●霊媒による患者救済のメカニズム

 霊媒である私の妻は、よほどスピリットがコントロールし易いらしく、憑依して語るスピリットの大半が、自分がいわゆる死者であって一時的に地上の人間の身体に宿っていることに気がつかない。
 理知的判断力の鋭いスピリットの場合だと、自分だと思っている今の(霊媒の)身体の特徴や手足、衣服などの違いを指摘すると、事情が尋常でないことに気づいてくれる。特に男性である場合はその違いが歴然としているので、なおさらである。
 「今、あなたが使用しておられる身体は私の妻のものです」と言われると、大抵「ワシはあんたの奥さんなんかじゃない」と言い返し、得心してもらうまでにはずいぶん多くの説明を要するが、とにもかくにも、なんとか分かってくれる。
 これに対して、あくまでも頑固な猜疑心の固まりのようなスピリットがいるもので、自分が死んで肉体を失っていることを絶対に認めようとしない。理知的に判断しようという気持ちがなく、たとえ鏡を持ってきて映して見せても、催眠術をかけているんだろうと言って、事情が変化していることを認めようとしない。あまりの頑固さに、結局はマーシーバンドに連れ出してもらって、あとをお任せすることになる。
 精神異常の原因となっている憑依霊を、患者から霊媒(ウィックランド夫人)に移すには、静電気を患者に流す方法が効果的である。患者は必ずしもその場にいるとは限らないが、大抵は同席している。
 静電気は人体には害はないが、憑依しているスピリットには耐え切れなくて、通電しているうちに、ついにその身体から離れる。そこで待機していた霊団が誘導して霊媒へ乗り移らせる。
 これでそのスピリットとの直接の対話が出来ることになり、私が現実の真相を語って聞かせ、向上の可能性を教えてあげる。
 それが納得できた段階で、霊媒から離れてマーシーバンドの手に預けられ、霊媒は正常に復する。
 同じ効果は、心霊サークルによる思念集中法(サークルのメンバーが円座を作って精神を統一して霊的な磁場をこしらえる)によっても得られる。患者は別の場所、往々にして遠く離れた病院などにいて、そこでマーシーバンドが憑依霊を連れ出して、そのサークルのところへ連れてきて霊媒に乗り移らせる。
 このやり方ではスピリットは『追い出された』と言って文句を言うことが多いが、それでも自分がスピリットになっていることに気づかず、また地上の人間に憑依して障害の原因となっていることも知らないのである。
 しかし、憑依霊の言動と患者の症状との間に類似性があること、そして、その憑依霊を除霊すると症状も除去されるという事実は、そのスピリットこそ精神病の原因であったことを明快に証明するものである。多くの場合、スピリットの身元も一点の疑問の余地もないまでに立証されている。
 憑依霊を霊媒に乗り移らせた後、二度と患者に戻らないようにすると、患者は次第に回復へ向かう。
 ただ、なかには複数のスピリットが憑依しているケースがあり、その場合は一度に回復というわけにはいかない。
 読者の中には、マーシーバンドは憑依霊をいちいち霊媒へ乗り移らせないで、直接説得すれば良いのではないかと思われる方もいるであろう。実はそうしたスピリットは霊的知識が欠けているので、いったん地上的条件下に置き、現在の自分の状態を認識させ、向上の意識を芽生えさせてからでないと、霊界側からの直接の接触が得られないのである。
 交霊会において、無知なスピリットが霊媒に乗り移らされることによって霊的理解へ導かれていく現象は、研究者にとって大変興味深いことであるが、同時に、暗黒界からその交霊の場へ連れてこられて、その様子を見学している大勢の無知な霊にとっても、大きな勉強となる(モーリス・バーバネルを霊媒とし、ハンネン・スワッハーを司会者とする英国の交霊会に、約半世紀あまりも出現していた古代霊シルバー・バーチの話によると、毎回5000名ばかりのスピリットが見学に来ていたという。シルバー・バーチはサークルのメンバーにだけ語りかけていたのではなかったのである)。
 なかには、まるで精神病院のような状態になって、まともな説得ができないスピリットが多い。これは地上時代の誤った宗教的信仰や固定観念、もろもろの迷信が禍いしている。暴れ回り、暴言を吐くこともしばしばで、そんな時は霊媒の両手を握って押さえ込むことが必要となる。
 また、自分の置かれている事情に目覚めるとともに死んでいくような感じを抱くスピリットがいる。
 これは霊媒の身体の支配を失いつつあることを意味している。
 さらには、意識がもうろうとして半分眠っているような状態になり、そっとしてくれないかと言い出す者もいて、このあとに紹介する記録をお読み頂けば分かるように、時には激しい言葉で目を覚まさせることが必要となる。
 そうした記録の中で、よく[地下牢]または[土牢]という言葉が出てくるが、これは手に負えないスピリットをマーシーバンドが捕らえ閉じ込めておく場所で、そのあと霊媒に乗り移らせると、今まで地下牢に入れられていたと文句を言う者がいる。
 これは、高級霊になると、ある霊的法則を利用して牢に似た環境をこしらえることが出来るのである。出口が一つもない独房のような部屋で、頑固なスピリットはそこに閉じ込められて、どっちを向いても自分の醜い性格と過去の行為が映し出される。
 これは実際は心の目に映っているのであるが、本人は客観的に映っているように思い込む。その状態は、悔い改めの情が湧き新しい環境へ適応して向上したいと、自ら思い始めるまで続けられる。
 私の妻の霊媒能力は、無意識のトランス(日本でいう神懸かり、ないし入神状態)である。その間ずっと目を閉じ、睡眠中と同じく精神機能は停止状態に置かれている。
 したがって、本人はその間の記憶はない。そうした体験に対して異常な反応を起こすこともない。常に理性的であり、頭脳は明晰で、性格は陽性である。この仕事に過去35年も携わってきて、一度も健康を害したことも、いかなる種類の異常を見せたこともない。
 それは、一つにはマーシーバンドと名乗る高級霊団によって、常時保護されているからであろう。この霊団は[死]と呼ばれているものが、いたって単純な[移行現象]にすぎないこと、そしてまた、その死の後はどうなるかについて合理的に理解しておくことがいかに大切であるかを教えるために、この仕事を指導しているのである。
 我々のサークルは、その[死後]の事情についての、議論の余地のない、信頼の置ける証拠を直接入手することを目的としており、妻に憑依して語ってくれたスピリットの正確な事情を記録しておくために、何百という例証を速記によって書き留めたのである。



       
       
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