全身の遺体が発見されたのはそれから実に五十年後のことで、スピリチュアリズムとは何の関係もない『ボストン・ジャーナル』という地方新聞に次のようなニュースが掲載された。

 ロチェスター発、1904年11月22日。
 1848年にフォックス姉妹が聞いたというラップの発信者とされる人物の遺体が、同家の地下室の壁と壁の間から発見された。これで二人の少女は霊との交信に関する誠実さにつきまとっていた疑惑を完全に晴らすことが出来た。
 フォックス姉妹はある男性の死者の霊と交信したと言い、その男性は殺害されて地下室に埋められたと主張したことになっていた。そこでその地下室が何度か掘り返されたのであるが、その遺体は見つからず、二人の話の裏付け証拠が得られずにいた。
 発見したのは今では[お化け屋敷]と呼ばれている、その二人の少女が住んでいたハイズビルの家の地下室で遊んでいた小学生達だった。その家の現在の所有者でハイズビルの名士でもあるウィリアム・クライト氏が子供達の通信で調査したところ、地下室の崩れた壁の下から、ほぼ完全な白骨死体が発見された。
 これによって1848年の4月11日に署名された母親マーガレット・フォックス夫人の証言が事実上裏付けられたわけである。
 
 では最初に出土した頭髪と骨の一部との関係はどうなるのか。そうした謎解きになると、シャーロック・ホームズの生みの親であるコナン・ドイルの独壇場で、最初死体を厚板に乗せて運び、石炭と木炭をかけて埋めたが、不安になってもう一度掘り起こし、人目につかない壁の下に埋め直したのだと推理している。薄暗い中での作業だった為に骨と髪の一部が残ったことに気づかなかったというわけである。