には、数人を相手に大喧嘩もやったよ。今は見当たらんが、いつかやっつけてやる」
博士「その人達は、どこの誰だったのですか」
スピリット「ええっと・・・・知らんね。いろんな奴がいたよ」
博士「女性もいましたか」
スピリット「大勢いたよ。ゆっくり休む場所もなかったほどさ。女め!いつか全部ひっつかまえて、痛い目に遭わせてやる」
博士「なぜ、そんなに人を痛めつけたいのでしょうね?」
スピリット「あっちから一人、こっちから一人と、次から次に女の姿を見せられるので、ついカッとなってしまうのさ。こんなに沢山の女を、どうしようもないよ」(患者のオーラにひっかかっているスピリットのこと)
博士「今、どこにいると思いますか」
スピリット「どこに?そんなことどうでもいい」
博士「どこに住んでおられますか」
スピリット「いろんなとこにいたよ。転々としていて、そのうち何もかもまったくうんざりしちゃった。いつも逃げ出したくなってね。それで誰も俺の居場所を知らないってわけよ」
博士「でも、自分自身からは逃げられませんでしたね?」
スピリット「まわりには女、女で、もう反吐が出そうだよ。そのうちの一人(L・W夫人)を蹴ったり噛みついたりしてやったが、それでもしがみついてきやがった。俺につきまとうことはないんだが・・・。いつか殺してやろうと思ってる」
博士「あなたは、ご自分のなさっていることが分かってないようですね」
スピリット「何をしようと構わんさ。あの女の手首を食いちぎってやったことがある。それでもしがみついてくるんだ。それで、今度は髪の毛を思い切り引っ張ってやった。それでもまだ、しがみついてきやがった。どうしても振り切れんのだ」
博士「ですから、本当のことをお教えしようと思ってるんです。いかかですか」
スピリット「知りたいとは思わんね。ただ、あれだけは頭にくるな。あの火の針だよ。あれを食らうと力が抜けてしまった感じになるよ」
博士「今、その女の人はどこにいますか」
スピリット「ここしばらく見かけんね」
博士「一体、その人があなたにどんな危害を加えたというのですか」
スピリット「この俺につきまとう筋合いはないと言ってるんだよ」
博士「立場を逆転して、もしもあなたの方が彼女につきまとっているとしたら、どうしますか」
スピリット「こんなに女みたいに着飾ってくれて、おまけに女の髪を頭にのっけるとは、余計なことをしやがったもんだよ」
博士「死んでどのくらいになりますか」
スピリット「死んで!?よし、死んでなんかいないところを見せてやろう。腕ずくじゃ負けないことも思い知らせてやろう。この俺が死んでるんだとよ!」(荒々しく笑う)
博士「しばらく妙な感じになったことはありませんか」
スピリット「妙どころじゃないよ、地獄だよ。その手を離してくれないか。まるで火のように熱くてしょうがないよ」
博士「女が男のあなたにおめかしをすることが出来るものでしょうかね?ご自分が少し身勝手過ぎるとは思いませんか」
スピリット「身勝手だと?俺が身勝手なら、あの女の方こそもって身勝手だ」
博士「もしもあなたが、あの方につきまとっている、何も知らないスピリットだとしたらどうしますか」
スピリット「この俺があの女につきまとってるだと?俺じゃないぞ。馬鹿言っちゃ困るよ、ダンナ」
博士「そういうことが、事実よくあるのです。バイブルをお読みになったことがありますか。昔は悪霊を追い出すということを、よくやったものなのです。あなたは今は、もうスピリットになっているーしかも、その、追い出さないといけないスピリットになってしまわれたのです」
スピリット「悪魔というのは本当にいたらしいよ。だが、俺は悪魔じゃないからな」
博士「でも、あなたは一人の女性を苦しめてきた。それで私が電気で追い出したのです」
スピリット「この野郎!(掴み掛かろうとする)牢へ閉じ込めたのはお前だな?あの女もひっつかまえて八つ裂きにしてやる!しょっちゅう、つきまといやがって!」
博士「あなたこそ、彼女につきまとっていたのですよ。今やっと彼女から引き離したのです。さ、そろそろ自分がスピリットであることを悟って、まともになってくださいよ。私は本当のことを言ってるのです」
スピリット「あの女さえいなくなってくれたら・・・・もう一度思い切ってぶん殴ってやる」
博士「なぜそんなに、あの方をやっつけたがるのですか。あの方はちっともあなたに迷惑はかけていないのに」
スピリット「お前も一度こらしめんといかん!」
博士「言うことを聞かないと、もっと電気をかけますよ」
