1857年1月17日、ボタン家にて、霊媒はボタン嬢。

 「新年になったらメッセージを送ります」という約束を、Z霊がしていた。何か特別に、私に言いたいことがあるということだった。通常の集いで、それは何なのか尋ねたところ、「霊媒と二人きりの時に伝える」というふうに言われた。以下が、その内容である。

 「親しい友よ、先週、多くのメンバーの前では通信を送ることを控えました。というのも、他人に聞かれては困る内容だったからです。
 まず、印刷中の作品について話をしておきましょう(この時『霊の書』が印刷中であった)。あなたは朝に夕べにそのことばかり考えていますが、あまり気にすることはありません。思い煩わなくても上手くいきます。それに体調も良くなるでしょう。
 私の見るところでは、あなたの仕事は必ず上手くいきます。あなたは大いなることを為すべく召命されているからです。
 ただし、正しい判断力を保つ必要があります。あらゆることを健全に、冷静に観察した上で評価してください。情熱に引きずられて、急ぎ過ぎることのないように。確実に物事を成し遂げる為に、段取りや進み具合を正確に見極めなさい。幻想を抱いてはなりません。理解し難いように思われることがあっても、そこから目を逸らしてはなりません。それはさらに前進する為の教材だからです。
 しかし、あらゆる人々が真理を知り、信ずるようになるまでは、まだまだ時間がかかるでしょう。あなたが生きている間は、事業が完全に成功するところまでは行かないと思います。あなたは、新たな時代の曙を見るだけで満足しなければなりません。
 あなたが始めたことを完成させるには、別の肉体に宿って再び地上に生まれる必要があります。その時には、地上に蒔いた種が見事に実を結ぶのを見ることが出来るでしょう。
 あなたを妬み、やっかむ人々が、あなたを中傷し、あなたの計画を妨げようとするでしょう。しかし、挫けてはなりません。力強く事業を押し進めなさい。人類の進化の為に働き続けなさい。あなたが正しき道から外れない限り、指導霊団はあなたを支え続けます。
 覚えていますか?一年前のことですが、私は、行いの正しい人を選んで支援すると約束しましたね。そうです、この一年間、あなたもまたその正しい人でありました。
                                 あなたを愛し、守るZ霊」

 「Z霊、すなわちZephyr(そよ風)は、特に霊格の高い霊というわけではない。しかし、善良で親切な霊である」ということを、かつて述べた。しかし、その後、急速に進化したように思われる。それは、右の通信を見れば、よく分かるだろう。叡智に溢れた、信頼出来る内容になっているからである。
 いずれにしても、私はこの霊に関しては、よい思い出を持っているし、彼が与えてくれたよきアドバイス、また、私への愛情に対して、感謝の念を忘れていない。
 ボタン一家が離散して後、彼は姿を現していない。「地上に転生する」と言っていたので、きっとその通りになったのだろう。