潜在意識説と自己暗示説を否定するケース


●招霊実験が物語る『真実』

『死者』を相手とする研究を倦むことなく三十年余りも続けてきて私は、その間に驚くべき事実を数多く目の当たりにしているので、証明しようと思えばいつでも出来る明々白々たる事実を、他の思想分野の人達はよくぞこれまで無視してこれたものだ、と思うのである。
 こうした招霊実験には詐術は断じて有り得ない。霊媒である私の妻は、一言も知らないはずの外国語をいくつでも喋るし、妻の口から聞いたためしのない表現が出るし、その上、憑依霊の身元は再三再四確認され、数え切れないほどの確証が得られている。 
 一回の招霊実験で二十一人のスピリットと語り合ったことがある。その大半は、地上時代に私の知人ないし親戚だったことを立証するに十分な証拠を与えてくれた。その時は妻の口から全部で六カ国語が聞かれたが、通常の妻はスウェーデン語と英語しか喋れない。
 またある時は、シカゴから連れて来られたA夫人一人に十三人のスピリットが憑依していて、それを一人ひとり妻に乗り移らせたが、そのうちの七人までは、A夫人の母親のH・W夫人によって、地上時代の親戚か友人であることが確認されている。そのうちの一人はH・W夫人が属していたメソジスト教会の牧師で、九年前に交通事故で他界していながら、その日までその事実に気づいていなかった。
 もう一人は義理の姉、その他に永年家族ぐるみで付き合っていた三人の年配の女性、近所の少年一人、それに患者の義理の母親がいたが、そのいずれも、妻は一面識もなかった。H・W夫人はその一人ひとりと長々と語り合い、聞き出した事柄の中から数え切れないほどの事実を確認し、その事実をもとに、そのスピリットが現在はもう肉体を捨てて霊的存在となっていること、しかも夫人の娘の身体に憑依している事実を悟らせてあげた。娘さんは今では心身ともにすっかり健在で、社交に、音楽の仕事に、そして家庭生活に、活発な毎日を送っておられる。

 もう一つのケースは、精神異常がそっくり患者から霊媒へと移転し、『潜在意識説』や『二重人格説』は、霊媒に関するかぎり、その説明にはならないことを明確に立証している。
 ある夏の日の夕方、われわれ夫婦は教養と人格を兼ね備えた著名な婦人の家に呼ばれた。この婦人はかつては第一級の音楽家で、そうした地位にあるがゆえに要求される、様々な人間関係に耐え切れず、ついにノイローゼになってしまった。それが次第に高じて手がつけられなくなり、狂乱状態が六週間も続き、医師も手の施しようが無く、看護婦が日夜つきっきりの監視をしなければならなくなってしまった。
 訪ねてみると、その婦人はベッドに座り、一人ぽっちにされた子供みたいに泣いているかと思うと、次の瞬間には恐怖におののいたように「マチーラ!マチーラ!」と叫んだりしている。そうかと思うと今度は、誰かと格闘し揉み合っているような動作をしながら、英語とスペイン語でわけの分からない乱暴なことをわめき散らしている(妻はスペイン語はまったく知らない)。
 妻は婦人を霊的に診察して、これは間違いなく憑依現象であると述べた。そして、それが事実であることが、思いがけない形で立証された。ベッドのわきに立っていた妻が、部屋を出ようとした瞬間に意識を失って、その場に倒れた。居合わせた者が、その身体を長椅子に横たえた。私は、それからほぼ二時間にわたって、患者から離れた三人のスピリットとかわるがわる語り合った。
 三人はメアリーという若い女性とその求婚者のアメリカ人、そして恋敵のメキシコ人マチーラだった。男性の二人とも熱烈にメアリーを愛している。したがって互いの憎しみも激烈だった。そして嫉妬に狂った一人が女性を殺してしまい、さらにライバルの男性とも命がけの喧嘩となって、ついに二人とも死んでしまった。が、三人とも自分の死には気づいていない。哀れにもメアリーは泣きながらこう言うのだった。
 「この分だと二人は殺し合うことになると思ったけど、今もここで決闘を続けてるわ」
 愛と憎しみと嫉妬による悲劇は、肉体の死とともに終わってはいなかったのである。三人は無意識のうちに患者の霊的磁場、すなわちオーラに引きつけられ、そのオーラの中で相変わらず激しく争い続けていたのである。そこには患者が神経的に参って抵抗力が極度に低下していたという誘因があり、次々と憑依したその結果が、医師や看護婦には解決のつかない、いわゆる発狂状態となって現れていたのだった。三人に肉体を失っている事実を得心させるのにさんざん手こずらされたが、どうにか理解してくれて、われわれのマーシーバンドの手に委ねられた。
 その間に患者は既に起き上がっていて、驚く看護婦を相手にまともな対話を交わしながら、部屋中を静かに歩き回っていた。やがて「今夜はよく眠れそうだわ」と言い、ベッドに戻ると、いつもの睡眠薬を使わなくてもすぐに寝入り、一晩中ぐっすりと寝た。そして翌日には看護婦に付き添われて私の家を訪れた。私は看護婦には帰って頂き、服薬を禁じ、電気治療を施した後で、他の患者と一緒に食事をとって頂き、夜の社交的な催しにも出席して頂いた。
 その翌日の招霊実験でさらにもう一人が、この婦人から除霊された。サンフランシスコの大地震で死んだ少女であるが、暗がりの中で道が分からなくなったと言って泣いてばかりいた。この子も私が色々と語り聞かせてなだめてやり、そのあとマーシーバンドによって介護されることになったことは言うまでもない。それまでは婦人のオーラの中に閉じ込められていたために、マーシーバンド側も手が施せなかったのである。
 婦人はその後数ヶ月にわたって私の治療所で加療と休養を続け、すっかり元気を回復して退院し、完全に元の生活に戻られた。