スピリット「それは困る。このままの方が、まだマシだ。が、その手を少し緩めてくれないか。きつ過ぎるよ」
博士「あなたは男だとおっしゃるけど、私達にはあなたの姿は見えていないのですよ。見えているのは女性の姿だけなのです」
スピリット「その目は節穴か。俺が男だということが見て分からんのかね」
博士「でも、女性の服を着ておられますよ」
スピリット「だから、俺はそれを引きちぎって捨てるのさ。すると、あの女がまた女の服を着せやがる。それをまた引きちぎるんだ」
博士「あなたはもう、その女の人から離れて、今は別の女性の身体を使っているのです」
スピリット「それはどういう意味だ?」
博士「あなたは、何も知らずに地上をうろついている『スピリット』なのです。これまで一人の女性に取り憑いていたのですが、今は私の妻の身体を使っておられるのです」
スピリット「俺は自分の身体しか使っていない。あの女は何故、この俺につきまとうんだ?」
博士「あなたこそ、彼女につきまとっていたのです。あなたを引き離したので、彼女は今、とてもすっきりした気分になっておられます」
スピリット「牢へぶち込んだのはお前だな?」
博士「私じゃありません。高級霊の方達です。あなたは、あまりにも身勝手でした。手のつけようがないほどでした。今、あなたがどういう状態にあるかを理解なさらないといけません。仮に今、これまでにあなたがやってきたことを記録にまとめたとしたら、あなたはそれを人に見せる勇気がありますか」
スピリット「そんなことはどうでもいい。とにかく、女につきまとわれて、女の服を着せられていることが気に食わんのだ。女は大嫌いだ!」
博士「あの方は、大勢のスピリットに悩まされていたので、治療の為にここへ連れてこられたのです。間違いなく憑依されていることが分かったので、電気療法で追い出したのです。あなたは、実はその一人なのです。そのことを分かって頂きたくて、こうしてお話をしているのです」
スピリット「あの女をひっつかまえて、八つ裂きにしてやる!腕を食いちぎってやる!」
博士「もう少し冷静になってください。事情が分かってきて幸せになりますよ」
スピリット「幸せなんてあるもんか!」
博士「神とは何か、とか、人生とは何か、といったことを考えてみたことはありますか」
スピリット「神なんていないよ。幸福も不幸もあるもんか」
博士「もしも超越的な存在がいないとしたら、あなたという存在はどこから生じたのでしょうか。なぜ、あなたは存在しているのでしょうか。私の妻の身体を使って、こうして話が出来るという現実を、どう説明しますか」
スピリット「さては、俺につきまとっていたのは、お前の奥さんだったのだな?」
博士「ここへ治療に来られた婦人に、あなたがつきまとっておられたのです。そのあなたを私が電気で追い出し、高級霊の方達があなたを一時、牢に閉じ込めたのです(霊的に金縛りの状態にする)。そして今、一時的に私の妻の身体に入って話をしておられるのです」
スピリット「女が嫌いな俺が、なんで女につきまとうんだ?女を片っ端から、叩きのめしてやりたいくらいだ!」
博士「あなたはもう肉体をなくされたのです。そして、地上をうろつきながら、次々と人間に憑依していたのです。わがままなスピリットは、よくそういうことになるのです。精神病棟には、そういうスピリットに憑依された人が一杯います。あなたは、この方を三年から四年もの間、地上の人間を苦しめてこられたのです」
スピリット「一体、この俺があの女に取り憑くわけがあるのかね。俺は女が嫌いなんだ。色恋や金で女を追っかけやしないよ。女という女を全部殴り殺してやりたいくらいなんだ。女は平気で男を欺きやがる。神様も、女なんか造らなきゃ良かったんだ。自分の気に入ったとおりにしてもらっているうちは機嫌がいいが、背中を向けられると刺し殺すからね。俺は女に報復を誓ったんだ。怨みを晴らすというのは気分がいいもんさ。だから、やるんだ」
博士「もうそろそろそんなことは止めて、人生というものをもっと真剣に考えないといけません。ご自分では間違ったことをしたという気持ちはないのですか。過去をよく振り返って、完全だったかどうか、考えてみては?」
スピリット「完全な人間なんていないよ」
博士「いけなかったことが沢山あるとは思いませんか」
スピリット「完全な人間はいないよ。俺はいたって普通の人間だと思ってる」
