無職になっても、相変わらず、危機感の無い私でした。リサイクルショップに行って買い物したり。
 いや、その頃の俺は、出会い系サイトもしていた。ある出会い系サイトに登録したら、怒濤のようにメールが来て、人生で初めてこんなにモテたと有頂天になってメールに返信しまくっていた。しかし、結局、いつも会えなかった。『近くの○○駅で会いましょう』というメールをもらって、ウキウキしながら車でその駅に向かっている途中に、メールが到着して、『ごめん、都合悪くなっちゃった』というメールが来て、引き返したり。車いすの若い女性からのメールとか来て、私を見捨てないでとか言われて、ついつい大金を投じたり、女子大生と名乗る人とか、看護婦してますとか、女性社長ですとか、とにかく何十通も、昼夜問わず届いた。それを、当時の俺は、本気で、相手は本物の女性とやりとりしているものと思っていたのだが、真実は違った。ま、今もそうだが、それはまったくのデタラメ、サクラばかりのサイトだったのだ。だって、俺は本物の会える出会い系サイトのハッピーメールとかやったことあるけれど、全然女性からメール来ないもの。だから、いかにそのサイトが偽者だらけかが、今は分かる。そして色々と後で調べたら、それらは、全員男が女のふりをして書いていたらしい。そりゃそうだよな。女社長がお金あげますとか、ありえないよな。アホすぎる。でも、そんなバカがいるから、世の中詐欺事件は減らないんだよね。俺みたいなバカがいるからな。そのサイトには、総額10万円くらい遣いました。それも無職だから借金だよね。しかも、数ヶ月後に、知らない男から電話がかかってきて、「未払いの出会い系サイトの料金を払え」なんてかかってくるし。多分、そういうバカには、そういう脅しをすれば、また金を搾り取れると思って、電話してきたんだろう。業者が、俺の登録時の個人情報を悪徳業者に流したんだろうな。「お前の家に行くからな」とか脅迫された。 もう、何回もかかってきたよ。「来るなら来てみろバカ、住所分からねえだろ」なんて言ったり、業者が怒鳴り続けている携帯電話をそのまま放置したりしてたけど。なんとかやり過ごした。一応、強気には出たけど、それでも本当に家に来るんじゃないだろうかと、内心ビクビクしていたよ。

 本当に怖いね。何が怖いって、世の中を何も知らないヒヨコの当時の俺が怖いよ。今の俺も、世の中のこと、そんなによく知らないけどさ。それでも、当時よりかは、いくらか賢くはなったけど。本当に、俺はこんなにバカなんだから、親も何も教えてくれないし、学校でも教育してくれないし・・・実際に自分で痛い目に遭わねば分からないってのは、とても損です。速聴の契約だったそうだし。金の賢い使い方を習得していれば、そんな事態には陥らなかった。けど、俺には誰も教えてくれなかった。

 あと、まともに仕事しようとせずに、俺は近くのおもちゃのお店に行ってスターウォーズやバットマンとかのアメコミのフィギュアを買ったり、ジャニーズの店に行って、ジャニーズのグッズを買って転売すれば儲かるかなとか考えて、実際に買い、ヤフーオークションで転売しようとした。でも、そんなので大きな利益が上がるはずもなく、むしろ送料とか含めると、大幅な赤字でした。その資金も全部借金でした。
 俺の前世って一体?ここまでバカだと、本当にもう、俺の前世はとんでもないバカだろ。きっと、呑気に振る舞えるような地位の世間知らずのお馬鹿さんだったか、ろくでなしの放蕩野郎だったのかもしれない。とにかく、俺の前世は世間知らずだな。前世で上手にやりくりしていれば、ここまで馬鹿な行動はすまいて。