●スピリットの生前の身元を確認
 次の例は、スピリットの生前の身元が確認されるケースがよくあることを証明している。
  F夫人はもともと垢抜けのした上品な性格の女性であったが、数人の医師から不治の精神異常者と診断されるほどになった。手に負えないほど荒々しい振る舞いをするようになり、絶えず罵り、いったん暴れ出すと男が数人がかりでやっと取り押さえるほどになった。そうかと思うと突然、昏睡状態に陥ったり、気絶したり、食べ物を拒絶したり、「私は天使の仲介で結婚したのである」と偉そうに言ったかと思うと、とてつもない下品な言葉を口走ったりするのだった。
 こうした症状が絶え間なく交互に起きるのであるが、それが憑依現象であるとの確証が得られずにいたところ、ある日、突如として言語能力を失って白痴のように口をもぐもぐするだけとなり、聾唖者とまったく同じ状態になってしまった。
 丁度その頃に、隣の州から一人の男性が、入院中のある患者を見舞いに訪れた。その直後に看護婦から、F夫人の様子が変わって今度は幼児のような喋り方をしているとの報告があった。その変わりようがあまりに激しいので、参考までにその見舞客にも部屋に入ってもらって観察してくれるように頼んだ。もちろんF夫人とは一面識もない人であるが、その男性が部屋に入るとすぐ、夫人が彼を指差して、子供っぽい、かん高い声で、
 「あたし、この人知ってる!よくあたしの肩に弓をのせたわ。そして、あたしのキャンデーを引っ張ったこともある。ジプシーのキャンプへ連れてってくれたこともある。私の家の向かいに住んでて、あたしのことをローズバッドと呼んでたの。あたしは四歳よ」
 と言った。
 その男性は、その子の言っていることが一つ一つ事実であることに驚き、確かにアイオワ州の郷里にはそういう名前の子がいたが、しかし昨年死んでいると語った。さらに彼は、自分が大変子供好きで、よくその子をジプシーのキャンプへ連れて行ったこと、そして棒付きのキャンデーを買ってやり、その子が食べている時にその棒を引っ張って『歯と一緒に抜いちゃうぞ』と冗談半分に脅かしたことがあると説明した。
 この例では、愛情がその子供を男性のところへ引き寄せたこと、またその子供にとってF夫人が、その男性に自分の存在を知らせる格好の手段となったことは明らかである。
 招霊という手段によって、まずその子を除霊し、続いて他の複数の憑依霊を一人ひとり除霊していって、数ヶ月後にはF夫人は法的文書に署名する資格があると診断されるまでに回復し、裁判官および陪審員によって『正常』と宣告された。
 