博士「生命の不思議について考えてごらんなさい。あなたは死んでもう何年にもなるはずです。高級界のスピリットがあなたをここへお連れして、色々と素晴らしいことをお教えしようとしておられるのです。私の妻の脳と身体を使って、私達と話を交わすことを許してくださったのです」
スピリット「奥さんも馬鹿だね、そんなことに使われて」
博士「あなたのような気の毒な方への慈悲心から、身体を犠牲にしているのです。女性をみんな悪者と思ってはいけません」
スピリット「俺のおふくろは、立派な女性だったよ。おふくろが女でなかったら、女を皆殺しにするところだ。が、あのおふくろも死んで四、五十年にもなるかな」
博士「あなたも、肉体はとっくに死んでいるのです。あなたも今はスピリットになっておられるのです。まわりを見てごらんなさい。目に映るものを正直に言ってごらんなさい」
スピリット「おふくろの姿が見えるよ。だが、おっかないね」
博士「私達はスピリットであるあなたを、少しも怖がってませんよ」
スピリット「おふくろは幽霊になっちゃったんだ」
博士「あなたと同じスピリットなのです。お母さんは何とおっしゃってますか」
スピリット「『ジョン、永い間、お前を探してきたよ』だってさ。でも、おっかないよ」
博士「幽霊みたいに見えるのですか」
スピリット「そんなことはないが、でも、おっかなくて・・・オヤ、親父もいる。それに、リジーだ!お前なんかに来てほしくないな。俺に近づくんじゃない、リジー!マムシ野郎め!」
博士「多分、リジーは、自分のしたことを許してもらいたくて来られたのだと思います」
スピリット「絶対に許すわけにはいかんね」
博士「人間、行き違いということがあるものです。お二人の間に、何か誤解があったんじゃないですか。あなたは、猜疑心から間違ったことを思い込んでいるのかも知れませんよ」
スピリット「あいつが憎い!近づいてくれるな!」
博士「憎しみを捨てて、少し冷静に考えてみては?」
スピリット「リジー、お前はあっちへ行くんだ!さもないと殺すぞ!お前の言うことなんか聞きたくない。いくら弁解しても聞く耳はもたんぞ。大嘘つきめが!」
博士「彼女は何と言ってますか」
スピリット「あいつだ。あの女が俺の人生をめちゃめちゃにしちまったんだ!」
博士「何て言ってるか、聞いてみてください」
スピリット「(聞いている様子)へぇ、結構な話だよな。(一人言のように)俺達は結婚することになっていた。あの頃はあいつもいい娘だった・・・。(リジーの言ってることを聞いて)へえ、俺が嫉妬心から変な勘ぐりをしたのだとさ」
博士「あなたが、よほど頑固で、怒りっぽかったのでしょう」
スピリット「(リジーに向かって)お前は大嘘つきだ。俺を捨てて、奴のところへ行きやがった。(独り言のように)あの晩、家に帰る途中で、電車の中である男と会って、ホンの少し一緒に歩いただけだと言ってやがる。俺はその現場を見て、家に帰って自分で自分を刺したんだ」
博士「自殺したわけですね?」
スピリット「そのまま死んでしまいたかったんだが、死ねなかった。あのまま行ってれば、こんな惨めな思いをせずに済んだのに・・・・」
博士「なぜ、彼女を許してあげないのですか」
スピリット「オイ、お前はあの女の味方をする気か?俺は自分を刺した傷で、どれほど苦しんだことか。いっそのこと死んでしまいたかったのに・・・。リジーが歩き回ってる。泣きじゃくってるよ」
博士「ご自分の良心の声に耳を傾けなさいよ」
スピリット「彼女を愛していたさ。だが、彼女から何を得たというのか・・・・」
博士「子供の頃、よほどお母さんに甘やかされたのではありませんか」
スピリット「おふくろは、それはそれは大事にしてくれたよ。欲しいものは何でも与えてくれた。だから、楽しい思いばかりしていたよ。
 リジーが言ってるー俺に対する態度をもう少し考えてれば良かった、とよ。ダメだ、母さん、近づかないで!僕はもう、どうしようもない人間なんだ」
博士「あなたにとって、今、一番大切なのは、自分を抑えるということです。イエスが言ってるじゃありませんかー『童子のごとくならなければ、神の王国へは入れない』と。あなたには、その意味がよく分からないだろうけど、あなたは何でも自分中心に考えていましたね。お母さんが甘やかし過ぎたのです」
スピリット「おふくろが、今、それを後悔してると言ってるよ。またリジーが来やがった。あいつのことなんか信じるもんか!あんな男と行っちまいやがって」
博士「仮にそれが事実だったとしても、それがどうしたと言うのですか。よほど嫉妬心が強かったとみえますね」
スピリット「俺の誤解だと、リジーが言ってるよ。本当のことを話したはずだと言ってる」