 あと、えーと、ユサナという、アムウェイみたいなものに手を出してしまいました。その資金も全部借金です。ネット上で発見して、おっ、これはいいんじゃないか、と、アホな期待を寄せてしまい、無駄に行動力はあるので、早速申し込みました。
 その組織は、なんだか小太りの30代後半くらいの男性がリーダーで、その人を頂点として、けっこうツリーは出来上がっていました。13人くらいだったのでしょうか。そこでは、毎週、ヤフーのネットで会議が出来るシステムを使って、会議を開いていました。みんな頻繁に意見交換をしていましたが、俺はただ聞いているだけでした。そこでは、とてもポジティブな言葉が交わされており、みんなやる気になっていました。ちなみに、俺は、北海道在住の二十代後半くらいの男性の下につきました。その人とは頻繁にメールでやり取りしながら、「齋藤さん頑張りましょう!」とか言われて、最初の頃は一生懸命にネット上で勧誘活動していましたが、やがてすぐに無理だと思って、勧誘活動を止めてしまいました。活動方法は、主にヤフーオークションの情報ページに高いお金を払って上位に表示してもらい、そこ経由でユサナ会員になってもらう、という目論みでしたが、それを実行しても、一件も応募はありませんでした。他にもネット掲示板にも書き込みましたが、反応はありませんでした。リアルな知り合いがほとんどいないので、手詰まりで、終いには諦めました。
 一ヶ月で15000円くらい、ユサナのサプリメント代がかかっていました。毎月毎月、サプリが送られてきましたが、俺は全然飲んでいませんでした。もともと、そういうサプリなんかには無興味だったのです。あくまで、金持ちになれるという宣伝文句に乗ってしまっただけだったのです。
 それで・・・解約しようにも、俺は変に義理を感じてしまっていて、俺が辞めたら、このツリーの皆さんの利益がその分無くなってしまう・・・今まで色々と励ましてくれたのに、それでは申し訳ない。特に、北海道の○○さんには申し訳ないなんて思ってしまいました。ああ、だったら、無活動でも、せめて会員のままでいればいいかな・・・なんて、馬鹿な考えで、その後も、ダラダラと7ヶ月だか、1年だか、もう忘れちゃいましたが、そのくらい会員でいました。最終的には大量のサプリが、大きな段ボールに山積みになっていました。今から思えば、そんなこと、何の遠慮も不要、すぐに辞めちまえばいいんだ!と、今の俺なら決断出来ますが、当時の俺は、ナヨナヨしていて、とても無理でした。だって、北海道の○○さんは、このビジネスを主体で食っていくつもりとかで、その時に勤めていた会社に辞表を出したとか、ネット会議で言っていたし。それを聞いたリーダーは、それを賞賛したり・・・なんか、宗教ぽかったな。その北海道の○○さんは、他にもヤフーオークションに本から得た情報を、情報ページに出品したりして、本気でそういう方法で食っていくつもりだったらしい。今はどうなっているか知らんけど。とにかく、当時の俺は、どうしようもない世間知らずの優柔不断の馬鹿だった。

 ああ、あと、ペット保険の代理店というのも契約したな。一件ペット保険の契約が取れれば千円くらいの報酬が入るというものだ。それも、おもにヤフーオークションで活動したけど、一件も取れずに終了しました。あとには、大量のペット保険の契約書とパンフレットが残りました。捨てました。これも、二万円くらいの赤字でした。