 もう一つ例をあげると、これはレストランでコックをしていたO夫人の例であるが、同じレストランで働いているウェイトレスの中に行動がおかしく、妄想と幻覚に悩まされている女性がいるので診て欲しいと言って、私のところへ連れてきた。さっそく電気治療を施したところ、ウェイトレスはたった一回ですっかり楽になって、そのまま家に帰った。
 ところが、その夜になってO夫人の方が一種名状しがたい状態になって一睡もできず、その状態が翌朝の十時頃まで続いた。それから食事の用意でもしようと起き出て準備をしていると、突如として態度が荒々しくなり、髪をかきむしり、自分で自分を傷つける危険性が出てきた。
 家族からの依頼で往診してみると、O夫人は錯乱状態で荒れ狂っており、『どこへ逃げても追い回されて休息する場所がない』と口走るのだった。私は憑依霊の仕業と診断して夫人を椅子に腰掛けさせ、暴れないように両手を縛ってから、幾つか質問してみた。すると、自分は男性で、死んでもいないし、女性の身体に取り憑いてなんかいないと言い張るのだった。名前はジャックといい、さきのウェイトレスのおじで、放浪の生活を送ったという。
 こんこんと諭していくうちに、その霊もどうにか自分の置かれている事情を理解してくれて、もう二度と迷惑をかけないことを約束して去って行った。O夫人はそれでいっぺんに正常に復し、いつもの仕事に戻って、以来、何ら支障を来していない。
 あとでウェイトレスに確認したところでは、彼女にはジャックという名のおじがいて、放浪癖があったが、今はもう死んでいるとのことだった。このケースではO夫人が霊媒となって、ウェイトレスに憑依していたそのおじを乗り移らせたわけである。

●『人格』として現れるスピリット
 数年前の話であるが、リズトンという博士がシカゴの新聞に、フランス語も音楽も知らないある患者が、麻酔をかけられた時に、フランス国歌の『マルセイエーズ』を見事に歌った話を紹介していた。その中で博士は死後の個性の存続を否定して、これは潜在意識ないしは無意識の記憶によるものと説明し、あるラテン語の教授の召使いが狂乱状態の中で、生前その主人が朗唱していたラテン語の古典を完璧に朗唱したケースと比較して論じていた。
 私はこれに反論する形で、ある新聞に寄稿し、この種の現象は心霊現象ではよくあることで、唯物的科学者がどう分類しようと、こうしたケースは人間の個性の死後存続と、彼らが生者を通じて意志を伝えることが出来ることの証拠であると論じ、さらに、右の二つのケースの真相を解明すれば、フランス語で歌った患者は霊感の鋭い人で、その時誰かのスピリットに憑依されていたのであり、ラテン語を朗唱した召使いは亡くなった主人のスピリットに憑依されていたことが判明するだろう、と付け加えた。
 それから程なくして、リズトン博士の記事で紹介された患者本人が私の記事を読んだと言って訪ねてきて、「私はフランス語はまったく知りません。が、死にたくなる程スビリットに悩まされていることは間違いありません」と言った。
 いわゆる『多重人格症』『分裂性人格症』『意識崩壊症』といった症例の研究において現代の心理学者は、そうした人格には何ら超常的知識の証拠は見られないし、霊的原因の証拠も見られないという理由で、外部からの影響力の働きかけの可能性を否定している。
 しかし、それとは対照的に、我々が体験しているところでは、そうした人格の大半はスピリットであって、今なお自分が他界したことに気づかないために、肉体がなくなっていることに得心がいかず、またその事実を認めたがらないということが明らかとなっている。
 モートン・プリンス博士の著書『ミス・ビーチャム、または失われた自己』の中で紹介されている四重人格の例症でも、ビーチャムという女性患者以外の人格の作用にはまったく言及されていないが、『第三人格』とされている『サリー』自身はビーチャムではなく、まったくの別人だと言い張り、ビーチャムが歩行や言語を覚えかけた頃のことに言及して、『この子がやっと歩き始めた頃から、私はこの子の考えと私の考えとが別のものだったことを覚えています』と述べている。
 似たケースとして、オハイオ州のB・レディックという小学生の場合は『ポリー』という乱暴な性格の女の子に急変するのだったが、このケースでも、他界したポリーという女の子が、多分死んだことを自覚しないままレディックに憑依していることを示す証拠は歴然としている。
 こうした『人格』が独立した存在であることは、これまでの実験が豊富に実証しているように、その『人格』を霊媒に転移させることによって簡単に証明できることである。それを潜在意識説や自己暗示説、あるいは多重人格症といった説によって説明することは到底無理である。
 なぜなら、霊媒である私の妻が数え切れない程の人格をもっていることは断じて有り得ないことであり、同時にまた、精神病者とされている人の症状を妻に転移させることによって、その患者を簡単に正常に復させることが出来るからで、かくして病気の原因は死者のスピリットのせいであることが結論づけられる。そのスピリットの地上時代の身元も、多くの場合、確認することが可能なのである。
       
       
自殺してはならない霊的な理由 自殺志願者は、まず[自殺の霊的知識]を読んで!
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