博士「リジーは、もう死んでるんですよ」
スピリット「死んでなんかいないよ。もし死んでるとしたら、あれは幽霊というわけかね?」
博士「そこに立ってると言ったじゃないですか。幽霊のように見えますか」
スピリット「イヤ、そうは見えない。おふくろが言ってるー『ジョン、分別を働かせなさい。お前は自分の良心に責められてるのだよ』とね。辛いものだぜ、愛したはずの女が、他の男とくっついてるのを見るのは。その現場を見てから俺は、彼女への当てつけに自分を刺したんだ。戻ってきてくれるだろうと思ったのさ」
博士「あなたは自殺して死んじゃったのです。そして今はスピリットになっていることが悟れずに、女の人に憑依して、その方に大迷惑をかけている。それから逃れようとして、私達のところへやってきたのです 」
スピリット「あの女のことなんか構うもんか。俺は女は嫌いなんだ。なのに、あいつはつきまといやがる。俺は、女に仕返しをすることだけが生き甲斐だった。そして、たっぷり仕返しをしてやったよ」
博士「あなたのお陰で、あの方が大暴れして困ったのです」
スピリット「おふくろとリジーがそこに立って、一緒に泣いてるよ。俺のことなんか誰もかまってくれない。知るもんか!」
博士「姓は何とおっしゃいますか?」
スピリット「ジョン・サリバン」
博士「あの方に迷惑をかけたことを恥ずかしく思わないといけませんね」
スピリット「あんたが自分を恥ずかしく思わんのと同じで、俺は少しも恥ずかしく思ってないね」
博士「あなたは、心からリジーを愛していたのでしょうか。一人よがりに過ぎなかったのではありませんか。つまり、彼女を自分のものにしたかっただけで・・・・」
スピリット「俺のものになるべきだったんだよ、彼女は。それが、あのことで、愛が憎しみに変わったのさ。
 泣いても無駄だよ、リジー。いくら泣いても、俺は許さんからな。百回、頭を下げても許さんぞ」
博士「子供の時に、お母さんが二、三度でいいからお仕置きをしていたら、こんなことにはならなかったでしょうにね、リジーを許してやりなさいよ。そうすることで、あなたも救われるのです」
スピリット「絶対に許さないね。女達は俺に夢中になったものよ。かっこ良かったからな」
博士「それがいけなかったんです。平凡だった方が、もっと物わかりのいい人間になったでしょうよ。今こそ、分別を働かせるチャンスです。私の妻の身体を使わせてあげてるのですから」
スピリット「じゃ、奥さんを返すよ。俺には用はないんだ。ねえ、母さん、そこでリジーと一緒に泣いても何にもならんよ。俺は絶対に許さないんだから」
博士「このチャンスに人を許すことが出来なかったら、この後、またあの暗い牢の中に閉じ込めて、反省するまではほうっときますからね。間違いは自分にあることを知らないといけませんね」
スピリット「許さないね。母は好きだった。金もたっぷりあったしね」
博士「どこに住んでました?」
スピリット「セントルイスだ」
博士「ここはカリフォルニアですよ」
スピリット「その手は食わんよ。ここはセントルイスで、今、冬だ」
博士「何年だと思いますか」
スピリット「1910年」
博士「今日は、1918年1月13日です」
スピリット「俺は、女が泣くのを見るのが大嫌いなんだ。母さん、泣くのは止めてくれよ。女に泣かれるとムシャクシャするんだ」
博士「良心が痛むようなことはないのですか」
スピリット「他人のことで心を痛めて、どうなるっていうのかね」
博士「お母さんの言ってることをよく聞いてごらんなさい」
スピリット「母さん、言っとくけどね。子供の頃にボクにもっとお仕置きをしてくれて、わがままを許さないでくれたら、もう少しはマシな人間になっていたと思うよ。でも、もう遅いよ。この年齢になって心を入れ替えるなんて、出来ないよ。それに、心を入れ替えたからといって、どうなるというものでもないよ」
博士「人を許すという気持ちにならなかったら、これから先、もっともっと酷い目に遭いますよ」
スピリット「土牢に入れると言っていたが、構わんよ。母さん、ご覧の通り、ボクは立派な人間になったろう?さぞかし自慢だろうね?母さんの作品というわけさ」
博士「お母さんには、いかにも愛情ある人間のような口をきいてるけど、慈悲とか同情とかはカケラもないのですね、あなたには?」
スピリット「同情なんて言葉は嫌いだね。親父が言ってるー心を入れ替えないといけないとさ。もうこの年齢になっては手遅れだよ。(急に驚いて、何かに尻込みしている様子。多分土牢のビジョンを見せられているのであろう)どこかへ連れてってくれ!そいつだけはイヤだ!もう、うんざりだ!」