 あと、なんだか、海外のクレジットカードが、国内でブラック査定受けた人でも手に入るという、全国救済組合なるものにも申し込んだぞ。それは、海外のクレジットカードが作りたいのならば、四万円だっけか。その申し込みの仲介の代理店になりたいのなら、二万円出せば、なれますよ。クレジットカード制作の申し込みでも代理店契約の申し込みでも、どちらでもいいから一件契約取れれば、一万円あなたの口座に振り込みますよ、というものだったと思います。その業者のホームページには、毎日毎日大金が振り込まれた証拠の預金通帳が映っていて、札束の写真が掲示してありました。俺は、これ以上クレジットカードを作るのはさすがにヤバいと思ったので避け、代理店ビジネスに申し込みました。んで、これもヤフーオークションの情報ページに出品しました。結果、三件くらい契約できました。けど、情報ページの上位表示の代金を三万円以上かけてしまったので、赤字でした。また、俺は人がいいから、代理店ビジネスをやる気で電話をかけてきた人が「この仕事、儲かりますかねえ?」なんて聞いてきたら、そこで絶対に儲かると言えばいいのに、馬鹿正直に「いやぁ〜、それは分かりませんねえ」なんて言ってしまいました。結果、お客の熱意もしぼんでしまい、みすみす契約してくれそうなお客を逃してしまったりしていました。俺は、俺に契約させた速聴の営業マンみたいに、神様レベルの営業トークは無理なのだった。
 でも、赤字を出したとはいえ、三万円ゲットしたのは事実なのだから、今度は手法を変えることにしました。ネットサーフィンしていたら、『泥棒市場』なるサイトに行き当たりました。そこは、なんだかとても怪しいサイトでした。窃盗品とか、怪しい情報とかが売買されていました。そこで、俺は全国多重債務者リストなるものを見つけ、それを買いました。値段は忘れましたが、数万円だったかな。それで、データの形で、メール添付で送られてきました。開いてみると、そこには沖縄から北海道まで何万人もの多重債務者の個人情報が載っていました。俺は、この人達に、この海外のクレジットカード情報を送れば、飛びついてくるのではないかと思い、大量に送ることにしました。なにせ、この海外のクレジットカードなるものは、限度額が最大で二百万円だったから、大いに助かるだろうと。もしかしたら、大儲けできるかもしれないと、期待した結果の行動でした。
 コピー機で案内書と契約書を大量にコピーして、それを封筒に入れました。そして、まずは北海道の人達の住所を書いて、まずは百通くらい出しました。数日後、郵便受けには、大量の宛先不明で返送されてきた封筒が何十も詰まっていました。こぼれる程に・・・。それが、次の日も次の日もだったかな。とにかく、返送率八割くらいで、あとの2割は届いたのかもしれないが、結局何の音沙汰もなしで、一件も振り込まれませんでした。今から思えば、酷いことをしてしまいましたね。そしてアホでした。
 それでも、もうこのビジネスしか一発逆転の方法はないと思って、今度は大量のパンフレットをコピーし、A4封筒に入れたものを50通くらい用意しました。そして、今度は直に人々にアピールしようと、変なでかい看板を作りました。1m×60cmくらいの、ピーマンとかトマトとかナスとかのアホな人形を自作して、その看板の中央には『闇金怖いよ〜』なんて文字を書きました。あと、もう一つくらい、変な看板を作りました。それで、電車に乗って、名古屋駅の高島屋の前の路上で、無許可で、メガホンで宣伝し始めました。「こちらは全国救済組合と申します・・・海外のクレジットカードが作れます」とか、超恥ずかしがりながら喋っていた。本当にもう、今から思えば、なんでこんなことをしたのか、分からん。憑依されていたのかしら?今、とても赤面しています。やっぱり、俺は普通じゃない。頭がおかしい、ギャーーー。みんな、クスクス、何あれ〜、馬鹿みたいとか、奇怪なものを見る目で見てきました。
 それでも、俺は契約が欲しかったので、一生懸命に宣伝していたら、一人の貧乏そうな男が興味を示してくれて、パンフレットを受け取ってくれました。あと、スーツを着たもう一人のサラリーマン風の男も受け取ってくれました。そうしたら、しばらくして、警備員がすっ飛んできて、止めてくださいと言われて、帰りました。後日、一万円振り込まれていましたが、それよりも、看板制作費用とか、遠征費用で、またもや赤字でした。はぁぁ・・本当に恥ずかしい。なんで『闇金怖いよ〜』なんて看板、作ったのだろうか。意味不明だ。きっと、闇金よりも、こっちで借りた方がマシですよ、というような訴えだったのかもしれない。これは自分自身のことだが、もう、憑依現象ということで勘弁してくれ。もう思い出したくないです。今ね、もう本当にね、俺って、普通じゃなくて、異常だなぁ〜と、パソコンの前で赤面しています。ま、普通の精神だったら、こんなサイト、作らないかもしれないけどな。
 う〜ん、もうそれっきり、全国救済組合のビジネスは終了しました。結局、四万円の報酬のために、10万円くらいの費用がかかったのかな・・・アハハ、馬鹿みたい。

