この、いわば中間層ともいうべき境涯においては、地上の楽しみや興味の対象がことごとく存在し、しかも時間も経費もかからないので、生活全体にのびのびとした気楽さが見受けられる。気楽に訪問し合い、苦楽に観光を楽しみ、気楽にショッピングが出来る。店の種類も家具、衣服、金物等々の専門店もあれば大きなデパートもある。デザイナーや制作者は経費も手間もかからないので次から次へとアイディア商品を開発している。
 ある時娘と一緒に大きなデパートに入ったことがある。大きな入り口を入りかけた時、地上の学校の制服を来た女の子と一緒になった。娘の学校友達だなと直感した。そして案の定、小学校時代に他界した子だった。
 デパートには素敵な品物が色々と置いてあったが、私が特に興味を持ったのはカラーの花の模写を載せたページの大きな本で、生きた花そのままに描かれていた。
 あるコーナーでは十四インチの長さのアラバスターの小箱に興味を引かれた。内側に金細工が施してあり、まるでアラジンの洞窟から持ち出してきたものみたいで、地上だったら、さしずめ収集マニアの垂涎の的となるところであろうと思った。
 地上に戻ってからのことであるが、知人の霊媒を通じて娘が、デパートの入り口で一緒になった女の子について、いつも一緒に暮らしてるわけではないー興味が同じでないから、といった意味の通信を送ってきた。