博士「もっと素直にならないといけません」
スピリット「おふくろが言ってるーこの俺の育て方が間違っていたとよ。(また土牢のビジョンを見せられて)あの土牢には入れないでくれ!リジーを許すから・・・・何でもするよ!もう生きてるのが嫌になったよ。何もかもうんざりだ」
博士「霊の世界へ行ったら、人のためになることをしないといけませんよ。人の迷惑になってはいけません。このご婦人に取り憑いて犯した数々の過ちの償いをするのです」
スピリット「あの女がこの俺をいじめたんだ。だから仕返しをしたまでさ。スリッパで顔をぶん殴ってやった。女どもに対する報復だよ。俺は女が憎いんだ」

 この調子で、この男はどうしても悟らせることが出来ないので、再び『土牢』へ連れて行かれた。自我に目覚め、人類に対する憎しみが晴れるまで、そこに閉じ込められることになるであろう。

 以下の文章は、[迷える霊との対話]という、霊的知識の書物から抜粋した文章です。また、自殺に関するその他の霊的知識は、[自殺してはならない霊的な理由]に書かれています。

 これは招霊実験を始めた 頃で、1906年11月15日にシカゴで起きたものである。いつもの交霊会を催している最中に急に霊媒の様子がおかしくなって床の上に寝転び、しばらく人事不省のような状態が続いた。そのうちやっと憑依霊が引き出された。
 とても苦しんでいる様子で「もっと薬を飲めばよかった。死にたい。もう生きているのはイヤ!」という文句をくり出した。それから弱々しい声で、あたりが真っ暗で何も見えないと言った。部屋の電灯の明かりが直接顔に当たっているのに、それが見えないのだった。それから、か細い声で、「息子がかわいそう!」と言うので、事情を説明するようにきつく求めると、名前はメアリー・ローズといい、住所はサウス・グリーンストリート202、ということだったが、我々の全く知らない住所だった。
 最初のうち年月日がさっぱり思い出せなかったが、「今日は1906年11月15日ですか」と尋ねてみると、「いえ、それは来週です」という返事が返ってきた。それから色々と聞き出してみると、彼女は慢性の腹部疾患に悩まされ、その人生はいわば失望の連続だった。その惨めな人生に終止符を打ちたいと思って服毒したのだった。そして実際には自殺に成功しているのであるが、私と接触のあった当初はそれが理解出来なかった。
 というのも、大抵の自殺者がそうであるように、彼女は生命の不滅性と死後の世界の実在について全く無知だったのである。が、私との対話によって人生の目的、経験の意義、苦しみの効用が分かり始めると、自殺したことへの後悔の念に襲われ、真剣にゆるしを求めて祈り始めた。そしてそれが僅かながらも霊的視覚を開かせ、迎えに訪れていた祖母の霊姿がおぼろげながら見えた。
 あとでそのスピリットが述べた住所を調べてみたところ、間違いなかった。メアリー・ローズという女性がかつてその家に住み、今でも息子が住んでおり、母親はクック郡立病院へ運び込まれて一週間前に死亡したという話だった。私は念のため同病院を訪れて、さらに確定的な事実を発見し、記録のコピーを入手した。それには次のように記してあった。


 クック郡立病院 イリノイ州 シカゴ
 メアリー・ローズ
 1906年11月7日 入院
 1906年11月8日 死亡
 石炭酸中毒
 ナンバー・341106

 以下の文章は、[迷える霊との対話]という、霊的知識の書物から抜粋した文章です。また、自殺に関するその他の霊的知識は、[自殺してはならない霊的な理由]に書かれています。

 R夫人は自殺志向が強く、絶えず髪の毛を掻きむしり、食べることも眠ることもせず、いつしか骨と皮ばかりに痩せこけてしまった。そして「もう五百人も人殺しをした。あとは自殺することしか用がなくなった」などと口走るのだった。好転の兆しが見られないので精神病院に送られ、3年間もの間、鍵のかかった部屋に留置されていた。
 我々の手に預けられてからも、数回にわたって自殺を企てたが、二、三週間もするうちに、かつて自殺して死んだ陰鬱なスピリットが取り除かれて、それ以来、自殺の衝動は見られなくなった。
 その後もしばらく、我々の治療所にいて、体重と体力と健康の回復をはかり、完全に正常に復してから家族の元に帰り、今では、病気になる以前にやっていた仕事が出来るようになった。次の実験は、その除霊されたスピリットとの対話である。