 あとは、アイエンスという、クレジットカードの現金化の業者の代理店にも応募しました。それは無料だったかな。で、同じくヤフーオークションで高い費用をかけて宣伝しました。それで、数人が実際に応募してくれて、俺には1%が報酬として支払われる契約だったと思うので、6000円が振り込まれた時もありました。あとは2000円だったり。けど、それも結局、上位表示の宣伝費用がかかりすぎて、赤字でした。そんで、止めてしまいました。今から思えば、相手を自分と同じ借金地獄に招き入れるような真似をしてしまい、申し訳なく思いますが、当時の俺は、そんなことにまで思いは至りませんでした。
 
 あとは、絵が好きだったので、絵を描いて売ろうと、画材を買って、描いたり、工作をして売ろうと、名古屋のデパートのそういうお店に行って材料を買ったり。あと、木の板を買って、彫刻刀で彫刻を彫ったりしていた。また、単なるそっけない素焼きの植木鉢に、俺が画材で絵を描いたものをヤフーオークションで販売しました。けど、それらの入札は一件もありませんでした。石に絵を描いて売ろうと、河原に行ったり・・・。もうね、この文章を書いていて、一体どこまで馬鹿なのかと、悲しくなります。だから、俺よりもよっぽど高い人間力の一流企業勤めの人物が自殺するなんて、馬鹿げています。まぁ、そういう人は、プライドの固まりだろうから、少しでも落ちぶれると自殺したくなるのだろうか。とにかく、この時の俺は、銀河級の大バカ者でした。

 それで、次第に精神がおかしくなっていきました。一応、ハロワは一度行ったのかな。けど、岐阜県だし、田舎だったので、時給700円の漬け物工場の求人とかしかなかったな。しかも、その時点では、もう借金まみれで、アイフルの借金額は百万円満額まで近づいていたし、クレジットカードは、ショッピングの借入残高が80万円かな、キャッシングが70万円くらいかな。よく覚えていないけど、危機的状況でした。本当に、馬鹿の極みです。ああ、誰か、馬鹿な俺にお金のことをちゃんと教えてくれる人がいれば、こんなことにはならなかったのに。いや、それ以前に、神奈川県内で就職していれば、祖父母の家も近くだし、実家も近くだったろうから、こんな事態にはならなかっただろう。まったく、風邪の時も、誰も来てくれない。やはり日本は狭いとはいえ、それはアメリカやロシアと比べた時の話だ。岐阜県と神奈川県は離れすぎているよ。誰も助けてくれないし、助言してくれる人もいないし、相談に乗ってくれる人もいなかった。岐阜県は織田信長の領地で、神奈川県は北条一族の領地だったからな。やはり遠すぎる。これも、やはり、今思うと、体毛が濃かったことが原因です。体毛が濃かったが故に、逃げるように意味もなく岐阜県にまで来てしまい、挙げ句の果てに借金地獄に陥ってしまったのですから。本人が言っているんだから間違いない。

