1866年1月23日、パリにて、霊媒はD氏。

 「あなたには休息が必要なのです。人間の力は限られていますから、『事業を早く進めたい』と思うあまり、過度の仕事を続けると、体を壊してしまいます。今のやり方を続けた場合、教義を完成させる前に健康を損ない、したがって、地上で成し遂げようと計画していた使命そのものを遂行出来なくなる恐れがあります。
 現在、体の具合が悪いのは、あなたがあまりにも生命エネルギーを使い過ぎ、それが補充される暇もないからです。休息が決定的に欠けているのです。私達も支援していますが、しかし、あなたが今のようなやり方を続ける限り、それも無駄になってしまいます。そのように走り続けては危険なのです。
 既に何度も繰り返し言ったように、それぞれ、物事には時というものがあり、あなたを支援する霊人といえども、機が熟さないうちは、状況を整えることは出来ないのです。
 会員の一人一人が戦いに備えて力を溜めている時に、あなた自身が力を消耗してどうするのですか?そんなことではいけません。あなたはあらゆる点においてモデルとならなければいけないのです。危機に際しては、あなたが突破口を開かなければならないのですよ。体が衰弱していたら、いくら我々がインスピレーションを送っても、それに従って動くことは出来ないではないですか。
 初期の仕事を補う為の作品を完成させようと、急ぎ過ぎてはなりません。目下、取りかかっている作品と、何冊かの小冊子に、専念すべきなのです。それ以外の仕事に気を取られてはなりません。
 これは単に私一人の意見ではないのです。あなたの指導霊団全体の意見なのです。あなたは仕事の遅れを致命的なものだと思っていますが、我々からすれば、それは必要な遅れなのです。というのも、ある種の問題がまだ解決されていないからです。地ならしもまだ終わっていないし、理論の内にあるものは、まだ不十分だと言わざるを得ません。一言で言えば、まだ時期が来ていないのです。
 今のところ、どうか自分をいたわって、力を溜めてください。やがて時が至り、精神と肉体の強靭さが必要とされるようになるからです。
 霊実在主義は、既に数多くの攻撃を受けてきました。数多くの論争を巻き起こしてもきました。そうした動きがすぐに収まると思いますか?敵陣営の憎悪が直ぐに消えていくと思いますか?そんなはずはないでしょう。浄化の坩堝(るつぼ)は、不純物を全て浄化しきれていないのです。まだまだこれから試練はあります。これまで以上に辛い試練だって、今後有り得るのですよ。
 あなたの立場が数々の副次的な仕事を生み出し、それへの対応に追われていることは分かります。あらゆる種類の問題が生じて、あなたを圧倒しています。そして、あなたはそれらの全てに応えようとして、出来る限りのことをしています。
 私があなたの代わりに、指導霊団に対して、決してあなた自身の為ではなく霊実在主義自体の為に、あなたの時間を奪い取る雑用をなくしてくださるようお願いしてみましょう。そうして出来た時間を使って、あなたは本来の仕事を完成させてください。
 個々の手紙に対して返事が書けなくても、それは仕方がないことなのです。何よりも、教えそれ自体を完成させるべきだからです。
 全体の為に、個人の満足を放棄しなければならない時があります。そのことを、あらゆる会員が理解しておく必要があるでしょう。
 あなたが受け取る膨大な数の手紙は、あなたが教えをさらに発展させ、作品を書き続ける為の、貴重な資源となります。また、霊実在主義が本当に進展していることを証明してくれてもいるのです。極めて公平なバロメーターであると言えるでしょう。さらに、あなたの思想が地球のあらゆる場所で支持されているのを見て、あなたは勇気と満足を与えられます。
 ですから、感謝こそすれ、手紙が来過ぎると言って不平を漏らすべきではありません。
                                  ドゥムール医師」
ードゥムール医師よ、智慧に満ちたご忠告に感謝申し上げます。ごく一部の例外を別として、仰る通りに致しましょう。今来つつある手紙と、これから来るであろう手紙に関しては問題ないと思います。しかし、今までに来た手紙の内、五百通を超える手紙がまだ処理出来ていないのです。
 「それらに関しては、まとめて断念するしかありません。そして、その事実を機関誌『霊実在主義』に書けばよいのです。手紙の送り主達に理解してもらう他ありません。いつまでもそうした手紙にかかずらっていては、あなたの健康も回復しないし、霊実在主義の教義も完成させられません。そのことは、もうこれ以上、気にせず、今後は、心静かに、為すべき仕事に専念するようにしてください。
 以上が、あなたに永遠に忠実な友人からの忠告です。
                                      ドゥムール医師」