 1919年2月23日
 スピリット=ラルフ・スチーブンソン

博士「どちらからおいででしょうか」
スピリット「うろついていたら明かりが見えたので入ってきました」
博士「お名前を教えていただけますか」
スピリット「いえ。自分でも分からないのです」
博士「ご自分の名前が思い出せないのですか」
スピリット「何もかも思い出せなくなったみたいで・・・・・。頭がどうかしたのでしょうか。ひどく痛みます」
博士「ご自身は、どうしてだと思われますか」
スピリット「考えるのが難しくて・・・・。私は何をしにここへ来たのでしょうか。あなたはどなたですか」
博士「ドクター・ウィックランドと呼ばれている者です」
スピリット「何のドクターですか」
博士「医学です。あなたのお名前は?」
スピリット「私の名前?妙なことに、思い出せないのです」
博士「死んでどのくらいになりますか」
スピリット「死んで?冗談じゃありません。死んでなんかいませんよ。死んでた方が良かったのですがね・・・・・」
博士「人生がそんなに面白くないですか」
スピリット「ええ、面白くないです。もし私が死んでいるとしたら、死んでいるというのもなかなか辛いものですね。何度死のうとしたか知れませんが、死ぬたびに生き返るのです。なぜ死ねないのでしょうか」
博士「[死]というものは存在しないからです」
スピリット「ありますとも!」
博士「何を根拠にそう断言なさるのですか」
スピリット「根拠は知りません。(急に苦しげに)ああ、死にたい!死にたい!人生は暗くて憂鬱だ。もう死んでしまいたい・・・何もかも。なぜ死ねないのだ!」
博士「あなたは道を間違えられたのですよ」
スピリット「では、正しい道はどこにあるのですか」
博士「あなたの心の中です」
スピリット「私は、神の存在を信じた時がありました。天国と地獄の存在を信じたこともありました。が、今はもう信じてません。あたりは暗く陰鬱で、良心が咎めてばかりいます。ああ、忘れさせてほしい!忘れてしまいたい!ああ、忘れたい!」
博士「あなたは肉体を失っていることをご存知ですか」
スピリット「何も知りません」
博士「では今、なぜ、ここにいらっしゃるのでしょう?」
スピリット「皆さん方の姿は見えております。見覚えのない方ばかりですが、お見受けしたところ、親切そうな方ばかりです。どうか私も仲間に入れて頂き、少しでも結構ですから、光と幸せを恵んでくれませんでしょうか。もう何年もの間、光も幸せも味わっていないのです」
博士「それほどまで苦しみを味わう原因は何なのでしょうね?」
スピリット「神は存在しないのでしょうか。なぜ神は、私をこんな暗くて陰気なところに押し込めておくのでしょうか。私もかつては純心な少年でした。なのに私は・・・・ああ、言えない!言っちゃいけない!いけない、いけない、絶対に言っちゃいけない」(非常に興奮している)
博士「今、あなたの心にあるものを全部吐き出してごらんなさい」
スピリット「大きな過ちを犯してしまいました。絶対に許されないことです。私のような者を神は決してお許しにならないでしょう・・・・決して、決して、決してお許しにならない!」
博士「今、あなたが置かれている現実に目を向けることが大切です。私達が力になりましょう。で、まず、あなたは男性であるかのようにおっしゃってましたが・・・・」
スピリット「男性ですとも」
博士「その身体は女性ですよ」(博士の奥さんが霊媒だから)
スピリット「苦しんでいるうちに女になっていて、しかもそれに気がつかないなんて、そんな馬鹿なことがこの世にありますか。(あるスピリットの姿を見てひどく興奮して)こっちへ来るな!来るな、来るな!あっちへ行け!わあっ、あれを見ろ、あれだ。もう勘弁してくれ!」
博士「一体何をしたというのですか」
スピリット「それを喋ったら逮捕されてしまう。これ以上ここへはいられない。帰らせてもらいます。走って逃げないと!(R夫人は何度も逃げ出そうとする行動を見せた)奴らが追いかけてくる。こんなところにいたら、捕まってしまう。帰らせてくれ!見ろ、やってくる、奴らが!」
博士「今どこにいると思っているのですか」
スピリット「ニューヨークです」
博士「ここはロサンゼルスですよ。今年は何年だと思いますか。1919年ですよ」
スピリット「1919年?そんなはずはありません」
博士「何年のつもりですか」
スピリット「1902年です」