 それで、次第に精神状態もおかしくなって、絶望感が支配してきました。絵を描いていた画材には、『おしゃかさまはどこだ・・・おしゃかさまはどこだ・・・』なんて意味不明なことを絶望しながら殴り書きしたり。あと、ポルノサイトばかりを一日中みたり、殺人鬼の残虐行為を紹介しているサイトを見たり。そんな感じで、発狂しているような状態になってしまいました。街に出ても、もう絶望しかなくて、無関係のそこらへんを歩いている他人をぶっ殺したく思ったり。楽しそうにしている奴らを皆殺しにしたくなったり。勿論、実際に誰かに危害を加えたことは一度もなかったが、この時の俺は、それほど追い詰められていた。
 もともと、俺は優しい部分はある。家に訪問してきた世界中の恵まれない人達への寄付を募る業者に、名札を確認したりして疑いつつも一万円を生活費から工面して寄付したことが、専門学校時代にありました。また、それ以前にも、ユニセフに一万円寄付したこともあったり、募金の訴えを街中で見かけた時は、ほぼ必ず、募金していました。
 でも、そんな部分もあるのですが、反対側の、残虐な部分も持ち合わせているのです。それは、今でもそうです。今でも、邪悪な考えに浸ってしまう時も、正直あります。でも、とても優しい気持ち、慈悲深い気分になる時もあります。だから、この時は、残虐な部分ばかりが全面に出てきていました。やはり、人間、精神的に追い詰められた状況で、正気を保つのは至難の業です。まして、俺はもともと残虐な部分を持ち合わせていたし、合わせて殺人鬼の極悪な所行など閲覧していたのですから、なおさら邪悪な想念が増幅していったのでした。

 それで、近所のプロテスタントの教会のチラシが入っていたので、そこの牧師さんに相談に行ったりしましたが、特に何も変わりませんでした。エホバの証人も訪ねてきましたが、その時はお断りしました。そんな感じでした。
 
 その後、どういった経緯か忘れましたが、俺の窮状を電話で察した父親が岐阜まで来て、そのあと、もう帰ってこいということで、アパートを引き払い、神奈川県に帰ることになりました。ちなみに、借金のことは言っていませんでした。まぁ、色々と怒鳴られたように思いますが、もうこの頃は精神状態が正気ではなく、超鬱病みたいな感じだったので、よく記憶がありません。
 神奈川への帰還が決まったので、アパートを掃除し出しました。

 余談ですが、このちょっと前にNHKの契約担当者が家に来た時のことです。まだNHKとは契約していませんでした。俺がアンテナの具合が悪くてNHKの映りが悪いと言ったら、じゃあ確認しますということで、どかどかと家の中まで上がり込んできました。それで、本当にNHKだけ映りが悪いことを確認すると、その人は自分でアンテナだかテレビコードだか忘れたが、とにかく映りが悪いと思われる原因の部分の部品を買ってきて、俺にその部品代を請求し、NHKの契約をさせました。その後、その部品に交換しても、相変わらずNHKはザーザーと画質が悪く、ちゃんと映りませんでした。そのクソNHKの契約担当者が家の中に入ってきた時に言った言葉が、「足の踏み場もない」でした。そのくらい、散らかっていたのです。まぁ、精神状態が崩壊している時に、ちゃんと掃除する気持ちにはなれませんね。

 あと、このアパートは超壁が薄くて、隣の声が丸聞こえでした。それはこっちの物音も同じことです。ある日、隣の部屋の住民の友達の若い男が、酔っぱらいながら俺の部屋に押し掛けてきて、物音がうるさいとケンカ腰で言ってきました。その時、俺は、これ以上入ると不法侵入だぞ!と言ったりして応戦したら、隣の部屋から、「もういいよ、こっちに来い」などという声が聞こえて、その男は帰っていきました。その時、俺は横の流しにあった包丁をちらりと見ていて、本気でそいつを刺そうかなんて、ちらっと思ってしまいました。別の日に、俺がちょっと歌っていたら、隣の部屋から「うるさい!」と怒鳴られました。こっちだってお前の物音はウルせえよ、と思ったけど、何も言いませんでした。その部屋は、横に和室が二部屋じゃなくて、縦に二部屋だったから、どこにいても隣との物音の聞こえる距離は一定でした。しかも、角部屋じゃないので、両方から物音が聞こえるし。やっぱり、防音設備のちゃんとしていない賃貸は、角部屋にすべきですね。はー・・・。