博士「17年も前の話ですね。肉体という物的身体を失っていることがまだ分かりませんか。本当の死というものは存在しないのです。地上界から霊界へと移るだけのことです。なくなるのは肉体だけなのです。生と死の問題を勉強なさったことがありますか」
スピリット「いえ、勉強というほどのことはしていません。信じていただけです。名前はラルフと申します。姓は忘れました。父は死にました」
博士「お父さんは、あなたと同じく死んでませんよ」
スピリット「勿論私は死んでいません。いっそのこと死んでしまいたかったくらいです。お願いです。私をどこかへ連れて行って、死ねるように殺してください(R夫人もしばしば「殺して」と頼んでいた)。
 あっ、また奴らが来る!白状なんかするもんか!白状したら最後!牢へぶち込まれるに決まってる。あんな思いはもう沢山だ」
博士「ご自分の身の上についての無理解が、あなたをいつまでも暗闇の中に閉じ込めることになるのです。白状なさい。悪いようにはしませんから」
スピリット「それが、しようにも出来ないのです。前にもしようとしたのですが、どうしても出来ませんでした。私の過去の映像が目の前に立ちはだかるのです」
博士「おっしゃってることから察するに、あなたは明らかに人間に憑依していて、あなた自身が自殺しようとして、実際はその人達を自殺させてしまったのでしょうね。時折、ご自分でも変だなと思うような状態になったことはありませんか」
スピリット「自分がどうなっているかを考えてみたことはありません。(急に驚いて)あっ!アリスだ!嫌だ、嫌だ、怖い!アリス、僕は本当はあんなことをするつもりじゃなかったんだ。頼む、アリス、もう責めないでくれ!」
博士「お二人の間でどういうことがあったのかを話してくだされば、我々が救ってあげられるのです」
スピリット「二人で一緒に死のうと誓い合ったのに、死んでなかったのです。アリス、なぜ殺してなんて言ったのだ?なぜ言ったのだ?君を先に撃ってから自分を撃った。が、僕が死ぬことが出来なかった。ああ、アリス、アリス!」
博士「今では多分、アリスの方が事情が分かっているはずですよ」
スピリット「彼女が言っています-「ラルフ、私達二人共馬鹿だったの」と。では、あなたに全てを打ちあけます。言い終わったところで逮捕されるでしょうけど・・・・。
 アリスと私は、結婚を誓い合った仲でした。ですが、アリスの両親が私を気に入ってくれなくて、結婚に反対したのです。しかし二人とも心から愛し合っていたものですら、いっそのこと心中しようと決めたのです。先にアリスを殺し、続いて私が自分を撃とうと・・・・。そして、その通りにやったのですが、私はどうしても死ねませんでした。アリスがそこに来ているところを見ると、彼女も死んでなかったようです。
 あの時、アリスは私に向かって「さ、早く殺して!早く、早く殺して!何してるの、早くやってよ」と叫びました。私は深く愛していましたから、どうしても引き金が引けません。でも、アリスは、殺して殺してと言い続けています。家にも帰れない、結婚も出来ないのなら、二人で死ぬしかないじゃないの、と言います。
 といって、アリスは自分でピストルを撃てません。私にもその勇気はありません。が、アリスがあんまりせがむものですから、ついに私は目をつむってアリスを撃ちました。そして、彼女の身体が倒れてしまわないうちに自分を撃ちました(実際は、それで二人とも死んでいる)。
 ところが、アリスの倒れている姿が見えます。私は怖くなって、起き上がって逃げました。逃げて逃げて逃げまくり、今もまだ走ったり歩いたりしながら逃げているところです。なんとかして忘れようとするのですが、どうしても忘れられません。
 時折、アリスが姿を見せます。が、私は「僕が殺したんだ。近づかないでくれ」と言って逃げ出しました。警察からも、誰からも逃げてまわりました。そのうち、自分が年のいった女性になったような感じがして、それが暫く続きました。そのうち脱け出たように思いますが、暫くすると、また同じ女性になったような気がしました」
博士「その時、あなたは人間に憑依していたのですよ」
スピリット「憑依?それはどういうことですか」
博士「聖書に、汚れたスピリットを取り除く話がありますね?」
スピリット「ええ、あります。でも私は、その女性になった時も、死にたいと思っていました。なのに、死ねなかったのです。その女性が私に付きまとうのを振り払うことも出来ませんでした。もうこれ以上付きまとわれるのはご免です。(急に興奮して)あっ、アリスだ。来るんじゃない!
  私があの女性といる時に、あの稲妻みたいなものを浴びせられました。私を殺そうとしているのだと思い、私も死んでしまいたいと思いました(患者のR夫人は、電気治療を施すと、いっそのこと殺してくれと叫んでいた)。稲妻みたいで、私に命中はするのですが、それでも死にませんでした」
博士「あの火花は、私達が治療している患者の一人に流した静電気の反応です。あなたはその患者に取り憑いておられたのです。その女性もあなたと同じように、死にたい死にたいと言っていました。あなたが乗り移っていたからで、その方の人生を台無しにするところでした。
 幸い、あの電気であなたをその方から離すことが出来て、これでその方は正常になられることでしょう。あなたも、もうすぐ救われますよ。
 ここをお出になったら、アリスについて行ってください。アリスがあなたの事情をよく説明してくれますよ。あなたは肉体をなくしていることに気づかずに、まだ地上で生きているつもりでいるようですね。あなたもアリスも、スピリットになって生き続けているのです。人間の目に見えないスピリットになっていて、あなたは今、私の妻の身体に宿って話しておられるのです。スピリットと精神は永遠に滅びないのです」
スピリット「私にも、心の安らぎが見いだせるでしょうか。一時間でもいいから、心の安らぎが欲しいのです」
博士「一時間どころではありませんよ。あなたの前途には、永遠の安らぎが待っております」
スピリット「私の行為は許されるのでしょうか」
博士「それだけの懺悔の気持ちと苦しみで、もう許されるに十分ですよ。これからも辛抱して、進んで真理を学ぶことです。そうすれば救われます」
スピリット「おや、母さんだ!母さん!僕はもう、息子と呼んで頂く値打ちもない人間になってしまいました。母さんのことはずっと心にありましたが、今はもう、近づいて頂ける人間ではありません(すすり泣く)。
 ああ、母さん、こんな僕を許してくださいますか。こんなわがまま息子を迎え入れて頂けますか。これまでの僕は、ああ、本当に苦しい目にばかりあってきました。許してくださるのなら、私を連れて行ってください。母さん!」
博士「お母さんは何とおっしゃっていますか」
スピリット「「何を言ってるのかい。母親の愛情はそんなことくらいで消えるものじゃないよ。これまで何度お前に近づこうと努力してきたことか。でも、お前はいつも逃げてしまって・・・・」と」

 ここで息子が去り、母親の手に預けられた。代わってその母親が出て、お礼の挨拶を述べた。それを紹介しておく。

[スチーブンソン夫人の挨拶]
「今ようやく息子と一緒になれたところです。私は永い間息子と接触しようと、随分努力したのですが、駄目でした。今度こそと思って近づいていく度に、あの子は私から逃げるのでした。私の姿は何度も見えていたのです。が、怖がったのです。それは、人間は死ねばもうおしまいという間違った信仰を教え込まれていたからです。それが、人間が死者の出現を気味悪がる理由でもあります。
 人間に(死)はないのです。霊的な生活の場へと移るだけなのです。その事実を理解している人は美しい境涯へと参ります。地上にいる間に死後の世界について大いに学んでおくべきです。
 自分の人生とは何か、自分とは何なのかについて、しっかりと勉強しておいてください。そうしないと、私の息子のようなことになります。あの子は、私と恋人、それに地上で見かけた警官から逃れようとして、何年もの間走り続けておりました。
 あの子は、暫くの間、一人の婦人に憑依していて、事情が分からないものですから、その方の磁気オーラにひっかかったままになっておりました。一種の地獄の中にいたわけです。火の地獄ではなく、いわば[無知]の地獄です。
 死は、いつ訪れるか分からないのですから、いつしか行くことになっている世界について、どうか、今から知っておいてください。死のベールの彼方にあるものを、あらかじめ知っておくのです。そうすれば、この世に別れを告げるべき時が訪れた時に、しっかりと目を見開いて霊界へ入り、私の息子のように地縛霊とならずに、赴くべきところに赴くことが出来るのです。
 かわいそうに、息子は今、すっかり疲れ果て、精神的に病んでおります。これから私が看病しながら、永遠の生命について教えていくつもりです。そうすれば、霊界の美しい境涯を実感するようになるでしょう。
 信じるだけではいけません。それでは進歩がありません。他人のために生き、他人のために役立つことをするという[黄金律]を実践しないといけません。そういう生活をしていれば、スピリットの世界に来てから幸せが得られます。
 息子へのご援助に感謝申し上げます。母親の愛は強いものでございます。今度、息子をご覧になった時は、全ての疑念も無くなっていて、ずっと立派な人間となっていることでしょう。疑念は精神的な壁のようなものです。生と死の間に自分自身でこしらえているのです。その壁があるかぎり、親子といえども、一緒になれないのです。
 その疑念に囚われていた息子は、私を見るとすぐに逃げ出し、アリスも近づけませんでした。まだ地上にいるつもりで、自殺が成功しなかったと思い込んでいたのです。そうしているうちに、ある感受性の強い女性と波長が合ってしまい、その方に憑依してしまいました。本人はそれを、牢に入れられたように思っていたようです。
 今夜は、私の息子の為に皆様のお手を患わせ、心から感謝しております。このお仕事に、これからも神の祝福がありますように。さようなら」

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