 そんな感じでしたよ。

 んで、片付けの為、品物をどんどん捨てるものは捨てました。速聴のグッズも、速聴のカセットプレーヤーとCDプレーヤー以外のCDは、全部捨ててしまいました。プレーヤーに関しては、今後、英語とかの練習の時に、速度を早めて聴けば、より早く習得可能かなぁ、と思い、取っておいたのです。実際に、その後に英語の学習とかロシア語の学習に使ってみましたが、やはり語学自体に興味があまりなく、すぐに飽きてしまいました。やがて、そのプレーヤーも捨てました。
 脳波測定機みたいなのも捨てました。合計で数十分しか聴きませんでした。それで飽きました。そのくせ、まだローンの返済は1年ちょっとしか済んでおらず、もう不要になったモノのために、これから四年近く毎月35600円を返済し続けるのでした。まったく、岐阜県には何の良い思い出もない。ちなみに、それから数年後、ためしにヤフーオークションでその速聴の道具を検索してみたら、その機械が一万円とか数千円で投げ売りされていました。CDセットでも、数万円程度で中古で買えました。まったく、やはり世の中、助言してくれる師匠のような存在が、世の中を上手く渡っていくためには、必要不可欠ですね。アハハ。

 彫った木の板の彫刻や、リサイクルショップで買った汚い和室用の机などを車に積んで、私は不法投棄の為に夜の山へ出かけました。帰る日にちの関係で、それらは現地で出せないような日程だったのです。真っ暗な山道に車を停めて、まず板を森の中に捨てました。といっても、これは完全な木なので、やがて土に還る。次に、同じ場所ばかりではなんだし、そこは頻繁に車が往来していて、ヘッドライトが眩しく、そのせいでより罪悪感を感じたので、和室用の机は、別の場所に不法投棄することにしました。見知らぬ山道を進んで、迷子になりました。散々浪費していたくせに、一番必要だと思われるカーナビは買っていなかったのです。結局、こんなに大きなものの不法投棄はさすがに気が引けたので、そのまま帰ってきました。それで、翌日、リサイクルショップに売りにいったら、お金は払えないけど、無料なら引き取りますと言われ、手放しました。他にも、CDプレーヤーとか、売れそうなものは売り払いました。けど、まだまだたくさんモノはあって、往復で三回程、岐阜と神奈川を往来して、やっと完了しました。
 大家さんのところに行っても、二年契約なのに、なんで途中で解約するんですかと言われたり、とても気まずかった。けど、いくらかのお金は返してくれて、岐阜県にはさようならしました。

 ハァ・・・・なんで俺は、人生ボロボロになるために、何の縁もゆかりもなかった岐阜県なんぞに行って、破滅したのだろう。まぁ、実際に殺人事件とか起こした訳ではなかったが、本当に極度の鬱状態になり、殺人を考えたり、自殺を考えたりして、もう最悪でした。

 もう、二度と岐阜県には住みません。そんな感じで、俺の岐阜県での生活は終焉を迎えました。ちなみに、往復の費用は、祖父母が出してくれました。その時は、祖父母は俺の借金のことは何も知らずに、ただお小遣いとして、数万円くれたのでした。ま、その後も、借金のことは祖父母には言っていませんが。

 あ〜ぁ、なんなんだろう・・・・。マジで、俺の人生って・・・。書いてて、虚しくなります。楽しいこと、嬉しい思い出が、全然思い浮かびませんよ。これも全部、体毛が濃いせいだ。憎い体毛め!くそっ!!お前のせいで、俺は岐阜県なんぞに来てしまった。本当にもう、人生、下らないことで歯車が狂うことって、けっこうあるんじゃないかしら。恥ずかしいから、他人には言えないだけで、みんなけっこう、下らない理由で自殺しているんじゃないかしら。